ドラゴンさんの東方見聞録   作:伝説の超三毛猫

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久しぶりの投稿です。
他の投稿やりまくっててこっちに意識向いてませんでした。ごみん。

ひとまず亜葬祺龍斗の本気を少しだけ提示しておこうかと思います。


第八話:かわいいヤツめ

 諸君、ごきげんよう。

 ただ今、俺・亜葬祺龍斗はというと………

 

「止まりなさい。ここから先、通すわけにはいかない」

「えー?俺、ただツクヨミちゃんに挨拶しに来ただけなのに」

 

 月にいます。

 そんで、紫の髪を黄色のリボンでまとめた、美少女剣士ちゃんにスッゲェ睨まれている。

 俺としては、これから幻想郷で一息つくために、先んじて権力者たちに挨拶に回ろうと思っていたので、“幻想郷の月”に来たのだが、妙な邪魔が入ってきたようだ。

 

「いちおう聞いておきましょう。月夜見様になんの用だ」

「だから挨拶だよ。迷惑かけないように生活すっけどよ、トラブル起きてから言うのもバツが悪いじゃん?」

「どうやって月の都に来た?」

「え? 普通にオーロラカーテンで。次元竜に『どうやって来た』ってのもまぁ無粋じゃないの?」

「………まともな対話の意志はないか。

 最終通告です。今すぐ立ち去らなければ排除します」

「あれー?」

 

 一切嘘ついてないのに戦うモードに入られてしまった。

 この件については俺、なにもしてないぞ? 別に戦意を放ったとかじゃない。

 にも関わらず、戦う気満々なのはどうなってるんだ??

 

「力をお貸しください、祇園様―――」

 

 剣士ちゃんが剣を突き刺した瞬間、俺の周囲から無数の光の剣が飛び出る。

 俺を拘束しようっていうのか。

 光の剣の一本一本から、神の力をわずかに感じる。

 剣士ちゃんが祇園様って言ってるのが聞こえたから、恐らくスサノオ……の、神の力だ。

 成程、神降ろしの術か。

 月の民が扱う技にしては強力ではある。だが。

 

「チェーンソー!!!」

 

 俺をどうこうするには弱すぎる!!

 懐から取り出したチェーンソーで一閃すれば、俺を囲んでいた光の剣はあっという間にバラバラになった。

 確かにスサノオは八岐大蛇を討ったドラゴンスレイヤーだ。だが、俺と渡り合うには1()0()0()()()()()()()()()()くらいやらなくっちゃあな!

 

「ば、馬鹿なッ!? 神の力が地上の刃物程度で!」

「間抜けめ! チェーンソーは神をバラバラにできる唯一の装備だぞ?」

 

 知らないなら覚えとけ。

 スサノオの力が通じないと知った剣士ちゃんは、次に剣と全身に炎を纏わせ突っ込んできた。

 あの炎からも、神の気を感じる。―――あ、分かったヒノカグツチだ。

 

「受けなさい!神の炎を!」

 

 振り下ろされたヒノカグツチの炎を纏った一刀を、指一本で止めてみた。

 うん、熱い。流石はヒノカグツチ。

 でも俺は知っている。これ以上に熱い炎を。

 

「ほれ」

「―――ッッッ!!? 熱っつ!!!?」

 

 熟練の戦士らしいとっさの判断で飛びのく剣士ちゃん。

 いい判断だ。そうでなければ微塵も面白くない。

 俺が今、放ったのは指先大の小さな火の玉―――摂氏1兆度だ。

 宇宙恐竜しか放てない温度を放ったから、もしあの一瞬で避けてなかったら、片手が消滅していただろう。

 

「い、今のは…」

「どうした? 他に手はないのか?」

「こ、この…!」

 

 剣士ちゃんは、今度は何かに祈りを捧げると、全身に光をまとった。

 この光、もしかして………

 

「この光は、天照大御神の力」

「やはりか…」

「月を愚弄したこと、その命をもって償わせて―――」

 

 そう語った瞬間、光が霧散した。

 剣士―――綿月依姫は、信じられないような顔をした。

 光の大神である天照の力が、こんな、一瞬で。

 

 ―――そこに…はらり、と何かが落ちる。

 その黄色い布が何かと思い……目の前の男が頭を触るしぐさをして。

 そこで初めて、悟った。今の一瞬で、頭のリボンを斬られたと。

 

「い………いつの間に……」

「あれ、見えなかったの?」

 

 まぁ、剣士ちゃんのリボン斬ったの俺なんだけどね!

 あまりに隙だらけだったもんだから、アマテラスの光ごと、リボンを斬っちゃったよ。

 それでもなお唖然としているので、俺はここでようやっと仕込み刀を取り出して、こう言った。

 

「じゃあ、今度はもうちょっと()()()()()()()()から防げよ」

「!!!」

 

 そこで、ようやく攻撃が来ると分かったのか、剣士ちゃんは刀を構え直した。

 だが、遅い。

 

 

 

 降りぬいた剣。変わっていない間合い。

 それでも、俺の手によって確かに届いた斬撃。

 その証拠は、剣士ちゃんの紫の髪が、ポニーテールを下したロングヘアから、ミディアムヘアへ長さが変わったことだった。

 

「な………」

「そのヘアスタイルも可愛いじゃないの」

 

 その言葉の意味を、一瞬で悟った剣士ちゃんは、みるみるうちにその表情を怒りに染めた。

 今のやりとりに、怒る要素なんて1ミリもないぞ?

 

「貴様………!!」

 

 この様子だと、力の差が分かっていない―――というか、認めたくないんだろう。

 だから、ダメ押しだ。

 

「最大級の、神の召喚をもって―――」

 

 神降ろしをまた使おうとしている剣士ちゃんを遮るように指を鳴らした。

 すると、オーロラカーテンから……複数の人影が現れた。

 人はそれぞれ、白い長髪と角が目立つ少年に、不気味な雰囲気の女性に、筋骨隆々な巨大な髭の大男に、金と青が混じった神の快活そうな少女、それから、眼帯を付け、馬に乗った壮年の男性だった。

 剣士ちゃんはあり得ないものを見たかのように目を見開いて、口をぱくぱくさせている。流石に、気付いたようだ。こいつらが―――全員、神本人であることに。

 

 剣士ちゃんの術の法則からして、次に呼び出しそうな神を、先んじて全員召喚したのだ。

 神降ろしの力は、神自身が明確に存在するか拒絶でもしない限り、ちゃんと手順を踏めば成功する。

 だから俺は、先に呼び出して「こいつ、お前の力を勝手に使おうとしてるぞ」とチクってやろうとしたのだ。

 その甲斐あってか、剣士ちゃんは召喚しようとする手が止まり、まったく動かない様子であった。

 

「悪いな、みんな!急に呼び出しちゃって!」

「まったくだ! 大体お前の呼び方は急なんだよ! オーロラカーテンで本人丸々呼び出すとか、何考えてんだ!」

 

 俺の謝罪に真っ先にかみついたのは白髪の少年―――こいつの真名は、伊邪那岐。

 ちなみに他の神はそれぞれ、伊邪那美、ゼウス、ヘラ、オーディンだ。ちなみに全員飲み友である。神様は大なり小なり酒が大好きだからね……

 

「いやぁ、悪い悪い! こいつが勝手に『月を愚弄した償いを~』とか息巻いてからさ、つい手合わせしちまってよ」

「勝手に呼び出しておいて言い草だな、龍斗!」

 

 白髪の少年――伊邪那岐が不満そうに腕を組むと、その隣に立つ不気味な雰囲気をまとった女性、伊邪那美がクスリと笑った相槌を打つ。

 

「相変わらず忙しないことですねぇ、龍斗殿。私たちの世界でも、あなたの噂は時折耳にしますよ」

「おっ、イザナミちゃん相変わらず肌ツヤいいじゃん。そっちは平和か?」

「「平和なわけあるか(ないわよ)」」

 

 神々の夫婦漫才を他所に、筋肉隆々のゼウスと、隣で冷ややかに見つめるヘラ、そして馬に跨った隻眼の老神・オーディンが呆れたようにため息をついていた。

 

「おいおい、いつまでこんなところでダベっている気だ。我々だって暇ではないのだぞ、龍斗」

「まあまあゼウスの旦那、そう怒るなって。せっかくこうして顔を合わせたんだ、近況報告がてら一杯……と言いたいところだけど、あいにくここは月の都の真ん中だからな」

「やれやれ、相変わらず無茶苦茶な男だな……。だがね、龍斗」

 

 オーディンが片目を細め、馬の首を軽く叩きながら、スッと視線を足元へ向けた。

 

「その娘。気絶しているぞ」

「……は?」

 

 オーディンに言われて、俺は前方に視線を向けた。

 そこには、いつの間にか白目をむいて完全に意識を飛ばしている剣士ちゃんの姿があった。

 試しに額をつん、とつつくと、そのまま月の重力に従いゆっくりと倒れていく。

 ―――え? うそ、マジで?

 

「いやいやいや、ちょっと待て。俺、まだ髪の毛をミディアムヘアにして、神様たちを呼んだだけのウォーミングアップ段階だぞ? こっから本番いくつもりだったのに、なんだよこの展開は!」

 

 膝に手を突いて盛大に愚痴をこぼす俺に、ヘラが呆れ顔で突っ込みを入れる。

 

「あんたね……さっちから見てたけど滅茶苦茶なのよ。アマテラスの光を力づくでへし折って、その後最高神(わたし)たちを召喚なんてしたら、月人でも理解が追いつくわけ無いでしょうが」

「この程度で意識を飛ばすたぁ、かわいい奴め……」

 

 文句を垂れつつも、ピクリとも動かない剣士ちゃんの頭を軽くポンポンとからかう。

 せっかく気合を入れてツクヨミに挨拶にやってきたのに、これじゃあ張り合いがないというものだ。

 

「はぁ、盛り上がりに欠けるぜ。……ま、しょうがねぇか」

 

 俺はため息をつきつつも指を鳴らし、背後にいつもの灰色のオーロラカーテンを展開した。

 中から現れた無数の光の渦が、目の前の神々を包み込んでいく。

 

「お、おっと、急に引っ張るな!」

「また暇なときにでも顔を出しなさい、龍斗殿」

「次に出番があるときは、もう少し歯ごたえのある相手を頼むぞ」

「じゃあな、みんな! 急な呼び出しに付き合ってくれてありがとよ!」

 

 ゼウスの文句やイザナミの穏やかな笑い声を背に受けながら、オーディンたち神々は光の粒子と共に元の世界へと吸い込まれていった。

 あっという間に静まり返ったその場所には、気絶して倒れ伏す剣士ちゃんと、ぽつんと立っている俺だけが取り残される。

 

「さて……手紙だけでも渡すか」

 

 俺は意識を失ったままの剣士ちゃんを一瞥し、頭をかきながら大きく伸びをしたのだった。

 ちなみにしばらくしてから、ツクヨミにテレパシーで『いきなり月に両親を呼ぶな!』って怒られた。良いだろ別に、思春期の女子かテメーは。

 




亜葬祺龍斗
神話の神々とは大体友達。

綿月依姫
今回の件で龍斗がトラウマになった

月夜見
いきなり両親と両親並みの最高神を呼ばれてビビった

イザナギ
ビジュアルはモンストのすがた。イザナミとは言うて犬猿の仲というほどではない。

イザナミ
ビジュアルはモンストのすがた。

ゼウス
ビジュアルはモンストのすがた。油断するとすぐ浮気する。

ヘラ
ビジュアルはモンストのすがた。基本的に良い人だがヤンデレ。

オーディン
ビジュアルはモンストのすがた。おでんって呼ぶな!
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