あのあとすぐにカタヤイネン曹長を救出し、
「とりあえず、物資は無事かな。ユニットの調子は良かったし、ブレイクのみんなも無事みたいだ」
「滋中尉、お疲れ様です」
「城野少尉もお疲れ様」
彼女は
「トプシーの護衛を任せきりにしてしまった、申し訳ない」
「慣れていますから。あなたが仕事ほったらかして別のことをしだすのは、よくあることですし」
「ま、それもそうか」
彼女の目つきが鋭くなる。そんなに睨まんでくれ、君が怒るとそこそこ怖いし。
しばらくすると彼女の目元は元に戻り、いつも通り冷静な声で話し始めた。
「……今後の予定ですが、今日中にグンドュラ少佐に到着の報告を行っておいてください。補給物資の受け渡しを明日行い、明後日から基地の監査を行います。書類の提出命令は行っていますが、一応、あなたからも提出の催促をしておいてください」
「わかった。ウィッチに対する監査は俺がやるから、お金や物資に関連することは君に頼む。最前線だし、ただでさえ補給が少ないオラーシャなんだ。いつも通り、多少の不正は大目に見といてくれ」
「了解しました……とは言いたくないですが、その分あなたが
「わかってるよ。これからグンドュラ少佐に挨拶をしてくる。君はここを頼む」
「了解しました」
彼女の敬礼を一瞥すると、俺は格納庫を出てグンドュラ少佐のところへ向かった。
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目の前の大きな木製の扉を3度ノックする。
「入れ」
この基地の隊長である、グンドュラ・ラル少佐の声が聞こえてきた。アニメで聞いた声と同じ、クールな声だ。
「失礼します。扶桑海軍魔女監査部第四課実働部隊所属、
敬語はどうもなれないな、なんて考えながらグンドュラ少佐に敬礼をする。
「君が武美中尉か。話は聞いている、楽にしてくれ」
「はっ!」
敬礼をやめ、楽な姿勢になる。
「監査か……別に不正などしてはいないが」
「疑っているわけではありませんよ。定期監査とは別に、抜き打ちの監査をしなければならなくなっただけです。会計書類と補給書類の提出をお願いします」
「わかった。てっきり昔の悪事がばれてしまったのかと思った」
「冗談はよしてください」
「そういやこの人、スツーカ大佐にJU87横流ししてなかったか?」なんてことを思い出し、危うく吹き出しそうになるのをこらえる。
「書類はサーシャに渡してある、あとで受け取っておいてくれ。滞在はどのくらいの期間だ?」
「3週間を予定しています。人数分の物資は持参してきました」
「わかった。部屋は用意してある。あとで隊員に案内させよう」
「ご配慮感謝いたします」
「なに、これくらいなら問題ない。むしろもっと長くいてほしいくらいだ。二パから聞いたが、なかなかの腕を持っているみたいじゃないか」
お、スカウトか。人手不足だしな、監査部とかなんかにいるより、前線にいてくれた方が嬉しい気持ちは大いに理解できるが、そういうわけにはいかないんだな、これが。
「お褒めに預かり光栄です。しかし、私には私の仕事がありますゆえ」
「そうか。それならば仕方ない」
なんて言ってるけど、目は仕方ないなんて全く思っていないように見える。
「その代わりと言っては何ですが、滞在期間中の戦闘の支援と、模擬戦なら行えます……というより、ウィッチの戦闘能力も監査対象ですから、模擬戦という形で行っていただけると正確なデータが取れるので嬉しいのです」
「わかった。3週間よろしく頼む」
とりあえず、用件はすべて伝えられたかな。
「えぇ、こちらこそ。それでは失礼します」
敬礼、すぐに後ろを向きドアの前に立ち少佐のほうに向かいなおす。
「失礼しました」
とだけ言ってドアを開け、格納庫に戻った。
グンドュラ少佐ってこんな感じであってる?