リンカーウィッチ   作:Pz.III

2 / 13
ハロー・ブレイブ

あのあとすぐにカタヤイネン曹長を救出し、502JFW(ブレイブウィッチーズ)の基地へと戻る。輸送機はすでに到着しており、荷下ろしもすでに始まっていた。

 

「とりあえず、物資は無事かな。ユニットの調子は良かったし、ブレイクのみんなも無事みたいだ」

 

「滋中尉、お疲れ様です」

 

「城野少尉もお疲れ様」

 

彼女は城野 清子(しろの きよこ)少尉。俺の副官という名の相方だ。俺の相方にするにはもったいないほどの技術と判断力を持った、頼もしいウィッチだ。おまけにナイスバディの黒髪ポニーテール美少女ときた。もともと男だった俺には刺激が強すぎる。俺は身長はそこそこ(当者比)だが、いろいろと貧相な体してるし、そういう意味では羨ましいというか、なんというか。

 

「トプシーの護衛を任せきりにしてしまった、申し訳ない」

 

「慣れていますから。あなたが仕事ほったらかして別のことをしだすのは、よくあることですし」

 

「ま、それもそうか」

 

彼女の目つきが鋭くなる。そんなに睨まんでくれ、君が怒るとそこそこ怖いし。

 

しばらくすると彼女の目元は元に戻り、いつも通り冷静な声で話し始めた。

 

「……今後の予定ですが、今日中にグンドュラ少佐に到着の報告を行っておいてください。補給物資の受け渡しを明日行い、明後日から基地の監査を行います。書類の提出命令は行っていますが、一応、あなたからも提出の催促をしておいてください」

 

「わかった。ウィッチに対する監査は俺がやるから、お金や物資に関連することは君に頼む。最前線だし、ただでさえ補給が少ないオラーシャなんだ。いつも通り、多少の不正は大目に見といてくれ」

 

「了解しました……とは言いたくないですが、その分あなたが()()()()()をこなしてくださるなら、その命令に従いましょう」

 

「わかってるよ。これからグンドュラ少佐に挨拶をしてくる。君はここを頼む」

 

「了解しました」

 

彼女の敬礼を一瞥すると、俺は格納庫を出てグンドュラ少佐のところへ向かった。

 

-----

 

目の前の大きな木製の扉を3度ノックする。

 

「入れ」

 

この基地の隊長である、グンドュラ・ラル少佐の声が聞こえてきた。アニメで聞いた声と同じ、クールな声だ。

 

「失礼します。扶桑海軍魔女監査部第四課実働部隊所属、滋 武美(しげる たけみ)中尉であります。本日は扶桑を含めた各国から監査の命令を受けると同時に、補給物資の輸送のため着任いたしました」

 

敬語はどうもなれないな、なんて考えながらグンドュラ少佐に敬礼をする。

 

「君が武美中尉か。話は聞いている、楽にしてくれ」

 

「はっ!」

 

敬礼をやめ、楽な姿勢になる。

 

「監査か……別に不正などしてはいないが」

 

「疑っているわけではありませんよ。定期監査とは別に、抜き打ちの監査をしなければならなくなっただけです。会計書類と補給書類の提出をお願いします」

 

「わかった。てっきり昔の悪事がばれてしまったのかと思った」

 

「冗談はよしてください」

 

「そういやこの人、スツーカ大佐にJU87横流ししてなかったか?」なんてことを思い出し、危うく吹き出しそうになるのをこらえる。

 

「書類はサーシャに渡してある、あとで受け取っておいてくれ。滞在はどのくらいの期間だ?」

 

「3週間を予定しています。人数分の物資は持参してきました」

 

「わかった。部屋は用意してある。あとで隊員に案内させよう」

 

「ご配慮感謝いたします」

 

「なに、これくらいなら問題ない。むしろもっと長くいてほしいくらいだ。二パから聞いたが、なかなかの腕を持っているみたいじゃないか」

 

お、スカウトか。人手不足だしな、監査部とかなんかにいるより、前線にいてくれた方が嬉しい気持ちは大いに理解できるが、そういうわけにはいかないんだな、これが。

 

「お褒めに預かり光栄です。しかし、私には私の仕事がありますゆえ」

 

「そうか。それならば仕方ない」

 

なんて言ってるけど、目は仕方ないなんて全く思っていないように見える。

 

「その代わりと言っては何ですが、滞在期間中の戦闘の支援と、模擬戦なら行えます……というより、ウィッチの戦闘能力も監査対象ですから、模擬戦という形で行っていただけると正確なデータが取れるので嬉しいのです」

 

「わかった。3週間よろしく頼む」

 

とりあえず、用件はすべて伝えられたかな。

 

「えぇ、こちらこそ。それでは失礼します」

 

敬礼、すぐに後ろを向きドアの前に立ち少佐のほうに向かいなおす。

 

「失礼しました」

 

とだけ言ってドアを開け、格納庫に戻った。




グンドュラ少佐ってこんな感じであってる?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。