これが私の道   作:corin7121

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ヴィルシーナ来ましたね。少々イメージと違っているかもしれませんがウチはこのままでいきたいと思います。


そもそも人が集まらないのはチーム名のせいなのかもしれない

もう間もなく年の瀬が近づく師走某日。チーム『芦毛千年帝國』の面々が一堂に会していた。

 

短距離担当・スノードラゴン

ダート担当・クロフネ

中距離担当・ジャスタウェイ

長距離担当・ゴールドシップ

 

「で?」

 

腕を組んで仁王立ちするクロフネとゴルシの眼下には土下座するリーダーのジャスタがいた。

 

「五人目はどうなったんだ?」

 

アオハル杯は最低五人のチームで闘うチーム戦。年末の東京大賞典後に一回戦が行われるのだが、肝心の五人目の確保がまだ出来ていなかった。

 

「どうするんだよ。もう一月もないんだぞ?このままじゃ出場すら出来ねーじゃねーか」

「ゴルちゃんの仰ることもごもっともでございます。ただその最後の一人に関しましては只今交渉中でして」

「ふ~ん。交渉中ねぇ」

 

なんだかただの言い逃れをしているようにも見えなくはない。何しろこの土壇場の瀬戸際にあってもその交渉中の相手の名前すらジャスタは話そうとしなかった。

 

「まあまだまだ言いたいことはあるけど、そろそろチームの申請期限も近いんだ。早いところ引っ張って来なよ?」

「それは任せておいて!」

「それはそれで不安なんだよ。最悪、私も同席するぞ?」

「その必要はないかな。結構好印象だったし」

 

全員が全員「大丈夫か?」と訝しんだが、あくまでこのチームはジャスタが個人的に作ったチームだ。そのジャスタがなんとかして引っ張ってくると言っているのだから彼女を信じるしかない。

 

「で、そいつは何処を走らせるつもりなんだ?」

「うん。この前のクロさんのレースを見ちゃうとあれではあるけど、ダート路線の娘だからダートを走ってもらおうかなって」

「おいおいマジか。クロさんがダートに出れば一勝は確実だぞ?」

「買い被り過ぎだぞ、お前ら。俺でもまだダートじゃ新参なんだぞ?」

 

ダート路線には魔物、とりわけ古強者が闊歩していると聞く。たまたま前回のレースに登録していなかっただけで、クロフネ以上の猛者は沢山いることだろう。

 

「ちなみにそいつは芝は走れそうなのか?」

「多分ダメ」

「じゃあダートはそのヒトが走るんですね?」

「そうなるね」

 

そう言うと登録用紙のダート欄にジャスタはXと書き込んだ。

 

「いや名前書けよ」

「当日までのお楽しみってことで」

「それじゃあスノーが短距離で」

「がんばります!」

「マイルがクロさん」

「・・・それなんだが」

 

何か思いついたようにクロフネは言った。

 

「俺が長距離を走る」

「え?」

 

 

 

 

「「「えええええええええ!?」」」

 

まさかの長距離立候補にジャスタ達は驚きの声を上げた。

 

「いやいやいや!クロさん長距離走れないから菊花賞回避したんですよね?」

「おう。走れねーぞ」

「だったらなんで長距離なんだよ!素直にマイルとか中距離でいいじゃねーか!」

「それなんだがな。お前ら————長距離を甘く見すぎだ」

 

クロフネ曰く、長距離はスタミナだけじゃない。総合力がものを言う。そして何より、

 

「お前らまだまともに体が出来てないのに長距離を走ってみろ。体壊すぞ」

 

これが一番の懸念だった。これからクラシック級に上がる三人はまだ成長途上だ。そんななかで長距離を走らせるとなるとやはり体へのリスクが大きすぎる。

 

「でもそうなるとクロフネ先輩は負けてしまうんじゃ」

「だろうな。まあ勝算が全くないわけでもねーが」

「え?勝算があるの?」

「おう。この時期だと長距離走れる奴は大抵有馬に出走しているだろ?中数日の連闘で相手の疲労は残っているだろうし、2400までなら経験はある。幸い今回は中山の2500って話しだから根性でなんとかいけるだろう」

 

有馬での疲労を考慮すれば武蔵野Sから日も開いているクロフネにも十分勝機があるように思える。

 

「そういうことなら、クロさんに長距離をお願いします。後これだけは言わせてもらいますけど、無理だけはしないでくださいね」

「わかってるよ、それぐらい。自分で言ってケガなんかしてたら世話ねーよ」

 

こうして芦毛千年帝國の記念すべき第一戦のカードが出揃った。

 

短距離:スノードラゴン

ダート:X

マイル:ジャスタウェイ

中距離:ゴールドシップ

長距離:クロフネ

 

「それじゃこのエントリーシート、生徒会に提出してくるね?」

「ちょーっと待った!」

 

アオハル杯のエントリーの為に生徒会室に向かおうとしていたジャスタをゴルシが制止した。何か気になるところでもあったのだろうか?

 

「どうしたのゴルちゃん?」

「いや、前々から言おうと思っていたんだけどよ―――――――チーム名ダサくねーか?」

「!!?」

 

まるで雷にでも打たれたかのように衝撃を受けたジャスタ。

 

「確かにこの名前はセンスねーな」

「!!?!!?」

 

クロフネの何気ない一言がジャスタのハートを柔らかい部分を撃ち抜いた。

 

「そうですね。ちょっと考え直しましょうか」

「!!?!!?!!?」

 

まさか最後まで信じていたスノーの裏切りにジャスタはその場に膝から崩れ落ちた。

 

「わたしの・・・夢・・・芦毛の芦毛による芦毛の為の芦毛が」

「ただジャスの欲望全開でハーレム築きたいだけだろ?」

「ハーレムってそれは語弊があるよ!?私はまだ見ぬ芦毛ウマ娘と懇意な仲を築けたらと!目指すべきは相思相愛であって一方的な愛というもの偏愛というものは双方にとっていずれは障害としかならないわけででもその障害が高ければ高い程興奮を覚えてしまう私の芦毛へのLOVEは留まるところを知らない青天井の天元突破ブレーキを取っ払って峠を攻めるハチロクよろしく地平線の彼方次元の壁も飛び越えてされど利用規約は厳守しつつもあんなことそんなことできたらいいな!」

「お・・・おう」

 

ジャスタの理解不能な自論に流石のゴルシも引いた。

 

「どんなチーム名にしましょうか」

「既に登録しているチーム名と被らなければいいみたい」

「例えば?」

「たとえば?」

 

運営委員会に問い合わせてもう登録済みのチームを参考にしてみると『サカヲノボル』『ギラギラエガオ』『背水の陣で食べるメシ』など、皆思い思いのチーム名を名乗っていた。

 

「こうしてみると『芦毛千年帝國』も案外悪く

「「「それはない」」」

「デスヨネー」

 

似たり寄ったりではあるがチームリーダーの欲望が駄々洩れしている分、こんなチームに入りたいと思ってくれる心優しい人が現れてくれるかどうか。

 

「チーム名といえば星の名前を付けているチームも多いですね」

 

シリウスをはじめスピカやリギル、カノープスは天体の名前が由来となっている。しかし、

 

「今回はあくまで生徒主動のチームってことだから学園のチームと混同されかねないってことでダメなんだって」

 

その後も色々と意見を出し合うもコレといった案が出せずに時間だけが過ぎていった。

 

「だーかーらー!私は芦毛のウマ娘を中心としたチームを作りたいの!ゴルちゃんの『ヤキソバシスター』じゃ釣れるのオグリ先輩ぐらいじゃん!」

「オグリが来るなら本望だろ!?あいつどこでも走れる超優良物件だぞ!それよりもクロさんの『グレイゴースト's』もどうかしているだろ!」

「お前グレイゴーストっていったらエンタープライズ号だぞ!アメリカの誇る最強空母をバカにするな!そんなことよりもジャスの『芦毛ハーレム』なんて名前にしたら俺は下りるぞ!」

「私は欲望に忠実なだけ!」

「「それを辞めろって言ってんだよ!!」」

 

三人が喧々諤々と討論している中、スノーはスノーで候補を考えていた。このチームに相応しい名前には何が良いか。

 

「あーダメだダメだ!何一つピンとこねー!」

「だったらもうリーダー権限使っちゃうよ!?私の一存でチームの名前決めるよ!?」

「それは横暴ってもんだろうが!スノーも何か言ってやれ!」

「ふえ!?」

 

俄かに名指しされて焦るスノー。

 

「さっきからずっと黙ってっけど、何かいいアイデアとかねーか?」

「一つ、考えていたものはあります」

「お?何だ何だ?」

 

スノーが考えていたチーム名。それは

 

「『モーニンググローリー』なんてどうですか?」

 

スノーの発表にジャスタ達三人は顔を見合わせて言った。

 

「いいんじゃない?」

「俺たちが考えていた奴に比べりゃずっとイイ感じがするな!」

「うん。それじゃあコレでいこう!」

「「「おーーー!!」」」

 

こうして『芦毛千年帝國』改めチーム『モーニンググローリー』は迫るアオハル杯の予選に向けて一致団結したのだった。

 

「ところで何でこの名前にしたの?」

「それはですね―――」

 

モーニンググローリー。和名・朝顔。その花言葉は『結束』そして『固い絆』




チーム名:モーニンググローリー

ダート:✕
短距離:スノードラゴン
マイル:ジャスタウェイ
中距離:ゴールドシップ
長距離:クロフネ
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