天才と規格外と召喚獣 作:ゆん
明久達は息を殺し、だんだんと大きくなっていく足音を聞いていた。
そしてその足音がAクラスの前で止まり、扉が徐々に開いていった。
「失礼すr「総員狙え!」h「「「了解!」」」はぁぁあああああああっ!!?? あぶねぇーーーーーーーーっ!!!」
明久のかけ声を聞いたAクラスの面々は、扉の目の前にいた人物にむかってカッターやらナイフやらを投げた。
それに反応した人物――Fクラス代表の坂本雄二は、ギリギリのところで回避した。
また、避けられたことがわかったAクラスの人達は……
『『『チィッ!!』』』
………思いきり舌打ちをしていた。
「お前らなんなんだよ!? 俺がなにかしたか!?」
「『なにかしたか』だぁ? お前らは直接じゃないにしろ、優子を罵倒したんだ。シヌカクゴハアルヨナァ……???」
『『『リア充くったb「「死んでろぉ!」」ギャァアアアアアアッ!!』』』
また、FFF団はそれを聞いて明久に攻撃しようとしたが、遥希と遥奈によってあえなく撃沈していた。
そんなこともお構い無しに、明久はただただ雄二にむかって殺気を大量に放出していた。
それを察知した雄二は大量に冷や汗をかき、傍にいた秀吉に助けを求めようとした。
しかしその秀吉もかなり怒っているのか、明久程ではないにしろ殺気を放出しており、自慢のポーカーフェイスも崩れていた。
かなりまずいことをしたかもしれない、そう心の中で思いつつも、頑張って話をしようとした。
「そ、それで、Aクラスに言いたいことがあるんだが……」
「イッテオクガ、シショウセンソウハウケツケナイ。トイウワケデカエレ」
「んなっ!?」
「そういうわけじゃ。とっとと帰ってくれんかのぅ? お主らと同じ空気は吸いとうないのじゃ」
「秀吉まで……。じゃあ、どうすればやってくれるんだ?」
そう言われ、雄二は自分がどれだけ酷なことをやってしまったのか理解した。
雄二は明久と話したりしたことはなかったが、それでもここまで怒るということは、それほど許せないということだ。
だとしても、雄二はAクラスへの下剋上を成功させたかった。
だからこそ雄二はどうすれば試召戦争をしてくれるのかを聞いた。
「あァ?」
「……仕方ない。明久よ、試召戦争を受けてやるのじゃ」
「チッ……わかったよ」
秀吉が明久にそう言うと、渋々了承してくれた。
そのことに安堵した雄二は、一か八かの賭けで話し始めた。
「俺達Fクラスは、代表同士の一騎討ちで勝負したい。それが無理なら5対5の一騎討ちなどでも構わない」
「へぇ……いいぜ。5対5の一騎討ちなら受けてもいい。科目は全部そっちに譲ってやる」
「俺達にとってはありがたいが……いいのか?」
「ああ。そこからプラスで、Fクラスが1回でも勝てたらFクラスの勝ちにしてやるよ」
「っ! まさかそこまでバカにされるとはな…。ああ、その条件、のませてもらう」
明久がそう言うと、雄二はカチンと頭にきた。
Fクラスには瑞希や康太、美波がいるというのにバカにされたのがムカついたのだ。
それで雄二は遠慮なくその条件をのんだ。
「あれ、どうしたの?」
そんな時、さっきまで仕事をしていた愛梨が戻ってきた。
それに気づいた雄二は振り向き……
頬を赤く染めた。
それを見た明久達は目を見開き、心の中で思った。
(((まさかの惚れたーーーーー!?)))
確かに愛梨は性格が良くて容姿も可愛く、10人中10人が振り向いてもおかしくない。
しかし明久達は翔子から将来結婚する仲と聞いていたので、雄二が愛梨に惚れたことが意外だったのだ。
また、それがわかった翔子は……
「……浮気は許さない」
「しょ、翔子!? 俺は浮気なんてしてなぁあああああああああっ!!」
雄二にとても綺麗なアイアンクローを極めていた。
この時、Aクラスの人のほとんどが、こう思っただろう。
この試召戦争、どうなるんだ……と。