「それではこれより面接を行います!」
「ひゃ、はい!」
チームメンバーが思うように集まらず不貞腐れていたジャスタウェイだったが、入国希望者が現れるや一変、どこから持ち出したのか黒のビジネススーツとメガネを着用して見違えるようなキャリアウーマンに大・変・身!これがゴルシリンの恐るべき効用、『ギャグやボケなら何でもありに出来る』のだ!さあ隅から隅まで余す所なくチェックしますよグヘへへ!
「ジャスタ。面接の前に一辺顔洗ってこい。嬉し涙と鼻水と涎で見るに堪えねえから」
「ぅえ!?それじゃちょっと待っててね?」
「う・・・うん」
そそくさと教室を後にするジャスタ。彼女が居なくなったのを確認してから徐にゴルシが切り出した。
「いやー何つーか。お前も結構物好きなんだな?あたしが言うのもなんだけど、こんな胡散臭いチームに入りたいだなんて」
「そうですか?でも私は行く当てがありませんでしたから」
「なんか訳ありか?」
俯き気味に顔を伏せていた彼女はぽつりぽつりと語り始めた。
「実は私」
「あ、そういうのはジャスタが帰ってきてから聞くわ。取り合えず希望しているレースはどれか教えてくれ」
「え、あの・・・短距離・・・です。後ちょっとだけですけどダートも走れます」
「ほう。その年で二刀流とは。ヒトは見かけによらねえな」
「そんなことありませんよ。私、とっても遅いですから・・・」
やっべー、地雷踏んだか?と内心焦るゴルシだったが、丁度いいタイミングでジャスタが戻ってきた。ちなみにスーツは脱いで制服に戻っていた。
「いやーゴメンゴメン。愛しい気持ちと切ない気持ちと心強い気持ちが一遍に来ると顔面崩壊しちゃうね!」
「悪いな。こんなんがリーダーで」
「いえ!そんなことありません!」
「こんなんとはなんだ!こんなんとは!」
残念ながらこんなんでも主人公張っているんです。がんばっているんだから許してあげて。
「作者からフォローされるってなかなかやるじゃん」
「うっせえわ!」
「あ・・・あははは」
入国希望の少女は苦笑いを浮かべるしかなかった。この二人についていくのはそれなりにクセが強くないと難しいです。
「さて気を取り直して。ウチのチームに入ってくれるの?」
「あ、はい。私弱いですけど頑張ります!」
「・・・」
「・・・」
「あの・・・もしかして迷惑・・・でしたか?」
プルプルと震えだすジャスタとゴルシを見て少女は不安になった。やっぱり迷惑をかけてしまったと思い込んでいたから。しかし二人が震えていたのは違う理由で。
「祝!二人目!!」
「今夜はお赤飯じゃーい!!」
嬉し泣きの大号泣だった。どっかから取り出した紙吹雪とクラッカー弾きまくりの狂喜乱舞だった。それだけメンバー集めに苦労したのは理解できるがいささかやり過ぎな気もしなくはない。
「いやーホントこのまま企画倒れになるところだったよ」
「レース一つもやらずに打ち切りにならなくて良かったぜ」
「これからよろしくお願いします、ジャスタウェイさん。ゴールドシップさん」
「うん!よろしく!」
「ん?ちょっと待て待て。あたし達一度も名乗っていないけどなんで名前知っているんだ?」
「え?」
「え?」
「え?」
一瞬で三人の周りの空気が冷え込んだ。明らかに「お前何言っているんだ?」な目をゴルシに向ける二人。
「私達同じクラスですよ?」
「というよりゴルちゃんの席の前なんだけど、彼女」
「いやーほら。あたしって授業中は寝るか早弁とかであんまり周りに興味ないし?」
「興味はなくても同じクラスの子の名前ぐらい覚えておこうよ」
「グフッ!!?」
「授業態度が悪いと内申に影響が出ますよ?」
「ウガッ!!?」
「でも一番許せないのがコレで学年一位の成績なのがもうね?」
「真面目に授業を受けている私達がバカみたいですよね?」
「初対面なのに結構ビシビシ来るな!?」
「毎朝顔を見せていますよ?」
「お前らなんて大っ嫌いだーーー!!!」
ドップラー効果を残しながらゴルシは颯爽と教室を飛び出していった。
「あれはボケだから無視していても大丈夫な奴だから。気にしなくていいからね?」
「なんとなく、そんな気はしました」
「これはもうあれだね。ゴルちゃん検定準二級合格だね」
「ありがとうございます」
ちなみにジャスタはゴルちゃん検定一級。マックイーンに至っては特級を取得しています。持っているとゴルちゃんが懐いてくれます。
「改めまして。スノードラゴンです。スプリンターを目指しています。どうぞよろしくお願いします」
数分後、ゴルシは何食わぬ顔で戻ってきた。ついでに三人分のジュースも差し入れてくれた。気配り上手ですね。
「いやー良かった良かった。ステイヤーだったらゴルちゃんをクビにするところだったよ」
「おいコラジャスタ。やっぱそのコーラ返せ。常温放置して炭酸全部抜いてやるから」
「別にいいよ?代わりにゴルちゃんの飲みかけのお茶をもらうけど」
「ふっざけんな!何サラッと間接キッス狙ってるんだ!」
ついには取っ組み合いのケンカになってしまったがスノードラゴンは仲裁せずに黙ってみていた。多分コレはじゃれ合っているだけだと思ったから。
「にしても意外だったな。あのジャスタが勧誘しなかったなんて」
「したよ?結構早いうちに」
「あ?どういうこった?」
「結論から言うと、私出遅れました。以上です」
ジャスタがゴルシを誘っている時点でスノーも友達から誘いを受けていた。だから失敗したのである。
「いいのかよ?その友達と一緒じゃなくて」
「いいんです。私、追い出されちゃいましたから」
「・・・・・・追い出した?」
スノーが迫害を受けたと知りジャスタはこめかみに青筋を浮き出させていた。鹿毛や栗毛が何されようと知ったこっちゃないが芦毛を蔑ろにされたことにジャスタは腸が煮えくり返っていた。
「聞き捨てなりませんなぁ、ゴルシさん?」
「聞き流しても本人が納得しているなら構わないだろ?」
「はい。仕方ないとは思っていますから」
「仕方ないで済ましていい訳あるか!悔しくないの!?」
「悔しいですよ!」
急に声を張り上げたスノーに二人は意表を突かれてキョトンとしていた。
「あ・・・す、すみません。急に大声出して」
「いえ、こっちこそゴメン。呷ったりして」
「ん~、でもよー。何でスノーはチームから離脱させられたんだ?ケンカでもしたか?」
「ケンカなんてしていませんよ。その・・・みんなの期待を裏切ってしまったから」
聞けば一番人気で臨んだメイクデビュー戦を落としてしまったから。しかしまだ成長途中で勝った負けたが常の世界。たった一度の負けで追い出すのは少々酷な話と言えよう。
「そういうことか。でもまああたしらのトコはそんな気張ることしなくていいぜ?なあ、ジャスタ?」
「うん。勝ち負けよりも私は芦毛を囲いたいだけだから」
「こんなんだからよ。そうメソメソすんなって。ほれ」
「え?」
不意にゴルシは右手を差し出した。
「何ボケーとしてんだよ。見てわかんねーか?握手だよ握手。ほれほれ」
「え・・・あ・・・」
屈託のない笑顔を見せるゴルシにスノーはここなら自分も頑張れる。そんな気がしてゆっくりと、しかし力強くゴルシの手を握った。
「これからよろしくお願いします!」
「おう。黄金船に乗った気でいろ!」
「ああーちょっと何二人だけでいい雰囲気になっているの!?私も混ぜろー!」
そこはかとなくいい空気になったのが気に食わなくなったジャスタは二人に飛びついた。こうしてジャスタの夢に漸く一歩踏み出すことが
「あ゛!」
「どうしたジャスタ?顔面真っ青だぞ?」
「さっきメイクデビューがどうとか言ったよね?」
「う・・・うん」
「私のデビュー戦。確か今週末だ・・・」
「ふむふむ。でも多少はトレーニングしてただろ?」
「メンバー集めに躍起になってて全然してない・・・」
『型破りウマ娘』の二つ名の取得チャンスですよ?
「ま・・・まだ時間は残っています!頑張りましょう!」
「ああ・・・芦毛の天使が見える~」
メイクデビューまで後僅か。こんな所で転んでいては情けないぞ、ジャスタウェイ!
チーム名:蘆毛千年帝國(仮)
ダート:未定
短距離:スノードラゴン←NEW
マイル:未定
中距離:ジャスタウェイ
長距離:ゴールドシップ