咲の誕生日なので京咲を投稿します。
すいません、生活が色々と大変でして完成できませんでした。
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改めてお礼申し上げます。
清澄高校──この高校は長野県のどこにでもある共学……だった。
しかし、今やその知名度は知らぬ者がいないくらいに高まっていた。
なぜか?
夏の
麻雀が日常に浸透している昨今。この大会で優勝することは野球で言えば甲子園で優勝するのと同じくらいの偉業だ。それも過去に強豪だったとか有名な指導者が新しく入った……なんてこともない正真正銘の無名校が全国に名だたる強豪を下していき、ついには三連覇がかかっていた白糸台女子すらも制して手に入れた栄光だった。
そんなシンデレラエピソードも合わさって清澄高校の名前は連日聞かないことがない日がないほど話題になっていた。
そんな偉業の立役者の一人である宮永咲。彼女は今年の個人戦で三連覇の偉業をなした宮永照の妹だった。しかし彼女は高校に入るまでは麻雀から離れていた。清澄高校に入学してから麻雀に再び出会い、良い仲間に巡り会い……ここまで辿り着いた。
そして同じ部活に所属している須賀京太郎。彼は高校に入るまで麻雀に一切触れてこなかった正真正銘の初心者だ。彼自身は県大会の予選で敗退はしたが、麻雀部の雑用を引き受けることで女子が麻雀に集中できた点で見れば彼も優勝の立役者と言えるだろう。
そんな二人が今……一緒に温泉に入っている。
水着を着用していたが、年頃の男女が少し動けば肩が触れるくらいの距離で並んで入浴していた。
その光景を誰かが目撃すれば二人の関係性を邪推する光景だった。しかし当の二人は……
「「…………」」ぽけー
夜空をただただ眺めているだけだった。
言葉もなく、まるでそこにいるのが当たり前だと言わんばかりに。そこに年頃の男女が持っている性の香りは一切無かった。あるいはそこには結婚してから15年経った夫婦の熟れた空気感が漂っているかのようだった。
温泉の温度は熱すぎずそれでいて温すぎない適温で秋の夜風の涼しさも合わさってずっと入っていられると錯覚するほどに心地よく、二人はただただそれを甘受しているようだった。
「……京ちゃん」
「ん~?」
そんな温泉の湧き出る水音と風が周囲の木々を撫でる音以外は存在しない空間に咲の声が響いた。それを聞いた京太郎は気の抜けた声を返す。
「なんか信じられないね」
「あ~……どっちだ?」
「どっちも」
「そうか」
宮永咲は宮永照の妹だ。しかし先日のインハイまでは関係が冷え切っていた。互いに嫌っているわけじゃない。ただただ噛み合わない状況の果てがそれだった。
しかしインハイをきっかけに二人は改めて向き合った。その結果少しずつその関係は改善されていた。
咲は温泉の心地よさで緩くなった頭で今の状況を思い返し、インハイ優勝と関係改善の現実感のなさに言葉が出てきたようだった。
「実を言えば俺もだ」
「そうなんだ」
京太郎も自分が所属している麻雀部がインハイで優勝した現実をのみ込めてはいなかった。
「あのドジで鈍くさい咲がなぁ」
「京ちゃんには高校に入るまで麻雀をやっていたって言ってなかったもんね」
京太郎にとって咲は本が好きでよく迷う小動物のような存在だった。控え室でインハイでの咲の活躍を見ていてもそれは変わることはなかった。
そんな京太郎のぶっちゃけた評価を聞いた咲は気を悪く……しなかった。京太郎と出会ってから何度も助けて貰ってきたし弱いところを何度も見せていた。だから“まあ、そうだよね”という納得しかなかった。
「京ちゃんって和ちゃん目当てで麻雀始めたんでしょ」
「当然」
「好きだもんね、和ちゃんの“アレ”」
「嫌いな男はいないだろ」
二人の脳裏に同級生で同じ部活仲間の原村和の姿が思い浮かぶ。
彼女の“アレ”──すなわち豊満な胸。インハイで様々な美少女を見てきた二人。和以上の胸の持ち主はいるにはいた。しかし近くで見続けていた二人はひいきをいくらか入れても総合評価では依然として和が一番だった。
咲としては京太郎の好みは前から知っていたのもあるし、咲から見ても和の胸は嫉妬心が沸かないほどの見事なものなのもあって京太郎の回答に対して何も思うことはなかった。が、
「……」ツンツン
「なんだよ」
「なんとなく」
それはそれとして肘で軽く突く程度の抗議はとりあえずした。
「それにしても衣ちゃん達、龍門渕の人達には頭が上がらないね」
「俺も招待してくれたしな」
「京ちゃんも麻雀部の仲間なんだから当然でしょ」
今咲達がいるのは長野県大会決勝で戦った龍門渕高校の部長である龍門渕透華の家が所有する保養所だ。かの高校とは県予選決勝で戦ったのを縁に一緒に合同合宿するなどして関係を深めてきた。そんな折に清澄が優勝したことで世間の注目が一気に高まり麻雀部が疲弊していたのを聞きつけた透華は自分の家が所有する保養所で短期間でも休息を取ってみないかと提案してきた。
インハイの時とはまた違ったプレッシャーに晒されていた麻雀部はそんな透華の提案を了承した。
その際に
『あのぉ、俺も行っていいんですか?』
『貴方も麻雀部の部員でしょう? 遠慮する必要はないですわ』
『いや、俺ってインハイで雑用していただけですし……』
『謙遜は美徳ですがやり過ぎると卑屈になってしまいますわよ。貴方の手助けがなければ清澄は優勝できなかったでしょうし、なにより貴方はハギヨシの友人でしょう? 貴方を軽んじることは私の執事であるハギヨシを軽んじることになります。素直に受け取りなさい』
こんなやりとりがあったとか。
そうして清澄麻雀部は保養所でリフレッシュすることになった。保養所は様々な娯楽施設を取りそろえていた。例えば卓球やカラオケ、プールや温泉などだ。従業員以外は清澄麻雀部の6人しかいない状況に最初は圧倒されていたがすぐに順応して遊び倒していった。
そんな楽しい時間の中で咲が京太郎に近づき
『今日の夜に温泉に入りながら話さない?』
と小さな声で伝えてきた。
なんで温泉に入りながらなのか? そんな疑問を京太郎は脳裏に浮かんだが、すぐに“まあ、いいか”と流して今の状況になっている。
近日中に続きを投稿します。
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