「何事もなければ、昨日届いた補給物資で次の補給まで持ちそうです」
「そうか。何事もなければいいな」
「縁起でもないですね」
話しながら入ってきたのはグンドュラ・ラル少佐、アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉、そしてエディータ・ロスマン曹長。
「もう来ていたのか」
少佐が俺と城野少尉を向いて無愛想に話す。話している間に三人とも席に座った。
「えぇ、昨日は二食しか食べていないので。お腹と背中がくっつきそうです」
「下原の飯はうまいぞ。ジョゼがつまみ食いをやめないぐらい」
少佐の得意げな顔。自分のことでもないのに。飯が上手いことまで知っていてヘッドハンティングした……ありそうだな、なんて。となれば、不味いな。西住大尉が盗られたりしないだろうな。
「それに、二人と一緒に料理をしている奴がいるな」
げ、気づいちまった。やべ。
「あぁ、西住美智子大尉です。うちの陸戦ウィッチで、料理も上手なんだ」
と、こちらも得意げな顔。自分のことじゃないけどね。
「ほう……ストライカーの回収班に所属するウィッチがもう一人ほしかったんだ。どうだろうか、サーシャ」
「いいですけど……予算を増やさないと」
「そうか……」
いや、そうかじゃないが。心配は心配してる間が一番いいのに……杞憂で終わってほしかったな。
「あげませんよ?」
「ふっ……冗談だ」
この人の冗談は全く冗談に聞こえないから怖い。あの手この手で人を引き抜く様は、前世でも、現世でも見てきた。
「ご飯できましたよ!」
話が終わったタイミングでルマール少尉がご飯を運んできた。皿の上の食事を食べながら。
アニメで見た通りの食いしん坊だなと、ある意味感心してしまう。キッチンから出てきたということは、下原中尉の料理の味見でもしていたのだろう。その後ろから下原中尉が料理を持ってきた。
「あなたがルマール少尉ですね?」
城野中尉がルマール少尉に話しかける。ルマール少尉はもぐもぐと口に含んでいたものをよく噛んだ後、ゴクンと飲み込む。
「あなたは……昨日の夜にやってきた扶桑のウィッチさん?」
「えぇ、そうです。私が城野清子少尉、隣に座っているのが滋武美中尉です。キッチンにいるのが……」
城野少尉が手で示しながら説明していく。説明されているルマール少尉の後ろでちょっと申し訳なさそうに料理を持ったままの下原少尉。うん、昨日あんなことされたからね。
「ふふふーん~であります♪」
と、そんなキッチンから西住大尉が料理を持ってきた。瞬間、「ガタッ」と、椅子から立ち上がる音。音の方を見ると、そこにいたのは目をキラキラとさせたクルピンスキー中尉。
「デカいな……」
「……失礼ですよ」
と、ラル少佐とロスマン曹長。曹長の目は西住大尉の方というより、クルピンスキー中尉の方をにらんでいる気がする……気のせいかな、なんて。ほかの人を見てみると、俺と城野少尉とキッチンにいた二人以外、西住大尉の方を見ていた。そりゃそうだろう。なんせ、身長183㎝の高身長でバストは1m越え。のわりにスリムだし。扶桑人らしからぬボンキュッボンと言えば分かり易いか。高級軍人特有の気品良さがありながら、そのわりに無邪気に笑うから、モテるんだよなー、彼女。とか思ってると、クルピンスキー中尉が大尉に近寄ってゆく。
「君が西住大尉かい?」
「そうであります。あなたは確か……クルピンスキー中尉でありますね?」
「うん、そうだよ、名前を知ってくれているなんて嬉しいな!」
「身を寄せる基地の同僚の名前を覚えるぐらい、礼儀であります」
と、会話を弾ませながら、どんどん口説き文句を言っていく。よくやるね、中尉。でも、まぁ、無駄だと思うけどね。だって……
「どう、今夜一緒に
「よい提案ですが、お断りであります。戦争が終わるまで
「えっ!!」
そう、西住大尉には夫がいる。入籍していないので法的に夫ではないものの、そういう関係にある人間がいるのは確かだった。
「さて、オチもついたことだ、食べようじゃないか」
ラル少佐が咳払いをしてから一言。それを合図に立っていた人が席に座り、食事を始めたのだった。
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「滋中尉」
食事が終わり部屋に戻ろうとすると、ラル少佐に呼び止められる。
「模擬戦の件だが、今日から頼めるだろうか」
あぁ、あの話か。
「すいません少佐、今日は仕事がありまして。明日からなら可能です」
「そうか、わかった。ロスマン先生に伝えておく」
「お願いします」
それだけ言って部屋に戻ろうとしたとき、言い忘れたことがあることに気が付いた。
「あ、一つ言い忘れたことが……」
「なんだ?」
同じく自分の部屋に戻ろうとした少尉がこちらの方を向く。
「『模擬戦は一日おきに二人ずつお願いします』と、伝えておいてください。仕事がありますから」
「わかった。それも伝えておこう」
それだけ言って、少佐は自分の部屋へと向かっていった。
日を跨いでかくなぁぁぁぁぁぁぁああああ!