これが私の道   作:corin7121

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ここの世代って調べれば調べるほど頭おかしくなるよね

GⅢ武蔵野ステークスの衝撃から二日後。トレセン学園ではその翌日に行われた秋の天皇賞と並び、大きな話題となっていた。

 

『ダート界に超新星現る!!』と新聞の見出しにもなるほどの注目を集めてしまったのだから仕方ない。

 

そんな超新星をチームに入れていたジャスは改めてメンバー募集を掛けたものの、

 

「ど~して~~~~」

「だから芦毛限定にしているのが悪いんだろ。もう時間もないぞ。どうするんだ?」

「それでも私は諦めない」

 

変な所で鋼の意思が発動しているがもうそろそろメンバーを決めないと登録期限を過ぎてしまう危険があった。

 

「何か手はあるのか?」

「マック様を泣き落とす」

「それができりゃ苦労はしないだろ」

「ん~~~あ~~~」

 

机に突っ伏して奇声を上げるジャスタに対してゴルシは他人事のようにそっぽを向いていた。

 

「こーなったら最終兵器の出番かなー」

「さいしゅうへいき?」

「実はね―――」

 

密かに考えていた作戦をゴルシに耳打ちしようとゴルシの耳に口を近づける。がそれを躱すゴルシ。

 

「あれ?聞きたくないの?」

「聞きたいのは山々だけど今話すふりして私の耳に咬みつこうとしただろ」

「何故バレた!」

「初犯じゃないからな」

 

万引きの常習犯を検挙した警察官よりも冷たい視線をジャスタに向けるゴルシ。親友でなければさっさとお帰り願っていたところである。

 

「で、最終兵器ってなんだよ」

「それは最重要機密事項だからまだ教えませーん」

「そうか。ろくでもない事ってだけは合っていそうだな」

 

おそらくその推測は間違っていないとゴルシは確信を持っていた。

 

「で、その最終兵器が上手くハマったとしてもやっぱりもう数人は欲しいところだよな」

 

チームとして有名になれば入会希望者が増えるかもしれないが、チームメンバーの実績はまだクロフネの成績だけの現状ではそれも難しいだろう。それよりもリーダーの選り好みが激しすぎるのが一番の問題でもあるのだが。

 

「何度も言いますが私のチームに芦毛以外は絶対に加入させません!」

「その変なこだわりのせいで出場すら出来ないとなれば本末転倒だぞ?」

「もう本当にどうしようもなくなった時は最終手段でいくから」

「最終手段?」

「ゴルちゃんはやったことあるでしょ?拉致」

 

犯罪に手を染める前にどうにかしてメンバーを集める必要がでてきましたよ?

 

「やるとしても目星はあるのかよ」

「第一候補はやっぱりマック様だよね。顔見知りだし」

 

ゴルシと得意距離が被りはするがその分中長距離の厚みが増してくれる点は有難い。

 

「で第二候補はオグリ先輩」

 

おそらく学園で芦毛のウマ娘と言えばと尋ねれば真っ先に名前が挙がる程の超有名人。その上どの距離でもこなせるオールラウンダーは唯一無二の強みだろう。

 

「でももうその二人は無理なんだろ?」

「そこなんだよねー」

 

二人はアオハル杯が開催が宣言された直後に勧誘はしたのだが、残念ながら断られてしまっている。

 

「まあ?学園の?芦毛の?ウマ娘は?全員把握していますが?」

「フリーは?」

「そんな金の卵が居たらとっくに声を掛けてるよ!チクショーめ!」

 

つまるところもうどうしようもないと。

 

「それじゃどうすんだよ。ここまで来て結局参加できませんでした、ってか?」

「だからもうそこは最終兵器次第」

「ゴルシちゃんが言うのもなんだが、拉致・誘拐は犯罪行為なんだぞ?」

 

何度も袋詰めでトレーナーやらウマ娘やらを誘拐しているのだが。

 

「やっぱりパリに行った時にマック様を泣き落とせばよかったのかなー?」

「いやー無理だろ。ああ見えてマックイーンはサファイアとタメを張るレベルの頑固者だぞ?」

 

サファイアのモース硬度は9。つまりはメッチャ硬い。ダイヤモンドレベルじゃないとキズが付かない硬さである。

 

「ということはゴルちゃんでも無理かー」

 

金は宝石に比べると半分ぐらいの硬度しかない。つまりは効果はイマヒトツなのだ。

 

「どうかしましたか?さっきから何度もため息が聞こえてくるのですが」

「おう、スノー!実はかくかくしかじかでよ」

「そ・・・そうでしたか」

 

この期に及んでまだメンバーが集まっていないことにスノーは危機感を抱いた。まだ結果を出せていないとはいえ彼女もウマ娘。皆とレースに出たい気持ちは持ち合わせていた。

 

「スノーちゃんは誰か知り合いいない?強い芦毛のヒト」

「えっと、一人知ってはいるのですが・・・」

「だれだれだれだれだれだれ!?」

「ひっ!?」

「落ち着けジャス」

 

目を血走らせてスノーに詰め寄ろうとしたジャスタのう脳天にゴルシはチョップを落とした。

 

「お・・・」

「お?」

「お母さん・・・です」

「そっかぁ・・・」

 

さすがに保護者に走ってもらうわけにもいかないだろう。

 

「で、でもお母さんはすっごく強いウマ娘だったらしいんですよ!」

「そうなんだ」

「年度代表にも選出されたぐらい強かったらしいです」

 

聞けば骨折しながらもGⅠを二勝もしたマイラーウマ娘だったそうだ。それもボルトを埋め込むようなひどい骨折をした後に優勝したのだから驚くのも無理はない。

 

「そんなに凄いヒトだったの!?」

「はい!私が一番尊敬しているウマ娘です!」

 

スノーにそこまで言わせるとはその走りを直に拝みたいとジャスタは思った。しかしさすがにもう引退しているヒト、それも保護者に選手として走ってとは頼めない。

 

「それか―――」

「まだいるの!?候補!」

 

もうこの際芦毛だったら誰でもいい。どんな手を使ってでもチームに抱き込んでやる。そうゴルシは思った。しかし、スノーが推薦したのは意外な人物だった。

 

「委員長とかどうですか?強いですし」

「「委員長~?」」

 

スノーから『委員長』という言葉が出て二人は教室内にいる委員長に目を向けた。そして一言。

 

「「ない」」

「えー。どうしてですか?彼女とっても強いですよ?」

 

それはよく知っている。自分たちよりも一足先にデビューし三冠を達成したのだから。間違いなく世代最強の一角でありだからこそ委員長という立場にある。しかし。

 

「芦毛じゃないし」

 

芦毛のウマ娘が欲しいジャスタとして鹿毛の委員長は対象外。

 

「我儘だし」

 

名家のお嬢様なだけあって超が付くほど我儘な性格をしている。

 

そしてなにより

 

「「ゴリラだし」」

「誰がゴリラですって?」

 

ジャスタたちの話を聞きつけたゴリラ、もとい委員長。

 

「そりゃこのクラスで一番のゴリラって言ったら()()()()()()しかいないだろ?」

「お言葉ですが、私はゴリラではありません。『貴婦人』です」

 

確かにその通り名が一般的に有名だけど、知人からはゴリラ並の怪力ウマ娘からか『貴』よりも『鬼』とかの方が合っているんじゃないかともっぱらの噂の委員長ことジェンティルドンナのお出ましだ。

 

「でも委員長片手でリンゴ潰すじゃん」

「GⅠを制覇するウマ娘であれば誰でもできる芸当ですわ」

「いやいや。お前の場合握らないじゃん。()()()で潰すじゃん」

 

指先一つでダウンを取れそうなぐらいのバカ力である。なおリンゴを握り潰すには最低でも80㎏以上の握力が必要らしいぞ!

 

「それにあれも出来るだろ?片手でビンの蓋を開けるやつ」

 

ゴルシが言っているのは通称『○ポビタ開け』といわれるCMで有名な親指でキャップを開けるあれのこと。試したことがあればわかるが、そう簡単には開かない作りになっているのでただパワーがあれば出来る芸当でもないのだ。

 

「いやいやいや。さすがにお嬢の怪力でもアレは無理っすよ」

 

そう言ったのはジェンティルの友達その2であり、ゴルシとは何かと腐れ縁な黒髪のウマ娘、フェノーメノだった。

 

「お嬢ならフタどころか飲み口ごと破壊するっす!」

「フェノーメノさん!?」

「「「確かに」」」

「あなた達も同意しないでくださいまし!!」

 

顔を真っ赤にしてお怒りの様子のジェンティルドンナ。それだけ彼女の規格外のパワーは周知の事実なのだろう。そんな中で彼女を擁護してくれるウマ娘が一人。

 

「ジェンティルドンナさんはゴリラじゃありません!」

「あの、その話はもう終わってるよ?()()()()()()さん」

 

ジェンティルドンナとクラシック級で鎬を削り、なんだかんだでクラスのまとめ役もこなす皆のお姉ちゃんことヴィルシーナだが、時折的外れなこともしでかすことがある。

 

「ゴリラの語源は『毛深い女部族』です。ジェンティルドンナさんはムダ毛もないトゥルンツルンなんですよ!!

「ヴィルシーナさん!?」

 

このように。

 

「それで一体何の話をしていたっすか?」

「アオハル杯のメンバー集めの話」

「え?一回目のチーム登録の期限ってもうすぐ締め切っちゃいますよ」

「でも最後の五人目がなかなか見つからなくてさー」

「そういうことなら私に妙案があります!」

 

何かを思いついたジェンティルが堂々と提案を発表した。

 

「と・く・べ・つに!私のチームに加入させてあげても

「「あ、けっこうです」」

食い気味に拒否するんじゃありませんわ!!」

 

スノーは苦笑いしていたが、ジャスタもゴルシも自分たちが好き勝手出来るからチームを組んでいるわけでジェンティルの監視下ではそれもままならないだろう。ただ二人の暴走を文字通り力で止めれそうなのも彼女ぐらいなのでそれでもいいのではとも思ってしまう。

 

「もうクロフネ先輩もいるので勝手にチームを解散したら怒られちゃいます」

「芦毛千年帝國でしたか?」

「ダサくないっすか?」

「ダサくないでしょう!私の野望を愚弄する気かぁ!?」

「そういうお前たちはどんなチーム名にしたんだよ?」

「「・・・・・・」」

 

ゴルシからの質問に急に冷や汗をかきながら黙り込む従者の二人。そんな二人を尻目に堂々と回答する御嬢様が一人。

 

「それは愚問ですわゴールドシップさん。私のチーム名はズバリ『チーム・ジェンティルドンナ』!常勝不敗の最強なチーム名と思いませんこと?おーっほっほっほっほ!!」

 

高笑いとともに発表されたそのチーム名は正直なところ芦毛千年帝國とさして変わらないように思える。主に主張の強さが。

 

「・・・なんというかゴメン」

「気にすることないっす。いつもの事っスから」

 

そのあまりの居たたまれなさはゴルシが謝るレベルだった。どっちもリーダーが()()だからなんとなくシンパシーを感じているのだろう。

 

「んで、他の二人は?」

 

三人の適正距離を考えるとおそらく長距離にフェノーメノ、中距離ジェンティル、マイルにヴィルシーナといったところだろう。そうなると残った短距離とダートを誰が担当するのかだが。

 

「短距離はフジキセキ寮長に紹介してもらいました」

「え?それってズルくない?寮長の推薦って」

 

しかしクロフネも先輩の三冠バ様から紹介してもらったのだから卑怯ってわけでもないだろう。因みに問題の娘は今個人的な用事でタイキシャトルの元に行っているらしい。

 

「それとダートなんですけど、今実家に帰省中でいないんですよ」

「ふーん。っちゅうとあれか。苫小牧か?」

「大当たりっす」

 

地元のPRに余念がない彼女は結構頻繁に帰郷していたりしている。あまりにも帰っているせいで単位とか心配になるけど、そこは大丈夫なんだろうか。

 

「まあウチはこんな感じっすね」

「拘るのもいいですが参加出来なければ本末転倒ですよ?」

「そこはまあ一応考えてはあるから。うん」

 

視線をそらしながら語るジャスタは怪しさ全開だがなんとかしてくれるのだろう。

 

「とりあえず期限までにはちゃんと加入させてみせるから!」

「本当に大丈夫か?」

「任せて!」

 

自信満々に返事をするジャスタだが昔からこういう時に任せると大抵碌なことにならないことを知っているゴルシは一つ、割と大きめのため息で不満を表明した。




チーム名:蘆毛千年帝國(仮)

ダート:クロフネ
短距離:スノードラゴン
マイル:未定
中距離:ジャスタウェイ
長距離:ゴールドシップ
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