年末のアオハル杯予選も恙なく終わり、ここ栗東寮では帰省せずに寮に残っていた者たちで新年を祝う大会を開いていた。
「先手ーゴールドシップ」
いつになく真剣な面持ちでいるゴルシ。それもそのはず。今回相対するのは長年の親友であるジャスタなのだから。お互いの手の内は知り尽くしている。故に一瞬の気の緩みが即敗北へとつながる事すらあり得るのだ。
「それじゃあ、いくぜ?ジャス」
「・・・カモン!」
スゥとゴルシが右手を上げた。そこには緑色に光る何かが握られていた。
「5キューカンバー!!」
ゴルシが手を振り抜くと同時に彼女の前には綺麗に並べられた五本のキュウリがあった。しかしこれに対してジャスタはというと————
「甘いよ!春雨!」
「何だって!それじゃあこのナスビは逆効果になっちまう!」
「そしてこの木綿豆腐でコンボ完成だ!」
「しまっ!オリエンタルコンボか!?だったら手段は選んでいられねー!ポイントカード発動だ!」
「待って待って!三枚!?正気なの!?」
「いくぜ!」
「「
豆腐と春雨を鷲掴みにしたジャスタと両手に加えて口にもカードを銜えたゴルシが真正面から交差した。一瞬の刹那、ジャッジの判定は・・・
『ゴールドシップ』
「ぃいよし!」
まず先手を取ったゴルシ。しかしこれに納得がいかないのがジャスタ。どうやらVARを要求するみたいだ。
数分の協議後審判長のサクラチヨノオーがマイクを手に解説を始めた。
『只今の協議について説明します。行事軍配はゴールドシップ優勢と見ましたが、ポイントカードの有効期限が過ぎているのではないかと物言いが付き、ビデオ確認をしたところ一枚期限切れのカードが混ざっていました』
VAR成功に思わず両手を上げてドヤ顔をするジャスタ。
『しかし、改めて確認を行ったところジャスタウェイ使用の木綿豆腐の賞味期限が一日超過していた為再検討の結果、両者同体とし
取り直し!仕切り直しです!これは両者、勿体ないあまりの凡ミス!
二人とも初めの位置に戻り集中力を高める。
「先手ーゴールドシップ」
先ほどと同じ手は使えない。ならばとゴルシが繰り出した手は
「6バラン!」
バラン六枚!やはり手を変えてきた!しかしこれを読んでいたジャスタが繰り出した手はなんと
「ならばランチャーム!」
「なにー!ってことは次はもしや!」
「その通り!ここで私はパキッテを召喚!」
「そ、そいつはディスペンパックの最新型じゃねーか!」
「それだけじゃない。コイツの中身は『Black & White』!この最強タッグの前に流石のゴルちゃんでも手も足も出ないでしょ!」
「ところがどっこい!ここでリバースカードオープン!」
「そ・・・それは!」
「そう。こいつはただの紙じゃねー!こいつは『グラシン紙』!!」
そしてゴルシは満を持して奥の手を出す!
「樫本代理のカッシーナだあああああ!!!!」
この大技!掴むか!掴めるか!?―――――
決まったー!日本優勝!この大一番で樫本代理、大技を成功させたー!!
チーム・ファーストの面々が樫本代理を胴上げしています。それではここで日本トレセン学園生徒会長さまから一言もらいましょう。
「
「しょーもねえわああああああああ!!!」
ツッコミどころ満載の悪夢に思わず布団を蹴っ飛ばしてクロフネは跳ね起きた。
「なんて初夢だ・・・」
正月早々からとんでもないものを見せられたクロフネ。悪夢と言っても差し支えない内容だったのだから頭を抱えたくもなる。アオハル杯で慣れない長距離を走ったせいか少し足に違和感があるものの、疲れによるものだろうと思い込むことにして一先ず乾いたのどを潤そうと寮の食堂へと向かった。そこには至近距離で睨み合うジャスタとゴルシ、それを周りで応援する野次ウマ娘たち。
「何やってんだよお前ら」
「「真剣勝負!」」
なんだかどっかで見た光景とダブった気がしたクロフネはコップに牛乳を注ぎながら二人に注意しておくことにした。
「日付はちゃんと見ておけよ?」
「「え?」」
その後の結果はというとゴルシのブレットシュナイダーが決まっての連覇達成だったらしい。
おふざけ満載の『キバハゲ』ですが念の為用語解説
バラン→お弁当とかに入っている緑の仕切り。元々は馬蘭と呼ばれる植物で料理の飾りに使われていたらしい。
ランチャーム→お弁当に入っている魚の形をした醤油入れの正式名称。
パキッテ→ディスペンパックの事。片手でソースやジャムを掛けれるアレ。
グラシン紙→肉まんとかにくっ付いてくる紙の正式名称。
カッシーナ→体操競技・鉄棒のG難度の技。どんな技かというとバーを越えて後方伸身2回宙返り1回捻り懸垂。ブレットシュナイダーは抱え込みの2回宙返り2回捻り懸垂。
正直に申すとルドルフに言わせたかっただけです。