「夏油様ですか!? 最強コンビのファンです! お仕事お疲れ様です! これ、使ってください!」
「あ、ありがとう……?」
変なウサギの式神が渡してきた、なんだかよくわからない物の中に、目元を温める癒しグッズを発見して、なんとなくクスリと笑う。
顔をあげると、既に消えていた。
なんだったんだろう。
とりあえず、呪力を感じなかったアイマスクを車の中で使った。少し休めた気がした。
後の呪具は悟に見てもらおう。
その二日後。
「傑、変な術式掛けられてる」
「え?」
まさか、悟じゃなくて硝子に言われるとは。
硝子はすぐに悟に電話する。
「とりあえず、血液検査させろ。あと、すぐ治療させろ」
「???」
体の検査をするにあたり、問答無用で眠らされた。
気がついたら、悟が横にいて、ウケる、と笑った。無理した笑みだった。
「お前さ、無理すんなよ」
「よっぽど酷い呪いが掛かっていたのかい?」
「お前、自分では見えなかったのか?」
「何が?」
「今も出てる。HPゲージとMPゲージと呪力ゲージ」
「は?」
「そうとしか言いようのないゲージがお前の頭に出てるんだって。ついでに言えば、状態異常のマークも」
「状態異常?」
「脳萎縮にトラウマに過労に毒状態に味覚障害に睡眠不足。HPは半減、MPなんて九割減」
「何それ」
「とりあえず、睡眠不足と過労は消えたな。硝子に感謝しろよ。それに、お前に術式使った奴にも」
「全然覚えがないんだけど……あ、そういえば、ファンだって人に手を握られた」
「何それ」
「癒しグッズと小瓶みたいなのと変な虐待に対する対処法のマニュアル」
「何それ、虐待されてるって? かもな」
「悟……?」
「ごめんな、気づいてやれなくて。俺、毒の警戒はしてたけど、傑の方までは気にしてなかった。これから対処方法教えるから、傑も気をつけておいてくれ」
「ああ、でも私、これから呪力と体力と精神力が人の目に見える状態で生活しろってことかい……?」
「術者が見つからない限りそうだろうな。とにかく、今は療養しろ」
そして、渡された小瓶を見る。
「術式を掛けたやつに対する回復効果をもつ呪具だ。使っとけ」
それから、私はしばらく療養した。
私の所に一度読んだら消える手紙が届くようになった。
私を褒める言葉。私を諌める言葉。私を励ます言葉。私を叱責する言葉。
そして、必死で先生を薦めてくる言葉。
なんだか、私が悪堕ちする前提なのが気になるけど、とにかく手紙は私を元気付けてきた。
双子を拾ったら夏油様と呼ばせないように、って。頼まれても呼ばせないよ!
後日、本当に双子を拾って、彼らに夏油様と呼ばれたので悟に相談した。
もしかして、2人組とかかもって言ってた。未来視とパーティ登録とかね。
ウサギの式神の目撃報告がたまに出るようになった。
ウサギにはゲージがあったそうなので、間違いない。
灰原と七海も助けられたそうだし、勧誘したいよね。
そして、ついに一回も投資に失敗したことがないという青年を突き止めた。