ハイスクールⅮ×D 永久の龍神   作:ひよっこ召喚士

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2刻

 意外と几帳面な彼にしては朝の時間に遅れるとは珍しい。そんなことを考えながら()()()は1年後輩の青年が家から出てくるのを待っていると、ようやく扉が開いた。

 

「遅くなりました。師匠」

「先輩ですよ。学校で間違えて呼ばない様に注意しなさい。一誠(いっせい)

〈ハハ、相棒は天然な所があるからな。やりかねんな〉

「おいおい、俺だってそこいら辺はしっかりしてるぜ」

 

 兵藤(ひょうどう)一誠(いっせい)、近所に住む男の子で神器(セイクリッド・ギア)の中でも取り分け強力な神滅具(ロンギヌス)の一つ、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の所有者です。

 

 世界は力に引き寄せられるように問題が舞い込んでくるようになっている。特に神滅具の所持者ともなれば世界の注目度も違ってくる。そのため、自分と周りを守るための力と知識、最低限の後ろ盾は小学生から中学生までで身に付けさせた。

 

 しかしまあ、紳士的だし理性的だが根が少しHなのはどうにかならなかったのか、きちんと説明したのに悪魔の運営する駒王学園(くおうがくえん)に入学すると決めた時の事を思い出すと未だに頭が痛くなる。それに合わせるためにわざわざ一個上の学年に編入した私も私だがな

 

 あの時の説得は確か「自分と言う力に問題が引き寄せられるという運命にあるのであれば、この街、駒王町(くおうちょう)の管理者であるグレモリー家の令嬢がいる学園に入るというのは間違いでは無いと考えます。事前にあの方を通じて理事長である魔王様に報告することで義理を果たせば、元より駒王町に住まう存在としてやましい事のない証明になります」だったか。その力説がやましいのではと思ったけどね。

 

「それで今日は私も顔を出しますからね」

「遣いが来るとのことなんで、その際に」

 

 そこまで話すとお互いに頷き、ただの学生としての姿へと合わせる。先ほどまでの空気感が霧散して、そこにいるのはただの高校生の二人組(先輩後輩)だ。

 

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 ざわざわとした空気、周囲が注目しているのはたまに一緒に登校してくる一組の男女だ。3年の女生徒2年の男子生徒、二人は家が近く幼馴染と言う関係であり、纏う雰囲気は男女のそれではなく姉弟の関係に近い。

 

「三大お姉さまの1人、トワ様がイッセー君と登校してるわ」

「うそ、だいぶ久しぶりじゃない。レア中のレアよ」

「野獣王子のイッセー様、お姉さまと並んでいる姿が良い」

「お姉様と王子様の間に挟まれたい」

「あの二人はカップリングとかじゃなくて清いからこそ尊さよ」

「王子様に押し倒されたい」

「私はお姉さまが良いなぁ」

 

 一方は成績優秀で運動の際には力ではなく正確で綺麗な動きを見せる、誰に対しても接し方を変えることの無い優しさと細身にシルクの様な透き通った長髪が特徴で、学園の男女問わず魅了してお姉さまの名を付けられているトワ・ターナル。

 

 もう一方はこちらも成績優秀で、運動神経も万能で女性に対して紳士的であるが、男の友人と話すときの砕けた感じのギャップと周りに気づかい表に出す事は無いがむっつりな一面から野獣王子などと呼ばれて後輩からは勿論のこと、先輩からも好かれている兵藤一誠。野性的、ワイルドな感じを表しているのは分かるが一部の女子からホモ的な感じで使用されているのに関してはため息を吐いていた。

 

「それじゃ、また放課後に集合だな」

「ええ、またあとでね」

 

 女性に対しては基本的に丁寧な口調で話す一誠が姉の様に慕っていると明言しているトワに対してのみ砕けた口調で話している姿がこれまた良いシーンだという事で二人に憧れている女生徒の視線と耳をそこに釘づけにしていた。

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

「失礼、兵藤一誠くんだね?」

 

 堕天使に襲撃され、リアス・グレモリーと初めて接触した翌日の放課後。一人の男子生徒が声を掛けてきた。その人物のことは知っている。木場(きば)祐斗(ゆうと)、同学年にして俺と同じく学園のイケメンと噂されている男で爽やか王子だの俺の対比で草食王子だのと呼ばれている。

 

「そうだけど、要件は?」

 

 木場がなぜ訪ねてきたのか理解していながら、俺は敢えて尋ねてみた。

 

「リアス先輩の使いって言えばわかるかな?」

「わかった。行こうぜ」

「うん。ついてきて」

 

 教室や廊下にいた女子たちが一気に騒めきだした。野獣×草食の王道コンビが実現、2年の王子様二人が並んでいる姿が見られるなんて等々、まあ実害が無いので好きにさせているが、女子たちの声を聞いて首を傾けているだけなので、純粋なんだろうなと認識しておく。

 

「その前に寄り道しても良いか?」

「別にいいけど……どうしてかい?」

「もう一人関係者が居るんでね。一緒に紹介した方がいいだろ」

 

 そう言うと3年生のクラスまで行くと、俺が来るのを待っていた先輩(師匠)の姿が見えた。こちらの姿に気付くと使いと言うのが木場なのだと理解して、席を立って目の前まで近づいてきた。

 

「それじゃ、行きましょうか。二人の王子様にエスコートして貰えるなんて嬉しいわね」

「はは、お望み通り手を取り腕でも組もうか?」

「まさか関係者と言うのが三大お姉さまと呼ばれているトワ先輩だったとは驚きましたが……僕の手で良ければ好きに使ってください」

 

 お遊びに乗っかった俺と天然なのか俺と同じように腕を先輩に伸ばす木場の姿に先ほどまでの騒めきが可愛く聞こえる位の悲鳴が周囲を包み込んだ。

 

「どういう事ですか!?トワ姉様、弟王子様だけならまだしも、もう一人の王子まで!?」

 

 目の前の光景に震えると共に驚きも一層だったのか我慢できないという勢いで一人の女生徒が質問をしてきた。ふふふと笑いながらトワ姉さんが口を開いた。

 

「オカルト研究部に少々御呼ばれしまして、他のお姉さま(二人)と一誠と木場君でこれからお茶会なのよ。今のやり取りは私の冗談に二人が乗ってくれただけよ」

「三大お姉様と二大王子のお茶会!?」

「それでは、待たせすぎても悪いので失礼しますね。行きましょうか」

「爆弾放り投げて放置ですか?」

「はは、トワ先輩は面白い人だね。一誠君」

 

 騒ぎを背にして三人で並んで歩いて行く俺達、その姿を見た事情を聴いてなかった人たちの視線も集めて、注目されていたが、近寄りがたいオーラでも出てるのか、移動中に話しかけられる事は無かった。

 

 そんなこんなでようやく目的地までたどり着いたようで旧校舎の中の一室の前で木場は止まった。その部屋の扉の上のプレートには『オカルト研究部』と書かれている。

 

「部長連れてきました」

「入って頂戴」

 

 木場が扉越しに報告をし、中からはグレモリー先輩の声が聞こえてきた。木場が戸を開けて、俺達もそれに続いて部屋に入る。部屋の中はまさにオカルト研究部って感じがした。天井や壁、床に至るまでなんか形容し難い面妖な文字が書かれているし、奇妙な置物とかが置いてある。悪く言えばあやしい部屋だ。

 

 ふと、部屋に備え付けられたソファに目を向けると、そこに一人の少女が座っていた。この少女のことは知っている。一年の搭城(とうじょう)小猫(こねこ)だ。高校生とは思えない程に小柄で可愛らしいその容姿からマスコット的な人気を誇っている・・・・・・グレモリー先輩の配下の悪魔だ。

 

「小猫ちゃん。こちら二年の兵藤一誠くんと三年のトワ・ターナルさん」

「・・・・どうも」

「よろしく、小猫ちゃん」

「よろしくね子猫ちゃん」

 

 無表情だが、それがデフォルトのようで特別機嫌が悪いという訳では無いようだ。初対面なのでいきなり話が弾むわけもなく、紹介だけで話は途切れた。

 

 部屋の中を見渡すが、グレモリー先輩の姿は見当たらなかった。ただ、部屋の奥・・・・カーテンを隔てた向こう側からシャワーの音が聞こえてきて、カーテン越しの女性のものであろう陰影が写っている。周囲にグレモリー先輩の姿がないということは……

 

「一誠、視線が釘付けですよ」

「先輩、変態なんですか」

「いや、悪い。他に女性がいる場でそう言った事を考えるべきでは無いな」

 

 謝って視線を別の場所に移す、カーテンの裏をどうしても想像してしまうが、良識的に考えて俺の今の行動は明け透け過ぎていけない。反省しなくてはと思いつつも、反射的に反応してしまった自分をどうにか出来る気はしない。

 

「……噂通り紳士的ではあるようなので良しとします」

「許されたようで本当に良かったよ。ああ、そうだ。今も羊羹食べてるみたいだけど甘い物好きならこれ手土産として持ってきたケーキがあるんですけど食べますか?」

「食べる」

 

 本当は一度この場のトップであるグレモリー先輩に渡すべきなのだろうが、まあしっかりと人数分あるし、先に1人分渡すだけならそこまで目くじらを立てられる事は無いだろう。木場にも食べるかと訊いたが、後で頂くよと言われた。

 

「美味しいです」

「なら良かった。作り慣れてるから大丈夫とは思ったけど心配だったんだ」

「先輩の手作りですか!?」

「へぇ、凄いんだね一誠君は」

「一誠は料理やお菓子作りもそれなりの腕を持ってますよ」

「ついでとばかりに仕込まれましたからね」

 

「意外な特技があったのね」

「あらリアス、今時男性でも料理やお菓子作りする人も少なくないのよ」

 

 先ほどまで見かけなかった姿が二人部室にやってきていた。もちろん気配で気付いてはいたが、準備が出来たようなのでそちらに向き直る。そこにいるのはトワ姉と同じ三大お姉さまと呼ばれるリアス・グレモリー先輩と姫島(ひめじま)朱乃(あけの)先輩だ。

 

「あなたが兵藤一誠くんね。姫島朱乃と申します。どうぞお見知りおきを」

「いえ、こちらこそ」

 

 黒髪の女性、姫島先輩が丁寧に挨拶してきたので、俺も短く返事を返す。リアス・グレモリー、姫島朱乃、木場祐斗、搭城小猫・・・・・これでオカルト研究部の悪魔全員がここに揃った。

 

「それにしても、トワさんが此処にいらっしゃるのはそう言う事でいいのかしら?」

「ああ、この人は俺の師匠に当たる人です」

「リアスさんに朱乃さんもきちんと顔を合わせるのは久しぶりね。今日はよろしくお願いしますね」

 

 トワ姉さんが学生としての姿で挨拶をするが、まさか関係者だと思っていなかった二人のお姉様は内心驚いているのではないだろうか、それ以前に3大お姉様と2大王子が全員裏の関係者と言う事の方が中々に面白いかもしれない。

 

「全員揃ったことだし、話を始めましょう。二人とも座って」

「「はい」」

 

 グレモリー先輩に促され、備え付けられたソファーに俺達は座った。

 

「一誠、私たちオカルト研究部はあなたを歓迎するわ。私達の正体については・・・・・話すまでもないわね?」

「はい。俺達を除いて此処に居るのは全員悪魔。そして姫島先輩、木場、搭城はあなたの配下ですね」

「それじゃ、余計な話は省いて早速あなた達がどういった立場で昨日は何故あの場にいたのか、訊かせてくれるかしら?」

 

 部長がそう言うと全員の視線が俺達に向けられた。みんな興味津々のようだが、グレモリー先輩は堕天使と戦っている姿を目撃している分、少し警戒しているようだ。

 

「先にこれを見て貰った方が説明が早いでしょう。」

 

 俺は皆が見やすいように左腕を突き出し、意識を集中させて神器(セイクリッド・ギア)を出現させる。俺の左手を甲の部分に宝玉が嵌められた赤い籠手が覆う。

 

「これって・・・・まさか!?」

 

俺の神器を目にして目を丸くする部長。どうやら部長はこれがなんなのか知っているようだ。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)・・・・・これが俺の神器。俺は赤い龍の力を宿した今代の赤龍帝です」

 

 俺の言葉に、その場にいた全員の表情が驚愕に染まった。

 

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