汚染物質の研究が一区切りついて数日ぶりに自宅に帰ることができるようになった。
今回の実験でわかったことは、汚染物質は生物を媒体にしない限り増殖することは出来ない。つまり現在地球上に存在する全ての汚染生物を排除すればこの地獄は終わるということである。
しかしその方法が、全く浮かんでこない
まぁ、いつまで考えていても仕方がない、気楽に考えよう。
電車に乗り、揺られること十数分。眠気と戦いながら目的の駅に着くまで待つ。
駅に着いた後は数分かけて自宅まで歩く。最低限の明かりのみが灯された街中は異様に静かに感じられる。
入り組んだ道を歩き続ける、見慣れた曲がり角を曲がると国に支給された自宅に着く。
するとどうだろうか、我が家の前になんとも言えない形状をした生物が這いつくばり、街灯に照らされているではないか。
一見、少女のようにも見えるが異常に痩せた身体と両肩から伸びる触手が人外であることを主張している。
実に知識欲が掻き立てられる外見をしている。
「言葉は理解できるかい?」
そう声をかけてみるがこちらをじっと見つめるだけで、返事はない
その黒く濁ったルビーのような美しい瞳で見つめられるとまるで魂が吸い込まれるような感覚に囚われる。その瞳からは敵意や警戒心は感じ取れず、どちらかというと好奇心のようなものが伝わってくる。
首輪などは見当たらないので連れ帰っても問題はあるまい、そのように考え、持ち上げる。身体は羽のように軽く、その肉体の脆さを表しているようにも感じられる。
ドアを開け、これを部屋に放す。何からしようか、思いつかない、
そこで私は、自分以外の人から案を取り入れれば良いと思い立った。
つい最近復旧されたインターネットを使いスレッドに書き込む。
ー突然で悪いんやけど相談させて!ー
スレ民達と雑談を交えながら謎の生物を拾った事を話す。
安価によって、まずはこれを洗う事に決まった。
風呂場に連れていき人肌程度の温度の湯をかける。湯をかけられても少し反応しただけで特に嫌がる様子は見当たらない
しかし視線は私の事を見つめ続けている。
何で洗えばいいのか分からず、自分の使っているものと同じ洗剤で洗う。
手にシャンプーを乗せ、少し泡立ててから頭部に触れ優しく掻くようにして泡立てていく。
こちらに身を委ね、目を瞑り頭を洗われている姿は、安心仕切っているように見える。髪を一通り洗い終わりゆっくりお湯をかけていく。
次に体を洗っていく、背中や腹は人間の肌と同じような質感をしているが、触手の部分は筋肉質で固く、ゴムのような手触りをしている。
ちなみに生殖器の様なものは確認できなかった。
洗い終わり風呂場から出してタオルで身体を拭く。水滴がなくなったら床に放し、餌の用意をする
餌として袋の中にあった食料を与える、最初は何かわからず見つめていたが、同じものを袋から出し食べることでこれは同じように食べ始めた。
スレッドに風呂から上がった事を伝えると、新しく安価をすることをねだられる。
次の安価ではこの生物の名前を決めることになった。安価の結果この個体は今日から「タマ」と呼ぶことに決まった。
明日も早くから仕事があるのでもう寝ることにする。
タマをクッションに寝かせ私もソファーの上で眠りにつく、
いつもは憂鬱な明日が、何故か楽しみだ
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本格的にタマちゃんが話の中心になるのはもうちょいあとです。
最後まで読んでくださりありがとうございますm(*_ _)m 面白かったらまた次回もお読みください、ほな(=゚ω゚)ノ