「…ドヤ、カドヤ」
「…あ、ごめんエクシア…どうしたの?」
「なんかぼーっとしてたから…大丈夫?」
「はは…大丈夫、何でもないよ」
そう言うと疑わし気な視線を向けてくるエクシア
「ほんとに大丈夫だから」と言って外の景色に視線を向ける
今の顔見られたら、心配かけちゃうだろうから
そう思いながら過ぎていく景色を眺める私
今向かっているのはリターニア、アーツ技術がかなり進んでいる地域らしい
らしいっていうのも行ったことがないからなぁ…どういう国なのかすら分からない
それにしても最近よくあの夢見るなぁ…
もう過去の事なのに…何で引きずってるんだろうか、私は
いい加減忘れて前を向くべきなのに…あの時の事が脳裏に焼き付いて離れない
本当に…弱いなぁ…私は
いつまでも引きずることしかできないんだから…
「…はい、確かに受け取ったよ、またよろしくね」
「毎度」
そう言って荷物を渡して仕事を終える
今回は結構な件数があるからそれぞれ手分けしてやってる
「これで…最後ってとこかな」
そう言って配達先が記された紙にバツをつける
結構な件数があったが特に何事もなく終わってよかったよかった
多分エクシア達も終わってるだろうし合流しようかな
そう思っていると目の前をサンクタの男が通る
多分観光か何かできているのだろう、物凄く楽しそうな雰囲気を出しながら周りを見ている
が、私の視界に入った光景は違った
『異端が…何様のつもりで生きている…!逃げ出せるなど思うなよ!!地獄に落ちて悔い改めるが良い!!』
「…っ!」
あの時、火事が起きて逃げ出した際に見つかって、戦闘不能にしたサンクタの光景と言葉が蘇る
痛覚などとうの昔に消えているはずの頭に激しい痛みが走り、頭を押さえながらその場に屈みこんでしまう
幸いというべきか、ここは路地裏だから誰かが気づくなんてことはない
だけどその分、痛みは長く続いて孤独な戦いが続く
「…っ!…はぁ…はぁ…!」
そんな痛みが続くこと数分、徐々に痛みが引いて行く
が、自分の情けなさに思わず呆れて涙が出てくる
「はは…何やってんだろうねぇ、私は…」
最近、そこらの街中で名前を知らない同族と会うたびにこれが起きる
同じサンクタとはいえあの連中とは何の関係もない
そんな簡単なことは分かっている、分かっているはずなのに視界はあの時のサンクタ連中を映し出してくる
体格もなにかもが違う、だけど顔があの連中の顔になって視界に入ってくる
そして決まってこういうのだ
『何をのうのうと生きている』
『異端が普通の生活を送っているなど許されない』
『実験動物が呼吸すらしてもいいと思っているのか?』
『さっさと戻って我々の実験動物に戻れ』
『我々の偉大な研究から逃げ出せると思っているのか?』
『絶対に許さない、捕まえたら徹底的に教えてやる、お前がどんな悪魔なのかということを』
と
無論あの連中とは何の関係もないなんてことは分かっている、それが幻覚幻聴だってことも、所詮は過去の亡霊だってことも
だけどあの夢を見るようになってから、街中にいるサンクタの男女があの施設の連中やあの国家で石を投げつけてきた連中の顔になってそう言ってくる
幻覚だ、もう過去とはおさらばしたんだ
そう言えたらどれだけ良いのだろうか、どれだけ楽になれるんだろうか
だけど過去にこれでもかというほど太い鎖で縛られている私にはそんなことはできない
振りほどいてもまたすぐ絡まってくる、そんな鎖
モスティマやエクシア達に相談もできない、これは私の問題
私のそんなくだらない問題に巻き込みたくない
「もう、行かないと…」
そう言って立ち上がると、ふらふらした足取りで歩き出す私
エクシア達と合流したときには、既に何ともなかった
『っっっっっっっっっっっっっっ!!!!??!??!?!?』
『暴れるんじゃねぇ!この異教徒が!』
『うーむ、ここを刺したらこんな感じか…では次はここだ』
『むぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?!!?!!!?!!?』
『おい、暴れさせるな、折角の実験の成果が分からないだろう』
『はっ、申し訳ありません!』
『全く…次はここだ、しっかり押さえておけ、釘か何かを打ち込んで固定しても構わん』
『わかりました!おい!釘を持ってこい!』
『んん!?んんんんんんんんん!?!?!!!?!?!』
『うるさい!黙ってろ!』
『んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?!?!!!?!?!?』
「っっっ!?」
思わず寝ていたベットから飛び起きる
息を荒げながら周りを見渡せば、何処にでもあるような宿の一室
隣を見てみれば、寝間着を着たエクシアが穏やかな顔で眠っていた
「はぁー…はぁー…またか…くそ…」
荒れている息を落ち着かせながら悪態をつく
ここ最近、というより1週間に5回はあんな夢を見て飛び起きる、そんな夜が続いている
幸いなことに大きな声を出して飛び起きるなんてことはモスティマの時以来やっていないから大丈夫だけど
「むにゃむにゃ…カドヤぁ…」
そう言って頬を擦り寄せてくるエクシアの頭を撫でる
今の私はひどい顔色をしてるんだろう、そんな自覚がある
エクシア達は日々を楽しく生きている、未来も楽しみに生きている
それに対して私はどうだ?過去の亡霊に縛られたままで何も変わらない
そしてそれを振りほどくどころか、寧ろ益々締め付けをきつくしている始末
だけど一人じゃどうにもならない、過去を乗り越える勇気なんてないから
誰かに相談もできない、他人に迷惑をかけるべきじゃない
だけど…どうにもならない、どうしたらいいのかもわからない
誰か教えてほしい、どうやったら脱却できるのか、どうやったら乗り越えられるのか
そんなことを考えていると、頬に違和感を感じる
指で触れてみると指先が濡れており、そこで初めて自分が泣いているのだということに気付く
「はは…情けないなぁ…本当に…」
そう言って手の甲で雑に涙をぬぐった後、再び横になる
あの夢は一度起きたらもうその日は出てこないというのは分かっているから寝れると思う…多分
だけど…みんなどうやってこういうことを乗り越えているのかが分からない
もし分かっているなら教えてほしい、どうやって乗り越えたのかと
迷惑なのは分かってる、知らないよという気持ちも分かってる
でも、教えてほしい、私にはわからない
…ダレカ、ワタシヲ、タスケテ
「…あ、カドヤ、起きたかい?」
「う…ん…?」
目を覚ませばモスティマの顔が視界に入る
どうやら膝枕をされていたらしい、ぼーっとする頭を持ち上げようとすると「まだ寝てていいよ」って言ってモスティマの膝の上に寝かされる
どうやらリターニアから既に出て帰っている途中らしい、周りを見れば運転しているテキサスとその隣に座っているエクシアの姿があった
「くぁ…どれくらい寝てたの…?」
「宿で起こそうとしたんだけどなかなか起きなくてね、時間もなかったからもう車に運んじゃえってなったんだ、寝顔可愛かったよ?」
「まじか…ごめんな」
というか私そんなに熟睡してたのか…何が原因…は言わなくても分かってるね…
ハハハ…モスティマ達にも迷惑かけちゃうなんてなぁ…何やってんだろ私
「いいのいいの、寧ろ役得だったからさ」
そう言うと傍らに置いていた袋から何かを取り出すモスティマ
取り出したのはおにぎりやジュースなどの朝飯
どうやら私が寝ている間に買ってきてくれたらしい
「お腹すいてるだろうから買ったんだけど…食べる?」
「ん…食べる…」
そうして朝飯を食べた私、無論いつもの様にあーんをして食べた
感想がやる気の源なので感想をくださいお願いします
あとお盆はできたら一日2話投稿しようかなとも思っております
あとどうでもいいけどエターナルってかっこいいよね
闇堕ちルート続きいる?
-
いる
-
別にいい
-
本編でモスティマ達もっと曇らせて
-
監禁ルートを望む