玄の誕生日なので投稿します。
本当に申し訳ありません。また「上」なんです。他にも溜まっているのにこうして投稿しています。残りも作成してますが、いつになるかは約束できません。
けれどエタる気はありません。自分で始めたのですから絶対にやり遂げます。
今回の話は玄といえば「アレ」ですがそれになるべく触れないで作りました。
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この場を借りて改めてお礼申し上げます。
私の名前は松実玄。奈良県にある阿知賀女子学院の麻雀部に所属している2年生で、その麻雀部には私の他に私のおねーちゃん*1を含む4人しか所属していません。そんな私たちは今、東京にいます。初めて来る東京はやはり日本の中心なだけあって圧倒されています。私たちがここにいるのは遊びに来たわけでなくインターハイ(全国高校生麻雀大会)に奈良代表として出場するためです。そして今、何をしているかというと・・・
「じゃあ撮るね~」
デジカメの画面に映されている仲間たちに声を掛けて
「・・・うん!」
デジカメの四角いモニターには手ブレや逆光もなく綺麗に撮れている画像が表示されている。その出来映えに満足しながら画像を保存する。
私は麻雀部の仲間たちの写真を撮っていた。なぜ写真を撮っているかと言うと・・・理由は単純明快で麻雀部の顧問である赤土晴絵先生に頼まれたからだ。赤土先生は高校生の時に阿知賀女子を初のインハイ出場に導いた“阿知賀のレジェンド”と称される位に活躍した人だ。大学生の時は阿知賀こども麻雀クラブを開いていて、今の麻雀部もそのクラブの流れを一部汲んでいる。
「これでアルバムもさらに華やかになるね」
そうつぶやきながらこれまで撮ってきた写真で埋まったアルバムを思い出す。赤土先生に頼まれたときは少し不安だったけどアルバムが埋まっていくたびに・・・なんて言えば良いかな。積み木を積み上げていく過程で感じる気持ち・・・達成感?みたいな物が感じられて不安はいつの間にか消えていた。改めて画面を確認する。
(うんうん、よく撮れてる♪)
私は写真を撮ることが好きだ。これは実益も少し兼ねてもいる。私の実家は旅館を経営している。今の時代、情報化の波がどこまでも押し寄せている。波に乗らないと取り残されてしまうだろう。だからこそ写真は波に乗る手段の一つだ。町や旅館の美しい風景、腕によりを掛けて作られた料理・・・他にも挙げられるがそれらをネットでアピールすることでお客さんが旅館に気軽に来てくれるような流れを作り出せるかもしれない。
(まあ、トントン拍子に上手く行くとは思わないけど・・・)
それでも打てる手は打っておくのは大切だと思う。良いことも悪いこともこれから先で何があるか解らないのだから・・・
(お母さん・・・)
私のお母さんは私が小さい頃に旅立ってしまった。そしてお母さんの写真はあまり残っていない。もちろん今でもお母さんとの思い出は、すぐに思い出せるけどそれでも本当に細かいところは朧気になってしまった。だからこそ私は写真が好きになったのかもしれない、在りし日の思い出を・・・
「・・・ろさん?玄さん?」
「あっ!・・・しずちゃんどうしたの?」
「玄さんが画面を見たまま動かなくて、もしかして撮るの失敗したのかなって声を掛けたんです」
心配そうに私を見てくる穏乃*2ちゃん。いやよく見るとおねーちゃんや憧ちゃん*3、灼ちゃん*4もこっちを見ている。どうやら心配を掛けてしまったらしい。
「あはは~。あまりにも上手く撮れていて感動してたんだ~。心配掛けてごめんね。ほら、どうかな?」
私は先ほどまで考えていたことを心の奥に仕舞い、皆に謝罪しつつ先ほど撮った写真を見せる。それなり以上に撮れていた写真に皆も納得してくれた。
そうして見せていると遠くから赤土先生の声がした。時計を確認すると予定の時間に近づいてきていた。私たちは赤土先生の元に向かうことにした。皆が向かっている中、お姉ちゃんが私を見ながら止まっていた。
「おねーちゃん、どうしたの?」
「玄ちゃん・・・」
「?」
「・・・ううん。何でもない、一緒に行こうか玄ちゃん」
そう言っておねーちゃんは私の手を取って赤土先生のところに歩き出した。
そんなおねーちゃんの態度に疑問を持ちつつ私も足を動かす。
・・・心のどこかにモヤモヤを抱えながら。
◇◆◇
東京某所とある宿泊施設のある一室にて、その部屋は現在タイピング音だけが鳴り響いている。そんな音を聞きながら一心不乱に文章を組み上げていく。そうしてしばらく入力作業を続けていき、誤字脱字や画像の添付ミスがないかを確認して送信ボタンを押す。そうして作業が終わり軽く体をほぐしながら開放感と共に言葉を吐く。
「あ~、やっと終わった~」
俺はそう言いながら先ほど送った
「いくら形式張らなくても良いって言ってもそれなりに気を張るな~」
本当にこれでいいのか?これで皆の頑張りを表現できているのか?不安は尽きないが学校のテストと違って答えのないものだから時間が限られている今だとどこかで妥協しないといけない・・・いけないんだが・・・
「あ~部長の負担が少しでも減ればいいと思って引き受けたけど・・・ここまでキツいものだったとはな・・・」
こうやって少しだけ後悔している俺の名前は須賀京太郎。長野県の清澄高校の麻雀部に所属している高校1年生だ。ここでインハイに出場するために東京に来た・・・って言えればかっこいいんだが、実際は女子部員の付き添い兼雑用係として来ている。
「ほぼ廃部の状態から強豪校を下したんだからなァ~」
そう俺の所属している麻雀部は1年生が入部するまでは部員がたった2人だった。それが今だと長野の代表なんだからすごいとしか言えないな。
話を戻すがなんでそんな付き添いの俺が報告書を悪戦苦闘しながら作成しているかと言えば・・・。なんてことはないほぼ廃部だった状況のが原因だ。
この麻雀部は部長が全国優勝を夢見て維持してきていた。学生議会長*5を兼任しているのもきっとそのためなんだろう。・・・学食のおばちゃんと仲良くなって俺がよく咲*6に頼んでいるレディースランチや優希*7がよく頼んでいるタコスも部長の提案で追加されたのを聞いたときは開いた口が塞がらなかった。とにかく、そうして維持してきたが実際に全国に出場するには様々な問題が発生した。
「まさか、顧問がいないなんてな・・・」
実際には名義上の顧問がいるにはいるが、麻雀部が全国に行くなんて思っていなかったらしく兼任していた運動部の大会と被ってしまったのだ。他の先生を付けようにもウチの高校はそれなりに運動部にも力を入れていて手が離せなかった。
そんなこんなで部長が学校と交渉して条件付きで俺たちは無事に東京の土を踏めている。その際、俺の旅費もちゃっかり獲得しているんだから頭も上がらないな。
で・・・だ。その条件が件の報告書モドキだ。要は、何時頃に何をやっていたかを報告してね!・・・ということだ。
「まあ、そんなにキッチリしなくても良いのは良いんだけどな・・・」
最初は部長がやろうとしていたんだが、ここまでこぎ着けるのに必死に頑張ってきたんだから思いっきり麻雀に集中してほしくて俺が代わりにやるって提案したんだ。部長は本当に大丈夫?と心配してくれたが、いけます!って啖呵を切った。
そうして渡されたのがタブレットと無線キーボード、そしてデジカメだった。そこからはホントにキツかった。優希のためにタコスの練習をしつつ、報告書モドキの作成の練習の日々だ。タコスを教わっていたハギヨシ*8さんにダメ出しされながら練習した。大学でレポートや論文をヒーヒー言いながら作っている学生の気持ちがよくわかった。大学に入学することになったら真面目に作ろうと思ったよ、マジで。
そんなこんなでハギヨシさんからどちらも及第点をもらっていざ鎌倉・・・じゃなくて東京に来たんだけど・・・。やっぱ、実際にまとめようとすると上手くできないものだった。
「皆、一生懸命頑張っているからどこを省いて良いか判断できないんだよな」
けれど、こうしていると・・・自分が時々何をしているか解らなくなる。
「皆頑張っている中、俺は何をしているんだろうな」
最近、牌を握っていない。麻雀ゲームもなんとなくやる気が出ない。こうして報告書モドキを作っていると彼女たちと自分の間に大きな溝のようなものを感じるようになってきた。何というか・・・雲の上の存在になってしまった感覚に陥ってしまう。
「・・・」
タブレットの画像ホルダーを開く。中にはデジカメから転送した画像がある。その中の一つを拡大する。その画像は皆が気分転換に軽く対局をしているところを映したものだった。楽しそうに打っている。
「・・・」
少し前まではその輪の中に自分がいた。なら今は?
「・・・」
前までは当事者だったのに、今はまるで傍観者だ。
写真を撮り、活動を文字に起こしていく度に何かが削れていく気がする。
少女たちの
「・・・明日も早いし寝るか」
タブレットたちを充電器につないで、横になる。
疲れていたのかすぐに視界黒ずんでいく。その様子がまるで自分の心のように感じた。
◇◆◇
頑張ります。