U-20戦前夜(単行本13巻の巻末らへん)、男どもが風呂場でわちゃわちゃするだけ。
※pixivにも投稿してます。

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男衆、風呂場、ナニも起こらぬハズもなく…

U-20日本代表戦、前夜。発端は大浴場に響き渡った、蜂楽廻のその言葉だった。

 

「うわっ、凪のデッカ……」

 

思わず出たその言葉に、隣でまったり湯船に浸かっていた潔世一がブッと吹き出した。

 

「げほっゴホッ……蜂楽、急にナニを……」

 

「いやだって見てよ潔。ほら、俺と比べるとちょーデケー」

 

『一番楽におフロに入る方法』で浮かぶ凪のソレと自分のソレを突き合わせて無邪気に喜ぶ蜂楽。「たしかにデケェけど……」と呆れる潔に、ボーッと漂っていた凪誠士郎の意識が浮上してきた。

 

「……ん?何の話?」

 

騒ぐ蜂楽と潔の声に、うたた寝していた彼の目が覚めたようだ。「風呂でうたた寝すんなよ。アブねーぞ」と潔の注意に「ん、善処」と適当な返事を返す凪。

 

「お前のサイズがデケェって話だよ」

 

湯船の段差に腰掛け半身浴をしていた御影玲王が、凪の疑問に答えた。「何のサイズ?」と再びの質問に「ソレ」と指で指し示す玲王。

そんな彼にも蜂楽の興味が向いた。

 

「おー、玲王も割とデッカいね。俺と1センチ差くらいある?」

 

「ばーか、お前らが小さいんだよ。こういうのは大体身長に比例するだろ」

 

確かに、潔・蜂楽に比べ玲王・凪の方が諸々デカい。凪に至っては190cmというバケモノ身長(フィジカル)だ、その下半身も相応のサイズで然るべきである。

しかし当の本人はどうでもよさそうに述べる。

 

「まぁ、別にデカけりゃいいってモンでもないでしょ。というかココの大きさなんて、なんか役に立つ?」

 

「え?そりゃイロイロあるだろ。……多分」

 

特に答えの出なかった潔に、何故かフッと勝ち誇った顔をした玲王が立ち上がった。

 

「お前ら、凪のスゴさを改めて思い知れ」

 

玲王はおもむろに、揺蕩う凪のソレの首部分と先端をガッと掴んだ。そしてグリグリと動かす。

 

「え!?うわっ、ウソだろ!?可動域エグっ!?」

 

「すげー!めっちゃグリングリン動くじゃん!キモー♪」

 

縦横無尽すぎる動きを見せる凪の(かなめ)に、思わず潔はドン引きし蜂楽は純粋な誹謗を口走る。

しかし凪こそ「え」と意外そうに言った。

 

「皆はこんな風に動かせないの?」

 

ぐわんぐわん自ら動かし始めたソレに「ムリムリムリ」と潔・蜂楽が首を横に振る。玲王だけは少し逡巡した後「ま、普通はムリだわな」と笑った。

 

「オイ、クサオ……!」

 

その時、ワナワナ震える聞き慣れた声が浴場に響いた。潔が振り向けば、そこには予想通り馬狼照英の姿が。

 

「公共の風呂場で顔まで浸かるんじゃねぇって何度も言ってるだろが!唾が入る!」

 

「うるさいなー。そっちこそ喚いた唾が飛んでんじゃん」

 

潔癖の癖がある馬狼に凪の反論が刺さる。だが王様(キング)は問答無用、巨体生物凪をムリヤリ吊り上げた。

その様子を尻目に、蜂楽が馬狼のサイズもチェックする。

 

「キングはー……デッカいけど、俺の想定(イメージ)内だから特に意外性はないでござんす」

 

「はは……まぁあの体格と性格で小さかったらそれこそ意外だよな」

 

蜂楽の呟きに潔は小さく笑う。実際、馬狼のアレは血管が浮き出て根元が太く、それこそ野性味溢れる逸品である。だが、ぶっちゃけ生で見なくても全然想像(イメージ)できる出で立ちだった。凪のギャップには敵わない。

 

「ギャップといえば、やっぱ千切んだよねー。どんだけヤッたらそんな太くゴツくなんの?」

 

ひとり静かにお湯に浸かっていた千切豹馬は、蜂楽の問いに自分のソレを撫でた。

 

「そりゃ、毎度全力で出し切る覚悟があるからじゃね?気付いたら力んでなくても膨らんでるようになってた」

 

「さすがは生粋のパンサー」と謎の褒め言葉で千切のソコを触りまくる蜂楽。「ベタベタ触んな」と千切は立ち上がり、そのままシャワーの方へ去っていった。

 

「お嬢はツれないにゃー」

 

「そりゃ、あんまし無遠慮に触るのはどうかと思うぞ蜂楽」

 

「そうだぜ蜂楽。お前さっきからうるさ過ぎだ」

 

呆れる潔の隣から雷市陣吾もウンザリした様子で話に入ってきた。暴れる蜂楽にイライラしていた彼はいつ爆発してもおかしくなかったが、明日のU20戦を控えた今の状況ではツッコむ気力が中々沸かなかったようだ。

だがその横から我牙丸吟のフォローが入る。

 

「ま、元気なのはいいんじゃない?それだけいつも通りってことじゃん」

 

大舞台を前にいつも通り(ニュートラル)で居れるのは一種の才能だ。そういう我牙丸本人も特に気負いした様子はなく、ふと雷市が問いかけた。

 

「つーかお前こそキーパーでいいのかよ?ストライカーとしての活躍はミリも期待できねぇポジションじゃねぇか」

 

GK(ゴールキーパー)という不慣れなポジションに割り振られた我牙丸。FW(フォワード)としての活躍はほぼ無に等しい彼は、憂うでも嘆くでもなく通常運転で語った。

 

「しょうがない、適正って言われたんだし。それにスタメンで出れるし」

 

「うぐっ」と逆にダメージが入った雷市。彼は11傑(レギュラー)に選ばれなかった事にだいぶ辟易していたらしい、そのまま湯船の中へ撃沈していった。

 

「雷市ー、ダメだよ沈んじゃ。キングに叱られるよー。……意外と小さいよね、雷市って」

 

「だァクソ!ほっとけ!」

 

傷心の雷市への気遣いか天然か、おそらく後者だろうが蜂楽の再びの言葉に雷市が勢いよく立ち上がる。「覚えとけよ!いつか俺のセクシーフットボールに感謝する時が来るからな!」と叫び風呂から上がっていった。

 

「いやいや、もうケッコー感謝してるんだけどなー」

 

「ああ。アイツが居なかったら1次選考(セレクション)は突破出来なかっただろうし」

 

潔の脳裏に思い返されるは凪・玲王・斬鉄のチームV戦。

あの時雷市が玲王に徹底追尾守備(マンツーマンマーク)についてくれたからこそ勝てたのだ。彼の実力を侮る元チームZなど居ようハズもない。

 

「だなー。俺は2次選考(セレクション)でもずっと組んでたけど、やっぱ頼りになるよ雷市は」

 

賛同する我牙丸ともども、しみじみと雷市への感謝の念を送っていると、「南無阿弥陀仏(なんまいだあ)」とどこからかやかましい声が響いてきた。

 

「オイオイ、雷市だけじゃねぇだろ?俺だって頼りになるだろうが!」

 

「あ、イガグリ」

 

雷市曰く、ミラクルクソ坊主こと五十嵐栗夢が仁王立ちで話に入ってきた。だが彼の活躍をと聞かれれば、正直困るところだった。

 

「あー……凪のシュート顔面ブロックとか?」

 

「だろ?アレヤバかったよな!な!?……他には?」

 

欲しがるイガグリだが、ぶっちゃけ1次選考(セレクション)以降は士道龍聖と組んでたこと以外、特に思い当たる節がない。潔と我牙丸は早々に口を噤んだ。

 

「まあ『運』だけじゃ“ 青い監獄(ここ)”で生き残れないからね。俺たちが知らないだけで、イガグリも進化してるんでしょ」

 

「ば、蜂楽ぁ……!」

 

「俺たちの中で1番ちっちゃいけどね♪」

 

「蜂楽ァ!!」

 

上げて落とされ、情緒の忙しいイガグリに飽きた蜂楽は次なる標的をロックオンしたようだ。湯船の縁に両腕を組んで体を預けると、シャワーゾーンで入念に体を洗っていた糸師凛に話を仕掛けた。

 

「やっほー凛ちゃん♪ソコ、めちゃくちゃキレイに洗ってるね」

 

「あ?さっきからうるせぇぞオカッパ」

 

無愛想な彼に気安く話しかけるのは蜂楽と蟻生十兵衛くらいのものだ。しかし凛は聞かれた事は(文句が先行するが)ちゃんと返答はするので、意外と素直である事を周囲はそれとなく分かっていた。

 

「ケアのひとつだ。邪魔すんならそのまま湯船に沈んで消えろ」

 

「えー、話しかけただけで邪魔してないじゃーん」

 

相変らず塩過ぎる対応だが、そんな事ではメげない蜂楽の言葉がブンブン飛び回る。凛はイラッとした様子で蜂楽を無視、ケアを続けた。

 

「その対応、オシャくないな。凛」

 

その隣から件の蟻生が顔を覗かせた。彼は丁寧に髪の手入れをしていたようで、泡を流し水を滴らせ、髪をブァサッ✨と掻き上げ恒例の(オシャ)ポーズを取った。

 

「しかしソコの曲線美はオシャだ。負けてられん。蜂楽廻、俺のオシャ度もジャッジしろ」

 

グ……グググ……!と天に向かって伸ばされたソレは照明の逆光を受け、さながら後光が差したようだ。蜂楽は「おー、オシャ迦様」と感嘆の声を上げて見上げる。

凛は「チッ」と舌打ちした。

 

「くだらねぇ事で盛り上がりやがって。テメェら、そんな調子で明日の戦場(ピッチ)に上がったら殺すからな」

 

明日の試合に並々ならぬ想いがある凛は、そう毒を吐くとさっさと出て行ってしまった。

 

「うーん、恐いくらい気合入ってるねー凛ちゃん」

 

「ああ、糸師冴……兄貴となんか確執があるっぽい」

 

思わず神妙な面持ちになってしまった一同だが、そこに凛と入れ替わりで時光青志がアタフタ入ってきた。

 

「ひぇっ!?なにぃ?凛くんがすごい形相で出ていったんだけど……」

 

「お、おう……まぁいつもの事だろ」

 

潔がビクッとなる。

いつもオドオドしていて頼りない時光だが、この入浴時ばかりは誰もが彼に畏怖を抱く。

絵のタッチが違う。

そう言うしかないほど体つきが違う。ボディビルダーとまではいかないが、この“青い監獄”で間違いなく筋肉量No.1は彼だろう。

 

「……短く太く、か。お前は尽く俺と正反対のモノを持っているな」

 

蟻生が自分のと見比べてそう呟く。「そ、そうだよね。俺はノットオシャだよね」と卑屈の時光だが、それをオシャポーズが換気する。

 

「何、そう卑屈になるな。オシャとは人それぞれ。お前にはお前にしか出せないオシャがある」

 

「そ、そうかなぁ」とどこまでも卑屈な時光だが、そこへ関西弁が響いた。

 

「なんやお前ら。エラい長くフロ入ってんな」

 

「ちゅーす。なんかNo.1(糸師凛) がすげーフキゲンだったけど」

 

烏旅人、乙夜影汰のおなじみコンビが入ってきた。そんな彼らにも蜂楽が反応(レスポンス)する。

 

「2人はなんか、独特だねー。烏はカタそうで乙夜はナメらかな感じ?」

 

「あ?何の話や?」「コレの話?」と蜂楽の視線を辿り、乙夜がソレを持ち上げる。烏がため息をついた。

 

「ったく、あんまジロジロ見るモンやないで。そら凛も機嫌悪くするわ」

「えー?凛ちゃんがそんなタマかな?」「アホが、そーゆー問題やない。お前のデリカシーがないだけや」と至極真っ当な意見を言う烏。さすがはこの“青い監獄”でボランチを任される人間、常識が伴っている。

 

「そっかー、……じゃあ頭の中で思うだけにするね。っうわユッキーのデッカ」

 

「オイ」と全員の脳内ツッコミが入ったが、当の雪宮剣優はドヤ顔で「まあね」と受け入れた。さすがは元モデル、視られる事に抵抗がない。

 

「といっても蜂楽くん、烏くんの言うことは尤もだよ。見られて評価されて気分が良くなる人はそう居ないだろうからね」

 

自らを稀有な事例と認めつつ、当たり障りのない注意喚起をする雪宮。これには蜂楽も「あーい」とようやく大人しくなった。

 

「なんや、蜂楽くんまた何かやらかしてもーたん?」

 

「ダメじゃないですかー潔さん。相棒さんの手綱握ってないと」

 

「あ、氷織、七星。……って、それ俺の仕事かよ」

 

現れた氷織羊と七星虹郎の言葉に潔がツっこみ、「そうやで潔くん、君の大事な仕事や」と氷織がさらにノってきた。潔は隣の公認相棒を見やると、「にゃはは、氷織んのおスミツキー」と屈託なく笑っていた。

 

「で、何の話してたん?」

 

「ああ、凪のココのサイズを急に(Q)蜂楽が(B)気にし始めて(K)な」

 

そう言って潔が指し示したのは、足。足のサイズだ。

氷織はチラと凪を見ると合点がいったように笑った。

 

「ふふ、たしかに凪くんはデカいやろなぁ。でも僕のも結構デカいんやで。比べてみよか」

 

馬狼により湯船から引っ張りだされボーッとしていた凪に氷織が近付くと、その先っぽ同士を突き合わせた。凪の方がデカいが、しかし氷織のサイズもそれに迫るサイズである。

 

「うおー、凪さんのも半端ないけど、氷織さんのもデカいっぺ」

 

「へー、やっぱサッカーしてると発達するんだね」

 

凪が関心したように氷織と裏のスジを触れさせ合う。ぐにゃぐにゃ動く凪の足関節に「もう、くすぐったいからあんま動かんといてや」と氷織が見悶えた。

 

「アカンっ、見るヤツによっちゃごっつ事案やで、コイツは」

 

烏が戦慄し、近くにいた七星の目を思わず隠しした。「え?え??」と七星は戸惑うばかりである。

 

「はぁ……なんだかんだ身体(フィジカル)あるのはいいよなぁ。ないものねだりってのは分かってるんだけど、やっぱ凪の身長は羨ましいよ」

 

不意に潔がため息をついた。

潔自身、特別身長が低いワケではないが高くもない『凡』だ。持たざる者にとってはどうしても恨めしい話である。ふざけ合う彼らを見て、改めてそれを思い知った。

だがその言葉に馬狼が反応した。

 

「バカが。潔はそのままの方が強ぇだろうが」

 

「は?どういうことだよ馬狼」

 

身体(フィジカル)があるに越したことはない。それは絶対のハズであるのに、持ってる側の人間に否定されて困惑する潔に馬狼は続けた。

 

「ソレがねぇからこそ脳ミソ使って喰って来たんだろ?テメェの武器を自分で堕とすな、ヘタクソ」

 

仮に潔がデカかった場合、潔VS馬狼の戦いは直撃蹴弾(ダイレクトシュート)突進力(パワーチャージ)によるバチバチのゴール前近距離肉弾戦(インファイトデュエル)が観れた事だろう。

しかしそこに“空間把握”や“ 動き出し(オフザボール)”などによる『工夫』は生まれない。潔世一の最大の武器である脳ミソが使われる機会はなかったと馬狼は言いたいのだ。

彼の言葉に蜂楽も賛同する。

「いいこと言うじゃん馬狼♪てゆーか潔に身長あったらそれこそ凛ちゃんじゃん。同じかいぶつ(エゴイスト)2人も要らんし、それに凛ちゃんに劣ってこその潔だしね♪」

 

「オイそれ褒めてんのか!?」と潔の叫びに「褒めてる褒めてる」とどこ吹く風の相棒。

釈然としない潔だったが、まさかの馬狼からの評価(フォロー)に思わず上目遣いで礼を言った。

 

「俺の事、よく視てんだな。フォローしてくれてサンキュ」

 

「フォローなんざしてねぇ。テメェを喰うための観察だ。せいぜい跳ね回って動けよ、ヘタクソ」

 

最後はいつもの罵倒になってしまったが、それでも潔は嬉しくてつい笑ってしまった。馬狼が「なに笑ってやがる」とピキる。

ヘッドロックをキメられる潔を他所に、烏が独りごちた。

 

「それ言うなら二子もやろ。アイツも脳ミソと眼の使い方が上手くて11傑(レギュラー)入りや。……そういや風呂場で見ぃへんけど、どっかに居るんか?」

 

烏の不意な質問に答えたのは、時光のネガを換気し続けていた蟻生だ。

 

「二子ボーイならとっくに寝てるぞ。俺たちが風呂に入る頃にはすでに布団に潜っていた」

 

彼のおでこを見られたくない執念は相当なもののようで、現に彼の入浴姿を見た者はこれまで皆無であった。持ち前の空間読解と眼を駆使した誰にも悟られぬその早業は、潔以上に持たざる者として究まっていた。

 

「そそそうだよォ!俺みたいな筋肉ダルマより、レギュラーに選ばれた潔くんや二子くんの方が全然スゴイよォ!」

 

「時光くんはその内向的思考(メンタル)が勿体ないですよねぇ」

 

「ホントそれな。なんでそんなんなったか話してみ」

 

肉体怪物(フィジカルモンスター)時光がネガネガ言い出し、雪宮と乙夜が関心を向ける。

彼がレギュラーに選ばれなかった理由はその情緒不安定さなのだろう、潔は納得したように頷いた。

 

「確かに、身体(フィジカル)で決まるなら時光と馬狼(お前ら)は確定だしな。……そういえば、糸師冴も凛より身長が低いんだよな。兄なのに」

 

明日の決戦に緊急招集された糸師冴、そんな彼の身体情報(プロフィール)を見て驚愕したのが記憶に新しい。潔とそう変わらない身体(フィジカル)で世界11傑の高みに座す男──そんな彼と戦えることは、“青い監獄”で生き残るためにも、世界一になるためにも大きな足がかりになると言えた。

 

「フン。下まつ毛No.1の兄か。どれほどのモンか見させてもらおうじゃねぇか」

 

「そーだねー。ま、馬狼はホントに観てるだけになるかもしれないけど♪」

 

「うっせ!テメェがヘマしたら速攻で変わってやる!」と叫び散らす馬狼。

何はともあれ、明日はいよいよU-20戦。結果がどうあれ“青い監獄”全員の運命が変わる日だ。

そんな大一番の前日で、彼らは緊張するでも黙るでもなく、いつも通りの夜を過ごしていた。

 

「いや若干フザケ過ぎやろ。支障をきたしたら笑い話にもならん、もう寝るで」

 

1ボランチの鶴の一声──もとい烏の一声に流石に全員が素直に頷いた。テンションが多少おかしくなっていたのは皆自覚していたらしい。

彼らも一介の男子高校生なのだ。イベント前夜の謎テンションはこうして幕を閉じた。

 


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