一度目の模擬戦が終わり、一時間の休憩の後、俺は再び空へと上がった。
「それじゃあ始めようか!」
慣らしが終わった頃、通信が聞こえた。
今日二度目の模擬戦相手はカールスラントが誇るエースの一人、「ヴァルトルート・クルピンスキー」中尉。得意とする戦術は格闘戦、固有魔法はマジックブースト。使用するユニットは「メッサーシャルフ Bf109G-6」、使用武装は「MP43」。
対してこちらは管野中尉との模擬戦時とは違い、先日のネウロイ撃墜時に使用していた「J7W1 震電」のカスタムタイプ。こいつは宮藤芳佳曹長が使用している試作型以上の性能が出せるように、量産型に搭載されていたリミッターを取り払って、試作型に使用されたパーツを一部移植した非デチューン機。エンジンもカリカリにチューンしたもので、かなりのじゃじゃ馬と言える。かなりの魔法力が必要な機体だが、魔法力の量
「あぁ、始め方はさっきと同様で」
「うん、そうしよう。それじゃあ、頼むよカンノちゃん」
今回の審判は管野中尉。
「あぁ……勝てよ、クルピンスキー」
「お、珍しくデレてくれた!」
「う、うっせーな!!模擬戦はじめ!」
恥ずかしさを誤魔化すように、かなり張った声の開始宣言をする管野中尉。同時に少し離れていた両者ともに相手に向かって一気に速度を上げていく。それ違った瞬間に始まる勝負。どんどん中尉の顔が近づいていく。あと、1000、900、800……いま!
中尉の顔が横を通り抜ける。さっきと同様、上昇姿勢を取ると、エンジンの回転数を上げ、限界まで出力を引き出す。必要以上の魔法力を放出し、固有魔法の性質変化を空気に使用し、空気の密度を変化させ、吸気口に空気を大量に送り込む。セオリー通り、相手の上を取るつもりだが……中尉の方を向くと、俺より若干低い高度にいる。ある程度上昇すると、水平飛行に移行し、中尉から距離を取った。警戒すべきは彼女の固有魔法、「マジックブースト」。魔法力を一気に開放し、機体に負荷を加える代わりに、とてつもない加速力を得る。近ければ後ろを取られ、離れれば間合いを一気に詰められる。
射程はこっちのほうが長いので、この距離なら固有魔法に注意しつつ、距離を保てばよいだろうか。MGを構える。予備弾倉含め、残弾は150発。そこそこあるが、今回の戦い方を考えると、無駄撃ちできる量じゃない。タイミングを見極め射撃するしかない。
「撃ってこないのかい?それじゃあ、こっちから行くよ!!」
そう言うと、中尉は距離と高度を詰めてくる。バイポッド左手でつかみ銃口を中尉に向け、引き絞り、当てられる当てられる距離まで引き付け……引き金を小刻みに引き数発ずつ射撃する。なるべく格闘戦に持ち込まれないよう距離を取りつつ、撃つ。が、見事に避けられる。さすがトップエースといったところか。
「やるっ」
「まだまだ、こんなものじゃないよ!!」
ゾクッとする。瞬間、中尉が視界から消えた。一瞬だった。間違いない、「マジックブースト」だ。
「ここだよ!」
振り向くと、こちらへ銃口を向ける中尉がいた。とっさに左腕にシールドを展開する。その瞬間、シールドに当たった弾丸が弾け、黄色いインクが飛び散る。
「危なかった……一瞬でケリをつけられるところだった」
「やれたと思ったんだけどな〜久しぶりだよ、ボクのマジックブーストに対応できるなんて」
「管野中尉にも言ったけど、伊達に中尉はやってないんだ」
「みたいだね。流石だ」
互いに少し距離を取り、仕切り直す。
このまま再び距離を取るか、それとも、いっそ格闘戦に持ち込むか……機動性はこっちのほうが上だ。やれないことはないが、管野中尉と常に行動している中尉相手に剣一閃が刺さるとは思えない。となれば、別の手段を取るべきか。まだ
「なら、格闘戦に持ち込んで、あの技を使うか」
MGを構え直し、中尉との距離を詰める。
UA1500超ありがとうございます。