アオハル杯が始まって早くも一週間が経とうとしていた。それぞれ仲の良いウマ娘通しでチームを作ったり練習に励んだりしている中、芦毛帝國民の二人はというと。
「あああああ」
「おおおおお」
カフェテリアで屍と化していた。
「なーんで誰も来ないのー」
「あたしの会心の一作がー」
親友のゴールドシップの引き抜きに成功し、序のメジロマックイーンの勧誘を失敗したジャスタウェイ。メンバーは最低五人は必要だったので彼女は誰よりも早く動き出した。
まずはチラシ配り。開門と同時に朝も早くからチームに入ってくれるようにお願いして回った。勿論
その間帝國民のゴルシも入国を促すアートを拵えていた。校舎の壁をキャンバスにスプレーアートで勧誘を試みた。怒られて落書きを消すことに備えて水性で描いた。
こんなにも頑張ったのだ。きっと永住ビザを求めて何人もの芦毛のウマ娘ちゃんが押し寄せてくるだろうと。しかし
一週間経っても
「ああああ」
「おおおお」
そりゃあやる気もダダ下がりになるというものです。努力が実らず水の泡となったのだから。
「あらあら。随分とお疲れのようで」
そんな彼女たちを見かねて心の広い御嬢様が助け舟を出してあげた。
「メンバー集め、思わしくないようですわね」
「マック様が入ってくれれば百人力ー」
「残念ですが私は先約がありますので」
「うわっ。マックちゃん冷た!昨日ドカ食いしていたチョコチップより冷た!」
「カロリーは熱量。冷たいアイスは熱を奪うので実質カロリーゼロなのです」
「脂質」
「・・・え?」
「糖分」
「・・・・・・え?」
「内臓が真っ先に冷えるから内臓脂肪が増える増える」
「・・・・・・・・・え?」
「マック様。体重計、準備しますよ?」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「BMIも計れるちょっといいやつ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ああああ」
「うううう」
「おおおお」
その日カフェテリアが閉まる時間一杯まで生気を失くした三人の亡霊が居座っていたそうな。
「って腐ってられるかー!!」
このままでは建国することなく国が終わる。そう思ったジャスタウェイは夜中にゴルシの布団に潜り込み芦毛成分を補給することによって復活を果たしていた。ゴルシリンの過剰摂取は本来危険行為なのだがジャスタウェイは耐性を持っている為問題なし。
「んで、どうすんのよ?」
「待っても来ないならこっちから行くしかないっしょ!」
幸いなことにこのトレセン学園にはマックイーンをはじめとした優駿な芦毛はたくさんいる。片っ端から声を掛けて招致をすることにしたのだ。しかし
怪物「すまない。もうタマとクリークとチームを組んでいるんだ」
甘蕉姉貴「悪いが既にエントリー登録を済ましている。他を当たってくれないか?」
青雲空「ごめんね。もうキングとかスぺちゃんと組んじゃってて。余りの枠もないんだ・・・」
太り気味お嬢様「だから私はあなた達とは組まないと申し上げたでしょう。それから私の扱いが雑になっていません?」
キノセイダヨー
「ああああ」
一週間の出遅れがここに来て響いてきた。有望株は軒並みエントリー済みだった。エントリーをしていなくても怪しさ全開で勧誘するジャスタにノコノコ付いてくるお人好しもいない。完全に手詰まりになってしまった。
「まあ、お前にしてはよくやったよ。煮干し食うか?」
「あーんして」
「あぁん?甘ったれたこと抜かすんじゃねーよ。ほら、あーん」
「あー」
なんだかんだで甘やかしてくれるゴルシに感謝しつつ、次なる手を考えていた時だった。
「あの・・・少しお時間よろしいですか?」
ジャスタの目に飛び込んできたのは抜けるような白さの髪と黄色いチョーカーをした芦毛の美少女だった。
チーム名:蘆毛千年帝國(仮)
ダート:未定
短距離:未定
マイル:未定
中距離:ジャスタウェイ
長距離:ゴールドシップ