なんとか?今回も週一投稿に間に合いました。
先週上げた宮永照と妹?の下になります。
積み上げたフリの果て照はどうなるのか?
是非確認してください。
次も頑張って1週間後に出したいですが、年末で忙しくなるのでどうなるかわかりません。
そしてこの場を借りてお礼を申し上げます。
お気に入り登録や評価、感想ありがとうございます。
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改めてお礼申し上げます。
今は2回戦の副将戦が始まったばかり、画面には誠子がツモをしている場面が映っている。今のところは余裕を持って準決勝に進められそうだ。しかし・・・
インハイが始まってから私の中の不安が徐々に増していった。
何か見落としているか或いは何かが少しずつ這い寄って来ている感覚が私を焦がしていく。それに比例して私のお菓子を食べる量と質は上がっていった。
「照・・・本当に大丈夫か?」
「問題ない」
実際には問題は大ありだ。いくら対局で消費するとしても限度がある。食べる量を節制しないとお腹周りが悲惨なことになる。雑誌の取材とかある身としては致命的だ。全国にふくよかになった姿を晒して平気でいられるほど私は図太くない。止めないといけないのは分かっている。分かっているのだが・・・。
「テルー、そんなにサキのことが・・・」
「?」
なんで今長野の大将の話題が出るのだろうか?確かに同じ髪型、同じ髪色、同姓同名で・・・あれ?あたまがなんだかいたく・・・
「少し根を詰めすぎたかな、少し休ませてもらうね」
「あ、ああ・・・」
「あ!私もテルに付き添う!」
「淡ちゃん、お願いね」
淡の手を借りておぼつかない足取りで控え室から仮眠室に向かう。廊下には幸いなことに誰もいなかった。そうして着いた仮眠室で私は横になった。心配そうに私を見る淡に笑みを向けつつ。
「大丈夫・・・少し休めば良くなるから」
その一言で安心したのか淡は笑みを浮かべた。実際、先程の頭痛はほとんど治まっていた。ふがいない先輩の姿を見せてしまった自己嫌悪を抱えつつ、なんとなく上を向いた。
「あれ?」
「どうしたの?」
私の疑問の声に横に座っていた淡は身を乗り出して聞き返した。身を乗り出したことで淡の胸が強調される。・・・こんなに大きかった?淡の問いかけに生返事で返して、過去の記憶を掘り返す。
入部してきた時は私と同じくらいだったはず・・・。しかし今では膨らみがはっきりと制服越しでも判るレベルになっている。さらにここ最近の淡を思い出す。・・・思い返しても記憶の中の淡は全て私と同じような大きさだ。
「淡・・・」
「? 本当にどうしたのテル?なんか目つきが怖いよ」
淡が少し怖がっているが気にせず上半身を起き上がらせてお願いをする。
「いつもみたいに私に抱きついてくれない?」
「え?」
「お願い」
「わ、わかった・・・」
おずおずと淡は私に抱きついてきた。ふにゅという擬音が聞こえてきそうなくらい柔らかい感触が感じる。私と淡の間に決定的な差を実感した瞬間だった。
「テル少しきつい・・・」
「・・・・・・」
「テル?」
「・・・・・・・・・」
「テ、テル?」
「・・・・・・・・・・・・っ!」
「テル!?」
思わず目から想いが溢れてしまった。心はぐちゃぐちゃだ。大事な後輩の成長の喜び、置いてかれた絶望・・・あらゆる想いが溢れていく。
「え!?ええ!?」
「ごめん淡、本当にごめん」
「テル―・・・」
淡が背中をさすってくる。淡の優しさが今の私にはありがたくそして辛く感じる。きっと淡は長野のそっくりさんで私は悩んでいると思っているのだろう。実際はとてもじゃないが口に出せない個人的な事情でこうなっているのがまた情けない。
「ありがとう・・・淡」
「ふふん、高校百年生の淡ちゃんは気遣いも出来るんだよ」
「ふふ」
淡のいつも通りの姿に私の気持ちも少しずつ落ち着いていく。・・・そうだまだ淡も成長期だから成長したんだ。・・・そうに違いない。いきなり成長しすぎだがこんなこともあるだろう。
「もう大丈夫・・・そろそろ控え室に戻って良いよ」
「え?でも・・・」
「さっきも言ったけど、少し休めば良くなると思う。淡のおかげで大分楽になった。大将戦の準備と誠子の応援のために戻って欲しい」
「本当に大丈夫?」
「うん、私も良くなったら控え室に戻るから問題ない」
「・・・わかった!テルもしっかり休んでね!」
「行ってらっしゃい」
慌ただしく淡が仮眠室から出て行く。もう一度横になり・・・なんとなく咲の近況が気になった。
「夜になったらお父さんに久しぶりに連絡しようかな・・・」
試合が終わったらお父さんに今夜電話をする旨をメールで伝えることを決意し、一気に疲れが出たのか目の前が徐々に暗くなっていく。
まるで私の未来を暗示しているかのように・・・
**********
「あっ、お父さん・・・突然のメールごめん。急に咲のことが気になって・・・。咲は今どうしてる?」
「えっ!?インハイに出ている!?・・・それは応援で?」
「ど、どこの高校?」
「き、清すみ・・・ひ、ひかえとして?」
「たいしょう・・・こじんせん・・・」
「い、いや・・・なんでもない。ありがとう・・・おとうさんとつぜんのでんわにたいおうしてくれて。からだにきをつけてね」
「うん、じゃあまた・・・」
「ああ・・・」
**********
インハイが進むにつれて私の心労は加速していった。
日ごとに徐々に増す体重。軽くなっていくお財布。加速度的に大きくなっていく淡の胸。あの子がいる清澄が勝ち進む事実。全てが私を蝕んでいく。
「本当に大丈夫・・・テル―?」
「問題ない」
「で、でも・・・」
「問題ない」
「さすがに高級チョコをそんな早さで消費するのはもったいないよテル―・・・」
「問題ない」
高級チョコをろくに味わわずに食べていく。食べながら淡をチラ見する。
・・・おかしい。オカシイ。可笑しい。平らだった胸がインハイ始まってから変わり果てていた。お椀を通り過ぎてスイカだ。これから対戦する清澄の副将も大概大きかったがそれに匹敵する大きさになっている。
それに淡や周りが疑問に思わないのも可笑しい。それとなく淡とかに聞きたいが・・・聞いてしまえば私が胸を気にしていることが明るみに出てしまう。これ以上私のメッキを剥がさないために聞けない。
ああ、なんでこんなことに。私がなにをしたんですか神様。
「少し歩いてくる」
菫たちのいたたまれない視線を背中に受けながら私は控え室を出る。少しでもカロリーを減らさないと・・・。
そうして歩いていた私の目の前に・・・私を裁く者が現れる。
「おね・・・」
私の体中から冷や汗が出る。もはや壊れかけの姉としての威厳が膝が崩れ落ちるのを抑える。ここから離脱するために無理矢理体を動かす。走って逃げれば最後に残っている威厳が完全に崩壊することを感じてただただ平静を装って足を動かす。無我夢中に動かして控え室に帰還する。完全に扉を閉めた瞬間、体が限界を迎え壁にぶつかる。
「照!?」
菫が私に駆け寄り私の体を支えてくれる。
「会った・・・」
「?」
「清澄のあの子に会ったんだ。でも・・・何を話すべきかなんにもわからなかったよ・・・なんにも・・・・・・・・・」
菫が引いたような目でこちらを見る。淡達はかわいそうな人を見る目でこちらを見てくる。
目を背けていた事実が私を突き刺す。清澄のあの子は・・・
私の妹だった。
これ以上インハイチャンプとして、先輩としてのイメージが崩れ落ちないように耐えているが、菫たちがいなければ膝から崩れ落ちて涙を流していただろう。
(あの咲が・・・)
脳裏に浮かぶのはまだ長野で過ごしていた時の記憶だ。あの時の咲はおさげが似合うかわいい子だった。歩む道が分かれてしまっても大切に思う気持ちは今も変わらない。
変わらないが・・・
今の咲は私が夢見た理想そのものだった。それなりの身長、服の上でもはっきりと判るふくらみ、キュッと引き締まっているウエスト、・・・挙げられるところはさらにあるがこれ以上はなけなしのプライドが粉々になるので考えないでおく・・・いや考えたくない。
今の私はそれなりの・・・いや咲の横を通り過ぎた時、咲の方が大きかった・・・?いや気のせいだ。そう、それなりの身長、服の上でもはっきりと判るおせんべい、最近は危なくなってきているウエスト、・・・・・・・・・
「菫」
「何だ?照?」
菫が投げやりな態度で返してくる。
「夢から醒めるにはどうすればいい?」
「は?」
これは夢だ。夢に違いない。夢から目が覚めれば、長野の家でお父さんとお母さん・・・そして咲がいて・・・咲も私と同じおせんべい体型の美少女に成長していて一緒に食事したり遊んだりするんだ。ひさしぶりにぱんけーきがたべたいな、さきといっしょならとてもおいしく・・・
「ほらっ!これでいいか!」
「っっ!」
菫に思いっきり頬を抓られて現実に引き戻される。・・・やっぱり現実なんだね・・・。
「しゅみれ、わかっひゃからあやまりゅからもうゆるひて」
「まったく、お前の悩みもある程度理解できるが、5位決定戦が終わったら決勝が始まるんだぞ。先鋒のお前がこんな調子なら勝てる試合も勝てないぞ」
「・・・それはわかっている」
そう、私がこんな調子で相手が出来るほど生易しい相手じゃない。臨海だけじゃなく全国の強豪を倒してきた阿知賀も清澄も侮れない相手だ。しかもそれだけじゃなく・・・
「全力で当たってあの子の出番になる前にできるだけ稼いで淡の負担を抑えたい」
「うう、ごめんテル・・・さすがにあのサキ相手は高校百年生の私でも荷が重いよ・・・」
「気にしなくていい、はっきり言えば今のあの子は私でも分が悪い」
そう分が悪い。今のあの子は高い山でも咲き誇る花を越えたナニカになっていた。
昔のあの子が持っていた精神的な揺らぎが全くない。感覚を研ぎ澄ましてその上で理論もきっちりと学んでいるからさらに手に負えなくなった。
もう少し時間があればもっと対策を立てられたかもしれないが・・・
「ようやくマシになってきたな」
「ごめん、色々と思うところがあるから・・・」
未だに心はグチャグチャだが、菫や皆のためにとりあえず今は居直ることにする。
・・・ヤケクソとも言えるけど。
とりあえず最後の追い込みだ。それが終われば運命の決勝戦・・・あれ?
「菫?決勝戦が始まる前って・・・決勝戦のメンバー全員一度対局室に集まる・・・よね?」
「当然だ」
体中からまた冷や汗が吹き出る。さっきと違って会うのはわかっているんだから備えることはできる。できるんだけど・・・
「菫、インハイチャンプの力で私だけ参加しないって・・・できないよね?」
菫からの返答は“何言ってんだコイツ”と語りかける視線だった。
**********
(全力でそっぽ向いてるじぇ・・・)
(全力でそっぽ向いてるのぉ・・・)
(全力でそっぽ向いてるわね・・・)
(全力でそっぽ向いてますね・・・)
(お姉ちゃん・・・)
(うう・・・)
**********
そうして波乱のインハイが終わり私は咲と和解した。
ついでに決死の運動で危なかった体重もなんとか元に戻った。
今思えば私も大人げなかったな、それで菫たちに迷惑を掛けたんだから埋め合わせをきちんとしないといけないな。
そんなことを考えながら私は懐かしい道を歩いて行きとある家の前に着く。
「あれから何も変わってないな・・・」
色々な思い出が詰まった家に着き、私はインターホンを押す。少し待ってからドアが開く。
「お姉ちゃん・・・お帰りなさい」
「ただいま・・・咲」
咲の後ろに着いていきながら懐かしき我が家の廊下を歩く。そうしてたどり着いた部屋には・・・
「あ、照さんご無沙汰しています」
咲と和解した際に一緒にいた男性がいた。
「えーと・・・たしか須賀・・・くんだっけ」
「はい、須賀京太郎です」
「咲?どうして彼がここに?」
もし私を歓迎するために呼んだとしたならば、せめて最低でも同学年の片岡さんと原村さんもいないとおかしい。私の頭の中が疑問で埋め尽くされていると
「お姉ちゃん紹介するね、私の彼氏の京ちゃんだよ」
「え?」
どうやら私の旅はここまでのようだ・・・
※このあとお菓子で餌付けされて即落ちする模様
後で追記修正するかもしれません。