バカとバカの弟と召喚獣   作:じょーく

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 問 以下の問いに、答えなさい。
『火星はなぜ赤く見えるのか答えなさい』

 姫路瑞希の答え
『表面に酸化鉄を含んだ土や岩で覆われているため』

 教師のコメント
 正解です。火星にも昔は水がたくさんあったらしいですね。

 土屋康太の答え
『鼻血』

 教師のコメント。
 血も一応は酸化鉄ですね。

 吉井明久の答え
『宇宙人のしわざ』

 教師のコメント
 夢のある理由ですね。

 吉井空弥の答え。
『表面を鉄で覆われているため』

 教師のコメント
 硬そうな星です。



第一問

「空弥……」

 

「言うな、何も言うな」

 

 Aクラス。どれほどまでに豪華なのか興味があり、見てみたら予想以上に豪華だったでござる。この場合Fクラスってどうなるんだろう。予想より少しはマシなのだろうか。それとも予想以上にボロボロなのか。

 

「ていうか美男美女ばっかりだね」

 

「うん……あ、大丈夫! 空弥も可愛いよ!」

 

「男に何を言ってるんだ!」

 

「あれ、男だっけ?」

 

「やだ、この兄おバカ」

 

「Aクラス……羨ましいなー」

 

「バカ兄、行こう」

 

「……うん」

 

 ふむ。バカ兄って言ってるのに、ごく自然に反応しているのを見ると、マジでAクラスが羨ましいらしい。

 もちろん僕も羨ましいことに違いはないが。

 それでもそんな目でAクラスを見てないでよ、情けなくなってくるし、これじゃあどっちが兄か分からないよ。

 

「あー、それにしても羨ましい」

 

「声に出して言わないで、誰かに聞かれたら恥ずかしいじゃん」

 

「だって個人にエアコンだよ! 僕たちは二人でも点けられないっていうのに!」

 

「そうだねー、バカ兄がゲームなんて買うから電気代が足りなくなっちゃうもんねー」

 

「そんなことより空弥、Fクラスに着いたよ!」

 

 この兄、話をそらしやがった。いいのかそれで。

 まあ、いっか。それにしてもFクラス、ドアからしてぼろいな。それとなんか貧乏オーラみたいなの放ってるし。

 こう、ゴゴゴとか効果音が出てきそうな感じのオーラ。

 

「よし、入る?」

 

「待った!」

 

「そんな逆転裁判みたく言われても」

 

「空弥、僕たちは二年生になったんだよ! 初めが関心という言葉もあることだし、ここは慎重に行こう!」

 

「初めが肝心ね」

 

「肝心に行こう!」

 

「……うん。そだね。じゃあ、ここは頼れる兄に任せるよ」

 

 教室の入り口から離れて、アキ兄の後ろに並ぶ。まあ僕も遅刻ギリギリの時間に来て、少しだけこの扉を開けるのは嫌だなと思っていたので、ここは普通に兄を利用……じゃなくて、頼らせてもらおう。

 そしてアキ兄はゆっくりと深呼吸をしてから、扉を勢いよく開ける。

 

「すいません、送れちゃいましたっ♪」

 

 すさまじい猫撫で声である。

 

「早く座れこの蛆虫野郎!」

 

 ひどい返しだ。

 

「誰だ、僕たちの新しい生活にいきなり泥を塗るのは……って雄二?」

 

 アキ兄の後ろで背伸びをして、教室の中を見てみると、教卓の上に居座って、赤い髪を逆立てた、最低クラスに似合ういかにも、といった感じの不良がいた。

 

 というか、僕の友達だった。

 

 怖いのは顔だけで、性格は結構優しくて、リーダーシップもある。顔に似合わず、という言葉を体現している人間、その名も坂本雄二だ。

 

「雄二、おはよう。ところでさ『最大の敵は味方にある』っていう言葉、間違ってる気がするんだけど何かわからない?」

 

「あん? なんだ急に? それなら『最大の敵は無能の味方である』とかじゃなかったか?」

 

「なるほど、つまりアキ兄のことか」

 

「そうだ、お前の兄のことだ」

 

「あはははは、安心してよ雄二、僕は絶対に君の敵だ」

 

「そうか、それなら安心だ。わはははは」

 

 目を笑わせてないけど笑いあっている二人を尻目に、教室の中へと歩を進めて、Fクラスの内情をちゃんと視界に収める。

 

「わーお」

 

 ボロボロだ。

 予想を悪い方向に裏切った。

 

 割れた窓。

 カビの生えた畳。

 座布団にちゃぶ台。

 

 昔にタイムスリップした気分だ。それぐらいにボロい。

 

 だがその中にも花はある。華はある!

 花と華の違いはわかんないけど、とにかく美しいものがある、それは……

 

「ひーでーよーしー!」

 

「のわっ!」

 

「可愛い可愛い、すっごくすっごく可愛い! ちっくしょう可愛いなー、本当は女じゃないのか、どっちでもいいけど可愛いよ秀吉!」 

 

 同じクラスになったからか、嬉しそうな顔でこちらに目を向けていた秀吉に、いきなり抱きついて頬ずりをしてみた。

 

「空弥、落ち着くのじゃ! 同じクラスになったからといって、いきなりこれはいかん!」

 

「対応も可愛いーー、なんで秀吉はこんなに可愛いの? 秀吉だからか、もういいやそれで!」

 

「わ、ワシは()じゃぞ!」

 

 ピタリと、僕は動きを止めた。

 木下秀吉♂ 生まれた性別を間違えられたと言われるほどの美貌の持ち主。

 

 白い肌。華奢な体つき。可愛い顔立ち。喉仏すらでていないその彼は、僕の目でも女性にしか見えなかった。

 

「ふぅ、僕としたことが、秀吉がいて嬉しくなっちゃってやりすぎた。ごめんごめん」

 

「う、うむ。その……本当に、嬉しかった……のか?」

 

「当たり前じゃん! 友達だもん!」

 

「そ、そうじゃな。友達じゃな!」

 

 どこか複雑そうな表情をしている気がするが、それは多分僕の過度なスキンシップでその立場を少し(いぶか)しんでいたからだろう。やばいやばい、これは少しばかり軌道修正が必要かもしれない。よし、まずは世間話といこう。

 

「ところで秀吉、木下さんは?」

 

「姉上のことかの? それならAクラス入りを果たしたぞい」

 

 うーむ、さすがといべきか、それとも憎いというべきか、あの豪華なAクラス入り、心底羨ましい。

 

「やるじゃん!」

 

「ワシに言われてものお……」

 

「あーあ、僕も兄弟が欲しかったね、それも含めて羨ましいよ」

 

「お主の兄ならあそこにおるぞい」

 

「え、僕に兄なんていたっけ?」

 

「現実をみるのじゃ! あそこで凶器を持ちだしているのは貴様の兄じゃ!」

 

「認めたくない! 百歩譲って秀吉が女なのは認める!」

 

「認めてはいかんものじゃ!」

 

「そんなあ!」

 

 秀吉は女じゃなかったのか! 衝撃の事実だ!

 

「まあでも次からは抱き付かないようにするよ」

 

「む? そうなのか?」

 

「そうなんです、さすがに自重するんだ」

 

「……たまになら、抱き付いても良いんじゃぞ」

 

「僕を試そうとしたって無駄だよ秀吉、はっきり言って今すぐ抱き付いて頬ずりしてやりたくなったけれど、その言葉、耐えきって見せたぜ」

 

「むむむ、やるのう、どうやら本気のようじゃ」

 

「ふっ、当り前だ、僕を舐めるなよ」

 

 その言葉を聞いて、悪戯っぽく秀吉はベロを出して笑いながら言った。

 

「まだ舐めてはおらんな」

 

「ぐっ……!?」

 

 危険! 危険! 危険!

 まだだ、まだメインコンピューターをやられただけだ!

 

「ってダメじゃん! メインのコンピュータがやられちゃったら!」

 

「なんじゃ急に!?」

 

「はっ!」

 

 偶然、あるいは奇跡というべきなのか、自分の思考のおかしさに気づけた僕は、いつの間にか秀吉の誘惑にも耐えていた。

 これが神の選択か……。僕すげえ。

 

「ふふふふ、ふはははは!」

 

 耐えた!

 耐えきったぞ!

 人類史上最強と言えるあの秀吉の攻撃を僕は乗り切った!

 

「残念だったなあ秀吉、この勝負、僕の勝ちだ!」

 

「……そもそも勝負なぞしておらんかったのだがのう……」

 

 ふっ、もはやその言葉、負け惜しみにしか聞こえんなあ。

 

「まあ実は僕もちゃんと秀吉が男だって認めてるしね」

 

 うん、そうじゃなかったら僕秀吉に抱き付けてないし。女子にしたらスキンシップじゃなくてセクハラだ。

 

「ほう、ならば……今度は男同士二人っきりで遊んでみんか?」

 

「おー良いね、たまには二人っきりっていうのも」

 

 まあ。

 こんな感じで楽しい朝の会話だった。




セリフ中心にしてみましたー
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