家庭教師ヒットマンREBORN! ~Secret BulletⅩ~   作:鵜飼 ひよこ。

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Ⅶth Buleet:ソラモヨヲ。

 早朝にランボのおねしょの冷たさでツナが起きた時には、ファーはもう布団の中には居なかった。

最初はトイレに行ったのだろうと思ったツナだったが、ランボを風呂場とトイレに連れて行った時にも見当たらず、自宅内を探してもその姿は見当らなくて。

 

「10代目!」

 

「獄寺!」

 

 悪いと思いながら、獄寺を呼んで自宅周辺を探し始めた。

ファーを怪しんでいても、ツナが頼めば快く一緒に探してくれる獄寺。

ツナはそんな獄寺に悪いなと本当に思いながらも、素直に感謝していた。

 

「ダメです。近所の公園まで探しに行ってみましたけれど、何処にもいません。」

 

 駆け回ってくれた獄寺は、息を切らせながら報告をする。

その様子見ると、自分は何時も誰かに助けて、支えてもらってばかりいて、やっぱりダメツナのままなんだ。

そう後ろ向きになりそうなのを、強制的に思考の外に出して・・・。

 

「ファーが行きそうな所・・・。」

 

 冷静に考えてみると、本当に自分はファーの事を何も知らない。

こんな事ならば、もっと問い詰めておけば良かったのだろうか?

今更、後の祭りなのだが、後悔というものは得てしてそんなものだ。

 

「学校!」

 

 ファーと初めて会った場所、学校に・・・。

大体、ファーが本当に日本に不慣れな外国人なら、そう遠くに行けないはずだ。

そんな交通手段を使えないだろうし、お金も持っていないだろう。

それにこの辺りの地理にだって明るくないだろうし、そう思いながらそこに一縷の望みを賭ける。

 

「学校・・・兎に角、行ってみましょう!」

 

 これがボンゴレの超直感だったらいい。

そうあって欲しいと思いながら、まだ開門の時間になっていない学校の中にこっそり忍び込んでまで探した。

散々探したその結果、ハズレだった。

 

「何処に行ったんだよ・・・。」

 

 校門の前で座り込むツナ。

 

「一度、帰りましょう。急がないと今日の学校にも遅刻してしまいますし・・・もしかしたら、学校が始まる時間にフラリと現れるかも!」

 

 獄寺はそう言うが、果たしてそうなるだろうか?

何事も無かった日々に突如ファーが来た。

そして、今度は突如いなくなる・・・。

それで、再びファーが現れるだろうか?

いや、例え現れなかったとしても、普段の日常と変わらないはずだ。

元に戻ったといえば、それまでで。

だが、確実に彼が居たという記憶はここにある。

 

「そうだね。でも、今日は学校には行かない。オレはファーを探す。」

 

「ボス・・・。」

 

「学校をサボるのは家庭教師(かてきょー)としては見逃せねぇナ。」

 

「リボーン・・・。」

 

 というか、良くこの時間に起きて学校まで来られたな、とツナは正直に思った。

ちなみに帽子にいるトカゲのレオンは寝たままだ。

このままだと、学校をサボる事をよしとしないリボーンに強制的に・・・身体が緊張で震える。

 

「ま、普段ならナ。」

 

 そう言うと、リボーンはツナに一枚の紙キレを渡す。

それを受け取り中を開いて、獄寺はツナの肩越しから二人で、目を走らせる。

 

「リボーン!」

 

「コイツのせいで起こされちまった。」

 

 ヤレヤレと溜め息をついた後、リボーンはツナを見つめる。

 

「この落とし前はつけんだろ?」

 

「あぁ・・・。」

 

「待って下さい、10代目!」

 

 渡された紙に書いてあったのは、こういうシュチュエーションでのお決まりの言葉。

所謂、"ガキは預かった。"

 

「これはアイツの罠かも知れません!」 「罠でもいい!」

 

 多分、罠ではない。

少なくともファーが仕掛けたモノではない。

ツナはそう確信している。

 

「罠でもいいよ、獄寺。それなら、ファーは無事だって事だろう?」

 

 にっこりと獄寺にツナは微笑む。

それならば、ファーが危険なメにあっているワケでもない。

ただこの"ファーの張った罠ではないという確信"は・・・多分、"超直感"だ。

超直感を裏付ける超直感というのも、よくは解らないと思うけれども。

こんな時にだけ発揮される能力なんてどうしようもないとツナは思う。

 

「ごめんね、獄寺。」

 

 これまでの事を思い出すように、ツナは拳を胸にあてる。

 

「でも、オレは信じたい・・・雲雀さんの所で校歌を写してたファー、山本に野球を教えてもらっていたファー。」

 

「・・・10代目。」

 

「それだけじゃない。京子ちゃんとお兄さんと一緒に拳の握り方を教えてもらっていた・・・ランボと遊んでたファーを・・・その笑顔を・・・。」

 

 そして、自分を優しいと言ってくれたファーを。

 

「その全部が嘘だなんて、オレは思えないんだ。」

 

 これはきっと超直感なんかじゃない。

ツナはそう思う。

自分で考えて、見て、経験して導き出した想い。

 

「ファーが危険な目にあっているなら、オレは耐えられない。だから、オレは行く。」

 

「そうですか・・・じゃあ、行きましょう。ボスが行くのに、右腕たる自分が行かないのは有り得ませんからね。」

 

 ボスが甘い分、本当は右腕たる人間がしっかり締めなければいかないのだが、それは一般的なファミリーの話。

ツナがボスのボンゴレは、そんな枠には収まらない。

大体、一般的なファミリーなんてもう自分にとっては何も面白くもないと獄寺は何時しか思うようになっていた。

もう自分は、身も心も沢田 綱吉というボスが作るファミリーの一員なんだろうと。

 

「ありがとう。」

 

「よして下さいよ。」

 

 ムズ痒そうに、自分の頭を掻いてツナから目線を逸らす獄寺。

と、その視線の先に・・・。

 

「お?ツナ達も朝のジョギングか?」

 

 そんな微笑ましい光景に不釣合いな程、気の抜けた声がかけられる。

 

「や、山本?!」 「テメェ、どっから湧いて来やがった!」

 

「ん?ジョギングじゃないのか?」

 

 おかしぃなぁ。

そんな事を呟きながら唸る山本に対して、ツナも同じように首を傾げる。

その理由は一つ。

"ジョギングに竹刀袋は必要なのか?"

 

「ま、いっか。ツナ達は何処へ行くんだ?面白そうだから、オレも連れてってくれよ。」

 

 そんな()を含めて、平然と言ってのける山本にツナは心から感謝する。

普段は緩過ぎて話が通じないのに、こういう時だけは言わなくてもわかってくれる事に。

 

「何、美味しい所を取ろうとしてんだよ!」 「ん?何か食うモノでも分けてたのか?」

 

 早速、何時もの調子、何時もの光景が繰り広げられる。

 

「なんだ!オマエ達もランニングか?!うむっ、いい心がけだ!」

 

 爽やかを通り越して、暑苦しい雰囲気を身にまとって更に了平までもが現れる。

 

「さては皆で秘密特訓をしていたな?!オレも混ぜろ!」

 

「お兄さん?!」 「なんで芝生頭まで?!」 

 

「芝生頭とは何だ?!このタコヘッド!」

 

「テメェ、やんのか!」 「何時如何なる時も男の勝負は受けて立つぞ!」

 

「にぎやかなのなー。」

 

「あはは・・・。」

 

 更に拡大する何時もの光景。

でも、これがツナのファミリーの"当たり前"なのかも知れない。

 

「全く、オマエ等はいいファミリーだナ。」

 

「リボーン・・・。」

 

 きっとリボーンが手配したのだろう。

じゃなきゃ、こんな都合良く皆がこの場所に集まるわけがない。

これから下手したら危険が待っているかも知れないのに・・・それでも来てくれた。

ファーの為に。

それが嬉しくて、やっぱりファーもこの輪にいたんだ、と。

関わった時間の長い短いではなく。

 

「・・・ボス?」

 

「くっ、クローム?なんで?!」

 

 オマケにクロームまでが目の前に立っている。

まさか、幻覚じゃないだろうかと思わずツナは目を擦った。

が、消えずに目の前に。

というか、目を擦ったくらいで幻影が消えるハズもないのだが、流石はツナであると言えなくもない。

せめて、頬を抓るくらいはして欲しいものだ。

それでも、相手の五感を支配するタイプの幻覚には全く効果はないが。

 

「骸様が・・・。」

 

「骸が?」

 

 骸は今回の事を知っているのだろうか?

知っていて、クロームを来させた?

どういう事だか、ツナの頭では全くわからない。

 

「オイ、まさかテメェまで来るって言うんじゃないだろうな?!」 「獄寺!」

 

 どうして、獄寺はそんなにクロームを毛嫌いするんだろう?

骸とは確かに戦った事があるが、別にクローム自身は何も悪い事をした事はないし、初めて出会った時も一緒に戦ってくれたのに。

常々、ツナは不思議だった。

それにクロームも京子・イーピン・ビアンキ・ハル・・・何というか他の女性陣と楽しそうにしているし・・・。

と、獄寺の色んな意味での対抗心など全く気づかないツナなのである。

 

「・・・ボス・・・ダメ?」 「オイ、無視すんなっ!」

 

「クローム・・・もしかしたら、戦いになるかも知れないよ?」

 

 ツナの言葉に頷くクローム。

 

「はぁ・・・。」

 

 溜め息を一つ。

どうして、皆はこんなオレを助けてくれるんだろうな。

そう思って、周りにいる皆を見回す。

きっかけは成り行きかも知れないけれど・・・でも、今も一緒にいる、いてくれる。

それだけで、ツナの心は幸せを感じる。

この幸せをもっとファーに感じて欲しい。

もっと笑顔を見せて欲しい。

 

だから・・・。

 

「じゃあ、行こうか。」

 

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