性格の悪いインキュベーター   作:超高校級の切望

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ふざけるな! ふざけるな、バカヤロー!(アニメ見た感想)

黒江出すために書くならアニメ基準にしようとしてた作者のソウルジェムを真っ黒に染めやがった。魔女になってきます

執筆の魔女。その性質は気まぐれ
小説をえたらせることで絶望を振りまく魔女。




















円環の理に導かれたので復活!



ごんべえは最後の最後まで色々するんだろうけど、性格的に決意を決めた奴らは止めないだろうなあ


そん時せいぜい笑ってやる

 佐倉杏子。

 風見野市の魔法少女にしてマミの一番弟子。さやかにとっては姉弟子にあたる魔法少女。

 

「どうしてここに……」

「ごんべえに頼まれたんだよ。狙われるとしたら弱い奴からだろうからってな」

「っ!!」

 

 味方の杏子にも弱いと言われ、唇を噛むさやか。それを横目で見ながら杏子は仁美を守るように結界を張る。

 

「否定したいなら力を示しな。ゆま、大丈夫だとは思うが魔女があたしの結界破らねえように見張ってろ」

「うん!」

 

 と、杏子についてきていたであろうゆまが元気よく返事する。彼女の魔法少女姿は初めて見る。猫耳がついた帽子がなんとも可愛らしい。

 

「このクソ女! 良くもやってくれたなあああ!」

 

 そんな風にゆまを見ていると沙々の怒声が響く。腹から血を流しながらも簡単な回復を行い、魔力使用により穢れたソウルジェムを浄化したグリーフシードから新たな魔女の群れを産む。元々後少しで羽化するグリーフシードを複数持ち歩いていたのだろう。

 

「4人仲良く魔女の餌にしてやるよおお!」

「………4人、か………」

 

 京は関係ない者、一般人である仁美を巻き込む気はないのだろう。だが、沙々は違うようだ。恭介も理不尽な理由で害そうとしていた。理不尽な理由で何人も手にかけていたと聞いた。

 

──ずっと前から私、上条恭介君のことお慕いしていましたの

 

「っ!! あう!」

 

 一瞬体が硬直し、魔女によって吹き飛ばされるさやか。立ち上がり追撃をかわす。

 先程の仁美の言葉。今この状況に、なんの関係もない。無いはずだ!

 

──休校明けの翌日、私は上条君に告白します

 

 なのに、なんで今頭にあの会話を反芻するの!?

 

「……………」

(いい方法教えてやろうか?)

「っ!?」

 

 不意に響く杏子からの念話。片手間に魔女を討ちながら、目を見開くさやかを見つめ笑う。

 

(あたしが適当に攻撃食らって結界を解くから、あんたは偶然装って魔女を数匹通せばいい。ゆまはまだ戦い慣れてねえ、自分の身は兎も角ただの人間を守るなんて出来ねえよ)

「あんた、何を!?」

「さやかさん……?」

 

 傍目からは突然叫んだように見えるさやかの行動に首を傾げる仁美。杏子は静かにしろよと言うように肩をすくめる。

 

(聞けばあんたの恋敵だそうじゃん? しかもあんたの気持ちを知ってて男に惚れてんだろ? それって、あんたに対する裏切りじゃねえの?)

(そんなこと!)

(ない、って思えないから、やる気でないんだろうが)

「っ! が!」

「さやかさん!?」

 

 魔女の触手が腹を貫き、振り回され乱暴に抜け地面を転がる。口と腹から血を流し、明らかな致命傷はしかし音符模様の魔法陣が浮かび上がれば直ぐに癒える。

 

「………え」

『彼女は癒やしの祈りを契約に魔法少女になったからね。ダメージの回復は人一倍さ』

「………癒やし?」

『少女達との契約の際、僕等は君達の願いを叶えるんだ。それを対価に生み出されるソウルジェムは、君達に魔法を与える。魔法少女なら誰しもが扱う魔法の他に、祈りに通じる固有魔法と呼ばれるものがね。さやかは癒やし、ゆまは杏子の助け。この二人は他者の助けとなる癒やしの力を得ているんだ』

「癒やしの、祈り…………それって…………」

 

 彼女が奇跡を必要としてまで癒やしたい存在。仁美はそれを知っている。

 

「………ソウルジェムと、そう呼びましたか?」

『呼んだね……』

「その、材料は………」

「うあ!!」

「杏子!」

 

 と、杏子の悲鳴とゆまの叫びにハッと振り返る仁美。杏子が怪我したからか、仁美を守っている結界が消え複数の魔女が仁美に迫る。

 杏子に駆け寄ろうとしたゆまが慌てて振り返るも、間に合わない。

 

「こんの、やろおおお! 仁美に、近づくなああ!」

 

 その魔女達をさやかのサーベルが貫く。数や魔女の硬さにより全てを打ち倒すことはできず、残った魔女の攻撃をその身で受ける。

 

「さやかさん!」

 

 脇腹が貫かれ頭の一部が砕け左腕が千切れ飛ぶ。明らかに助からない。回復速度とか癒やしとか、そういう次元じゃ………!

 

「ああああああ!!」

「え……ひっ!?」

 

 だが、仁美の絶望に反しさやかは魔女達を切り裂く。脳の一部が、内臓がこぼれるほどの傷が巻き戻しのように癒え新たな腕が生える。

 

「………………」

「……ごめん、怖いよね」

 

 顔を青くする仁美を見て、さやかは拙く笑う。

 

「でも、今は信じて。仁美はあたしが守るから!」

 

 そう言って迫りくる魔女達に剣を振るう。時折マントを靡かせ攻撃を絡め取り、同士討ちさせ、貫き、切り裂き、殴り飛ばす。その際明らかな致命傷を負おうと無視して……

 

『やり方がまずいなあ。わざわざ痛覚を残したままなんて、精神を無駄に追い込んでソウルジェムを濁されるだけなのに』

「ソウルジェム……さやかさんの魂は、まさか……」

『君の考えている通り。ソウルジェムは魂そのものさ。だから魔法少女は頭を砕かれようと体中の血を抜かれようと活動できる。ただの脆い人間のまま、魔女と戦う危険を冒せなんてとても言えないからね!』

 

 なんでもないことのように言い放つ白い獣に、ゾッと背筋に悪寒が走る。

 価値観がまるで通じない。人の言葉を話す虫と話していたほうが、まだマシだろうとすら思える。

 

「杏子ぉ! さっさと起きなさい! あんたも手伝え!」

「はいはい、たく人使いが荒い」

 

 と、さやかの叫びに土煙を吹き飛ばし杏子が魔女を薙ぎ倒す。やはり強い。大したダメージすら負っていない。

 

「あんた、良くも仁美を……後で覚えときなさいよ」

「逆になんで守るかね…」

 

──さやかさんは素敵な人です! 勝手なことを言わないでください!

 

「………あんたには、解んないわよ」

「……………そりゃそうだ。あたし等は、同族なだけの他人なんだから」

 

 さやかの言葉に杏子は笑い魔女を槍で貫き鎖で縛り付け地面や魔女に叩きつける。

 

「きりがない。杏子、操ってる本人を………!」

 

 と、そこでさやかが沙々に目を向けようとして、沙々が姿を消していることに気付く。魔女との混戦。姿を隠し、狙うとしたら……?

 

「っ! 仁美! ゆまちゃん!」

 

 慌てて叫ぶさやか。仁美の元に戻ろうとしていたゆまを巨大な魔女が遮り、その魔女の背から飛び出す人影。

 

(こいつを人質にすれば!)

 

 沙々だ。抵抗されないよう洗脳しようと杖を向け迫る。ゆまもさやかも、間に合わない!

 

「がう!?」

「………え?」

 

 が、沙々の杖は()()()()に触れ、弾き飛ばされる。

 

「あ……? 佐倉の結界? 何で、何時張り直した!?」

「張り直すも何も、あたしの結界はそう簡単に消えやしねーよ」

「はあ!?」

「あたしの固有魔法は幻惑。何もないところにあたしを居るように見せたり、壊れてるものを壊れてないように見せるのもお手の物なのさ」

 

 ふん、と小馬鹿にする用に笑う杏子に沙々がギリギリと奥歯をかしめ睨む。

 

「あんた………性格悪いわね」

「文句はごんべえに言え。うだうだ迷うようなら荒療治しろって言ってきたんだ」

 

 あいつは、ほんとに何処まで見えているのだろう。自分達が解りやすいだけ?

 

「さて、手持ちの魔女も捕まってるそこのだけ。その穢れじゃ、改めて孵化できる魔女も弱いのが数体ってところか?」

「っ!」

 

 通常強力な魔法にはそれに相応しい魔力消費というデメリットがつきもの。しかし願いそのものが固有魔法である沙々はそのデメリットがない。それ故にこれ程の魔女を操ろうとソウルジェムの穢は少なくすむ。逆に言えば、孵化させた魔女をやられてしまえば途端に無防備になる。

 風見野市から逃げざるを得なかったのはそれが理由だ。

 

「………幻惑、幻惑ですか………」

「あ?」

「佐倉………知ってますよ、随分前。聖書の教えにもない、愚にもつかない戯言抜かして破門された教会の神父! だけどある日突然人が来るようになったそうじゃあないですか! ああ、もしかしてパパの言葉を聞いて〜とでも願いました?」

 

 魔法少女の固有魔法は叶えた祈りに影響される。幻惑の固有魔法を持つ杏子の願いならば、人の精神に影響を与えるたぐいのはず。それも、恐らく複数。

 

「で・も……死んだんですよねえ? 一家心中! 一体何があったんですかあ!? カラクリでもバレましたか! 自分の言葉なんて誰も聞いてなかったって、絶望させたんですかぁ!?」

「え………は?」

 

 一家心中?

 何で?

 いや、もしも沙々の言っていたとおりなら、杏子にとって魔法は……

 

「家族を殺した魔法を、よくもまあ得意げに使えますねえ! 私には理解できないですよお!」

「お前………!」

「なんで、あんたが怒るのさ……」

 

 さやかが思わず食って掛かりそうになるが、杏子がそれを止める。ソウルジェムに、濁りはない。見下すような視線を沙々に向けていた。

 

「人の過去語って得意げになるとか、本当性根が知れるっていうか、底が浅いっていうか」

「ああん!?」

「そうだね、あんたの言うとおりさ。あたしの馬鹿な願いが、家族を壊しちまった。他人の事情を知りもせず、得意げにみんな救った気になってた馬鹿があたしさ……」

「杏子、あんた…………」

 

 自嘲するように笑う杏子に、さやかはかける言葉が見つからない。逆に、沙々はここぞとばかりに吐き散らす。

 

「はは! 何だ、本当にお前の魔法が原因なのかよ! なんでまだ生きてんだあんた、家族殺したヒトごろしが! 家族狂わせた魔法まで使ってよお!」

「………ある奴に言われたんだよ。『良いんじゃねえの、別に。それで死んで、家族に自慢しろよ。魔法使えば勝てたけど、皆を思って死ぬ方を選んだよ』って……」

 

 絶対ごんべえの言葉だ。

 

「あたしはあたしが死ぬ理由に家族を使いたくねえ……だから、使えるもん全部使って、やれること全部やって、それで死んじまったらそん時せいぜい笑ってやるって決めたんだ」

「やれること、全部………」

「時間稼ぎには付き合ってやったぜ? 打開策は思いついたか?」

 

 杏子の言葉に忌々しげに表情を歪める沙々。

 京を囮に……無理だ。戦いになればビビって動けないやつを優先して沙々を見逃すはずがない。特に杏子は……。

 新たな魔女を生み出す? 時間稼ぎになりそうな群れの魔女は厄介そうな魔法少女に使ってしまった。何か、何か……!

 

「あぐ!?」

 

 と、グリーフシードを入れた箱の中の魔女の種類を思い出そうとしていると、何者かに吹き飛ばされる。杏子もさやかも目を見開いている。彼女達の仕業ではない。

 

「っ………てめ、なんのつもりだ京ぉぉ!」

「ひっ!」

 

 沙々の怒号にビクリと震えながらも人形に回収させた箱を受け取る京。ここに来ての仲間割れに、杏子は眉根を寄せる。

 

「てめえなんぞが魔力回復したところで役に立つか! さっさと返せこのクズ!」

「や、やっぱり……人は、そう簡単に変わらないね」

「ああ!?」

 

 怯えながらも気丈に睨む京に向かい威嚇するように叫ぶ沙々。京の目に、嫌悪が滲む。

 

「ひ、人を平気で傷付けて……悪びれもなく、自分は悪くないって………そんな人に、魔女を渡したら駄目だって、織莉子さんが………」

「……は?」

 

 京の言葉に目を見開き固まる沙々。誰が、命じたって? 織莉子が? そんな馬鹿な。

 

「て、適当なこと言うんじゃねえ! 織莉子さんは、友達だって言ってくれた! 私を、友達だって!」

「ええ、言ったわ……」

「「「!?」」」

 

 沙々の言葉に応えるように降り立つ新たな人影。純白の穢れなき衣を全った魔法少女、織莉子は静かに沙々を見つめる。

 

「お、織莉子さん……!」

「っ………織莉子!」

 

 破顔する京と対象的に、織莉子を睨みつける沙々。口では否定しながらも、内心では確信していたのかもしれない。

 

「………全部、全部嘘だったんですか………友達っていうのも、助けてくれたのも、全部!」

「聡い子ね………それだけ考えられるなら、人を傷付けない生き方も出来たでしょうに……」

「っ!! ふざ、ふざけんな! 人を、傷つけないように!? それが私を騙した理由か!? お前だって、お前だって人を殺そうとしてるくせに! 人を殺させたくせに!」

 

 その言葉にさやかも織莉子を睨む。彼女は、さやかの親友の一人の命を狙う敵であるということを思い出した。

 

「ええ、そうね。でも、悪いけど私……」

「はあ!?」

「関係ない人間まで巻き込んでおいて、どうせ自分を見下すから、見ないからと責任転嫁をする貴方を………友達とは思えないわ」

「────」

 

 息を呑む沙々に、杏子が織莉子の目的に気付く。

 

「ちぃ!」

「は、はは………あはははははは! そうか、そうかよ! お前も、皆も! 結局そうやって裏切るのか!」

 

 杏子が駆け出すと同時に黒く染まりきったソウルジェムが砕け膨大なエネルギーが溢れ出す。

 

「きゃああああ!?」

「くうっ!」

「ひう!?」

「な、なんですの……?」

「クソが! お前、魔女を増やすのはいいのかよ!」

 

 京が、さやかが、ゆまが、仁美が吹き荒れる暴風に悲鳴を上げる中、杏子は落ち着いた様子の織莉子に向かい叫ぶ。織莉子はただ静かにその場から去る。

 

「これが………魔女化………」

 

 砕け散ったソウルジェムの中心から現れた針の生えた黒い球体。何かが昇って来るかのような気配とともに、溢れるエネルギーが禍々しいものへと変わる。

 

「何が、起きているのですか? 何が来るのですか!?」

 

 地面に横たわる沙々を見て、その上に現れる禍々しい気配に顔を青くしながら叫ぶ仁美に、キュゥべえは落ち着いた様子で尾を揺らす。

 

『彼女は魔法少女の使命を全うした。喜ばしいことだよ、これでこの宇宙は90621年3ヶ月5日、寿命が増えた!』

「……………はい?」

『それにしても生まれてくる、ではなく来る、か。なかなか面白い表現だね。たしかにあれは、魔法少女達の魂の残骸が、個々の絶望の形を伴って出てくるものだ』

「………………」

 

 魂、残骸、絶望……魔法少女の使命の全う。嫌な考えが頭に浮かぶ。その考えの答え合わせのような目の前の光景に、吐き気を覚える。

 

「魔法少女は………さやかさん達は、魔女になるんですの? 宇宙の寿命を、伸ばすために」

『そうだよ。話が早いね、君は因果の許す限りどんな願いでも叶えられる。そして、無意味に死んでいく人類の中でその死に有意義な意味を見いだせる。どうかな? 僕と契約して、魔法少女にならない?』




群れの魔女。その性質は成り行き。
常に自分に似姿の使い魔に紛れて行動する魔女。主体性がなく、使い魔の行動に付き従っている。責任を負うのを恐れる臆病な魔女。

群れの魔女の手下。その役割は賛同。
本人達も何に、誰に賛同しているのか解っていない。取り敢えず自分達の居場所に入ってきた人間を襲う。


生前は誰にでも優しい人気者。いじめも許さず、正義感が強い。その人気は常に周りに人がいるほど。
己の影響力を理解しておらず、いじめられてる子を助けていじめをなくせたと思ったら「あんたのせいで私達まで嫌われるところだったじゃん」といじめを行っていたグループのリーダーが疎外され元いじめられっ子が「私は彼女に助けてもらった友達だから」といじめを行うのを目撃。
自分が与える影響が怖くなり「誰も自分を強く意識しないように」とキュゥべえに願った。固有魔法は「隠形」。
普段は透明人間というわけではなく、クラスで会えば名前は出てくるけど普段は全く意識しない。いじめてるわけでもなく、話しかければ参加させるけど誘いはしない的な立ち位置になった。
しかしそれ故にいじめを止める力も失いもう誰も助けられなくなったと解る出来事があり魔女化。
波風を立てたくない。自分の言葉で誰かが誰かを傷つけるようになるのが怖い。故に自分では何もしない魔女。
ごんべえに会ってたら? そりゃいじめっ子達の人生が、ねえ? 破綻はしないけどろくなのは送れない。そもそも人の心傷つけておいて幸せに生きれるわけがない。

本編後

  • マギレコでも魔法少女を誑かす
  • たるマギで家族3人でフランスを救う
  • たむらの旅につきあわされる

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