ドラゴンさんの東方見聞録   作:伝説の超三毛猫

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こいしちゃんとの旅行を書いている間に思いついたお話。


第六話:スペルカードって何ぞや

「弾・幕・結・界!!!」

「ぬおおおああああああああああああ危ねぇぇぇぇぇ!!?」

 

 こいしちゃんと旅行した翌日。

 俺は起き抜けにゆかりんに襲われていた。性的な意味ではなくマジの意味で。

 

「さっそくやってくれたわね、この駄竜が……! 天狗の里を襲撃したんですってね!!?」

「ち、違う! アレは正当防衛どころか何もしてない!ただ大天狗と握手しただけだ!」

「どうやったら握手だけで大天狗を再起不能にできるのよ!? それに―――貴方、幻想郷の住人を勝手に外に連れ出したんですってね!?」

「あー……アレか。実質1時間だからノーカンに」

「できるワケないでしょ!」

「うわあああああああああっぶね!? かすったぞ今ァ!?」

 

 目の前のスキマ妖怪が怒れる原因は、どうやらこいしちゃんとの旅行だったようだ。

 なんでも、妖怪を“畏れ”の少ない外に出した時の危険性がなんたらかんたら~…と。

 この女に隠し事が通用しないのは今更だが、俺は妖怪が存在する世界に行ってたから問題ないと弁護はしておいた。そしたらその返事がこのザマだ。会話してくれないか?

 

「なんだよこのBBA! ()()()1時間くらいで…」

「たかが!? ()()()って言ったわねこのクソ野郎!!」

 

 この会話でお分かりかと思うが、紫と龍斗の間でかなり認識の差があった。

 生命力チートを持つ龍斗は1時間を「たかが」と認識していたが、妖怪の賢者として幻想郷を影ながら支えてきた紫からすれば、1時間は「されど1時間」なのだ。

 それに気付かない龍斗が、紫を更に無意識的に煽り、状況をドンドン悪化させている。もし『1週間旅行してました』なんて言おうものなら、紫がルナティックを遥かに超えた勢いで殺しに来るに違いない。

 

「くそっ……いつもの3倍の密度だなオイ…!」

 

 流石にここまで暴れまくる紫相手は骨が折れる。

 家や家具は問題ないし、周りに壊れそうな建物が他にないから良いが、反撃なんか出来ない。匙加減ミスったら幻想郷滅ぶし。

 

「こうなったら、ここじゃないどこかに逃げるしかない…!」

 

 時間さえ稼げれば紫も落ち着くはず。そうすれば、説得の余地が生まれて俺の勝ちだ。

 だが、相手はスキマ妖怪。下手な異世界に逃げた所で追いかけてくるに違いない。ならば。

 

「アルティメットバースト!」

「!?」

 

 社長直伝の波動砲を放って、紫の意識を逸らす。

 その際生まれた僅かな隙を利用し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、ドアの座標を固定してそのまま飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 ―――目を開けば、真っ暗でダークな背景にありとあらゆる扉がそこかしこに浮遊する世界になっていた。

 成功だ。これこそ俺の避難先筆頭―――後戸(うしろど)の国。俺やゆかりんと一緒に幻想郷を作った女神……そいつが住まう世界だ。

 しばらく匿ってもーらお。

 

「舞ー、お客さんだよー」

「ほんとだ里乃ー、予想外のお客さんだね」

 

 なんかかわいい子が二人も出てきた。

 サイドヘアーは腰まで、後ろはショートという髪型や、頭に被る風折烏帽子までおそろいで、違いはカラーリングと持っている植物(茗荷と竹)くらいだった。

 

「や、やぁ、お若いレディ達。ここは後戸(うしろど)の国で合ってるかな?」

「そうだよー」

「なんで知ってるの?」

 

「あー…実は俺、この世界の管理者………後戸(うしろど)秘神(ひじん)の知り合いなんだよ。事情を話したいから、案内してくんない?」

 

 出会った少女二人は顔を見合わせる。

 そして、もう一度俺と目を合わせた。

 

「貴方、名前は?」

「亜葬祺龍斗。秘神には『次元竜の龍斗が来た』って言えば察してくれるから」

「僕は丁礼田舞(ていれいだまい)

「私は爾子田里乃(にしださとの)。ちょっと待っててね、今お師匠様に連絡するー」

 

 舞ちゃんと里乃ちゃんね。二人はどうやら秘神の関係者であるらしく、すぐに連絡を取り合っていたが……

 通信していたらしき里乃ちゃんが、だんだんと怪訝な顔つきになっていく。どうしたどうした?

 

「里乃ー、お師匠様なんて言ってたのー?」

「…こっちに来るらしいから時間稼げってさ」

「えっ、ちょ、時間稼げってなに?俺逃げも隠れもしないよ?」

 

 突然里乃ちゃんの口から出た「時間を稼げ」ってワードにビックリする。

 それと同時に、里乃ちゃんと舞ちゃんの雰囲気が変わり、それぞれカードを抜いた。

 

「お師匠様の命令なら仕方ない。僕たちがしばらく遊んでやろう!」

「逃げてもいいけど、死んだら殺すよ~」

 

 ほう。この次元竜を前にそんなことが言えるとは面白い。

 どっちが遊ぶ立場なのかを、その身を以って嫌と言うほど叩き込んでやろう!

 ……と、思っていたけど。

 

「…その手に持っているカードってなに?」

「これ? スペルカードだよ」

「スペルカードって何ぞや?」

「「??????」」

 

 思っていたことを言えば、二人は「え、そんなことも知らなかったの?」みたいな空気になり、後ろを向いて話し合い始めた。どうやら、俺にスペルカードについて教えるか否かを話し合っているみたいだ。

 

「気になるなー、スペルカード。どっかに時間かけてじっくり教えてくれる人いないかなー」

「「!!!」」

「お、教えちゃおうよ里乃…!お師匠様が来るまであの人をここに引きとめられれば何でもいいじゃない」

「でも…スペルカードのこと、教えてもいいのかなぁ…男の人だよ?」

「男の人だと何かまずいのか?」

「あー……えっとね、幻想郷には『スペルカードルール』ってものがあるんだけど……」

 

 ふむふむ。どうやら、俺のいない間に、俺の知らないルールが幻想郷に生まれていたようだ。

 それを『スペルカードルール』って言って…? 完全な実力主義を否定することで、異変を発生・解決しやすくしているのか!

 誰がそのルール作ったん?………博麗の巫女と紫が?ほー。アイツにしては、いいルール作っているじゃあないの。

 色々聞いていってみたけど、その時に気になる事を言っていた。なんでも……

 

「え、なに? スペルカードルールって、女の子用なの?」

「まぁ、『弾幕ごっこ』だからね~。男の人は全くやらないかな?」

「やらないね~」

「なんで?」

「「えっ??」」

 

 ただ、「なんで男はスペルカードルールやろうとせんの?」って聞いたら「なんでそんな事聞くの?」みたいなリアクションしたのはちょっとアレだったけど。まるで、「スペルカードは女の子専用、は当然じゃろ」みたいな思い込みじゃあないか。

 つまらん。実につまらんな。

 

「なぁ、二人とも」

「「?」」

「体は男だが、口調や仕草や、心が女。そういう奴を見たことがあるか?」

「え?」

「どう見ても女にしか見えない顔つきや髪を持っているのに、体が男だって奴は? もしくは、その逆―――男らしい格好をした女は?」

「えーっと…」

「機械なのに自分の性別を自認しているようなヤツは?」

「いやぁー…そんなやつ、いるわけ」

「いるよ。全部実在する。この目で見てきた。

 俺はここに来る前まで、ずーーーっと旅をしてきたんだ。その道中で出会ったヤツにはいろんなヤツがいた。」

 

 出会ってきた奴らは男・女というレベルではない。それ以上にカテゴライズされるのだ。そういうのを見てきた俺からすれば、「男らしい・女らしい」など歯に挟まったクラッカーのように価値がない。

 偏見や思い込みなどちっぽけなものだと旅を通して何度も痛感したものだ。

 もちろん、それが妖怪の弱体化に繋がるのならば正さない方が良いのだろう。だが、それに及ばない範囲であれば、新たな価値観にアップデートするべきなのだ。

 

「と言うわけだから……良ければ、俺にもスペルカードの作り方を教えてくれないか?」

「…………分かった!」

「い、良いのかなぁ…?」

 

 この後めちゃくちゃ教えて貰った。

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

「待たせたな、舞、里乃…………何をしている」

「あ、お師匠様ー!いまこの人にスペルカードルールを教えていたんですー!」

 

 久しぶりにあの男が帰ってきたと聞いて、舞と里乃に時間稼ぎを頼んだと思ったら、何故か三人が仲良くスペルカードルールについて話していた。なんだこれは。

 

「龍斗。貴様がスペルカードルールなんぞ覚えても仕方ないだろうに」

「そうかもな。でも………潰さないように蟻を踏むのって超難しいんだよ」

「なんだなんだ、今度は何をしでかしたんだ」

「ゆかりんをガチギレさせちゃってさー」

 

 そうして龍斗が話す事には……成程。こやつ、それなりに大暴れしたようだ。

 しかも、こいつ自身にその自覚がない。私や紫並みに頭がよく、純粋な戦闘力においては神々さえ歯が立たないほど強いのだから、よりタチが悪い。

 つまるところ、だ。

 

「結論を単調に述べるが……全て貴様の自業自得だろう。紫に折檻されて来い」

「やだよぉ!! おっきー何とかしてよぉ!!」

二童子(こいつら)の前でおっきーと呼ぶな、つまみ出すぞ。

 そもそも……何故貴様、ココに来れた。並みの人妖ではここには来れんぞ」

「ん? そんなの、俺の背中の扉をこじ開けたからに決まってんじゃん」

「まずその方法は普通不可能だからな? 常識外の自覚あるのか貴様」

「え?」

「…………」

 

 常識外を指摘すればすぐコレだ。

 「あれ、俺なにかやっちゃいました?」みたいな顔を台詞を当然のようにしてきおる。

 力を身につける事を否定はせん。どこをほっつき歩いて旅と称するのも構わないとはいえ、幻想郷に里帰りするのであれば、相応の立ち振る舞いをしないか。

 貴様、本当に私や紫と幻想郷を作った賢者か?

 

「なんだか、普段のお師匠様らしくない…!」

「お、お師匠様をおっきーって……!!」

「ん? なんだ、知らなかったのか。呼びたいなら呼んでいいぞ」

「駄目に決まっておろう、貴様が許可を出すな!」

 

 我が部下に面倒な事を吹き込むな。せめて土産話にしろ。

 おい里乃なんだその顔は。変な呼び方をしたら舞共々仕置きしてやるからな。

 

「……話を戻すが、貴様の力は幻想郷においては強大すぎると言いたいのだ。それを自覚して、自重を覚えろ。いいな?」

「そうは言うがよ。俺なんかよりぶっ飛んでるヤツを山ほど見てきたからなぁ……人の身で世界滅ぼす化け物を討つのなんて当たり前だぜ?」

「貴様がどんな魔境を旅したのかは知らん。だから、現在の幻想郷の強さ基準に慣れておけ。―――里乃、舞。コイツと『スペルカードルール』で戦え」

 

「分かりましたー!」

「手加減はしますかー?」

 

「要らん。(むし)ろ龍斗、貴様が手加減をしろ。潰さないように鼠を踏む程度なら出来よう」

「………分かった。頑張ってみる」

 

 

 龍斗が頷くと同時に、二童子が弾幕を放った。

 札型の弾幕と線条のレーザーが放射線状に襲い掛かり、龍斗の後方から通り過ぎた弾幕が追尾する。

 奴は最初は弾幕の隙間を避けていたが、面倒くさくなったようで、右の掌に力を集中させて、それを放った。

 弱弱しい光のように見えたそれは、舞と里乃の弾幕を弾きながら前へ進み………やがて、二童子の間でぴたりと止まる。

 

「ん?」

「へ?」

 

 あいつらも私も、それが何なのか全く分からん。

 呆けた隙に、龍斗がそれを指差し、凛とよく通る声で“宣言した”。

 

「―――アルテマ」

 

「「「!!?」」」

 

 次の瞬間、私は咄嗟に背中の扉に身を投じていた。

 そうでなければ、余波をモロに受けていたのだろうが………その扉越しに見ても、辺りに一面の光が満ち、すさまじい破壊音を出している事以外全く分からん。

 光が治まった後の光景を見てみれば、舞と里乃は、浮遊している扉の二つに首から突き刺さっていた。戦闘不能は明確だ。

 そして………たった一人、立ったままの、呆然とした龍斗が呟いた。

 

「………ヤベェ。ちょっとやり過ぎた」

 

 全くだ。仕事を増やしおってこのバカ者が。

 25秒。それが、この弾幕勝負の決着がつくまでの時間であった。

 

 




亜葬祺龍斗
性倫理だけでなく性的な偏見も破壊し尽くされている。ただし性欲だけは生きている。戦闘力チート。

八雲紫
激おこスティック(ry

摩多羅隠岐奈
気は合うが面倒事を持ち込むのはやめてくれないか龍斗

爾子田里乃
もっと真面目に修行しようと思った

丁礼田舞
もっと木目細に修行しようと思った

社長
青い目の銀龍がお気にの、大人買いの化身

女口調の男
人情に厚い。あとやたら強い。

男の娘
グー○ル先生に「鰤たん」って入力すると高確率で出てくる人

終符『アルテマ』
龍斗のスペカその1。相手は死ぬ(ピチュる)
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