Fate/Saver The fate~アルトリアが好きな少年が起こす人理修復の旅~   作:空色 輝羅李

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第6話

私はここ最近、幼馴染である紅蓮について、驚いてばかりである。

 

いきなりカルデアという組織へ連れてこられ、かと思えば彼は魔術師なるもので、それでいてほとんど動じずに現状に順応した。

 

わたしにはいままで、ひた隠しにしていたことは、余り驚くことではない。

そもそもいつも隠し事ばかりするもんだから、そのたびに疑って、食って掛かった。

 

...しかし。魔術に関して、一切知ることは無かった。それほど「隠すべきこと」なのだろう。

 

他に驚くことは、彼の()()に対する知識の量だ。

相手をみただけで誰かを言い当てるように私は感じた。もしくは、手にしているものも。

 

知識があったとしても、それほどの芸当は、なかなかできないことだろう。

少なくとも()()()()()()があるのではないかと。頭によぎった。

 

まぁ、これは私の推測にすぎないし、こんなことをいつまで考えても仕方がないことだ。次のことを考えよう。

 

マリーちゃん(と私が呼んでいい相手ではないだろうけど、少なくともこの少女のような見た目なのだからそう呼ばせてもらいたい)は、遠くまで来たということと周りに敵影が見えないことから、もう大丈夫だといった。マシュは私をゆっくりとおろす。

...紅蓮に今度してもらおっかな。いくら紅蓮が筋肉のない男でも、魔術かなんかで強化?すれば持てるだろう。

 

「ねぇ紅蓮。今度私をお姫様抱っこして!」

「は?お前...軽そうだから帰ったらしてやるよ。」

 

いいのか...隣の騎士様がなんか怒ってるぞ...

 

しかし彼女は、嫉妬を変な方向で持っている。色恋沙汰に慣れていないのだろうか。なら、少しは優位に立てるのかな。

 

ホログラムのように映し出されるドクターロマンも、先ほど相対していた彼ないし彼女らの反応はないという。

そして、この近くに霊脈があるのだとも。

 

...今いるメンバーで十分すぎる気がする。

カルデアからマシュ、ジャンヌオルタ、アルトリアという英霊が。

この特異点で出会ったジャンヌ、マリー、モーツァルトという英霊が。

そして、紅蓮が呼んだらしい九人の魔女。

 

最後の九人が、規格外すぎて、もう何を聞いても驚けない気がする。今日だけは。

 

それをはぶいても、戦力としては相当である。なにせ紅蓮だけでも戦闘はできるんだし。

 

「立香ちゃん、誤解してはいけない。一般的な魔術師でも時計塔の魔術師でも、サーヴァントを相手に戦っても、勝てないんだから。」

 

と、これまたホログラム越しにダヴィンチちゃんがいう。

ということは最強の魔術師なのでは?

 

「馬鹿。俺が最強なら、ほかの魔術師は神だ。」

「紙の間違いじゃなくて?」

「レオナルド。あまりからかわないでくれ...」

 

ふむ。つまり紅蓮はかっこいい、と。

 

ジャンヌオルタが何か言いたげに、しかし口を開かずにそわそわしている。

 

...本人が言いたくないのであれば、それは聞き出そうとしても意味がないだろう。いうべき時には言ってくれるだろうし、それまでは待つことにする。

 

ひとまず私たちは、森の中にあるという霊脈へ向かう。

 

その道中で、マリーちゃんが、気を使ってくれたのか、話題を出す。

 

「皆さん、薔薇の花ことばを知っていて?」

 

花言葉。少女なら興味津々で調べることも一時はあっただろう。もしくは、ロマンチックな状況にあこがれる夢見がちな少女も。

 

真っ先に答えたのは意外にも、リアリストであろう彼なわけだが。

 

「もちろんだ。基本的な花言葉としては愛が用いられるが、色によっても本数によっても違うよな。」

 

と、少々長めの薔薇トークが始まる。

まさか紅蓮...そこにも知識の興味が行ったのか...

 

「まぁ、流石ね!聡明な貴方はきっとおモテになるでしょう!」

「いや?全く。」

 

嘘つき!ダウト!ユーアーギルティーだ!!!

 

だって、高校に入ってから約三か月。その間だけで何人から告白された!私を除いて。

36人だぞ!?それだけで一クラス作れるからね!?

 

「それならお前もだろう立香。同じ期間の間で、何人から告白されていた?」

「さぁ...数えてないな...」

 

だって告白されたことないんですけど?

そして気まずそうな顔を浮かべないで...悲しくなるから...

 

「...!マスター、下がってください。」

 

マシュが腕を伸ばし、私の動きをとめる。

 

前にいる生命体が何かはわからないが、おそらく危険なのだろう。私はマシュに迎撃するよう指示を出す。

 

「...魔獣か...いよいよ本当にフランスかどうかわからないな。グリトネア、頼めるか?」

「えぇ...お任せを...」

 

グリトネアと呼ばれた魔女は。何をするのだろうか。

おっと、私はマシュに注意を向けていなければと目線を戻す。

 

「立香。戦場を甘く見ないことです。いつ何がおきるかわからない。それが、戦場なのです。」

 

ごもっともである。ジャンヌオルタは、馬鹿にする様子もなく私に助言をくれた。

 

馬鹿にされながらだったとしても、その言葉は深く受け止めねばと思う。

私の判断が遅ければ、他人に迷惑をかけることになるだろう。それだけは嫌だ。

 

「...敵性体、反応の沈黙を確認しました。」

「おつかれさま、マシュ。」

 

周りからはもう、敵の影は見当たらない。ということなので、

 

「先輩、召喚サークルを確立します。」

「ん、頼んだ。」

「そっけないなあ紅蓮は。」

 

マシュは笑っているが...こいつのどこから愛想を見いだせたんだ...

 

ダヴィンチちゃんがちょっとした(しかし私には必要な)情報を教えてくれる。

英霊のクラスについて。

セイバー、ランサー、アーチャー、キャスター、アサシン、ライダー、バーサーカー。基本のクラスはこの七種類。例外はこの二人のジャンヌやマシュのおかげで認知している。全体的なステータスとしてはセイバーが、逆転的なステータスはバーサーカーが持っているらしい。

 

「なら、アルトリアは強いんだね!」

「当たり前だろアーサー王だぞ!!!」

 

そこまで必死に言わなくても...相変わらず紅蓮はその手の話が好きだな。

 

「なぁロマニ。これは本当に必要だろうか。魔力の供給は俺個人で完結しているんだろ?だったら...」

「それは確かに疑問だと思う。それでもね。可能な限り英霊の召喚はしておいたほうがいい。それなりに戦力がある、じゃなく、ちゃんとした戦力がある。ほら、後者の方が安心だろう?」

 

言われて、紅蓮は納得をするが...それでも孤軍奮闘するきだろうか。

 

「はぁ...仕方ない。今はその口車に乗ってやるよ、慧眼のお医者様?」

 

ロマニは少しぎょっとしている。

まあ紅蓮の言葉は少し怖いときあるよね...わかる...

 

そして、落ち着いた状況なので改めてと、マリーから自己紹介の申し出を受けた。

 

礼儀の正しい内容で、それでいて明瞭だ。

対してモーツァルト。彼のは少々傲慢であるが、しかし人間性を図る意味ではこれもわかりやすい。

 

「私は藤丸立香。マスター初心者だよ。」

「俺は太公望紅蓮。魔術師だ。」

 

こんなことくらいしか私たちは言えないのか...まぁ名前だって立派な情報だし、許してほしいものだ。

 

ジャンヌとジャンヌオルタ、それからアルトリアと九人の魔女らはどうやらしない方向らしい。

さすが、知名度に富んだ彼女ららしい...え?そういうわけじゃない?そうなのね。

 

モーツァルトはマリーちゃんに罵倒されてなぜか喜ぶ。私にはきっとわからない世界の住民なんだろうな...

 

「ジャンヌ。完璧な人間はいない。君は君ができることをしたんだ。何も悔いることは...といっても無駄だとは思うが、それでも心にとどめておいてほしい。少なくとも一人、君の行動に心打たれた未来の人間がいるんだから。」

 

紅蓮はそういうところがあるからよくない。本当に。天然のたらしもここまでくれば才能である。

ほら見たことか、アルトリアとジャンヌオルタは今とてもうらやましそうに見ているぞ?

 

「あそうだ。さっきのワイバーンでも焼こうか。」

 

...あれ食べられるの?倒されるときゲル状の肉しか見えてなかったけど?

 

そう言って、魔法陣を展開している。そこから肉と思しき物体を取り出し、何やら文字を刻んだ。

 

「紅蓮君。一応質問だが今のは?」

「ルーンだけど?親父に覚えとけって言われて、大体は使えるんだ。」

 

ロマニは多分、そそっかしいのだろう。ずっと驚きっぱなしだ。

 

ルーン。これくらいなら私も聞いたことはある。

神代の魔法を人間にでも扱えるように降格させた、魔術の原型。

あ、そうか。ルーン魔術は古代の魔術なのか。

 

「すごいじゃん!」

「それで済まないんだけど立香ちゃん!?」

 

残念だけど、私には事の重要性がわからないので、驚きは少ない。

肉を食べる。なるほどこれは...うん、おいしい。

アルトリアはものすごくモキュモキュと食べている。いつもの姿を獅子のような大動物に例えるなら、食べてる姿はそう...小動物のようだ。

 

マリーちゃんは、ジャンヌを聖女だと、好意に近しい信仰を伝える。

それでもジャンヌは否定した。私は聖女なんかではなかった、と

 

「私は、私の信じたことのために旗を振ったのです。その結果が、己の血を汚すことだったと知らずに...もちろんそこに後悔はありません。自分の行いは、正解ではありませんでしたが、間違いだったとも思いません。」

 

その目は、とても熱かった。

当時の兵や民が、彼女へついていったのは。彼女自身の瞳の、想いの強さに惹かれたからなのかもしれない。

 

私は...ここまで一つの物事に熱くなれるだろうか。自分の人生を投げ打ってでも。

その覚悟が、私には...

 

 

 

 

 

 

少し長い歓談だったが、お互いのことを知れたよい時間だった。

 

マリーちゃんたちに、カルデアの目的を話す。これまでに起きたことも。

 

「話は分かりました。フランスはおろか、世界の危機なのですね。」

 

彼女は、形こそ違えど、これも聖杯戦争だといった。

 

マスターなしでの召喚に対し、いくつかの疑問はあったようだが、これで納得もいったらしい。

 

聖杯戦争で戦うのは七騎が基本。でもこの時代にいるのは、十騎だ。

 

もちろん無制限というわけではないだろう...多分。紅蓮が変に召喚しなければ。

 

「しかし、記録によるとかつて十五騎で争ったという形跡もあります。」

 

マシュ、事態がややこしくなるからこれ以上情報を増やさないで!私が困っちゃう!

 

マリーちゃんは何かひらめいたのか。私たちが英雄のように彼らを打倒するために召喚されたといった。

 

「―――もしくは、同じく破壊するためかしら。」

 

ジャンヌオルタは言った。はっきりと。

 

その目はどこか。悲しそうである。

 

「ジャンヌ。君がそう思う理由はなんだ。」

「...相手は私です。それに対抗し得るには、それ相応の力がいります。私には...えぇ。わかりますとも。」

 

ジャンヌオルタは、悲しそうに、物憂げに、そして、自分が経験したかのように言った。

 

「...そろそろいうべきなんでしょうね。マスター。」

「そうだな。知ってることは教えてほしい...なんていうとでも?」

 

紅蓮は、少し楽しそうに笑っている。

この顔はよくない。彼が本気で物事を解決させるときの顔だ。

 

「ジャンヌ。君が何か隠しているのは当然知っている。俺の目はごまかせないからな。しかしだ。犯人からトリックを聞かされて興ざめするのは誰だ?そう...推理の途中の探偵だ。なにせ自分の楽しみを奪われるのだから。確かに犯人からの自供ほど欲しがるものはないだろう。でもそれは、自分の手で暴いてからこそ、楽しいのだよ。そして俺はいま。答えにたどり着いてしまった。」

 

あぁ...やっぱり。

このパターンは今までに何度も見てきたので、慣れっこだ。

 

「え、それってもしかして私があんたに―――」

「これより作戦を伝える。決行は明日だ。そのためにまず、このフランスにいる他のサーヴァントも回収する。アルトリアとマリー、それからモーツァルト。ついてきてくれるか。」

 

三人は反応が遅れる。当然だ、急に作戦だのなんだのと言って、すぐさま同意を求める。これは紅蓮の悪い癖だ。

 

しかし三人、さすがは人智を超えた存在、一瞬で理解したのか、了承の意を返す。

 

「―――待ってくれ、いきなりすぎて、僕には理解が...」

「いずれわかる。少なくとも明日には終わらせよう。この―――無意味な復讐の愛憎劇を。」

 

復讐?愛憎劇?とりあえず何がなんだかわからないので抗議をしたいのだが。

 

「貴方、召喚しておいて私たちのことはほったらかすのかしら。」

「そうなるな。ただし一瞬だ。そしてその間にこの周辺に結界を張っておいてほしいんだ。頼む。勝手なのはわかっているが...」

 

モルガンは、押し負けた。

 

紅蓮は伝えるべきことを言うらしい。

 

「まず、相手のサーヴァントは、狂化の術が施されている。だから戦闘になればまず逃げることを優先しろ。普通に戦えば文字通り死ぬ。もう一つは、俺たちが戻ってくるまでに、ジャンヌ同士でしっかり話しておくこと。いいな?」

 

ジャンヌオルタは抗議の目でにらむ。ジャンヌは不思議そうにわかりましたという。

同一人物なのにここまで変わるのか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅蓮一行を送り出し、マシュと耳打ちで会話をする。

 

「これどうすればいいかな...」

「わかりません。私は、なぜ紅蓮先輩がこの状況を作ったのか、なんとなく察しはつきます。ですが、状況の改善策は...すみません。」

 

謝らなくていいのに...

 

とりあえず私は少し席をはずすことにした。理由はもちろんある。

 

私は...雰囲気を気にしすぎて、どうも話をこじらせてしまいそうだから。

 

マシュは気を遣うけど、言うべきことはしっかりいえる。だからあの場は、彼女に任せる。

 

私が話をしなければならないのは、魔女の方だ。

 

「ねぇモルガンさん。お話できるかな?」

「...え、私に話しかけているの?あらそう。存在が矮小すぎていたたたた!!」

 

突然私に罵倒を浴びせたかと思えば突然痛がる。なんだこれ...

 

「くっ...あの魔術師め。こうなることがわかっていたからあらかじめ結界を張っていたのね!」

 

あの、というのは紅蓮のことだろうか。つまり彼女が痛がったのは紅蓮の仕業か...

 

「そういえば紅蓮君は、未来視に似たことができると言っていたな。」

「それを先にいいなさいよこの凡骨!」

 

ロマンは悲しそうに、わかりやすく肩をすぼめる。

まぁ予想をして物事を伝えるのは難しいよね...

そしてさらっと、紅蓮に関する新情報。怖いわ。なんで未来視できるんだよ!

 

「はぁ...で?こむす...立香。話があるのでしょう?言ってごらんなさい。」

 

今度は恐れて少し優しくなった。すごいな、恐るべし孫悟空方式。

 

「紅蓮とは、どういったご関係で?」

 

すると「ふ~ん?」と、おもちゃを見つけたかのように私を見つめる。

 

「...そうね、わかりやすく言うなら、私たちは彼の所有物よ。」

「「え!?」」

 

いやロマンも驚くのか...

 

「ふふ、わかりやすくって言ってるでしょう?詳しくいってもわかりずらいでしょうけど、そうですね。彼は私たちが所有するアヴァロンという鞘の持ち主です。」

「え、鞘のアヴァロンだって!?」

 

私は声に出さなかったが、心底驚愕している。

アヴァロン。うん。なんとなくすごい。

 

ロマンがそれではいけないと詳しく説明してくれた。

 

アヴァロンという理想郷と同じ名前を冠するこの鞘は、無限の概念的防御、粛然の必然的攻撃。それらを司っている。そしてその力を発揮させるには所有者として認められる必要がある。その認められた所有者は本来、アルトリアだけだった。

 

「...じゃあなんで、紅蓮がこの前持ってたんだろう。」

「あの騎士王から譲り受けて、そのとき私たちが了承したのよ。こいつも所有者でいいかって。」

「軽い!軽いよブリテンの魔女!」

 

その言い方でにらまれるのは当たり前である。そしてまたコンソールが燃え上がっている。

 

「そうね...マゾエ?いらっしゃい。」

「ここに。」

 

いつの間にいたんだ...いや、これはおそらく、転移という奴だろう。私もこれまでの会話を、ろくに聞き流しているわけではない。

 

「いいえ、今のは因果へ影響を及ぼした()()です。」

「魔法、だって?」

 

ロマンは相変わらず驚いてばかり。

魔法。魔術と何が違うのか、正直私としてはわからない。そもそも同義だとわたしは思っていた。

 

「...そうですね、説明はやめておきましょう。盗み聞きするつもりは彼にはないでしょうから。」

 

不敵な笑みを浮かべ、はぐらかす。これがいい女か。

私がその辺の男子高校生なら、即落ち...いや、それはその辺の高校生に申し訳ないな。

訂正しよう、女性慣れしていない男子高校生なら骨抜きだっただろう。

 

さて。私の質問には答えてもらえたし、そろそろ三人の元へ

 

「あら、どこへ行くのかしら。」

()()はまだまだこれからです、立香様。」

 

悪寒しかしないのはなぜだろうか。これは命の危機に準ずると、心臓が警鐘を...あ、だめだ、ほかにも数人の散らばっていたはずの魔女に囲まれてしまった。

 

ええいままよ!

根掘り葉掘り聞くがいい...骨は拾ってね、マシュ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、これでよかったのでしょうか。」

 

別行動をとったことにいまだ疑問を抱いているようなアルトリアを視界にいれ、しかし足は止めずに言う。

 

「よかったかどうかは今はわからない。それでも、今俺たちに必要なことをさっさと終わらしておきたい。」

「ねぇ、紅蓮?貴方はどうしてそこまで焦っているのかしら。」

 

理由は一つだ。()()()で人理を取り戻さねばならない。

 

「おやおや、本当にそれが理由なのかな?僕の耳はごまかせないよ?ん?」

「クズめ。といってさしあげよう。」

 

しかしなかなか...まともなところへ射をするものだ。

 

「...立香の誕生日を祝ってやりたいんだ。」

「あらあら、うふふ。」

 

マリーは恋する乙女のように、笑う。別に不快ではないが恥ずかしいのでやめていただきたい。

 

「そのために来年が必要だから急いでいる、と。」

「そうだクズ作家め。これで満足いただけるか、マリー?」

 

ええ、とても。その返事をするときの彼女は、わくわくしていた。

 

町へ近づく。サーヴァントの反応は...うん、ある。これが味方かどうかわからないのがもどかしいなぁ...!

 

「...あれを見てください、マスター。」

「うん、いかにも敵って感じだね。」

 

わかりやすくてよかったよ。

 

「然様。人は私をオペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)と呼ぶ。」

「な...まずいな。俺は彼の作品は小説を一回読んだだけだ。どういった特徴を持つのかあまり詳しくないぞ...」

 

それでも、宝具はおそらく音楽に関するものだろうと予測をし、対策を考える。

 

竜の魔女の命でこの町の支配...か。やけに戦闘を仕掛ける兵やワイバーンやがいたもんだ。

 

「三人とも、臨戦態勢!俺もできるだけ...ほ、補助に徹し...ます...」

「はい、そうしてください。」

 

アルトリアが突っ込む。剣を振り上げるが、しかし爪で弾かれる。もう片方の爪で突こうとするが、それはマリーが放つ光で阻止された。

隙が生まれたところへ、モーツァルトの出す音による波動。

 

「こ、れは。」

 

よし、後ろへ仰け反った。これは大きなチャンスだ。

 

「アルトリア!」

「はい!」

 

強化魔術を、必要じゃないかもしれないがかける。

 

一刀両断を行動で説明しろといわれたら、これが模範解答であろう。

 

「―――来る、竜が来る、悪魔が来る。お前たちの誰も見たこともない、邪悪の竜が!」

 

そして、言い終わって、退去する。あっけない、サーヴァントの真価、宝具すら使用できずに退去するとは...

 

「ロマニ、この魔力は...?」

「これは...!サーヴァントの魔力量を上回る生体反応だ!」

 

...さっさと英霊を探し出そう。この先の城に、だいぶよわっているが魔力反応がある。

 

竜殺し(ドラゴンスレイヤー)を探し出すぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瓦礫のすさまじいことときたらありゃしない。

 

「...くっ!」

「待て待て待て、この令呪を見ろ、そして俺を見ろ、お前の味方だ。暫定だがな。」

 

彼の持つ剣は...なるほど。

そりゃあ彼が呼ばれるわな。

 

「もうじき竜種がここへ来る。サーヴァントの魔力も感じられるから、さっさとここを出よう。」

「なるほど、竜種。だから俺が...」

 

ぶつぶつと何か言っているが気にしない。

瓦礫を抜け、外に出る。

 

...遅かった。

 

「何を見つけたかと思えば、瀕死のサーヴァント一騎ですか。」

 

それでも十分な戦力だ。

 

「マスター、あの竜は...!」

「あぁ、本当の竜種、ファブニール...!」

 

これはまずい。まずすぎる。どうして防御を得意とした英霊を置いてきてしまったのか。

 

「マリー、モーツァルト、ジークフリート、下がれ!」

 

俺が展開できる結界で防ぎきれるかどうか、怪しい。あのファブニールの炎は...

 

「まぁいいでしょう、もろとも滅びなさい。焼き尽くせ、ファブニール!」

()()()()で防げないなら、ほかに借りたらいいんだよな。」

 

他といっても、俺の中で魔力として存在するアヴァロンを具現化して使うだけだけど。

 

 

「―――――すべて遠く、すべて儚く、すべて尊く。

      理に属するすべての干渉を許さず。

      理に属するすべての守護の盟約。

      真名偽装...終了(clear)

      代替真名入力(install)

      真名解放。

      守る為の理想郷(ガーデンオブアヴァロン)

 

 

「な―――グレン君!それは―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファブニールの炎は、見事に防いだ。

自分で見事っていうのは少し恥ずかしいけど。

 

今のは、見ようによっては宝具になりえるだろう。英霊としての。

アヴァロンという鞘。これを展開する。多次元からの干渉を全て断つことができる。これの守りの真価を発揮させるためには、真名を展開する必要がある。

...しかし俺は人間。サーヴァントではないので使用は()()()()()

それでも、確かに所有者になった。ならちょっとくらい借りてもいいだろ?()()()()()

 

「かまいません。しかし、貴方の名前でも...」

「できないこともないだろうけど、その時の負担は、大きいだろうね。」

 

レオナルドが代弁する。俺もその考えで相違ない。

 

「...ファブニールの炎を、凌いでも....!」

 

竜の魔女ジャンヌ。今度は怒りの炎でしょうか...

 

「ジークフリート、頼む!」

「任された!幻想大剣(バル)―――」

「ファブニールがおびえて...まさか!」

「―――天魔失墜(ムンク)!」

 

邪竜破れたり!

...とまではいかず。

 

それでも撤退をさせるくらいにはダメージを与えれただろう。

 

実際ジャンヌたちは撤退する。

 

「...ジークフリート。君もなかなかダメージを追っている状態みたいだな。」

「...まぁ、な。しかし今はそれどころではない。」

 

おっしゃる通りで。

俺たちも撤退、もとい次のサーヴァント回収だ。

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