指揮官の母港@バカハーレム   作:そうすけ

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リクエストありがとうございます!

リクエスト頂いたものを少しアレンジしてみました。

思ったより長くなりそうなので前編後編に分けました。

それでは平和です!


例の対策@一筋縄にいかない(前編)

「あああああ、忘れてたぁあああああ!!!!!!」

 

「───!? 指揮官、何があったのですか!?」

 

「あぁ……リシュリューさん、急に大声出してごめん。実は……」

 

それは遡る事、数時間前──────

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

「あの資料どこにあったかなぁ〜」

 

着任してから運営本部に提出しなければいけない資料があり、僕らはそれを探していた。

 

「指揮官くん、こっちにも無いよ〜」

 

「そっかあ」

 

秘書艦のフォッシュさんと手分けして、執務室内の引き出しを開け閉めしているが、目ぼしい資料が見当たらない。

 

「メールには資料が添付されているんだよね? それを印刷した方が良いんじゃないかな?」

 

確かにその通りではある。

 

業務用メールアドレスには、欲しい資料が添付されているので焦る事は無い。だけど、それでも探す理由がある。それは、母港に着任する前に上司から口頭で【何か】を聞いたのだけど、着任初日であまりにもインパクトが強すぎて、ほとんど記憶から吹っ飛んでしまった。まあ、『資料は送ったから』と言われたので、そこに詳細は書いてあるのだろう。送られてきたメールをもう一度見直してみよう。

 

 

 

・母港着任について

 

・着任おめでとうございます。指揮官様。この赤城が……

 

・【超重要】KAN-SENとの接し方について

 

・大鳳と申します。この度は誠に着任おめでとうございます。不束者ですが……

 

・【添付】始末書申請書

 

・近年、〇〇ウイルスに対する対策取り組みについて

 

 

 

 

うーむ、メールはこれだけなのに何を伝えられたか結びつかない。赤城さんと大鳳さんのは間違いメールかな? 着任日に届くわけないしね〜まだ業務用メールアドレス教えてないし。

 

「そこまで重要なものだったら、母港宛の郵便ポストに届いてるんじゃないかな?」

 

「あっ、そっか!」

 

てっきりメールのみで済むような事ばかりだったから、そこをうっかりしてた。

 

「ぼくが取りに行こうか?」

 

「うーん、母港内を見回りついでに僕が行くよ」

 

「そっか。母港の構造も知っておいた方が良いもんね」

 

「うん。でも、ありがとうね」

 

「───はい」

 

「ん?」

 

フォッシュさんが手を広げて待っている。その意思表示の意味が分からず、僕は首を傾げる。

 

「ここの母港には危険が多いから、気をつけてね」

 

「ふぁっ……」

 

意図が伝わってなかったからか、次はフォッシュさんがこちらに歩いてきて、僕をしっかり抱きしめて耳元で囁いた。

 

そんな母港が無法地帯みたいじゃないか、ははは。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ! 指揮官〜!」

 

「ん? おお、ハウさん。こんにちは」

 

母港の見回りを兼ねて、郵便ポストまでの道のりを遠回りしていると、後ろから声がかかった。

 

彼女はハウ。キングジョージ5世さんや、ウェールズさんの妹だ。ウェールズさん曰く、『彼女は私たち姉妹の中でも、クセが少なくて接しやすいと思う』らしい。まだ他の姉妹に会えていないので比べ難いところはあるけど、モナークさんはセーフなのだろうか……二つの意味で。

 

「あら、私の事を知ってるの? 嬉しいわ!」

 

「名前だけはウェールズさんから教えて貰ったんだ」

 

「……後でウェールズには『指揮官の靴下』を渡しておくわ」

 

「え?」

 

「それなら話は早いわ。私とのお近づきの印に、クッキー焼いてきたの! 指揮官も味見してくれる?」

 

アイシャドウがくっきりと見えるくらい目を細める彼女は、小さなバスケットの中に美味しそうな香りが漂うクッキーを差し出す。

 

「良いの? それじゃあ──────うまいっ!」

 

お世辞抜きに、本当に美味い。来賓用に出す高級な物と同等───それ以上に美味しく感じた。

 

「ふふ、そんなに美味しかった? じゃあ指揮官、私に食べさせて」

 

バスケットの中にある、適当に白いクッキーを摘んで、彼女の口に入れた。無邪気に口を開けるハウさんは、まるで子供ひな鳥のようで可愛い。

 

「んふふ。指揮官から食べさせて貰ったクッキーはもっと美味しいわ! またね、指揮官!」

 

幸せそうにクッキーをハムハムした彼女と小さく手を振って分かれた。

 

 

 

 

 

──────

 

───

 

「ねえジョージ、ヨーク!」

 

「おや、良い事でもあったか。ハウ」

 

「そうよ、ジョージ! 指揮官に【クチに挿れて貰ったの!】」

 

「ふぅん……え?」

 

「【白いモノは濃厚だったわ!】」

 

「ま、まさかアドーニスにか!?」

 

「そうよ! さっき、そこで」

 

「こんな人通りの多い所で大胆な……!」

 

「指揮官は中々、豪胆なものだな」

 

───

 

──────

 

 

 

 

 

 

「へぇ……母港に掲示板なんてあるのか〜」

 

母港内を散歩していると、母港内のニュースが電光掲示板、コルクボードに貼られている。【アクセスURLはこちら → アズレンちゃんねる.azrn】

 

へえ、時間があれば覗いてみようかな。

 

 

 

 

「あら、指揮官くん♫」 「……ここで何してるのよ、あなたは」

 

 

 

 

掲示板をぼんやりと眺めていると、二つの似ている声が耳に入った。僕は声のした方にくるりと振り返る。

 

「私はセントルイス。指揮官くんに会えてラッキーだわ♪」

 

「……ホノルル。こんな所で油売ってて良いの?」

 

青と赤の対照的なヘアカラーと性格の二人のようだ。ホノルルさんはため息をついている。まぁ、サボっているように見えなくもないな。

 

「指揮官くん。ホノルルはああ言ってるけど、『声を掛けてみよう』って先に言ったのはホノルルの方なのよ」

 

「───!! ちょっと!?」

 

セントルイスさんが耳打ち(周りにも聞こえるくらいの大きさ)で教えてくれた。ホノルルさんの表情は髪色と遜色ない色をしている。

 

「……ほら、講堂で爆発があったでしょ。あなたよく生きてたわね……」

 

「流石にあれは三途の川が見えたよ。無料で観れるなんてお得だよね!」

 

「……はぁ、当日券で良かったわね」

 

「むぅ〜! 私も指揮官くんと観た〜い!」

 

セントルイスさんは無邪気にも僕を後ろから抱きしめる。なんでここの母港はスキンシップが激しいKAN-SENが多いんですかね!? 

 

「……ルイス、行くわよ。もう良いでしょ?」

 

「いいえ、まだよ」

 

「ホノルルはああだけど、心配してて不安だったみたい。だから、指揮官くんから抱きしめてあげてくれる?」

 

抱きついている彼女は、今度は本当の意味の耳打ちをした。あの爆発を見たら、誰だって死んだって思うよね。それは心配するわ。

 

 

 

 

 

 

「ホノルルさん」

 

「……なに───っ!?」

 

「心配してくれてありがとうね」

 

ホノルルさんをゆっくりと抱きしめた。最初は強張っていたが、次第に柔らかくなっていった。ホノルルさんの体温って結構高いんだなあ。温かい、暑い、ちょっと熱い──────熱い!?

 

「アッツ!? ホノルルさん、湯気出てるけど大丈夫!?」

 

まるで壊れたファンヒーターのように、高熱で目をグルグル回す彼女に狼狽える。

 

「ホノルルのキャパオーバーかしら? 私はこの子を連れてくから。またね、指揮官くん♫」

 

ファイアーマンズキャリーのようにKAN-SENファンヒーターを軽々と担ぐセントルイスさんは、ひらひら〜と手を振って去って行った。KAN-SENのパワーは男性格闘家も軽々と凌駕すると言われるから、そう言われると何もおかしい事は無いのだけど。

 

 

──────

 

───

 

 

 

 

 

「おかえり。セントルイス姉さん、ぐったりしてるホノルル姉さん。何か良い事あったの?」

 

「聞いてよ、ヘレナ! 指揮官くんって温かいのね〜」

 

「……何よ、あれ。腰が抜けたわ……」

 

「えっ」

 

「私も指揮官くんから抱きしめて【ヤッて貰いたいな〜】」

 

「もう汗かいちゃったじゃない……お風呂入ろ……」

 

「私も行こうかしら〜。ヘレナも行かない?」

 

「私は良いわ……」

 

「そう。またね〜」

 

「……まさか三人でヤったの!? こんな白昼堂々と!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

───

 

──────

 

 

郵便ポストのあるところまで歩いてきた僕。そこで働いているのは、見た目がヒヨコっぽい【饅頭】と呼ばれる動物? がセカセカと手紙や配達物を運んでいた。

 

「こんにちは、指揮官」

 

「リシュリューさん」

 

受付を済ませて近くの待合席で待っていると、リシュリューさんと会った。KAN-SENの人達って本当美人が多いなあ。その中でもリシュリューさんは一段と美人だと思う。

 

「指揮官も郵便物を受け取りに来たの?」

 

「うん、探してる資料が届いてるかもってね」

 

「そうだったのですね。私も指揮官の郵便物を受け取ろうとした所です」

 

「僕の?」

 

「講堂の爆発で焼けてしまった資料がいくつかあったので、再申請しておいたので受け取ろうと」

 

「焼けてたの!? ありがとうございます!」

 

リシュリューさんの手配の早さに、心から感謝していた所に饅頭から郵便物を受け取った。

 

「えーっと、そこそろ貰ったなぁ」

 

「私にも見せて下さる?」

 

隣に座るリシュリューさんが、さらに近づこうと僕の手のひらに、すらっと綺麗な手を載せてくる。美人なリシュリューにやられるとドキッとするから心臓に悪い。

 

【〇〇母港について】、【KAN-SENの接し方について】、などなどパラパラと資料を流し読みしていると──────!!!!

 

「これは【〇〇ウイルスの予防対策取り組み】ですね──────指揮官?」

 

やばい……記憶が蘇ってくる……上司の言葉だ──────『予防対策のためにKAN-SENとの接触はやめとけよー。あと黙食なー。近いうちに予防対策委員会が巡回してくるから、ちゃんと対策しとけよー』

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の冷や汗と絶叫が木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

───

 

──────

 

「指揮官。慌てるのは理解できますが、他に理由があるのです?」

 

「対策委員会の人ってね……ペナルティがスゴいエグいんだよ……」

 

それから僕は立て続けに説明した。

 

これは僕が、別の母港で指揮官の補佐をしていた時の話なんだけど、とある母港でわずかにペナルティを食らった時があったんだけど、減点対象として【ヤンデレ測定器】なるものを渡されたみたい。その測定器を使った直後、KAN-SEN達は黙食、接触距離を置いて一件落着のように見えた。その代わりの代償として、KAN-SENからは凄く重い愛情を向けられるようになり──────うっ! これ以上思い出すと頭が痛い!! 

 

あの指揮官さん、僕と同い年らしいから上司でもあり友人でもあった。惜しい人を亡くしたか……普通に生きてるんだけどね。腎虚になってないと良いなぁ。会うたびに痩せこけてた気がする。

 

「ココもあまり変わりないような気もしますが、早速取り組みをしましょう。仮に明日来ても大丈夫なように」

 

「変わりないってどういう事!? 愛の深い子って一部じゃないの!? リシュリューさーーん!?」

 

僕の嘆きは虚しく郵便受付内に跳ね返る。それはともかく予防取り組みをしないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は少人数で動くって事だね。指揮官くん」

 

「うん。よろしくね二人とも」

 

「チョー楽しそうな仕事じゃん、プリンちゃーん! えっと、何すんの?」

 

感染対策という事で、マスクを取りに来てもらうと密集する可能性があるので、僕たち少人数でマスクの箱をKAN-SENの子達に配る予定だ。そこでフォッシュさんと、リシュリューさんは仕事があるので、代打としてたまたま手が空いていたサンフランシスコさんに協力してもらった。

 

「KAN-SENのみんなにマスクをプレゼントしに行くんだ」

 

「プリンちゃん、それだとウイルスまでプレゼントしない?」

 

「もちろん僕らもマスクしてから配るよ──────最初はあの陣営に行こう」

 

 

──────

 

───

 

 

「ふむ、御足労頂いたな、同志たちよ。例の感染対策だな?」

 

僕たち一向はソビエツカヤ・ロシアさんをはじめとした、北方連合陣営に来た。まあ、ここを最初にしたのには理由があって……。

 

「皆待ち焦がれているから、速やかに来てくれ」

 

作業中だったのか、割とラフな格好のロシアさんに案内される。入り口や服辺りから漂う【あの】匂い……。

 

「皆さん、おかえりなさ〜い。ボルシチでもどうです?」

 

「やあアヴローラさん」

 

「ここがホクレンか〜。テンションMAX! はははは!」

 

「新鮮だね〜今度はここでご飯食べてみようよ。指揮官くん」

 

「ああ、我ら北方連合の食事は美味しいぞ! ただ、同志指揮官を独り占めは見逃せまい!」

 

「今度お邪魔させてもらうね、キーロフさん」

 

さて、ホクレンの子たちが集まっているロビーには、

 

 

 

・王様ゲームか何かで、ウォッカを口移しするタシュケントさんとメルクーリヤさん。

 

 

・アヴローラさんの飲むウォッカの溢れたものを口で受け取るタリンさんとチャパエフさん。

 

 

・ビール瓶を片手に大声で談笑し、ビールで手を洗い出すガングートさんとキーロフさん、ベラルーシアさん。

 

 

 

 

「指揮官くん、これは?」

 

彼女たちを指差すフォッシュさん。流石に苦笑いを隠せない。

 

「スリーアウト☆」

 

まあ想像通りだったね。最初に来ておいて正解だったよ。

 

 

 

 

 

 

「バンデェエエエジロォオオオオル!!! もう一回!!!」

 

「うわ!? ユニオンが何用だ!」

 

「我ら北方連合に歯向かうつもりね!?」

 

「サンフランシスコさん! ウォッカ程度で倒れない彼女たちをバットで殴っても記憶は飛ばないよ!?」

 

「同志指揮官よ、頭のネジはどこに行った!?」

 

「僕はまともだよ、ロシアさん! フォッシュさん、ここにいる皆んなに水を飲ませてあげて!」

 

「指揮官くん、ここの蛇口、ビールの味がするよ!?」

 

「なんだって!?」

 

「同志指揮官もホクレンの家族にならないか? 我となら最高の愛が育めるとおもうんだが?」

 

「最高のセリフだよ、ガングートさん。でも、ウォッカを口移ししないで!! ──────あっ、ソユーズさん」

 

「何を言ってるんだ同志よ。幻覚でも見えているの──────あっ」

 

「指揮官、私とこれからサウナに行かないか? 多少の裸の付き合いも必要あるだろう?」

 

「ロシア、ソユーズを目の前によくそんな事を言えるわねぇ……ねぇ指揮官、胸が大きくて凝ってるから揉んでぇ〜♡ あっ、ドーテーの指揮官には出来ないかなぁー?♡」

 

「そ、ソユーズさん? あの〜……」

 

ソユーズさんの色白で綺麗な顔に、格闘漫画で見るような血管がブチブチ湧き出ている。僕は恐る恐るソユーズさんに声をかける。

 

「指揮官、手荒な真似はしませんよ。サンフランシスコさん、そのバットを貸して下さる?」

 

「え〜?」

 

「…………」

 

「ぷ、プリンちゃ〜ん!!  アタシが的になっちゃうー!!」

 

サンフランシスコさんが放り出したバットをソユーズさんが掴むと、北方連合の皆んなは一斉に正座をし出した。

 

「指揮官、後は私から伝えておきます。まだマスクを配りに行かなければならないのでしょう?」

 

「う、うん。じゃあお願いします……」

 

 

 

 

 

「──────さて、始めましょうか」

 

 

 

 

「「「「「「Урааaaaaaааа!!(悲痛の叫び)」」」」」」

 

 

 

 

真っ白な北方連合がアカく染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

───

 

「これから感染対策。濃厚接触、黙食を徹底しましょう。良いですね?」

 

「「「「「Да, Союз мама!(はい、ソユーズママ!)」」」」」

 

「まず、ロシア」

 

「な、何だ?」

 

「サウナには水着を着用しなさい」

 

「流石にサウナに水着は───」

 

カラカラカラ(バットが引きずられる音)

 

ダラダラダラ(ロシアから汗が流れる音)

 

「そ、そうだな。節度は持とう」

 

 

 

「次にメルクーリヤ」

 

「な、何よぉ?」

 

「そんなに胸が凝ってるなら、ロイヤル陣営のフッドに揉んで貰いなさい」

 

「はぁ!? あのロリ趣味オバさんに──────って何でこんな所にフッドがいるのよ!? 力強っ!? イヤァあああああああ!!!」

 

 

 

 

 

「最後にガングート」

 

「わ、我は何もしてないぞ!」

 

「愛の告白と指揮官と口移し未遂をしておいて?」

 

「び、ビールのせいで何も覚えてないなぁ!」

 

「ならば思い出すまで貴女の頭に聞いてみましょう。このバットで良いかしら」

 

「ま、待て! 話せばわかる!」

 

「それは重桜での殺されるセリフよ。ガングート」

 

「チャ、チャパエフだって同志とツーショットをしてたと聞いたぞ! 我も欲しい!」

 

「なっ!? ここの情報網ガバガバじゃない!」

 

「それは後で聞くとして。ガングート───貴女だけ隔離するか、マスクで静かに会話&黙食どちらか選びなさい」

 

「対策すると忠誠に誓おう! 同志指揮官や仲間に会えないのは嫌だ!」

 

「それは私もですよ」

 

「ソユーズ……!」

 

「ところで指揮官とのツーショット写真、私にも焼き増しして下さるかしら?」

 

「ソユーズ……」

 

 

 

 

 

 

「「「「やはりホクレンは最高だな!」」」」

 

 

 

 

 

 

───

 

──────

 

「ねえ、プリンちゃん。アタシのバット返ってくるかな?」

 

「返って、はくると思う……」

 

「血が返ってくるかもよ」

 

「カラーペイントされて……ってフォッシュー! プリンちゃん、バット持ってないー?」

 

「何故持ってると思ったの!?」

 

 

 

 

 

「指揮官は立派な【バット】をお持ちじゃない? ねえ、ザラ?」

 

「しかも【ボール】まで持ってるものね? ご機嫌よう、指揮官」

 

 

 

 

 

北方連合陣営から仕事を終えた(?)僕たちは、次の陣営に向かっていた所だ。そこで艶かしい声でギリギリを攻めるワードで近づいてくる二人と出会う。

 

どちらもツインテールヘアーで、紫色の髪色の方は装備している剣の端っこを指で艶やかになぞっている。『ザラ』と呼ばれた赤い髪の方は僕らに挨拶をすると僕の目の前まで来た。

 

「私はザラ。サディア陣営所属の重巡洋艦よ。覚えておいてね?」

 

「ポーラ。同じくサディアでザラ級の4番艦よ。うふふ……」

 

「うん、よろしく───っひぃ!?」

 

「指揮官の【ボール】はどこにあるのかしら? ふふふ……」

 

「可愛い声で鳴くのね、指揮官♡」

 

ザラさんにサワサワと胸あたりを急に触られて、変な声が出てしまった。僕のボールはそんな所には無いよ!?

 

「うん? サディアって……」

 

「わお! プリンちゃんの目的地じゃーん! ビンゴー!」

 

そう。僕たちが向かおうとしていたのはサディア陣営だ。特別な理由は無く、北方連合から近かっただけである。

 

「そうなの? ならば盛大におもてなしてあげましょ? ポーラ」

 

「そうね、色々聞きたいこともあるし、ね?」

 

ザラ姉妹の絡みが解かれてホッとした。

 

 

 

「ちなみに【バット】は【コンバット】の事で───」

 

「【ボール】はコレよ」

 

ザラさんは悪戯な笑みを浮かべながら、僕の胸ポケットにあった【ボールペン】をカチカチと鳴らした。

 

「指揮官くんの【バットとボール】はぼくが守るから安心してね♪」

 

フォッシュさんの言葉の意図を理解できないまま、サディア寮へと歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、指揮官さま。例の感染対策、お疲れ様です」

 

丁寧に出迎えてくれたのはサディア陣営の総旗艦───ヴィットリオ・ヴェネトさんだ。

 

「急な伝達になったけど、感染対策に来たよ」

 

「ええ。急ぐ内容ではあるので問題ありませんが───」

 

「やあ、指揮官! このリットリオが来たからには見事な対策にしてみせよう! ははは!」

 

ヴェネトさんに割り込む、颯爽と現れたのはリットリオさん。緑色の髪が特徴だったので覚えている──────母港着任挨拶で【性癖を晒した人】だ!

 

「それは助かるよ」

 

「指揮官くん、顔がこわばってるけど……ぼくとお昼寝するかい?」

 

「プリンちゃん、催眠アヘ堕ちNTR性癖のサディア艦にビビってるー? うはは☆」

 

「……そんな事ないよー?」

 

「目が泳いでるわよ、指揮官?」

 

「おやおや、一人の性癖も受け入れられないようではサディアの栄光を任せられないなぁ? んー?」

 

「サディアの栄光歪みすぎじゃないかな!?」

 

リットリオさんに呆気なく壁に突き飛ばされ、顎クイをさせられる。彼女は怒っているようにも取れるし、この状況を楽しんでいるようにも見える。

 

「そんな指揮官には、たっぷりと教え込まないとなぁ? 私と、濃厚な夜を──────ね?」

 

どうしてこうもKAN-SENの子達は力が強すぎるのか、抜け出そうにも身動きが取れない。ザラとポーラさんはニヤニヤしているのに対して、フォッシュさんの表情がジットリとしてきている。もしかして今、湿度高い?

 

「指揮官さまが困っていますよ、リットリオ。濃厚で思い出したのですが、指揮官さま───」

 

 

 

 

 

 

「【他の子達と白昼堂々、爛れた肉体関係を結んだ】という噂は本当なのですか……?」

 

 

 

 

 

 

「へ……?」

 

ヴェネトさんの一言は、陽気なサディア艦を曇らせるのには充分な言葉だった。フォッシュさんは相変わらずだし、サンフランシスコさんに至ってはゲラゲラ笑ってるし。

 

「私達も聞きたかったのよ、ソレ」

 

「指揮官くん、ぼくと一緒にいたくなかった理由って……(これは分からせる必要がありそうだね)」

 

「そんな事してないよ! そんなの母港が破滅の始まりじゃないか!」

 

「実際は手を出さない方が危ないのよね……それは置いておいて。私達も適当言ってる訳じゃないのよ?」

 

なんか聞き捨てならない事言われた気がするんだけども……ここの母港って不満が多いのね。何とかしなければ──────例えば、娯楽施設など置いてみようか?

 

「火のない所に煙は立たないからな。ロイヤルやユニオンの子達の会話を聞いたんだ──────『『んむっ、ぷはぁ……ひっはいへはね、ひぃひぃはん♡(いっぱい出たね、指揮官♡)』指揮官から出た濃厚で白いモノを、美味しそうに舌舐めずりしてた』や、『『ん"ぉ"っ! あひぃっ!』白昼堂々、汗だくになりながら腰が抜けるほど燃料補給(意味深)した』とな」

 

リットリオさんはまるで官能小説を読むかのように、僕からすれば火の立っていない煙を嗅がされている。何か聴いたことがある声なんだよなあ……あっ、前の指揮官さんが持ってたギャルゲーの音読セリフだ!

 

「指揮官くん……ぼくは上のお世話も下のお世話も出来るよ?」

 

「掛かり気味じゃない、フォッシュー? バットで殴られとく?」

 

「流石ね、リットリオ。ムラムラしてきたわ」

 

「噂が本当かどうか、試してみましょ? ねえ指揮官?」

 

「ちょ、僕が種馬みたいじゃないか! 大体、人ってそんなに出ないよ!?」

 

ピンクなムードに塗れたザラ姉妹、リットリオさんが誘惑の目つきでジリジリと迫ってくる。これ新手の詐欺かな?

 

 

 

 

 

 

───

 

──────

 

「ほう? それは益々楽しみだ───!! おっと!」

 

「タネッ!」

 

「ザキッ!」

 

「バンデェエエエジロォオオオオル、デンジャラァアアアアアス!!! 色ボケパスタにもう一回♪ 」

 

「ザラさん、ポーラさん!? それに今の謎の断末魔は何!?」

 

「バットは大好物だよ! 指揮官、のね?」

 

「サンフランシスコのバット、血痕とウォッカの臭いがするんだけど……」

 

「うぇ!? マジクサー!! プリンちゃんしゃぶってー!」

 

「それこそ煙立っちゃう発言なんだけど!?」

 

「何!? サンフランシスコ、君は両性器具所有者なのか!? ちょっと見せてくれないか!?」

 

「リットリオさん掛かりすぎだよ!?」

 

──────

 

───

 

 

 

 

 

 

 

「──────それでは、アレはただの噂という事でして?」

 

「うん、手を出してないよ。ヴェネトさん」

 

「ふむ、それはざんね───指揮官の立場としては正解だな」

 

「今、本音漏れなかった?」

 

「漏れたのは、あいえ───コホン。粘膜の濃厚接触禁止と黙食、黙フェ○チオだったな」

 

「少しは隠して!? あとは手洗いうがいの消毒だね」

 

「消毒をすれば接触は可能か?」

 

「それ本末転倒では?」

 

「ならばマスクを一つくれるかい?」

 

リットリオさんにマスク入りの箱を渡し、彼女はマスクを装着すると───。

 

 

 

 

 

「───!?」

 

「「「「は?」」」」

 

「───んっ。これならセーフだよな、指揮官? ははは! アディオス!」

 

「噂が本当になっちゃったわね、指揮官♪」

 

「あーあ、赤くなっちゃってカワイイ♪」

 

「指揮官さま、どうされ───「感染対策畏まったわ、指揮官。手洗いうがい徹底ね」「行きましょ、ヴェネト」「用が済んだら行くぞヴェネト。武器なんか捨ててこい!」武器? リットリオ、どういうことです? あなた顔が赤───ひゃっ!? どこ触ってるんですか!? ポーラも揉まないでください〜!」

 

サディアの総旗艦は仲間からのセクハラに揉みくちゃにされて連れて行かれてしまった。本当に総旗艦だよね?

 

「プリンちゃん? プリンちゃーん? バットの的になっておくかーい? おーい?」

 

「指揮官くん……」

 

二人の言葉が耳に入ってこないくらい呆然としていた僕だった。

 

先ほど接触したマスク越しの唇付近に──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

───

 

「ホントにザラって恋愛よわよわよね〜」

 

「よ、よ、よわよわなんかじゃないわよ! 心臓バクバクで何も一線越えられなかっただけよ! ポーラだって、余裕1/3の恋愛クソザコムーブしてたわよ!」

 

「わ、わ、私はクソザコなんかじゃないし? 指揮官くらい恋愛つよつよですけどー!? 決して好きの感情が3/1になっちゃって指揮官の前だと立っていられる自信がない訳じゃないしあとの2/3はオトナの恋愛感情ですが何かー?」

 

「……」

 

「……」

 

「……不毛な会話はやめましょう。決着が見えないわ」 

 

「そうね……ごめんなさい。さすがキュート界の自称クールよね、ザラは」

 

「ポーラも、萌えキャラ7兆点、優勝よ。ふふっ」

 

「まさかリットリオが大きく一歩踏み出すのは予想外だったわ」

 

「そうね。恋愛つよつよムーブなだけかと思ったけど、あんなに肝が据わってるなんてね」

 

「リットリオ【も】指揮官大好きだものね」

 

「多分、サディアの中で一番好き好きアピールが激しいと思うわ」

 

「あと一歩踏み出せればね……」

 

「私達も……」

 

 

 

「「はぁ……」」

 

 

 

───

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官くん、ちゃんと消毒した?」

 

「う、うん。ちゃんとアルコール消毒したよ」

 

「どこで感染するか分からないんだから予防できる所はちゃんとしなきゃね!」

 

サディア陣営を出た以降、フォッシュさんが過剰なくらい僕を心配してくる。心配してくれるのはありがたいんだけど、僕の手はアルコールまみれなんですが。

 

「うへぇ! プリンちゃん、アルコールくさっ! アルコールランプかよっ!」

 

「火は近づけちゃダメだよ!?」

 

「もう、指揮官くんは目を離すとすぐにトラブルに巻き込まれるんだから」

 

日常的にトラブルが起きてる母港が心配だよ、僕は。

 

「さあ、ロイヤル寮に着くんだから予防はしっかりとね!」

 

「ロイヤル陣営を何だと思ってるの!?」

 

「ほほー! ここが噂の───」

 

 

 

 

「「───ふざけた格好のKAN-SENがいる所か」」

 

 

 

 

サンフランシスコさんとフォッシュさんは口を揃えて、ロイヤル寮に感心している。ロイヤル陣営かぁ……一割くらいはマトモな子がいるよね、いるよね?

 

 

 

 

「ようこそおいで下さいました、ご主人様、サンフランシスコ様、フォッシュ様」

 

「「「「「「ようこそ、ロイヤル寮へ」」」」」」

 

ベルファストさんを筆頭に、扇形に並ぶメイド隊の派手なお出迎えを受けた……ん? 

 

「シリアスさんだけ競泳水着なのは感染対策なの?」

 

「ええ……」

 

「草wwwww」

 

「「「「……シリアス」」」」

 

僕の素朴な疑問に対して、フォッシュさんは若干引いてて、サンフランシスコさんは箸では無くバットが転がるくらい笑ってるし、メイド隊に至っては怒りを通り越して皆んな、眉間を抑えている。

 

「ダイドーもあんなドジをすればご主人様に構って貰える……? シリアスは卑しか女杯……!」

 

「ダイドーちゃんはそのままで良いのよ」

 

「……はっ! シリアスはまたドジをしてしまったのですか!? この卑しいメイドに罰を下さいませ! ベロチュー、氷移し、『人気のいない所に連れてって、ご主人様のパンパンに膨れ上がったソレをシリアスの蜜壺へ───』ひゃっ!?」

 

「シリアス……ムラムラしてくるので───コホン。続きは後にして着替えて来なさい」

 

ベルファストさんはシリアスさんの音読を遮り、着替えを促した。顔の血管がブチ切れそうに、そして自分の股を抑えながら。

 

「シリアスっていつもあんな感じなのー?」

 

サンフランシスコさんは近くにいるカーリューさん、キュラソーさんに聞いた。

 

「いいえ。たまにやらかしますが、普段はあそこまではしませんよ」

 

「やらかすんだ……」

 

「どうしてだと思いますか、ご主人様?」

 

「えっと……あっ」

 

キュラソーさんのナゾナゾに頭を悩ませていると、一つの解答が浮かんできた。

 

 

 

 

 

 

 

「僕って暗殺の対象になってる……?」

 

 

 

 

 

 

「「「「……は?」」」」

 

あれ? なんだか矛先が僕に向かってる気がするぞ? 

 

「……ええ、ご主人様は狙われています」

 

「ベルファストさん?」

 

「いくら母港の皆様がご主人様にご好意を寄せているからといえ、それだけが全てと言えるのでしょうか?」

 

ベルファストさんは真剣な面向きで僕に問う。ベルファストさんの言葉には一理どころか、それ以外にも感情があるのが普通であると思う。時代劇やお侍のゲームも敵のお代官に、女の人が色仕掛けで懐に潜るシーンはよく見るもんね。

 

「そう……だよね。僕は少し浮かれていたのかもしれない」

 

割とシュンとするくらいには、僕に刺さる言葉として充分であった。

 

「ねえ、ハーマイオニー」

 

「どうしました、カリブディス?」

 

「この茶番いつまで───むぐっ」

 

「ここは沈黙が正解よ。ほら、メイド長が発情中です」

 

「発情中なのwwww種付け式かよwwwwぷはは!」

 

このシリアスな空気をぶっ壊せるのは、さすがサンフランシスコさんだと素直に感動した。「呼びましたか、誇らしきご主人様!?」 頭の中で勝手に声が!?

 

「───ですのでご主人様には、私ベルファストから女性の接し方をお教え致します。実技で、ですよ?」

 

「うん……うん? なんだって?」

 

さっきまでモテモテだからって浮かれるな、って話じゃなかったけ!? アカン、ベルファストさんが初対面当時の掛かり気味だ! このままじゃ喰われる! 色んな意味で。

 

 

 

 

「女性への接し方の指導は私の役目ですが。ベル?」

 

 

 

 

「……グロスター様」

 

凛とした声の方を向くと、紫の髪色のメイド───グロスターさんがホウキとうねうねと動くディ○ドを持っている。ん? ディ○ド……? メイド業務に使うンダナー(現実逃避)。

 

「……指揮官くん、ぼくはこの人達に指揮官くんの事が任せられそうにないよ」

 

「奇遇だね、フォッシュさん。でも僕は着任当時から不安だよ」

 

「あの秘書艦……ダイドーもボーイッシュかつ秘書艦になればご主人様と夜遊びができる……!?」

 

「秘書艦を何だと思ってるの、ダイドーちゃん?」

 

「ご主人様はここに油を売りに来たのではないでしょう? さっさと義務を果たしなさい」

 

「うん、皆んな。例の感染対策の件なんだけど──────」

 

 

 

 

 

 

「先ほどは失礼致しました、ご主人様。私達メイド隊も感染対策に積極的に取り組んで参ります」

 

ようやくマスクを配り終えて一仕事が終わった気がしてきた。人数が多いのもそうだけど、メイド隊の子たちがやたら、ボディタッチや『今夜、待ってます♡』と合鍵を渡してくるので、ベルファストさんやサンフランシスコさんが引っぺがす作業で時間がかかった。

 

「あ、あのぅご主人様ぁ……一つ質問があります」

 

「大丈夫だよ、ダイドーさん。どうしたの?」

 

おずおずと手を挙げてダイドーさんは質問をした。

 

 

 

 

 

「『濃厚接触禁止』とはご主人様からのハグや『お触り』も禁止になるのでしょうか……!?」

 

 

 

 

 

 

ここの母港はいつから風俗と化したのだろうか。どのお店でも手を出すのは手錠モノだよ!? ダイドーさんはふざけていなく、周りの子たちも真剣に耳を傾けている。誰ひとりツッコミがいない恐怖。

 

「そもそも僕たち指揮官はKAN-SENの子たちにセクハラしないよ!?」

 

「してくれないんですか!?」

 

「何でソコ驚くの!? むしろホッとする所でしょ!?」

 

「今日のだ、ダイドーの下着の色は黒です!」

 

「別に申告しなくていいんだけど!?」

 

「うぉーい! プリンちゃんの下半身がホットに───」

 

「言わせないよ!?」

 

「ご主人様。今週、ベルファストは『危険の日』でございます。お覚悟を決めて下さいませ」

 

「僕が一番ホッとできないんだけど!? 助けて、フォッシュさーん!」

 

「ごめんね、指揮官くん……ぼくも『危険の日』なんだ……」

 

「えっ……まさかご主人様?」

 

「違う違う、そうじゃない!? 僕たちそんな爛れた関係じゃないからね!?」

 

「ぐぬぬ……ご主人様に触って貰えるように、布の面積を減らします!」

 

「更に減るの!? モラル大丈夫!?」

 

「元々露出が多い方だと思ってたのですね……」

 

「プリンちゃん面白すぎて草wwww」

 

 

 

 

 

 

「何を騒いでいるんだ、指揮官?」

 

 

 

 

 

「あっ、ウェールズさん……」

 

メイド隊へのツッコミラッシュで疲弊した所に現れたのは、プリンス・オブ・ウェールズさん。

 

「マスク配りが随分と難航しているようだけど? メイド隊はそんなに気に入った?」

 

僕の仕事の遅さを皮肉混じりに言われる。僕がメイド隊に油を売っていると思われているようだ。

 

「あの、ウェールズさん? 僕に着任早々、ナンパする度量はないよ!?」

 

「可愛いお嬢さんを二人も侍らせて、さぞご満悦でしょうね?」

 

「プリンちゃんのこと、可愛いお嬢さんだって!」

 

「僕!? フォッシュさんとサンフランシスコさんの事でしょ!?」

 

「……ぼく、指揮官くんなら……良いよ?」

 

「なにがなの!?」

 

「それは……ナニさ」

 

「──────フンッ!」

 

「「!?」」

 

突然の轟音の方向を見るとウェールズさんの艤装から発射された、戦艦の砲撃がロイヤル寮の壁を貫いていた。見通しは良くなったが、より一層状況は悪化していった。

 

「私の妹にツバ付けといて、私自身に手を出さないのはどういうこと?」

 

「修羅場で草wwwww」

 

こっちからすれば、ウェールズさんの言い分に対してどういうことなの状態なんだけど……サディアでも聞いたけど、何故か誤解を受けているらしいし。今日会ったのって、ハウさんとセントルイス姉妹、リシュリューさんだけなハズなんだよね。

 

「ハウ様に先を越されましたか……やはり清楚は頂点なのでしょうか……」

 

ベルファストさんは絶望感を瞳に宿して爪をガジガジと噛んでいる。

 

 

 

 

 

「ウェールズ! なんか凄い音がしたけど───あっ、指揮官!」

 

 

 

 

「ハウさん! ちょうど聞きたかった事が───」

 

「奇遇だな、指揮官。私達もだよ」

 

「アドーニスを虜にするなんて、なんと恐ろしい妹であろう……」

 

「もしも疾しい事がないのなら、ちゃんと答えられるよね?」

 

キングジョージ5世級が揃いにも揃い、僕への弾劾裁判が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

───

 

「例え、絶倫で色を好む方でもシリアスは忠に従います。誇らしきご主人様!」

 

「それは欲に従ってませんか……?」

 

「アドーニスの情熱を私に向けてくれるなら、何も言わないわ……ふふふ」

 

「うまい! うまい! 裁判中に食べるスナックは美味い!」

 

「ジョージの無限列車編、ヤバいわよ☆」

 

「ご、ご主人様がんばれー!」

 

「プリンちゃーん! 面白い展開待ってるぜー!」

 

「例え◯刑になっても、ぼくもすぐ追いかけるから! 安心して良いよ!」

 

ロイヤル寮のサロンで模擬裁判を開き、被告人となった僕は手錠の代わりにグロスターさん手製の頑丈な首輪を付ける事になった。その首輪を繋ぐ鎖はグロスターさんが犬の散歩のようにしっかりと握られている。裁判長兼検察官役のウェールズさんは検察官の制服のコスプレまでしており、相当気合が入っている。ひょっとして楽しんでない?

 

「静粛に! ───って私の味方誰もいないんだけど!? 何でジョージ達も傍聴席にいるのよ!?」

 

そういえばと思い、傍聴席を見るとさも、当然かのように傍聴席に座り、お菓子やクッキー、ワインを飲んでいる。

 

「そっちにいるより、こっちの方が本音が聞きやすいだろう?」

 

「こっちだと指揮官の顔を眺められるからよ! 指揮官ー! 首輪似合ってるわよー!」

 

「貴様の普段の行いではないだろうか。それよりアドーニスの奴隷姿が私を狂わせる……このまま私のものにしてやろう♡」

 

ここまでベクトルの向きが違う姉妹を初めて見たような気がする。ウェールズさんはお仕事良く出来るし、普段から助けられているけど、どんな行いしてるのだろうか。

 

「何!? それでもハウはこっちよ! 重要参考人として必要なんだから!」

 

ハウさんは『はーい』と柵を乗り越えて、僕の対面となるところに座った。

 

「──────こほん。指揮官、分かっているとは思うけど正直に答えて。あなたの名誉が掛かっているんだから」

 

「も、もちろんだよ。僕ですら状況を飲み込めてないんだけども……」

 

「指揮官。今日、貴方に深く接触した人物はハウ、セントルイス、ホノルル───この三人で間違いない?」

 

「そうだね。その子達以外には挨拶したくらいの程度だよ」

 

やたらとハウさんがこちらに目を合わせている事以外は普通に進められている。何だろうか?

 

「……本題に入ろう。ハウから聞いたんだが、◯ックスしたのは本当か?」

 

「「ええ!?」」

 

「いやいや、してないよ! てかなんでハウさんまで驚いてるの!?」

 

「私も初耳よ! まぁでも、指揮官ならデートを口実に───「ハウ?」何でもないわ」

 

「抜け出し失敗か。ウェールズが相手なら仕方あるまい」

 

「くくく、私達姉妹ならそうでなくては」

 

姉妹二人が揉めているのを笑って見れているこの二人は一周回って、キングジョージ5世級って仲良いのでは? 僕は訝しんだ。

 

 

 

 

「え? どういうこと?」 「なんか聞いていたのと違う……」 「誇らしきご主人様と夜の───」 「シリアスは卑しいです……」

 

 

 

 

「静粛に!」

 

傍聴席がザワつくのも無理はないだろう。なんせテーマの根底が崩れたのだから。この裁判、勝てる!

 

「指揮官、何があったか説明してくれる?」

 

「うん。実は───」

 

 

 

「───なに? ハウにクッキーを食べさせただけ?」

 

「何でそんな噂になったのかは謎だけど、ハウさんの手作りクッキーを食べさせ合いしただけなんだ」

 

「ふむ。ハウの説明不足といったところか。てっきり指揮官は豪胆な者だと」

 

「クッキーの食べさせ合いは羨ましいが、とんだ誤解であろう……」

 

「そうか……指揮官、疑ってごめんなさい」

 

ウェールズさんは深々と頭を下げる。僕自身、怒っている訳ではないので宥めた。

 

ん? ハウさんがこちらにアイコンタクトを送っている。僕がそちらに意識を向けると、ハウさんは小さくジェスチャーを送っていた。解読してみると……

 

『下を見て』

 

何の事だろうと、ハウさんの顔から視線を落とすと──────っ!!!!!

 

「指揮官はシロだった訳ね……」

 

ハウさんは僕の正面に座っており、ミニスカートを履いている。そんな彼女が少しでも足を開くと、『見えてしまう』訳で……。

 

「く、『黒』……かな?」

 

「は?」

 

デニールの濃いタイツなため、中の色までは判別しづらい……って何を鑑定しているんだ僕は!? 

 

「やはりあなた達……」

 

「ち、ちがう違う! 『白』だよ! きっとそうだよ!」

 

再び目の色が変わったウェールズさんの後ろで、ハウさんはイタズラな笑みで僕を見てくる。謀ったな!?

 

「あら? タイツが伝線しちゃってるわ。脱がないと───」

 

声は普段通りおっとりしているのに、からかいの目線を向けながらタイツを脱ぐ。

 

「ご、ご主人様の目が血走っています……?」

 

「あれこそご主人様がシリアスに向けるべき視線です! ああ、こんな妄想をする卑しいメイドに罰を、バツをぉぉ!」

 

「指揮官の獣の目線はああなのか。是非とも私に向けてもらいたいものだ、ははは!」

 

「もう一度聞くわ。貴方はシロなの、クロなの、どっちなの!」

 

「ぼ、僕はもちろん───」

 

 

 

 

 

 

彼女が脱いだタイツの先には──────二つの太ももに挟まれた、上品な『青』が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

「指揮官、ふざけてると良い加減に───!」

 

「ちなみに、今日のウェールズは『紫のレース柄』よ!」

 

「ちなみにとは何よ!? 橋本か!? 私の下着事情をバラさないで───ん……? もしや……」

 

「ハウさんのは不可抗力だ! あっ───」

 

「ふぅん……───指揮官、歯を食いしばって」

 

 

 

 

 

 

 

ロイヤル裁判所に、乾いた音が僕の頬から鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

───

 

──────

 

 

「指揮官くん、大丈夫?」

 

「うん……誤解は解けた、のかな?」

 

「ぼくもスカート履いた方が良い?」

 

「セクハラを強要するつもりないよ!?」

 

「まだ誤解は解けてないぜー、プリンちゃん!」

 

「え?」

 

「ユニオンと鉄血、そして重桜で、指揮官の『大◯交スマッシュハ◯撮り』の噂が持ちきりだぜー!」

 

「d◯siteでありそうなタイトルは何!?」

 

「よりによって重桜もか……指揮官くん、重桜はぼくら二人に任せてくれないかな?」

 

「……それは危ないよ」

 

「指揮官くんに重桜寮は危険すぎるんだ。貞操が奪われればマシな方だよ」

 

「それでマシなら、僕はどうなっちゃうの!?」

 

「『バラバラにされる』か『お仕置きを食らう』、『骨抜きになるまでお世話される』、『オサナナジミにされる』……まだまたありそうだ」

 

「重桜だけ異常に治安悪くないかな!? ますます僕が行かないといけない気がするんだけど!?」

 

「プリンちゃんを失うなんてもったいないじゃーん? アタシ達がいるから安心していいんだぜ☆」

 

「僕が死ぬ前提なのやめて! ……まぁ、そこまで言うなら重桜は二人に任せるよ。僕も後から追いかけるから!」

 

「周る順番はどうしようか?」

 

「アタシはどこからでもいーよ。最初に重桜でも良いけど、ははは!」

 

重桜は二人に任せるから、僕は『ユニオン』か『鉄血』のどちらを先に回ろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

分岐ルート発生です!

 

どちらかを先に選ぶと良いことがあります!(選ばれなかった方はIFルートとして後日書こうかなと思ってます)

 

 

 

 

 

・ユニオンは戦力が高い子が多く、頼もしい戦力となりますが、人数が多いのでマスクを配り終えるのに時間がかかります。

 

 

 

 

・鉄血は少人数であるのでマクスを配り終える時間は早いですが、どうやら鉄血寮でお酒パーティが開かれているので、若干他陣営の子がいたり、絡みグセのある子達に絡まれます。

 

 

 

 

紛らわしい言い方になってしまいましたが、選択『風』のルートで、どちらに進むかは既に決めてあります。どちらに進むか予想したり、楽しみにお待ちください。

 

 

 

 

ウチの母港は清楚、清純、規律正しい風紀なのでどちらに進んでもBADにはならないのでご安心ください。

 

 

 

 

 

 

「んでプリンちゃん、どっちから行くの?」

 

「そうだね、僕は──────」

 

 

 

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