独自設定の嵐なので、飛ばしても問題ありません。
タイトルは、アイレムが発売したSTG「R-Type」シリーズから。
「孫氏曰く、知彼知己者、百戦不殆、とも言います。
まずは歴史の勉強をしましょうか。深海棲艦と人類のファーストコンタクトまで遡ってみましょう。」
目の前の細い男、あの妙にハイテンションなオペレーターは、突然そんな話を始めた。
初戦から二日後。
正式にレイヴンになるための必要書類を受け取りに来いと呼び出されたはずなのだが…。いきなり机に座らされたと思ったら、男が講義を始めた。
…私は何故こんな学生染みた真似をしているのだろう。
「彼ら、或いは彼女たちが出現したのは、今から20年ほど前の事になります。
その前から海洋調査チームや漁船の行方不明事件が多発していたため、彼女たちが活動を開始し始めた正確な日時は不明ですがね。
20年前、行方不明となった船を捜索中の軍艦「巡洋艦クロックムッシュ」が初めて正式に彼女たちを確認しました。」
訓練施設どころか、学校ですら習うような歴史だ。
男の意図が分からず、隣に座る夕張も困惑しているようだ。それでも一応手に持つメモに書き込んでいるのは、真面目な気質故か。
…なんというか、表情には諦観すらある。ムラクモでも苦労してたんだろう…。テストドライバーをいきなり実戦に送り込む企業だし。
企業戦士の悲哀に思いを馳せている間も、男の話は続く。
「最初、艦のクルーは人が漂流しているのだと思ったそうです。
スピーカーで呼びかけつつ、救助を試みた彼らは、彼女からの砲撃に度肝を抜かれたことでしょう。」
艦娘やレイヴンの成り立ちから説明する気なのだろうか?流石に遡り過ぎている気がするが…。
「当然彼らも反撃に出た訳なんですが…ここで一つ問題が発生しました。夕張さん、分かりますか?」
「…!えーと、対応している武装がなかったことです。」
「その通り。人間大の水面上標的を想定した武装を装備していなかったことです。このときにはまだ知られていませんでしたが、彼女たちは歩兵用の小銃等では傷一つ付きませんし。」
オペレーターは、こちらにも視線を送ってきた。ニヤニヤと笑っている。真面目に聞いてないと質問しますよって、本当に授業染みてきた。
「深海棲艦が一隻しかいなかったこともあり、クロックムッシュはなんとか敵を撃破。損傷を受けつつも後退できたそうです。クロックムッシュの報告は彼らの上司に大変な衝撃を与えました。
正体不明の敵ということもありましたが、より重要なのは敵が人間大のサイズで軍艦に大きな損傷を与えるに足る火力を保持していることです。」
そこまで言って、男は腕時計に視線を落とす。時間を気にしてる?
「海域の保全と敵の調査を目的に、複数の軍艦が件の海域に出向きました。敵がレーダーを狂わせるという報告がすでになされていたため、肉眼により遠距離から敵を発見。アスロックによる攻撃が行われました。」
歴史の教科書には、第二次接触―セカンド・アプローチとか書かれていたっけ。
「ここでまた問題が発生しました。」
また視線をこっちに送ってくる。ちゃんと聞いているわ。…不本意ながら。
「発見した敵を撃破したは良いものの、アスロックの爆圧を感知したのでしょう、その数倍もの深海棲艦が浮上してきたそうです。敵がこんなにも大群だとは夢にも思ってもいなかった軍は一時後退。
この戦闘記録とクロックムッシュが回収した敵艦の残骸、その分析結果は全世界に公表されました。」
「この報告を信じる国、疑う国と反応は様々でした。しかし、全世界的に船舶の行方不明事件が多発しているのもまた事実。とりあえず調査船を派遣した各国は、各々深海棲艦と遭遇します。この時点で、世界中の海に深海棲艦がいたわけですね。
深海棲艦が全世界に分布しているという事実は、世界を震撼させました。この第三次接触における事実の発覚とそれによって引き起こされた世界の混乱を指して…はい、霞さん。」
「サード・ライトニング。」
「正解です。」
「各国が深海棲艦への調査を繰り返している間にも、彼女たちは存在域を拡大していきました。やがてそれは貿易用の海路にすら到達。各国は海軍による本格的な排除作戦を展開し、対深海棲艦戦線は膠着しました。
一息ついた各国は、頭を悩ませます。
現れる深海棲艦を倒す、というのは対症療法に過ぎませんし…弾薬も無料ではありません。当時は対深海棲艦用の開発が難航し、主力は誘導弾でしたから尚の事です。ミサイルやら何やらって、一発一発が高いんですよねぇ…。
また、遠距離からの誘導は深海棲艦に妨害されるため、対深海棲艦戦では的にある程度接近せざるを得ません。そのため不意打ちにより破損する軍艦も後を絶たず、修理にも多大な金と時間が使用されていきました。
膨れ上がる軍事費の削減のため、各国は対深海棲艦に最適化した装備の開発を開始。この国でも艤装の研究開発機構「TEAM R-type」、その原型である研究機関が設立され、各企業と開発に乗り出しています。――ムラクモも、最初期から開発に加わっている企業の一つですね。」
「この膠着状態も、深海棲艦に航空戦力が配備されたことにより崩壊します。
艦船による攻撃の補助として使用されていたヘリや航空機による低空からの爆撃が使用できなくなったためです。負担が増した海軍が押し込まれる中、ある画期的な兵器が開発されます。
クロックムッシュを始め、各艦が回収した深海棲艦の残骸。それを研究し開発された兵器群。彼らの功績を称え、以後開発される各国の深海棲艦を再利用した兵器は英語のRecycleからとってR兵器と呼称されることになります。
そして日本のR兵器として開発されたのが、貴方方が装着している艤装になるわけです。」
男の通信デバイスが鳴る。
笑みを深めたところを見ると、この連絡を待っていたのか?
「続きはまた今度にいたしましょう。」
「緊急ミッションです。受けますか?」
相変わらず、情報が少ない。
「その前に書類は?ないと出撃できないって聞いたけれど。」
「ああ、それならこちらで記入しておきました。」
渡された書類には、私の署名までなされている。…ちょっと待て。
慌てて内容を確かめる。ネストから行われる支援の説明と雇用についての契約。多少の支援と仲介はするが、基本的には依頼主との間で折り合いをつけろと書いてある。
「書類の最後に拇印だけお願いします。はい、朱肉。」
書類の最後には免責事項が書いてある。一言でいえば…「死んでも自己責任。文句を言うな。」
死人に口はないだろうに。
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レポート2<この作品における設定>
深海棲艦。 突如として現れた人類の敵。ステルス性の高さ、小型さなどにより通常の艦船では対処が難しい。
深海から浮上してくることからこの名がついているが、海面近くにならなければ探知できないため海底から発生しているのか、あるいは移動しているのかすら不明。
非常に小型でありながら軍艦を傷付けるに十分な火力と、膨大な物量、神出鬼没とも称される隠密性で人類と軍の(特に予算を)苦しめる。アクティブステルス…というか電波や通信を妨害する機能が確認されている。
海底通信ケーブルも破壊されているため、各国間の通信は大きく制限されている。
艤装。撃破・鹵獲した深海棲艦のパーツを用いた装備。コアブロックの開発そのものは軍の研究機関「TEAM R-Type」が担当している。RはリサイクルのR。彼らが開発にかける熱意は相当なものがあり、軍需系民間企業にも積極的に情報の開示と共有を行い、日々艤装の開発と強化に努めている。
艦娘。撃破・鹵獲した深海棲艦のパーツを用いた装備を身につけた兵士の総称。戦死者の減少、消費する予算の削減等を目指して開発された。
…ここで目標とされたのは”総”戦死者の減少であり、装着者の生存ではない。たとえ艦娘の損耗率が高くても、通常の軍艦が沈んだ際の千人単位の死者と比べれば…。
又、その損耗率も、繰り返された改良により減少しつつある。
(メタ)逆に考えるんだ、艦娘が深海棲艦になるんじゃあない。深海棲艦から艦娘が作られたと考えるんだ。深海棲艦が沈んだ船を元に体を構築し、ソレを原料として生産されたからそれを利用している艦娘もWW2艦船になぞらえて呼ばれる。(AllYouNeedIsKillでギタイが深海の生き物をもとに生産されていたのに近い。)
…だがこの設定では艦娘たちが過去の記憶を持っているのは装備に侵食を受けていることになる。空が黄昏色に見えてしまう…夏の夕暮れ…というよりかはファフナーやゴッドイーターの連中みたく侵食前提の兵器なんです。きっと。
装備そのものもフォースみたく元をたどれば同じ、というよりはゴッドイーターの神器のように敵から回収するスタイル。せっかく敵が湧き出てくれるのなら回収して再利用しよう的発想。
世界観はガンダムOO位の近未来感。
海路が止まると真っ先に問題になるであろうエネルギー問題はメガソーラーとかで解決してるということで。
次回、mission2 張子の基地