ハイスクールⅮ×D 永久の龍神   作:ひよっこ召喚士

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 オカルト研究部に所属してから特に何かが変わったという事はない。俺は元から裏の事は知ってたし、部活に顔を出す事も苦ではない。それに悪魔とか関係なく先輩たちは美人だし、後輩の小猫ちゃんは可愛いし、まぁ木場の奴も良い奴だしな。

 

 みんなの部活での活動を見させてもらう事もあった。悪魔として契約を取ったりとか色々と大変なんだなという事しか俺には分からないけどね。転生したばかりの悪魔はチラシ配りから始めると聞いた時には目を丸くしたけどな。

 

 今日は表も裏も完全に休みの日だ。修行も大事ではあるが息抜きも大事だとトワ姉に指定された日はのんびりと過ごす事になっている。と言っても最近で言えば夕麻ちゃん、もといレイナーレさんとのデートぐらいしか入って無かった俺のスケジュールだと本当に街をふらつくだけとかになる事が多いんだけどな。こういう時間こそ大切だというが無駄に思えてしまうのは修行に染まり過ぎてるのかな。

 

「あう!いたたー!何で私は何も無い所で転んでしまうんでしょうか?」

 

 たまには街をふらつくというのも良い物だな。どういう場所で新しい出会いが待ってるか分からないのだから外に出るというのも悪くはない。引きこもりなどではないが厳格な目的が無ければ外に出ないというのも堅苦しいだろ。なぁ、ドライグ?

 

『15秒ほど前の思考を思い出してみろ相棒』

 

 そんなことは知るか、今、目の前に、素晴らしく、可憐な、美少女、しかも、金髪の、シスター、が居るんだぞ!!昔の俺の考えなんて吹いて飛ぶには十分な理由だ。

 

『片言になるほどなのか……はぁ』

 

「大丈夫ですか、お嬢さん?」

 

 トワ姉に世界中を連れ回された経験のある俺には言語の壁なんてものは存在しない。ああ、あの勉学の日々もこういった出会いの為であったのか。起き上がらせる際にすべすべな手を握る事が出来た。その際に風が強く吹いてベールが飛ばされそうになったが、これくらい見なくてもキャッチできる。

 

「はい、どうぞ」

 

「あ、有難うございますぅ」

 

 ベールの下はブロンドとエメラルドグリーンの綺麗な瞳、優しさの感じられるオーラと緊張からか少しおどおどとしている感じが庇護欲をそそられる。それにしても凄い荷物だな……神器の気配があるし、堕ちた雰囲気が無いので教会所属だと思われるが、この街に教会は潰れてるし、レイナーレさん達の拠点になってるはずだ。

 

「かなりの荷物だけどお引越し?」

 

「はい、実は私今日この街の教会に赴任してきまして、ただ道に迷ってしまい道を聞こうにもまだ日本語に不慣れなもので……こうしてちゃんと会話が出来る方がいて少しホッとしました」

 

「そりゃよかった。こんな可愛い女性の心を暖められたのならイタリア語を覚えた甲斐があったってもんさ」

 

「そ、そんな、可愛いだなんて……」

 

 恥じらってる姿からして十分可愛いよ。もじもじする仕草なんて小動物みたいだし、恥ずかしがりながらも話をする際は目を合わそうとしているのかこちらの顔を見て、また逸らしちゃってを繰り返すところなんてもう、もう!!

 

『落ち着け、相棒』

 

「良かったら俺が教会まで案内しようか?今日は休みの日でね。ふらっと街を歩くばかりだったから、君の助けになれるならこっちとしても有意義な時間が過ごせる」

 

「本当ですか?ああ!こうして優しい方にお会いできたのも主の導きなんですね」

 

 そう言って祈りを捧げる彼女はとても様になっている。教会でこんなに可愛い女性が祈りを捧げている姿ならきっと聖女として有名、な、はず……聖女?そう言えば最近教会で異端認定された神器持ちの聖女が居たって情報があったっけか?

 

 うーん、神器直接を見れば確信できるだろうけど、師匠と違って詳しい性質までは読み取れないからな。とは言ってもこんな街中で神器を出すような機会はないだろう。そう思っていたら教会に向かう道すがらで転んでひざを擦りむいて泣いている男の子が見えた。

 

 するとシスターさんがその子のもとに駆け寄って行った。優しい彼女の事だから聖水でも使って消毒して、十字でも切ってあげるのかと思っていたらまさかの事態が起こった。

 

「大丈夫ですか?男の子がこれくらいで泣いてはいけませんよ?」

 

 そう言いながら傷口に手を向けると彼女の優しさがそのまま形になったかのような緑の光が発し、怪我を包み込むとみるみるうちに怪我が治ってしまった。聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)……数少ない治療系の神器で件の聖女が持っていたとされる神器だ。

 

『当たりだな』

 

 いやな当たりもあったもんだ。あれほど真摯に神に祈ってる少女が報われないなんて、トワ姉が教会の事をぼろくそに言っているのが分かる。少しやるせない気持ちになったが二人だけでは言葉が伝わらないだろうと思い、俺も近づく。

 

「そっちのお姉さんがさっき言ってたのは大丈夫かってのと男の子がこれくらいで泣いちゃダメだよだってさ。傷はもう平気か?」

 

「うん、お姉さん凄いんだね。ゲームの魔法使いみたい。もう全然痛くないよ、綺麗なお姉さんありがとう」

 

 そう言うととても良い笑顔を浮かべ、元気にてを振りながら走り去っていった。通訳しようと思ったら『ありがとう』は聞き取れたのか、それとも子供の表情から察したのか彼女も手を振り返している。

 

「凄いね、魔法みたい、痛くない、綺麗なお姉さんありがとうだってさ」

 

「まぁ、ふふふ。日本の男性は子供でもお世辞を言うんですね」

 

「お世辞じゃなく綺麗だと思うけどね」

 

 顔だけじゃなく在り方もね。神器の使い方からして裏の事をある程度は知ってる人間のはずだ。それなのに人目も気にせずに子供の治療を優先したのだから。俺の軽口に笑みを浮かべながら公園を後にして再び教会に向けて歩き始めた。

 

「やっぱり、驚きましたよね?」

 

 さて、どうしたものかな。何も知らないふりをしたって良い。知っている事を伝えて彼女を肯定しても良い。またそれらの逆も然りだだ、それ以上にこの場で追及するという選択肢だって存在する。なぁ、どうするべきかねドライグ?

 

『それは相棒が決める事だ。俺が口出しすることではない』

 

 やっぱりそうだよなぁ。彼女がどういうつもりで此処に来たのかは分からないけど、教会を追放された彼女が堕天使の根城に向かうって事は彼女はあれでも堕ちた身、はぐれ聖女とでも言うべき存在だという事だ。いや、教会風に言うのであれば魔女だろうか、くだらない。

 

「確かに驚いたけど、とても優しい力だなって思ったよ」

 

「はい、神様が下さった素晴らしい力なんです」

 

「その力で異端認定をされてもかい?元聖女、アーシア・アルジェント」

 

 俺が予想した彼女の名前を言うと彼女はとても驚いた表情に変わり、そして神様の名前を出した瞬間よりもいっそう悲しそうな表情を浮かべた。

 

「俺も神器持ちでね。裏でけっこう活動してるからあちこちの勢力の情報は気にしててね。教会でもかなり有名だった聖女様が異端認定されたってのは驚きだったから覚えてたんだ。気付いたのはさっきの治療を見てからだけどね」

 

「そうだったんですね。私なんかの情報が知れ渡るだなんて変な気分です。それと先ほどのお話ですが、これは私が授かった力です。神様からの(贈り物)だと思ってこれまで生きてきました。その結果がこれならこれも神様からの試練だと思うんです。だから、私はこの力を信じてます」

 

 教会の信者特有の盲信だ。だけど神様が全ての基準になっている信者たちの中で神様の力を自分の意思で使っている彼女はしっかりと強い。だけどそれ以上に彼女は優しすぎる。それこそ今となって彼女を見つめると脆く壊れてしまいそうなガラス細工の様に思える。しかし、固まっている彼女を曲げることは出来ないのだろう。

 

「そうか、この先の教会に堕天使が居るのは知ってて来てるんだよね?」

 

「はい、私はレイナーレ様に呼ばれてこの地に来ました。これからこの場所で何が出来るかは分かりませんが必要としてくれる方が居る限り応えていきたいと思ってます」

 

「直接手助けは出来ないけど応援はしてる。頑張ってねアーシアちゃん。っと着いたねあそこに見えるのがこの街の教会だよ」

 

「わぁ、ありがとうございます。良かったですぅ。本当に助かりました。あの、宜しければお礼がしたいたので一緒に教会に来ていただけませんか?と言ってもお茶くらいしか出せませんが……」

 

 この娘は……普通ならあんな意地の悪い問いかけをした俺なんかにお礼なんてしたがらないもんだろう。俺が悪い悪魔だったら彼女はいとも簡単に足元をすくわれているだろう。まぁ、その気持ちは嬉しいがレイナーレさんとのこともそうだが、ここ最近は部活に顔を出してる所為もあってはぐれエクソシストに悪魔との関わりを感づかれて襲われるだろう。問題を起こして部長に怒られるのもなんだしな。

 

「ちょっと会いにくい人が居てね。教会には入れないんだ。せっかくの申し出なのに本当にごめん」

 

「いえ、事情があるのでしたら仕方がないです。お礼はまた今度会った時にしますね。それと…」

 

「ん、なにかな?」

 

「お名前を訊いてもよろしいですか、私だけお名前で呼べないのも寂しいので、それと呼び捨てで結構です。年が近い人からチャン付けで呼ばれるのはこそばゆいので」

 

「そう言えば自己紹介がまだだったね。俺は兵藤一誠、親しい人からはイッセーって呼ばれてる。それじゃあ、またねアーシア」

 

「はい、イッセーさん!またお会いしましょう!」

 

 どこまでも優しい女性だなアーシアは。別れの挨拶をしてから俺の姿が見えなくなるまでずっと手を振り続えけていた。さて、部活に所属していながら教会に近づいたことをどう言い訳した物か……堕天使の活動を調べるのにちょう良かったとか言えば誤魔化せるかな。

 

 


 

 何をしていたのか聴かれる前に自分から言った方が良いだろうと思って部長ではなく、トワ姉に確認する形報告し、それを一緒に聞いて貰った。

 

「堕天使がねぇ。誰かを呼んでるってのは掴んでたけどあの聖女アーシアだったのね。良い情報を手に入れたわね一誠」

「ありがとうございます」

 

「ちょっと待ってくれるかしら?この部活に所属して置きながら教会に近づいたのもそうだし、教会が潰れてて堕天使の根城になってるってのもそうだし、その聖女アーシアって何の話かしら?」

 

 どうやら我らが部長はまあり情報通とは言えない様だ。意図して普段から探ってないと手に入りにくいものだけど普段から街の管理を任されてるのにコレは少し評価が下がりそうだ。

 

「教会が潰れたのって結構前ですよ。俺は幼馴染の家が教会所属で、親父さんがエクソシストだったから教会が無くなるってのを早めにしったけど、管理者が居なくなったことは街の人であればだれでもわかる情報なんですが」

 

「一誠、悪魔の性質の中には楽観的という物もあります。長く生きる種族の割にはその場その場で生きている者も多いです。活動をばれない様に部活に当てはめてるのは良い手ですが、管理の仕事まで部活気分では一住人としては困りものですね」

 

「うっ、うぅ」

 

 何も言えなくなっている部長、遊び気分ではなくちゃんと仕事をしているつもりだったんだろうけど証拠付きで言及されてしまえばどうしようもないみたいだ。まぁ、取り組む姿勢の問題と言うよりは経験不足なだけって感じがするけどね。厳しめで有無を言わせない目でトワ姉に見つめられた部長は泣きそうになっている。というより薄っすらとだが泣いている。

 

「別に泣かせる気は無かったんですけど。大丈夫ですかリアス?」

 

「良いから、結局堕天使はどうなったの!!」

 

「最近街で見かける4人の堕天使は『神の子を見張る者(グリゴリ)』とは無関係という事が分かりました。建物の方も教会の持ち物でも神の子を見張る者の持ち物でもないみたいです。サーゼクス様経由で連絡をいれれば叩き潰しても問題ないでしょう」

 

「そう、なら私からお兄様に連絡は入れておくわ。もしかしたら堕天使との交渉に使えるかもしれないし、向こうの要望を聞いてから動きましょう」

 

 ふむ、部長も駆け引きなどをしらない訳ではない様だ。とは言っても返事を待ってる間に問題が起きればそんなことは言ってられなくなるだろうけどね。まぁ、これで報告は済んだし、後はいつも通りの部活の時間を過ごす事になるだろう。

 

 部活に所属しているとはいえ悪魔ではない俺とトワ姉はそこいら辺に関わる事はしないし、出来ないので活動中は自分たちの修行か、メフィスト様から廻される仕事とかの確認とかが主になっていた。しかし、今日はそこに別の活動が増えた。

 

「部長。大公からの討伐の命令がきましたわ」

 

 ここで少し悪魔の世界ではそこそこありふれていて、情報だけはだれでも知ってる様なある道具について話して置こう。その名は『悪魔の駒(イーヴィルピース)』、まぁ俺に浸かって効果が無かったチェスの駒を模した道具の事だ。

 

 悪魔はその昔、天使とのいざこざで純粋な悪魔の同胞を失いその数は激減した。ただでさえ出生率が低い悪魔はこの事態にさっき挙げた悪魔の駒を使い僕のような神器を宿した人間を悪魔に転生させてその数を増やそうとしている。さらに上級悪魔が下僕を持ちお互いの駒を戦わせるというレーティングゲームというものが流行っている。

 

 それで転生させた悪魔の元から逃げだすはぐれ悪魔と言う物がある。中にはこの前にトワ姉が部長につきつけたように主が側が規則を破って逃げ出した下僕や酷いものでは要らなくなったから新しい眷属を迎えるために放逐してはぐれとして手配することもある。

 

「いい匂いがするぞ?不味そうな匂いもするぞ」

 

 廃屋の中に入ると声が聞こえ、ジッと目を凝らすと向こうのほうに物凄い恰好の女性が立っていた。その格好は上半身は裸の女性で下半身は四本の脚がうねうねしている足だった。

 

「はぐれ悪魔バイザー!主の元を離れ己の欲求を満たすために動く悪魔は万死に値するわ!グレモリー侯爵の名においてあなたを消し飛ばしてあげる!」

 

 不憫だが自棄になって暴れまわり、これだけの被害を出しているとなると流石に庇い立てすることは出来そうにないな。主が悪だとしても壊れてしまった者は助ける事は出来ないので俺もトワ姉も何も言う事はないだろう。下手に口に出せばこれから先の部長たちの活動の邪魔にしかならない

 

「駒については知ってるみたいだから、私の眷属の力だけを魅せるわ。祐斗!」

「はい!」

 

 部長に名前を呼ばれた木場は持っている剣を構えて、バイザーに向かっていき素早く腕を切り裂いて見せた。バイザーが痛みに苦しんでいる間、そのまま追い打ちをかける様に続けて切り刻んでいく。常人からしたら早いが余裕で目で追う事が出来る。見てから避けれる攻撃だ。

 

「次は小猫ね」

 

 小猫ちゃんはスタスタとバイザーに近づいて行く、バイザーは小さい小猫ちゃんを見て侮ったのか力任せに足を振り下ろして潰そうとしたが小猫ちゃんは片手で受け止めている。バイザーを掴むと振り回し、勢いのままに床に叩きつけた。倍加してない力では敵わないだろうが少し倍加したら越せるし、技を使えば倍加せずとも押さえつけるくらいは出来るだろう。

 

「最後は朱乃ね」

「はい、部長。あらあらどうしましょう」

 

 姫島先輩は上品な笑顔を浮かべながらバイザーに近づいて行く、あの笑顔は知っている小さい頃に追加で厳しい修行を持ってきた時にトワ姉の笑みとそっくりだ。あれは容赦のない、恐ろしい女性の顔だ。

 

 予想通り、朱乃先輩はバイザーに身動き一つ許すことなく、連続で雷の攻撃をぶつけ続けていた。泣こうが叫ぼうが構うことなく、むしろ楽しそうな表情を浮かべていた。

 

 絶対に避けれるし、何なら喰らってもそこまでダメージは無いだろうに背筋が凍るような思いがするのはなんでなんだろうなドライグ?

 

『オスがメスに敵う通りは無いという事だ。相棒』

 

「最後にいう事は?」

「殺せ」

「そう、さよなら」

 

 そう言ってバイザーは部長の持つバアル家の滅びの魔力を受けて跡形もなく消えた。魔力の量と質によって消せるように限界はある様だから魔力などを纏えば簡単に防げそうだな。

 

「私達の力はどうだったかしら?」

 

「え、あ、そのぉ」

 

「一誠、こういう時に下手に取り繕う方が問題になりますよ。リアスも分かった上で聞いてるんです」

 

 悪魔の駒が反応しなかった時点で部長よりも俺が強いのは当たり前な事実なのだ。それなのに下手に持ち上げるのは優しさにはならない。

 

「……正直、弱いです。木場の動きは集中しなくても追えます。小猫ちゃんの力には少し倍加すれば追いつけますし、倍加せずとも技を掛ければ封じれます。朱乃さんの攻撃はガードすれば無傷で受けきれる。部長も消耗は大きくなるでしょうが同じです」

 

「やっぱり、それぐらい離れてるのね。分かってたけどショックね。悪魔と言う種族のアドヴァンテージがあって、これなんだから。まぁ、良いわ。出て来る前にお兄様に堕天使については伝えたからそのうち動く事になるわ。その時は念のため力をかしてちょうだい?」

 

「あら、これは悪魔の仕事、管理者の仕事だからなどと言った事はおっしゃらないんですね」

 

「そんなつまらないプライドは貴女が部活に来たその日に砕け散ったわよ。使えるものは何でも使って、出来る限りの結果を出すわよ」

 

「あらあら、ふふふふ」

 

 俺が知らない所で3年生の駒王学園のお姉様方はこれまでとは違った関係を結べているようだ。まぁ、俺も部活に参加している日常は悪くないけどな。それにしても堕天使を相手にねぇ……レイナーレさんの事も多少は気になるが、アーシアは大丈夫なのかね。そんなことを考えながら俺も置いて行かれない様にゆっくりと歩き出した。

 

 

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