天才と規格外と召喚獣   作:ゆん

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お久しぶりです。気が付けば5年ですね。お久しぶりで済まないやつでした。

昔の記憶を掘り起こしてハーメルンにログイン(これだけで2週間くらい経った模様)してみると、今でも待ってくれている方がいてとても嬉しかったので衝動書きしました。

そのため、謎の設定が生えました。

そのため、康太×オリ(オリ×康太?)表現があります。

それでも大丈夫だという方は、どうぞご閲覧ください。


第7話 何とも奇妙な名勝負

「――――『大地の女神(テルス)』風間遥奈、お相手します!」

 

愉快だと言わんばかりに口角を釣り上げる遥奈を見て、康太は僅かに顔を顰める。

 

ちらり、と明久達の方を見れば、まるで我が子を自慢する親の如くドヤ顔をしていた。勿論、それに気付いたFクラスの面々は激おこ状態である。

 

そんな事など露知らない遥奈は、目と口に三日月を描く。それはさながら、獲物を狩る猛獣のように。

 

康太は少し思案すると、はあ、と溜息を吐いた。

 

「…………降参。勝てる見込み無さすぎる」

 

「こうさん……えっ、降参!? 嘘でしょ、挑みもしないでやめちゃうの!? 戦えないとか、そんなのヤダヤダつまんなーい!」

 

告げられた言葉に、遥奈は駄々っ子のように腕を振り回す。それを見て康太は困った表情をするも、どうやら撤回する気はないらしい。

 

さて、どうしようか。と、言うのも、試召戦争の歴史において、片方が戦意喪失からの降参、という流れが今まで無かったのが理由として挙げられる。

 

それに加え、遥奈が不戦勝する事に不満を持っているからだ。何なら、試合を続行させるために勝負を仕掛ける勢いである。

 

遂に足までも暴れ始めた彼女の騒音が辺りを包む。折れたのは、女子からの可愛(くはな)いお願いを目の前にして、決意が揺らいでしまった康太であった。

 

「…………わかった、ちゃんとやるから」

 

「ほんとっ!? わーい、やったぁー!」

 

えへへ、と嬉しそうな遥奈の微笑みに、雄二と康太以外のFクラス男子が膝から崩れ落ちる。さらば、女子に免疫のない哀れな男達よ。

 

崩れ落ちはしなかったものの、鼻血を大量に流してはいる康太を見て、遥奈はぴゃっと肩を跳ね上がらせる。そりゃ自身の笑顔でこうなるとは思いもしないだろう。

 

キュッと鼻にティッシュを詰めて、真剣な表情で遥奈を見据える。それに気付くと、クスリと笑みを零して口を開いた。

 

「あははっ! ちょっとは楽しめそーな予感!」

 

「…………手加減無用!」

 

直後、2人の召喚獣が交わる。周囲に爆風が巻き起こり、全てを吹き飛ばさんと言わんばかりに広がっていく。

 

誰しもが思わず目を瞑ってしまう中、遥奈と康太、そして明久達は召喚獣の交戦をしっかりと見届けていた。

 

しばらくして風が鎮まり、あまりの爆風に影しか見えていなかった召喚獣が姿を現わす。ぐら、とその場に倒れこんだのは――――康太の召喚獣だった。

 

Aクラス 風間遥奈 4998点

 VS

Fクラス 土屋康太 0点

 

「2回戦、勝者Aクラス!」

 

高らかな宣言に、康太は軽く溜息を吐く。その顔には、確かな悔しさが滲み出ていた。

 

一方の遥奈はと言うと。勝ったにも関わらずこれと言った感情を表に出しておらず、パチパチと瞬きを繰り返している。

 

それに気付いた康太が、どうかしたのか、と一歩踏み出した時だった。

 

「……まさかここまで減らされちゃうなんてなあ。悔しいけど、でもそれ以上に楽しかった!」

 

にぱっと笑った遥奈が、スッと康太の目の前まで移動する。それに思わず後退しかけた康太の頬を、手で優しく包み込む。

 

 

 

ちゅっ

 

 

 

――――直後、康太の唇にキスが落とされた。

 

突然の出来事に、康太はブシャッと鼻血を噴き出しながら前のめりに倒れ込む。そんな彼を嬉しそうに抱き締めると、そのまま彼を抱えてAクラスの陣地に帰ろうと歩き出す。

 

そして――――

 

『『『ムッツリーニ覚悟おおおおおぉ!!』』』

 

「「させるかコノヤローーーーー!!」」

 

――――そして、明久と遥希のFFF団討伐戦が幕を上げた。尚完全な茶番劇(ただし本人達は決死の戦い)である。




当たり前ですが、書いてて楽しかったです。茶番がくっそ楽しい。

このまま他のも更新していきたいなとは思っていますが、ご覧の通り気まぐれ不定期野郎なので気長に待っていただけると幸いです。

それでは、閲覧ありがとうございました。

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