最後に授業をつけてやろう。貴様らの悪癖をひとつ残らず話してやる。
俺様はあまりにも優しすぎる。
そこに正座し、感涙し、賛歌の言葉をたたえてきくがいい。
「そうだ、豚。俺様だ。何よりも尊く、偉大で、かけがえのない存在である。」
豚はあんぐりと口を開けこちらをみていた。いいぞ、豚。
服なんて着て気持ち悪いと常々思っていたが、今の貴様は最高に豚だ。
そう、今日もとっても気持ち悪いのだ、近寄るな豚!
「何故、豚が上司であるのか。それが甚だ疑問であった。偉大なる俺様には理解できなかった。」
一呼吸置く。万感の思いだ。俺様はこの会社のさらなる発展のため、今、思いの丈を打ち明ける。あぁ。なんて優しく哀しい存在なんだ、俺様は。
首を切られたというのに、消えることのない愛社精神。
凡俗と違い、仕事が出来すぎるが故に、気づいてしまったことを話してしんぜよう。
「・・・ぶた・・・だと・・・」
「そうだ、豚。仕事ができないのは仕方ない。豚だから。当然のことだ。だが何故貴様が俺の上にいる!朝から既に仄かな悪臭が漂っているぞ!豚野郎!少しも痩せる努力をしないのはなんでだ!豚野郎!俺様に豚と言われてるのに、気づいているだろう!豚野郎!お客様に迷惑だ、いやすべての人類に迷惑だ、家畜小屋に行け!豚野郎!」
豚豚ぶひぶひうるさいんだよ
その口を閉じろ、
もう二度と俺様の前でしゃべるな。
「田中ぁ!貴様、いっていいこととわるいことが」
「うるさい、だまれぇ!!」
社長がなにか言おうとしていたが、途中で切って捨てた。大声を出している奴にはさらに大声でかえしてあげればいい。
豚から社長へ視線をうつす。 その顔は驚愕に染まり、おめめは丸くなっていた。
「社長、お黙りなさい。人が話しているでしょう。あなたはまぁいいんだ。努力し、ある程度だが結果も出している。それなりだ。会長の七光りであることは否めないが、それなりによくやっている。60いや、65だな。65点男。悪くはないが、もう少し精進してもいいんじゃないか」
社長もあんぐりと口を開け、ショックをうけていた。あなたは豚でないから、そこまで豚の真似をする必要はないぞ。
「いいかげんにしろ、社長にまでそんな発言を。あまりにも無礼過ぎるぞ。一体自分を何様だと思っている。いいか、この際だからはっきりいってやる。お前なんて大したことはない、ただの屑なんだよ、恥をしれ、恥を。もう我慢の限界だ。お前、いや君にはまだまだいいたいことがある。この際だ、はっきり言わせてもらうぞ。君は本当に性格が悪い。豚とわざと本人に聞こえるように話すなんて。考えられないぞ、社会人として。確かに、確かにだ。私は太っている。どうしようもなくな。君とあってからはさらにだ。やけ食が止まらなくなった。君のせいでな。織口君のように君がぞんざいな扱いをしている部下に私の愚痴を大声で言っているのを聞こえてくるのだ。許せん、許せんぞ。」
あまりにも早口。豚はここまではやく喋れたのか、と驚愕せざるをえない。息継ぎをし、豚の悲鳴はまだまだ続く。
「これだけでも考えられないことだが、君は部下をぞんざいに扱いすぎている。織口君は本当に頑張っている。今まできみが原因で辞めていったその1、その2達も素晴らしかった。努力して前へ常に進もうとしていた。そんな若人たちの人生を君は無茶苦茶にしたんだ」
「その通りだ!」
今度は65点か!いや64点か、うーん悩ましい。
「正直手に余るというのが感想だ。もちろん悪い意味でな。君の悪評は聞き飽きた。毎日だ、山中君だけではないぞ、君より階級が上の人間、上層部は、全員君への愚痴で夢中だ。正直もう聞きたくない。会社都合でいいすぐ辞めろ。貴様は首だ。」
63点にしてはなかなか強い言葉を使ったしかし、その程度では俺様になんの効果もない。
「時々会社にくる程度になった私ですら、君の悪評はよく聞く。山中君どころか、社長をも馬鹿にしているらしいな。腹の中でどう思っていようとそれを言葉にしちゃいかん。部下は上司をたて、また上司も部下を大切に扱う。社会のルールだ、いや、人として「いやあなたが原因だろう」
会長、キングオブゲスの言葉を途中できって捨てる。
「今まで俺様を辞めさせなかったのはあなたが原因だろうに。何を他人事のように仰るんですか。俺様が変わるのを期待したい、俺様にも家族がいるから、とかなんとか理由をつけて会社に留まらせた。この状況をみたいがゆえにね。そうでしょう、会長。愉悦できましたか?」
社長(65点男)。
会長の甥。
社長になったのは七光りであるのに間違いないが、本人もそれを自覚し、立場にあった能力をつけようと日々努力を重ねている。本人なりに部下も気にかけているが、器用とはいえないため、すれ違うことも多い。だが、思いは部下にしっかり伝わっている。
座右の名は
この世は四苦八苦。だが試行錯誤、一生懸命よ。
すると一つの喜びが見つかる、それを見逃すな。