新潟。美味しいお米が採れるこの地でメイクデビュー戦が行われる。今回は八人立てで我らが国王ジャスタウェイは大外枠の八番。これからウマ娘として数々のレースに出走するその最初のレースがもう間もなく始まろうとしていたというのに、ジャスタウェイの士気は絶不調のストップ安まで急降下していた。
それもそのはず。今回のレースには親友のゴルシもいなければ先日チーム入りしたばかりのスノーも来ていない。まあゴルシのメイクデビューも近かったのが理由ではある。しかしそれ以上にジャスタの士気を下げる要因があった。
今回出走するメンバー全員が鹿毛や栗毛ばかりで見事に芦毛ウマ娘がいなかった。まあいるにはいるが、別のレースに出走するので並走は今回不可能です。
「ああああ」
そんな理由でジャスタは控室で一人虚無っていた。ここにゴルシを一つまみ加えることができればやる気は普通ぐらいにまでは回復したであろうが、残念彼女は今は遠く府中でスノーとトレーニング中だ。
「楽しかったなー。二人と並走」
なぜか走馬灯のようなものが脳内を駆け巡っているジャスタ。パドックまでもうすぐなのに動く気配が微塵も感じられません。
ピポパポピポ・・・ピポパポピポ・・・
テーブルに無造作に投げ出されたスマホから着信音が流れ出した。億劫そうにジャスタは電話に出た。
『うぃーす!元気にしてっか?貴女のゴルちゃんだぞ?』
「・・・・・・」
普段なら適当に相手をするのにこうもやる気がないと返事をするのも面倒になる。というよりも相手とのテンションの差が激しすぎて相手をしたくない。
『おーい。通話繋がってっか?レース前だっつうのに余裕だな?おい!』
「何の用?」
『おいおい。これからレースっつうのになんだその締まらないテンションは』
「芦毛いない」
『あっ・・・』
流石は長年友達をやっていただけあってゴルシは合点がいった。
『そのーなんだ!勝って帰ってきたら頭撫でてやるから!』
「もう三押し」
『三!?図々しいにも程があるぞ!?』
「スペシャルコースお願いします」
親友にはデビューを華々しく勝ってほしい。しかしその為には自分の羞恥を天秤にかける必要があった。GⅠのレースならまだしもやる気を出すためにゴルシが最大限出来ること。灰色の脳細胞をフル回転させて導き出したその答えは。
『・・・・・・5分ひざまくら』
「オプションは付きますか?」
『付けたら頑張るか?』
「うん」
『そんじゃ一つだけなら』
「言質取ったぞぉぉぉぉ!!」
一瞬で絶不調から絶好調へと反転させたジャスタは鼻息荒くパドックへと繰り出した。
「やっちまったー・・・」
スノーとのトレーニングの合間にジャスタに連絡を入れたゴルシだったが軽く発破を掛けるつもりが間違えて核ミサイルのボタンを押してしまった。これは後が大変なことになるぞ?
「ジャスタさん大丈夫ですか?」
北の空を見上げて黄昏るゴルシが不安になってスノーは声をかけたが当の本人は上の空。せめて変なお願いをされないことを祈るしかできなかった。
『四番人気。八番、ジャスタウェイ』
『いい感じに気合が乗っていますね。鋭い末脚に期待できます』
初めてのレースの舞台で緊張し過ぎて本来の力を発揮できない者も多くいるこのメイクデビュー戦。そんな中で一番人気は譲ったものの、ジャスタは神経を研ぎ澄ませていた。
(勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕勝ったら膝枕)
主に煩悩方面で。
チーム名:蘆毛千年帝國(仮)
ダート:未定
短距離:スノードラゴン
マイル:未定
中距離:ジャスタウェイ
長距離:ゴールドシップ