村のみんなはカブーの所に向かって行った。『巨大な怪物が羊を全て食い散らかした』その羊飼いの話が事実であれば、それだけの被害を出しうる存在となれば、魔獣しかないだろう。
「オレ等の頼れる後輩が、ようやく来るのかな」
「……」
楽観的かもしれないが、言い伝えに出てくる星の戦士の力であれば、憎きホーリーナイトメア社にも対抗できるかもしれない。君も次世代の力に期待しているからこそ、この国にたどり着き、住み着いたんだから。
「ね、メタナイト卿?」
「正しく、星の戦士であるか、戦う力があるか、確かめるまでは如何とも出来ん」
「まあ、オレは半分隠居に近いからね。君みたいに直接手助けするつもりは無いから。好きにすると良いよ」
ふと外を見ると日が傾き、空の端が赤く色づいて周囲は暗くなり始めていた。メタナイトは席から立ちあがり、店の入り口とは別の裏口の方へと足を運んで行った。
「話に付き合ってもらい悪かった。それと馳走になった」
先ほどまでメタナイトが座っていた席の前のテーブルには空になった皿がいくつか並べられていた。比較的読みにくい性格の彼だが、料理人の勘で美味いと思ってくれたのは感じ取れた。最後に捨て台詞の様に言い残していくのが少し笑えた。
「お粗末さま。さてと、時間的に客なんて来ないだろうけど。一応少し開けとくか」
メタナイトが食べた皿を片付けて、彼が居た形跡を消してから、わざと慌てたように飛び出して、店の入り口に暖簾を掛けて、営業中であるという事を示しながら、いつも通りのキャラを作って叫ぶ。
「ああ~!?寝過ごしちゃったよ~レストランカワサキ開店だよ~」
宇宙では少しばかり名が売れているから、隠れるためには腕も性格も隠さないとね。とは言え、少しやり過ぎな気もするけど、この村には馴染んでるし、慣れたから良いかな。
「君がオレの料理を食べてくれるのを楽しみにしてるよ。カービィ」
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デデデ陛下が飼っていた魔獣がカービィによって倒された。その話は小さな村ではすぐに広まった。娯楽の少ない小さい田舎の村では情報の伝達は結構早い。後輩はどうやら君のお眼鏡にかなったようで安心したよ。
「まだ、認めた訳では無い」
噂を聞いたオレは、待ち人が現れた事をお祝いしようと、報告に来るであろうメタナイト卿を料理を作って待ち構えていた。部屋の中には祝いの場に相応しい料理が並んでいる。少し多いとは思うが、余った分は彼の部下に持ち帰ってやればいい。
「力を示し、魔獣を降した。それで十分だろう」
「しかし、彼は幼すぎる」
オレの言葉に対して、不安や心配が窺える声色で返してくる。全てが上手くいく訳では無い。何もかも都合よく行く事なんて無いのは、あの時に知っただろう。
「それこそ、先達が育て、導くだけだろう。最後まで見届ければいいだけさ」
使命感が強く、肩に力が入りっぱなしのメタナイトにオレはグラスを渡す、高価といえるようなものではないが、飲みやすく、香りが良い品を選んだ。
「次世代の戦士に」
「……」
黙ってグラスを掲げる彼の姿はかなり様になっている。生粋の戦士である彼が酔いつぶれることは無いだろうが、少しでも気が紛れてくれれば僥倖だ。