性格の悪いインキュベーター   作:超高校級の切望

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はんたーさんからファンアートを受け取りました!

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カメラ目線で笑ってるごんべえですがこの後しっぽをハムハムされる


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小巻と織莉子の喧嘩風景です。喧嘩して仲良くなるのは何も男だけの特権じゃないね


あけみ屋補足

たむら
漫画『ほむら☆たむら』の主人公。混沌とした平行世界を渡った結果耐性がついた。盾が電池切れになり時間停止を解除できなくなってサポートセンターに連絡し「吉田君のタイムシールド〜時間戻しまっせ 廉価版」という喋る盾を一時期装備していたがデフラグをさぼり機能が低下したので中には入り、変な生態系が形成されてたので捨てて通常の盾に変えた。
性格はクーほむ
『吉田』
喋る盾。犬アレルギー。捨てられた。

ほむ姉
めがほむ時代に他の世界線のほむら(むら姉)に出会い店の仕事を手伝う。全ほむらの中で恐らく二番目に長寿。何百回も繰り返し防ぎ込んでいるうちに魔法を失ってしまった。他の世界でまどかを救おうと立ち上がったほむらのサポートをするためにあけみ屋を開店。食材は店を訪れたほむら達が持ってきている。髪を解いた眼鏡ほむらを成長させて大人の落ち着きを加えた姿と性格。

博士
ほむらがまどかより年下の世界線のほむらと思われる。どう知り合ったかは知らん。まどかだけでなくマミや杏子にも懐いてる。
ワルプルギスを倒しても魔女にならないよう、魔力を使わぬ科学を研究してる。
魔法アイテムの下請けにも手を広げ喋る盾を作った。
ショートカットの眼鏡なしほむら。性格はとあるAI曰く全ほむらNo.1のS。でもごんべえには泣かされる。いつか不死のごんべえを閉じ込めて燃料にする内熱機関を作ることを夢見ている。

いたずらほむら
いたずら好きのほむら。方法は不明だがたむらと同じ世界軸に出現したことがある。その世界での鹿目家は油が巻かれた道を全員スムーズに滑れる。マミさんが一番の被害者、いたずらされすぎてなんの反応も示さなくなった。
因みに彼女の時間軸のまどかは普通に生きてて後にたむらも訪れた。じゃあなんで逆行してんだこいつ

ルーキーほむら
まどかにもさやかにもマミにも避けられるほむら。こいつも一応最初の時間軸ではまどかと友達だったのだろうか?
まどかの部屋に勝手に地下室を作り住み着くもシュールストレミングを開けて住めなくなった。

剣豪ほむら
剣気だけで測定器をぶっ壊す。振るった剣があけみ屋を横一文字に切り裂いた

さやか
特に補足なし。

巴亭マミ楽
皆死ぬしかないじゃないしようとした時止めようとしたほむらの誰かの時間逆光に巻き込まれ次元の狭間に置いてけぼりにされたマミ。次元の狭間では穢もたまらず魔女にもなれず何も得ず、終いにゃ終いにゃ芸人さん。本人曰くすることがなく面白いことを考えて気を紛らわせていた。その後たむらと出会いあけみ屋にて落語家になった。

杏子
とある混沌とした世界線で玉手箱を開けてオコジョ化した杏子。暴走状態で現れたさやかを止めるためにむら姉が連れてきた。人間だった頃の意思があるかは不明。

むら姉
実はほむ姉の盾に豚骨スープをこぼし洗濯機で洗おうとして壊した本人。なんか勘違いしたほむ姉になかなか言い出せず、直してから返そうとしたがどこまでも地平線が広がる次元の狭間で迷子になっていた。


たむらがとある世界線で拾った犬。尻尾のフサフサがまどかのツインテールに似てるらしい。次の時間軸に移動するさいうっかり連れてきてしまい、最終的にあけみ屋に預ける。

母さん
両親の存在しないインキュベーターであるごんべえの母親。ごんべえの誕生に大きく関わる謎のまど……存在。


補足しても謎が深まるんだが? まるで意味がわからんぞ!


答えが出てるならうじうじ悩むな

 自分にとって、ほむらとは何者か。

 改めて考えると、うまい表現が出てこない。

 友達、だと思っていたがほむらにとって自分は過去失った筈の人間。ごんべえに言わせるところのそっくりさん。

 ごんべえ曰く時間は稼いでやったとのことだが………。

 それでこうして一旦帰るあたり、ごんべえが嘘を付かないと信じているからだ。

 

 

 本当に? 人の心なんて完全には解らない、ほむらちゃんが心配じゃないの? そう責める自分も居る。

 

「……………はぁ」

 

 眠れない。水を飲みにリビングに向かう。

 

「あん? 何だ、まだ起きてたのか」

「ママ……」

 

 そこにはシャワーを浴びたのだろう、バスローブ姿の詢子が居た。頼りになる母。父と同じ、まどかにとってかっこいい大人。相談するならこの上ない相手であり、しかしこれは自分の問題で………などと考えていると詢子の方から話しかけてきた。

 

「座れよ、まどか」

「……………」

 

 その言葉にまどかは冷蔵庫から麦茶を取り出し詢子の正面に座る。

 

「………………」

「で?」

「え…?」

 

 呼び止められたのだから何か話があるのだろうと思えば、むしろ詢子が話を聞こうとする。

 

「これでもあんたが生まれてからずっと母親やってたんだ。何かに悩んでることぐらいは解るさ」

「……………」

「あたしには話せないか?」

 

 俯き、口を開かぬまどかに詢子は少し悲しそうに微笑む。

 

「あたしは頼れないか?」

「そ、そんなことないよ! ただ、これは私が………私だけで、なんとかしないと。だから、ごんべえも………」

 

 古風な名前の知り合いもいたもんだ、と考える詢子。まどかは膝の上の拳にギュッと力を込める。

 ごんべえは今日はまどかの家にいない。ちょくちょく誰かの家に行ったりするが、このタイミングで居なくなるのは、きっと助言を求めてしまう自分に何かを言わないためだろう。

 

「………まどか、お前は誰に育てられた?」

「へ? えっと………マ、ママとパパだよ?」

 

 突然の質問に困惑しながらも答えるまどかに、詢子はだろ、と頷く。

 

「お前に勉強を教えたのは?」

「が、学校の先生………?」

「お前に人付き合いを教えたのは?」

「と、友達………」

「そうさ。人は一人で人生を歩んでるわけじゃねえ。お前の考え、好きなこと、好きな話、嫌いなことも嫌なことも、ぜぇんぶ誰かが関わったお前の中で生まれたことだ」

 

 鹿目まどかという人間は決して鹿目まどか一人で作られたわけではない。これまで関わった多くの人が、鹿目まどかを形作ったのだと、詢子は言う。

 

「自分でやるって決めたなら何も言わねえよ。でも、自分だけでやらなきゃっつわれたら、それは違うと言ってやる。頼っちゃいけないことなんてあるもんか」

「…………」

「そうじゃねえと、あたし等もお前に頼れないし………何より寂しいじゃん。だからさ、相談できることなら相談してくれ」

「……………うん、ママ。あのね………私、友達を傷つけちゃったんだ」

 

 全てを話せない。魔法少女や、未来から来た事などは隠して話す。

 

「その子は、転校してきたばかりで、どうしてか私に優しくしてくれたの。最初は、少し怖いところもあったけど本当はすごくいい子で。ごん、えっと………最近仲良くなった先輩の………あ、お兄さんにはすごく嫌われてて」

「ふ〜ん?」

「その嫌ってる理由が、現実を見てないって。その子が私に優しくしてくれてたのは、その子の友達と私がすっごく似てたから………その子との約束を守ろうとしてた。でも私が、それを断った。傷つけちゃった…」

 

 友達と似てるだけ………では、なかった。少なくともほむらにとっては本来なら奇跡なくして会えない存在で、その奇跡を他でもないまどかが否定した。それは、一体どれだけの苦痛だったのだろう。

 

「あたしとしちゃ勝手に誰かに重ねといて、知るかよって感じだな。でも、まどかはそう思えねえんだな?」

 

 その言葉に無言で頷く。そうか、と詢子は苦笑した。

 

「でも、友達って言って良いのかな………ほむ、あの子にとって私は、二度と会えなかったはずの親友に似てただけ。実際は、別人なのに……私は、あの子を助けていいのかな」

「助ける、ねえ………友達じゃないから助けちゃいけねえなら、助けなきゃ良いだろ」

「…………え」

 

 その言葉にまどかは思わず顔を上げ固まる。見捨てればいいというその言葉に、思わず立ち上がりかける。

 

「でも、助けたいんだろ?」

「────」

「ほら、何をしてやりたいかの答えはもう出てるじゃねえか」

「……………でも」

「答えが出てるならうじうじ悩むな」

「あぅ!」

 

 身を乗り出し指でまどかの額を弾く詢子。涙目で額を抑えるまどかの頭を撫でる。

 

「してもいいかなんて考えるだけ無駄だ。まどか、何がしたいか、何をしてやりたいのか、何になりたいのか……大事なのは、お前がやりたいかだ」

「……………うん」

 

 頷いたまどかによし、と頭を撫でる詢子。

 

「今日はもう遅いから、まずは寝な。逸っても、意味ないことはあるからな」

「……………うん」

 

 

 

 

「随分とギリギリだな。本当にまどかを待つのか? どうせ救えねえなら、殺してやんのも優しさだと思うけどね」

 

 何時爆発してもおかしくない爆弾と化したほむらを見張り、杏子は尾を揺らすごんべえに問いかける。

 

『俺が優しいわけねえだろ』

「はは、そりゃそうだったな」

 

 

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 ごんべえの言葉に笑う杏子。寝袋のゆまが唸り、慌てて口を抑える。

 

『明日まで魔女にならなきゃいいさ。明日以降なら好きにしな』

「………随分まどかを評価するじゃんか」

『ああいう目をした奴等は何度も見てきたからな』

 

 

 

 

──どれだけまどかを諦めた。どれだけ周りを切り捨てた。手にかけたことは何度あった。

 

 覚えていない。繰り返して繰り返して、失敗してまた次こそはと振り返ることなどしなかったから。

 

──我武者羅に走って、自分のしてきたことを忘れちまったかあ? 

 

 忘れてなんか、とは言えない。必死で、その時しか見ていなかった。同じ失敗はしないと誓いながらも、どうせ同じになると繰り返してきた世界の統計しか考えていなかった。

 

──奇跡を、幸福を願ったぶんだけ呪いと不幸を振りまく魔女になるのが魔法少女なら、不幸を振りまき数多の並行世界のまどかにお前が負うべき不幸を背負わせたお前が、どうしてまだ幸福を求めてやがる

 

 お前はとっくにまどかを不幸にする魔女だろうと、言外に言われた。

 事実、まどかに因果を束ね最悪の魔女にする原因となったのは他でもないほむら自身だった。

 しかも今まで救おうとしたまどかは、彼女が救いたいと願ったまどかとは厳密には別人であった。

 なんて愚か。他人を巻き込み、そのくせ盲目的に己だけがまどかを救うのだと信じ込み他人を見下し邪魔者と切り捨ててきた。一番不要なのは自分だと言うのに。

 もういっそ、消えてしまいたい。

 

「……………」

 

 不意に、足音が聞こえる。ごんべえやキュゥべえのものではない、人の足音。自分が魔女に堕ちる前に、誰かがソウルジェムを砕きにでも来たかのだろうか?

 ああ、それも良い。そうして死んでしまえば、もう………

 

「ほむらちゃん………」

「…………え」

 

 だけどそこに居たのは魔法少女ではなかった。

 ほむらが何をしても救いたくて、しかし救えるはずのなかった少女、鹿目まどか………と同じ姿、同じ名前をほむらが重ね続けた少女がそこに居た。

 

 

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感想待ってます

本編後

  • マギレコでも魔法少女を誑かす
  • たるマギで家族3人でフランスを救う
  • たむらの旅につきあわされる

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