ジュエルペットてぃんくる★さどにす   作:Dr.クロ

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宝石の名を持つ存在ジュエルペット、そんな不思議な存在と出会うのは不思議な少女であった。


第一話~不思議な2人と1匹のウサギでどっきどき!~

それは不思議な不思議な出会い…

 

幼き頃、ふと気付いた時から彼女は自分の中にいた。

 

寂しい時や悲しい時に慰めてくれたり、悪い事をした時は説教をしてくれて、嬉しい時は一緒に喜んでくれた。

 

そんな彼女と長く時を過ごし、桜あかりは6年生になった始業式の日で新たな出会いを果たす事で物語は始まる。

 

 

鼻歌を歌いながらあかりは制服の胸リボンを整えていた。

 

『ラッキーカラーは赤、それでは続いて、今日のアンラッキー星座は…蟹座です』

 

あかり「ええ、嘘ー…」

 

後ろで付けていたテレビから放映された星占いのにあかりは慌ててテレビを見る。

 

『不幸な出会いが思いも見かけない運命に導くかも』

 

あかり「やだー不幸な出会いって…今日は始業式でクラス替えなのに…」

 

???『朝から嫌なの見ちまったなあかり』

 

結果に不満げになるあかりの頭に励ます声が響く。

 

???『まあ占いってのは当たるも八卦当たらぬも八卦って言うじゃねえか。あまり気にしないほうがいいぞ』

 

あかり「うん…ありがとう、アンリ

 

どういたしましてと頭に響いた声はお礼にそう返す。

 

アンリ、それがあかりの中にいる存在だ。

 

幼き頃に声を聞いてからあかりを支えている存在だ。

 

家族にも知られていて、あかりともども可愛がられている。

 

そんなあかりに姉であるモニカが話しかける。

 

モニカ「あかり、アンリ、先に行くね」

 

あかり「あ、行ってらっしゃいお姉ちゃん」

 

アンリ『いってらー』

 

出て行くモニカを見送ってからあかりもごはんを食べてから自分の通う学校へと向かう。

 

あかり「不幸な出会いか…あー神様、クラス替えでみっちゃんたちと同じクラスになれますように!」

 

アンリ『それにさっきの占いって良く外れるから当たんないだろ……多分』

 

学校に向かうバスへと向けて走るあかりにアンリはそう返す。

 

あかり「そ、そうだよね!当たらないよねきっと!」

 

それにあかりもうんうんと納得してる間にバス停に着く。

 

まだ目的のバスが来てないので待つことにして2人で談話を始める。

 

あかり「……あれ?」

 

アンリ『どうしたあか……!?』

 

他愛もなくアンリと話していたあかりはふと海の方を見て、その行動にアンリが聞こうとしてあかりの目を通して見えたのに驚く。

 

海からピンク色の輝く光が海岸に向けて進んでいたのだ。

 

あかり「綺麗……」

 

アンリ『(この感じ…来るかもしれないと思ってたがまさか本当に来たのか…!)」

 

光を近くで見ようと海岸に降りたあかりとは裏腹にアンリは警戒していた。

 

すると光の輝きが強まり、柱の様なのが出来る。

 

その瞬間、アンリを除いて時が止まる感覚が起きる。

 

アンリ『(あれは……ジュエルペット…!)」』

 

光の柱から飛び出そうとしてるのにアンリは驚いている間に再び時が動き出し、あかりは尻もちをついてしまう。

 

あかり「あ……あれ?」

 

何が起きたのか戸惑うあかりだったが自分の前に立つ小さい生物に気づく。

 

その生物は白い毛皮に赤いアクセサリーを見に付けた兎であった。

 

ただ、2本足で立っているのが普通の兎ではない事をあかり達に認識させた。

 

あかり「う、うさぎ…?」

 

アンリ「(まさかジュエルペットと出会うなんて……)」

 

戸惑うあかりの中でアンリは困った様に唸っていると兎は目を輝かせた後に嬉しそうに飛び上がって腕や足をバタバタさせた後に着地してから話そうとしてるのか戸惑うあかりの様子に気づいて何か飴玉の様なのが入ったのを取り出すと1粒食べる。

 

兎「あ、あー!あ、い、う、え」

 

あかり「(な、なにあの飴みたいなのは……)」

 

と言うか兎が食べて大丈夫なのとあかりが思っていると…

 

兎「うわー!素敵素敵!レアレアの子って!おめめキラキラで髪もフワフワで……」

 

すると先ほどとは一転、言葉を流暢に話しだすと戸惑うあかりに抱き着く。

 

あかり「ひゃあ!?」

 

アンリ「(あかりの奴、色々と戸惑っているな……ん?)」

 

兎「ほっぺはぷにぷにのぷよぷよ~」

 

まぁ、仕方ないよなと兎に頬擦りされてるのを見ていたアンリはバスが来てるのに気づく。

 

その間にあかりは自分の頬をスリスリしてる兎を優しく剥がす。

 

アンリ『お、おいあかり。バスが来ているぞ』

 

兎「あたしルビー!魔法学校の新入生!あなたのお名前は?」

 

あかり「あ、あかり…よってええええええええええええ!?兔が喋ったぁああ!?」

 

慌てて気づいて言うアンリだがあかりは兎もといルビーが喋った事に今更ながら気づいて驚いてパニックになる。

 

ルビー「もう見つけちゃった!心がピッタリ合うレアレアの女の子♪絶対あかりちゃんよ!」

 

あかり「そ、そうか夢!私まだ寝てるのね!だって兔がいきなり現れたり喋ったりって変だよ絶対。ありえないよ」

 

アンリ『あかり、現実逃避はそこら辺にして後ろ、バス着てるぞ!』

 

はしゃぐルビーを見ていたあかりはアンリの言葉にえ?となった後に……

 

ぷしゅー!ブッブー!!

 

無情にもバスは発車して行ってしまう。

 

あかり「あー!?バスー!?」

 

アンリ『…遅刻決定だな』

 

慌ててバス停に戻るが動き出してるバスの後ろを見てああああと落ち込むあかりにアンリはドンマイと返す。

 

あかり「うう、あれを逃したらもう遅刻決定だよ…」

 

ルビー「学校遅刻?任せて!」

 

嘆くあかりにいつの間にか傍に来ていたルビーがそう言う。

 

あかり「え?」

 

アンリ「(嫌な予感がするな…)」

 

先ほどのルビーの自己紹介でアンリはそう思っていると…

 

ルビー「ティンクルティンクルマジカルチャーム!あかりちゃん、空を飛べ~!」

 

右手を輝かせてそう唱えるとルビーの右手から放出された光りがあかりに降り注ぐ。

 

あかり「え、え、ええええ!?」

 

いきなりの事に戸惑っているとかばんも浮き出す。

 

その様子にやったやったー大成功!とルビーがはしゃぐが…

 

あかり「かばんだけ飛んでも意味ないよ!」

 

アンリ「(しかも方向逆だし…)」

 

失敗と言うのを指摘してから飛んで行くカバンを慌てて追いかける。

 

これではまずいと考えたアンリは…

 

アンリ『あかり、変われ!オレが捕まえる!』

 

あかり「う、うん!」

 

その言葉と共にあかりは目を瞑る。

 

目を開くと色が真紅に変わり、すこしツリ目になると先ほどよりスピードを上げてカバンをキャッチする。

 

アンリ「よし、捕まえた……」

 

ルビー「あかりちゃん?」

 

ふうと息を吐いた後に不思議そうに見ているルビーを見てから仕方ないとため息を吐いてからルビーを抱えて走る。

 

しばらくしてあかりが通うウィンストン学園に辿り着く。

 

アンリ『なんとか一時間目が始まる前に辿り着いたな……』

 

あかり『ありがとうアンリ』

 

ふうと息を吐いてからお礼を言うあかりに良いよと返してから目を瞑る。

 

再び目を開くと緑色に戻っていた。

 

ルビー「不思議不思議!あかりちゃん、目の色が変わるんだね」

 

あかり「え、ええっとそれは……」

 

興味深そうに見るルビーにあかりは困ったが時間を見てすぐさまいけないと考えてルビーを降ろし、どこかに隠れていてと言ってから学園内に入る。

 

アンリ『危なかったな…危うくバレるところだったぜ』

 

あかり『私はアンリの事を話しても大丈夫だと思うんだけど……』

 

チラッと言われた通り隠れ始めるルビーを見てそう返すあかりにアンリは困った様な口調で帰して来る。

 

アンリ『いや、その、オレがルビーの教師になる人とかに知られたらあかりと離れる可能性あるからさ…』

 

あかり『え、そうなの!?』

 

出て来た言葉にあかりは驚く。

 

それと同時にいやだと思った。

 

あかりにとってアンリは自分を支えてくれた大切な存在で離れたくないのだ。

 

それなら仕方ないと考えた後にクラス発表の紙が張られたのに気づく。

 

あかり「えーとあった。私6年2組か……え、嘘!?」

 

アンリ『どうしたんだあかり?』

 

すっとんきょんな声をあげるあかりにアンリは聞く。

 

あかり「みっちゃんもかなもゆうこも誰も居ないよ!?」

 

アンリ『あー…見事に分かれちゃったかー…』

 

5年生までの親友達とクラスが分かれてしまった事に落ち込むあかりにドンマイとアンリが励ますのを聞きながらあかりは目的の教室へと足を運ぶ。

 

あかり「あ、あれは……!」

 

落ち込んでいたあかりだったが教室内を覗いてその中の1人に目を輝かせる。

 

その人物は神内 祐馬、あかりの憧れている男子生徒である。

 

あかり「佑馬くんと同じクラスなんだ…!」

 

アンリ『良かったなあかり。好きな佑馬と同じクラスなれて』

 

くすくす笑って揶揄うアンリにち、違うよとあかりは顔を真っ赤にする。

 

あかり『ゆゆゆ、佑馬くんは憧れであってそうじゃないよ~~!』

 

アンリ『えーホントかー?』

 

ニヤニヤしてるだろうアンリのに違うったら~とあかりは腕をブンブンさせる。

 

???「あら、あなたは……桜あかりさん?」

 

後ろからの声に振り返ると女性がいて、担任の先生?とあかりは考える。

 

甲田「6年2組の担任になった甲田 由子です。何か遭ったか分かりませんが遅刻をしない様に気を付けましょうね」

 

あかり「ご、ごめんなさい!バスに乗り遅れてしまって」

 

慌てて謝罪するあかりに甲田はそうでしたかと納得して入る様に促す。

 

先生が来た事で生徒たちは各々の席に座る。

 

甲田「班も係もホームルームの時に決まちゃったわ。桜さんは集配係ね。それから席はあそこね」

 

送れたあかりに教えてから席の場所を指さすとそこは祐馬の隣であった。

 

あかり「(ゆ、佑馬くんの隣!?ホントに!?)」

 

アンリ「(おー、これはあかり。授業に集中できるか心配だな)」

 

ドキドキするあかりにアンリは大丈夫かねぇ…と思っていると甲田が自己紹介して欲しいとお願いして来る。

 

遅れて来たあかりが仲間外れにされない為の配慮だろうか沢山アピールしてねと付け加える。

 

あかり「(あ、アピールって…ど、どうしよう)」

 

アンリ「(流石にこう注目されてたらな…)」

 

興味津々で見ているクラスメイト達にあかりは冷や汗を流しまくる。

 

流石に長引かせられないと感じて無難に名前だけ名乗ったらどうだとあかりにアドバイスする。

 

あかり「さ、桜あかり…です…」

 

自己紹介すると知ってると言う声の後にモニカの名前が出てクラスメイト達は騒ぎだす。

 

あかり「(ああ、やっぱりそうなるよね…)」

 

アンリ「(ホントこれには困ったもんだよな…)」

 

乾いた笑いしか出せないあかりの中でアンリは頭を抱える。

 

実はと言うとこの状況は話題となっているモニカ自身もあかりが心の中にいる時にアンリが変わってる間に教えて貰っていて頭を悩ませているのだ。

 

今はなるべく中等部の生徒達に自分の妹だからとプレッシャーをかけないで欲しいとお願いしていたりする。

 

だが初等部ではこの通り、ファンが多く、モニカ自身もどう言えばあかりの負担を減らせるか目下悩み中である。

 

アンリ「(こういう奴らのせいであかりとモニカの仲がギクシャクしてるからな…)」

 

モニカ自身、あかりに気を使わせない様に振舞っているがなんとかしたいと言うのはアンリ自身知ってるので2人の苦労を減らしたいのだ。

 

男子生徒1「妹全然にてねぇ!」

 

男子生徒2「マジ似てないな!」

 

女子生徒1「モニカ様に似せろって言うのが無理だって!」

 

女子生徒2「言っちゃ悪いよ」

 

グサグサグサグサ!!

 

あかり「(言わないでそれは。分かってる…分かってるんだけど…)」

 

アンリ「(こいつら…)」

 

その後に心もとない言葉が飛び出してあかりは涙目になり、アンリは思わずあかりと強制的に入れ替わって怒鳴ろうと出かけそうになった時…

 

パンパン!

 

甲田「皆さん!あかりさんはあかりさんです。勝手に比べて、似てないなんて言うのは失礼じゃないですか?モニカさんを慕っているのならば、妹だからと言って心もとない事を言うのは間違いですよ。それに、モニカさん自身、妹を傷つけられて嬉しいと思うでしょうか?」

 

手を叩いて注目を集めてから注意する甲田に言っていた生徒たちは顔を伏せ、すいませんでしたと謝る。

 

その後に甲田もごめんねとあかりに謝罪する。

 

あかり「(甲田先生…!)」

 

アンリ「(ありがとな甲田先生。おかげで助かったぜ)」

 

その気遣いにあかりとアンリは感謝し、席に座ってちょうだいと促されて指定された席に座る。

 

座った後、あかりは隣の祐馬を見る。

 

あの騒ぎの中で祐馬だけは窓の外を見ていて参加はしていなかった。

 

あかり「あ、あの…よ、よろ…」

 

声をかけるあかりだが声が小さいからか祐馬は微動だにせず、あかりの方に顔を向けない。

 

あかり「う……うーー……駄目だぁ」

 

アンリ「(前途多難だなこりゃあ……)」

 

恥かしくて机に突っ伏すあかりにアンリはやれやれと肩を竦める。

 

そんなあかりをちゃっかり見に来ていたルビーが思いつめたように見ていた。

 

 

しばらくしてルビーも連れて戻ったあかりは制服から私服に着替え、ベランダから海を見ていた。

 

あかり「はぁーあ、どうして言いたいこと言えないのかな…」

 

アンリ『まあまあ、これから1年一緒なんだし、気長に行こうぜ』

 

黄昏るあかりにアンリがそう励ます。

 

アンリ『ただあのクラスの連中には本当に困ったよな…先生が助けてくれなかったら絶対に言いまくってただろうしな……」

 

あかり「そうだね……」

 

ルビー「ごめんなさい!」

 

困った様に言ったアンリにあかりが同意した時、隣であかりを見ていたルビーが突然謝る。

 

あかり「ま、まだ居たの!?」

 

連れて来たが家の前で置いてお家に帰ったらと言って別れたつもりだったのだがまだいたのにあかりは驚きを隠せない。

 

ちなみにアンリは知ってはいたがあえて言わなかった。

 

ルビー「ごめんなさい!ごめんなさい……!あたし……あたし……役に立とうと思ったの……なのに……」

 

涙を流しながら謝るルビーにあかりは教室でのあかりの様子を見ていて、それが自分のせいだと思って謝ってくれてるんだと察する。

 

あかり「いいよもう。自分にがっかりして落ち込んでいただけ。ルビーのせいじゃないよ」

 

ルビー「あかりちゃん…優しい」

 

そう返して部屋に入るあかりを見て言ったルビーのにアンリは同意する。

 

自分を拒絶せずに受け入れてくれたあかりの優しさに救われたのだから……

 

あかり「でも……ねぇ……あー佑馬くんが居てもみっちゃん達が居ないんじゃ憂鬱だよー」

 

アンリ『まあ、休み時間に会いに行けば良いが、授業してる時は退屈しそうだな』

 

ふうと息を吐いて膝を抱えるあかりにアンリはそう返す。

 

ルビー「ようし!見ててあかりちゃん!ティンクルティンクルマジカルチャーム!」

 

そんなあかりを元気づけようとルビーはあかりの部屋に飾られていたヌイグルミに向けて魔法を放ち、かかる様に願う。

 

その願いが届いたのか、猫のヌイグルミが動き出す。

 

ルビー「やったー!!あかりちゃん!」

 

あかり「え、え!?なに!?」

 

成功したのに喜びの声をあげたルビーにあかりが驚いていると動き出した猫のヌイグルミとテーブルの上に乗って手を取り…

 

ルビー「ファイ!ファイ!あかりちゃん!元気出してあかりちゃん!ハッピーハッピー!ワン・ツー!ワン・ツー!」

 

応援ダンスを踊ってあかりを元気づけようとする。

 

そんなルビーにあかりは釘付けになる。

 

アンリ「(ルビーの奴、あかりを元気づけようとしてくれてるのか……良い奴だな)」

 

応援ダンスにアンリもまた嬉しくなる。

 

ルビー「ハッピーハッピーきゃう!」

 

ヌイグルミと共にダンスしてる所で足を滑らせて人形と倒れる様子にあかりはくすりと笑う。

 

そのまま踊り続けようとして途中で猫のヌイグルミは元に戻る。

 

ルビー「あ」

 

あかり「ねぇ、それは本当に魔法なの?ルビーって一体誰?喋れる兔なんて不思議すぎるよ」

 

そんなルビーへとあかりは話しかけるとルビーはぴょんとあかりの持つクッションの上に飛び乗る。

 

あかり「瞳なんてキラキラしてるし……」

 

ルビー「わたしはね、ジュエルペットよ。瞳は魔法の宝石で来ているの」

 

ジュエルペット?と呟くあかりの中でやっぱりなーとアンリが思ってる間にルビーの説明が続く。

 

ジュエルペットはジュエルランドと言う魔法の国に住む生命体で、そこに住む人達は魔法や錬金術が使えるなどの事を言ってからルビーは目を輝かせて言う。

 

ルビー「今のわたしよりずっとずっと凄い魔法だよ。とにかくね、なーんでもできるの」

 

あかり「ふぅーん、魔法かぁ……私も魔法が使えたらいいのにな」

 

アンリ「(いやまぁ、頑張れば出来るっちゃあ出来るんだよな……)」

 

猫のヌイグルミを起こしながら言ったあかりのにアンリは複雑な顔で唸る。

 

あかり「そしたらいつも言いたいことをはっきりと言える子になれるかも。それから佑馬くんといっぱいお話しできるようになってそれから……」

 

アンリ「(あかり……)」

 

出て来たのにアンリはほろりと涙が出そうになった。

 

それだけあかりが欲してる事なのはアンリ自身知ってるからだ。

 

あかり「……なんてね。そんなわけないのに……」

 

アンリ「(……………)」

 

悲しげに言うあかりにアンリは悔しい気持ちになる。

 

話を聞いたルビーもまた悔しそうに体を震わせる。

 

ルビー「わたし……わたしが凄い魔法使いだったら……そしたら……そしたら今すぐあかりちゃんの夢、全部叶えてあげられるのに!」

 

アンリ「(出会ってまだ短いのに……あかりの事を思ってくれるとはな……)」

 

未熟な自分に嘆くルビーにアンリはジーンとなる。

 

あかり「い、いいよいいよ。冗談だよ」

 

ルビー「だってだって……あ、そうだ!」

 

慌ててそう言うあかりにルビーは顔をブンブン振った後に何か思いつき……

 

ルビー「ティンクルティンクルマジカルチャーム!」

 

再び呪文を唱えるとルビーの頭に付いてるのと同じ花飾りが出現してからあかりの頭の右側に装着される。

 

あかり「私に?」

 

ルビー「うん!あかりちゃんに!」

 

プレゼントに聞くあかりにルビーは元気よく返す。

 

あかり「ルビーと御揃い?」

 

ルビー「うん、御揃い!」

 

その優しさが嬉しかったのであかりはうふふあははと笑う。

 

ルビー「あかりちゃんが笑った!わ~い!!」

 

アンリ「(あかりの奴、元気出たみたいだな。良かったぜ…)」

 

喜ぶルビーを見てアンリはふっと笑う中であかりは笑い終えて自分を笑顔にしてくれたルビーに顔を向ける。

 

あかり「なんだか元気出てきちゃった。ルビーのおかげだね」

 

そう言ってルビーを抱き上げる。

 

あかり「今日は色々あったけどルビーに会えて良かったよ」

 

ルビー「あかりちゃん」

 

そのまま自分の体に引き寄せてありがとうとお礼を言った時だった。

 

ルビーの胸中央が光り出す。

 

あかり「な、なに!?」

 

アンリ「(この現象…もしかして!)」

 

いきなりの事にあかりが驚く中でアンリはまさかと察すると光があかりの左手に集まって、それは中央に赤いハートが描かれたタマゴの様なのになる。

 

あかり「何この赤い宝石、ルビー!?」

 

アンリ『(噂で聞いていたがこれがジュエルペットとパートナーになった証なのか…?)」

 

重さとルビーの名前から宝石だと理解するあかりの中でアンリは自身があかりの中にいる前に得た知識から引き出してほへーとなる。

 

ルビー「私のジュエルチャームがもう一つ……そ、そうか!」

 

それを見てルビーはどこからともなくスマホの様なのを取り出す。

 

アンリ「(なんだ?あのスマホみたいなのは…)」

 

ルビー「やっぱり……やっぱりあかりちゃんだったんだ!心がピッタリ合う女の子。ステキステキ!」

 

あかり「なに?どういう事?」

 

表示されてるのを見て嬉しそうに言うルビーにあかりは戸惑って聞く。

 

それは……とルビーが説明しようとした時…

 

???「あー!先越された!」

 

突然の声に驚いて声がしたベランダを見る。

 

そこにはルビーと違い顔と胸部分を除いて黒く、頭の飾りが紫色の蝶になってる兎がいた。

 

あかり「誰!?」

 

ルビー「あ、ルーア!やっほー!」

 

アンリ「(ルビーの知り合いか?)」

 

驚くあかりを横でルビーは呑気に挨拶する。

 

現れたのに今日は長くなりそうだな…とアンリは戸惑ってるあかりの中で思った。

 

こうして、物語は始まった。

 

宝石の獣と特殊な存在を内包した少女の少し変わった物語が…


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