幻想郷、それは楽園。人間界で忘れ去られた物が流れ着く場所。ここでは妖怪や幽霊達が人間と適度な関係を持って過ごしていた。
ーーー春、桜の花弁が参道に落ちているのを見た私、博麗霊夢は重い腰を上げ箒を持って掃除をしていた。
ここ最近はこれと言って大きな異変もないし、実に平和な日々が続いてる。暇だが、何かが起こってほしいと思うこともない。結局私が全部解決しないといけないのだから面倒くさいだけだ。
霊夢「ん〜〜…今日も平和ねぇ」
あうん「そうですね〜、でも何か面白いことがほしいです」
霊夢「そう?私はこのままでいいわ」
そんな他愛もない会話をしていると、空から声がする。彼女はいつも通り箒にまたがってこちらへ飛んできていた。
魔理沙「霊夢〜!」
霊夢「魔理沙?なによ、また弾幕勝負でもしに来たの?」
魔理沙「それもまたリベンジしたいが、そんなことじゃないぜ!」
魔理沙は私の目の前に箒を止め、慣れた足取りで箒から降りる。そして私を人差し指で指差し大きな声で告げる。
魔理沙「遂に異変が起こったぜ!」
暫くの沈黙。口を先に開いたのは魔理沙だった。
魔理沙「妖怪の山でずっと、昨日の夜から花弁が降ってきてるんだぜ!」
霊夢「なによ、それ。妖怪の山の桜が散ってるだけでしょ?」
魔理沙「木からじゃなくて空からだぜ!?これは異変だ!」
私は呆れる。そんなの見間違えだし、あったとしても妖精なんかがイタズラでばら撒いてるだけ。春だから皆テンションが上がってるから何時ものことだと魔理沙に告げる
霊夢「だから私は行かないわよ?異変だと思うなら魔理沙が行ってくればいいじゃない」
魔理沙「分かったぜ!今度こそはお前より先に異変を解決して新聞に載るからな!」
魔理沙はそう言い残して素早く箒にまたがり空へと飛び立つ。一瞬振り返って舌をこちらへからかうように出してきたのはウザかったけど、私は掃除を再開する
……………この時私が魔理沙について行っていれば良かった。面倒くさがらずに異変を解決しに行けばよかった。だって、幻想郷はこの異変のせいでーーーー
崩壊したのだから
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霊夢「っ…」
私は地面に転がり込む。そして、追い打ちをかけるように緑色の髪を持つ彼女は私のお腹を思いっ切り踏んづける。
霊夢「目を覚ましなさい早苗!」
私は彼女……いや東風谷早苗の名を思い切り叫ぶ。けれどその足を退けようとはしない。早苗は光の失った眼をこちらへ向ける。それは見たことのないほど冷酷で、思わず私は身震いする
その瞬間、早苗は霊力をため始める。これは、そうだ、スペルカード。こんな至近距離で当たれば死ぬ事は確実
霊夢「っ!?」
目をつむる。死ぬ、そう確信した。
だが、痛みは何も感じない。私はゆっくり目を開く。目の前には結界。それは見慣れた物だった。
霊夢「これは、紫の……」
紫「霊夢!ボサッとしてないで立ちなさい!」
私は我にかえり直ぐに早苗から離れる。
霊夢「紫、なんでここに…」
紫「…もう幻想郷は崩壊寸前。私は前に言った通り境界で崩壊を止めようとしたけど……」
紫は目を伏せる。ああ、もう…この楽園、いや私達の家は無くなってしまう。途端に涙が溢れて止まらない。私のせいだ、私のせいだ、私がもっと強ければ、私が異変を早く解決していれば。
紫「霊夢」
私は紫の方を振り返る。その瞳からは私と同じように涙が溢れている。
霊夢「…なに…?」
紫「私の力を全て貴女に託す」
霊夢「は…?」
紫「それで、博麗大結界を作りなさい。そうすれば……賭けではあるけど幻想郷が戻るかもしれない。」
霊夢「何言ってるのよ…紫…」
紫「この現象は博麗大結界を誰かが破壊し、現実世界と混ざり合ってこの異変が起こった。だから、結界をもう一度作り直せばーーー」
霊夢「そんな話をしてない!!」
私は叫ぶ。紫の肩を持って必死に引き留めようとする。
霊夢「それで結界を作ってアンタはどうなるの!?魔力を全消費したら死んでしまう事を忘れたんじゃないでしょうね!」
紫は何も言わない。ただ、こちらを見て微笑んだ。その瞬間、体に力が行き渡るのを感じる。直感的に理解する。紫が、私に全ての力を、生命力を渡そうとしているのだ。慌てて離そうとしても決して紫は離さない
霊夢「紫!!!」
紫「ごめんなさい、霊夢。でも…もうこれしか方法がないの。私が幻想郷を愛してやまないのは貴女も知っているでしょう?」
そんな事を言う紫は段々と力が抜けていく。あぁ、駄目だ、駄目だ駄目だ。ここままじゃ、紫が、紫が死んでしまう。
紫「霊夢、もしも幻想郷が復活したらーーー」
『絶対に護って、約束よ』
紫はそう言い残すと地面に崩れ落ちる。
霊夢「……馬鹿じゃないの…」
紫が残してくれたこの力、これで、幻想郷を取り戻す。今度は、絶対に幻想郷を護る。
霊夢「博麗大結界、展開!!」
辺りが光に包まれる。段々と力が抜けていき、私は何時しか気を失っていたーーーー
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魔理沙「霊夢〜!」
その声で私は目を覚ます。目の前には魔理沙の顔があった。
霊夢「……まり…さ?」
もしかしたらさっきのは何かの夢だったのかもしれない。幻想郷が崩壊するなんて、冗談にもほどがある
魔理沙「遂に異変が起こったぜ!」
その言葉は夢で聞いたもの、その異変の内容は
魔理沙「妖怪の山でずっと、昨日の夜から花弁が降ってきてるんだぜ!」
霊夢「……嘘」
さっきのがもし、予知夢だとしたら、あれは夢じゃなくこの世界は私が幻想郷を取り戻した後だとすればーーー
どっちにしろ私がこの異変を解決しに向かうのは当然のことだった
霊夢「分かったわ。直ぐに向かうから待ってなさい」
今度は、絶対に幻想郷を、この楽園を、私達の家を護り抜いて見せる。
…続く…