リンカーウィッチ   作:Pz.III

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カンノ・デストロイヤー

「装備はどうするか……相手がだれかにもよるが」

 

翌朝、俺は戦闘用のコートを身にまとい、ブレイブウィッチーズの誰と戦うのだろうかと考えながら格納庫へと向かっていた。「一日おきに二人ずつ」とは言ったが、こちらから誰と戦いたいとは一言も伝えていなかった。おそらく、ロスマン曹長がもう決めてくれているか、格納庫でこちらから指名、もしくは自己推薦か。できれば管野中尉かクルピンスキー中尉と戦いたいんだが。

 

「…………です。気を抜かないように」

 

お、ロスマン先生の声が聞こえてきた。格納庫に入ると、そこにいたのはブレイクの面々。

 

「お早うございますロスマン曹長」

 

「お早う滋中尉。隊長から話は聞いたわ。この子たちのことよろしく頼むわね」

 

「了解しました」

 

「もう説明は済んでるわ。あとはお願いね」

 

そう言ってロスマン曹長は格納庫の出口の方へ向かっていった。仕事でもあるのだろうか、まあいいや。

 

「てことで、この基地でお世話になる間、模擬戦の相手を任された滋武美中尉です……って、知ってるか」

 

……話すことがない。てっきりロスマン曹長が誘導してくれると思ってたんだがな。

 

「先生から話は聞いてる、模擬戦だろ。まずは俺とやろうぜ!」

 

どう始めようかと思っていたところに管野少尉が我先にと手を上げる。

 

「な、カンノちゃんずるいよ。僕からだ」

 

「私も!」

 

「ワタシもやりたいな」

 

と、ほかのウィッチが菅野少尉に続く。ちょっとがやがやとした後、こちらに判断をゆだねるといわんばかりの目線……というか「私(オレ・僕)を指名して」という目が正しいかな。

 

「うーん……今日は管野中尉とクルピンスキー中尉とやろう。最初に管野中尉。次にクルピンスキー中尉。管野中尉には最初に出会った時、『助けは要らなかった』と言われたからな。本当に要らなかったのか、俺はそれを知りたいんだ。クルピンスキー中尉の戦闘は直接見ることができなかった。だから中尉の飛び方が気になる」

 

と、気になる二人を指名する。指名された二人は喜びの表情、一方残る二人は不満があるような表情。

 

「ま、しばらくこの基地に居るし、俺の戦い方を見てからのほうが戦いやすいだろ?それじゃ管野中尉、準備をしてきてくれ。『弾は演習用のペイント弾、固有魔法、シールドの使用を許可、先に被弾した方が負けとする。』でいいな」

 

「おう、実力を見せてやる」

 

そう言って管野中尉は自分のストライカーユニットの方へと向かった。

 

「ま、三人とも見といてくれよ。あんまり俺の動きは参考にならないかも知れないが……面白い模擬戦を見せるからさ、なんてね。あ、クルピンスキー中尉、開始の合図お願いね」

 

そう言って自分のストライカーユニットに向かった。

 

-----

 

「中尉は……紫電改か」

 

「そういうアンタはゼロ戦か。にしては形状が変じゃねぇか?」

 

上空、模擬戦前のならし飛行中。互いに相手の方を見ながら青空を白い飛行機雲で染めていく。管野中尉の紫電改は俺の零戦よりも旋回性が若干低い。が、その他の性能は零戦より良いと聞く。さらに、彼女の得意戦術は主にドッグファイト。なめてかかって相手のペースに乗せられたら勝つのは厳しいだろう。

 

「かもね。こいつは零戦の中でも最新型の六四型だからな」

 

と言いながらその場でクルリとロールして見せる。うん、さすがの機動性。

 

「……そろそろ温まって来たんじゃない?」

 

「だな……やるか」

 

こっちもあっちもイイカンジ。模擬戦の開始空域に向かって飛び、ホバリングする。両者が向かい合う。模擬戦前特有のピリピリした感じ……イイね、この空気感。

 

「開始前にちょっと時間をくれないか?」

 

「ならし飛行中に済ませときゃよかったじゃねぇか……まあいいぜ」

 

「ありがと。そんじゃお礼に一つ忠告しとくよ」

 

そう言って両手に構えていたMP40を上空に投げる。自分の手元に帰ってくる前に戦闘用のグローブを着けていく。

 

「君の使ってる固有魔法……たしか超硬シールドだっけ?」

 

「ああ、そうだ」

 

「あれ、自分だけの『技』だと思わない方がいいよ……と」

 

話し終えると同時に落ちてきたMP40をキャッチし、構える。

 

「さぁてと……行きますか!クルピンスキー中尉、合図よろしく!」

 

「オッケー……それじゃ、模擬戦はじめ!」

 

クルピンスキー中尉、の合図とともに二人とも距離をとる。ある程度距離が取れたら、両者ともに相手に向かって一気に速度を上げた。真の開始の合図は両機ともそれ違った瞬間。

 

「3、2、1、0!」

 

中尉の顔が横を通り抜ける。俺はすぐに体を上へとそり、上昇態勢をとった。中尉はというと、同じく上昇中。空戦は上をとる方が優位。が、上昇性能はあっちが有利か。ここで大技を使うかとも考えるが、その名の通りな大技。ピンチでもないのに使う必要はないなと思いなおす。上昇性能で勝てないのであれば、こちらから行かず、受け身な姿勢をとった方がいいだろうと考え、相手の動きを見る。こちらの上昇性能があちらに勝てないのに気づいたのだろう、口元をニヤリとさせると、上昇をやめ、早速撃ってきた。

 

「喰らいやがれ!」

 

「シールド展開!」

 

左腕を体の前に構え、シールドを展開する。普通のウィッチならば手を正面に構え、魔方陣を展開し防御態勢をとることが普通だが、俺の場合、魔法繊維で編まれたコートに魔力を流し込み、シールドを発生させている。あまり見ない方法だが、人型で飛ぶ戦闘機と言えば、個人的にはこっちの方がしっくりくる。なにより、この状態なら……

 

「そこだ!」

 

ダダダと、シールドの隙間から三連射。片腕が開いているからこそできる芸当だ。

 

「うぉっと」

 

ま、このくらいなら避けるよな……さすがはエース。が、避けたすきを見逃しはしない。シールドを解除し、MP40を二丁とも構え、撃つ。通常の二倍の弾が中尉へと向かっていく。

 

「うおっ!なかなかやるじゃねぇか」

 

一瞬驚いたようなそぶりを見せるが、するりとかわされる。その間にも未だに上を取られたままだが、距離が縮まっていく。相手に攻撃の隙を与えさすまいと連射してゆく。

 

「ここ!」

 

急加速。中尉の懐に飛び込む。が、しかし。

 

「させねぇ!」

 

「くっ!」

 

加速の隙を狙われ、回避のため勢いが殺されてしまう。

 

「さすがに手ごわいね、中尉」

 

「伊達に502のウィッチをやってるわけじゃないからな!」

 

「みたいだな……そんじゃこっちも……伊達に中尉をやってるわけじゃないんでね、本気を出そうじゃないか!」

 

両方のMP40の弾奏を外し、腰の弾奏ホルダーに給弾口を差し込み新しい弾を込めた。




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