海外製の潜水艦なったけど周りが危険過ぎて草も生えぬ 作:TS大好き侍
「さて、マジでどうするか」
どうも雲一つない快晴の下────ってなんか天気雨降ってきたな……あ、晴れた。
まま、それは良いとしてそんな空の下で生きている人間達、はじめまして。お察しの通り俺だ、転生者だ! 最期の記憶はブクブクと足がつって海に沈んだのが最後だゾッ!
その影響で海に入るのが若干怖い。まま、それはいいとして今の現状だけど────直感だが俺は何かの擬人化、多分潜水艦が何かのキャラになっちまってると思う。
根拠は二つ。見覚えのある小さな生き物である妖精さんが視界に写り、なんならジェスチャーであるがコミュニケーションが取れる事とはもう一つの生前? の記憶が多少あることだ。
擬人化ってだけなら他にも候補もあったのだが今現在、俺の手に乗ってお昼寝してる子のデザインを見るに多分艦これと言うゲームの世界に転生したと思う。ヤバイね、世界観不明だけど敵味方にハッキリ陣営が分かれてるんだろけど人類ヤバスなのは確かだ。
んで、そうなると問題は俺の今の身体だ。性転換状態で転生した事はこの際諦めるとして普通の女の子だったら問題なかったのだが、生憎転生したのは艦娘。つまりは俺の少々苦手な海に出て戦う存在になっちまってる。艦種は若干残ってるもう一つの生前? の記憶を見るに潜水艦、それもアメリカ製のガトー級と来た。ヤベーよ。てか、競泳水着に白のホットパンツってエチチ過ぎんよぉ〜! アメリカの潜水艦は化け物……ってか性癖のデパートか!
ってのは置いておいて現在地が外国なら問題なかったけど何故か分かる、ここは日本だ。つまりはアメリカ側である俺にとっては敵陣地だよ此処ーッ!
「ウガ──!!! shit! gameだと過去の出来事として割り切ってたみたいだけどここはリアルだ。そう人生はeasyにはいかねぇーよ!」
ってか、アメリカ艦と自覚した影響か意図せず、喋る言語に英語モドキが入りやがる。俺ってば純日本人なのにこんなんじゃエセ外国人じゃんヨー。せめて日本艦が良かった……
「ハァ……ってか此処どこだろ、周りを見るにforest────ッゴホン! 森林っぽいけど」
上陸するは一面のフォレスト、つまりは森林が目の前に広がる砂浜。高高く一つの旗が翻るその場所は多分砲撃か何かを受け攻められでもしたんだろう、木々は一部薙ぎ倒されて砂浜には焼き焦げた後がくっきり残っており色濃く戦闘痕が残っていた。だが不幸中の幸いな事にパッと見て遺体などは無く、元一般人である俺にとって助かった。
でも変だ。どう見ても浜辺にこんなにも戦闘痕が多く残っているって事は大規模な攻撃を何かが受けたと言う証拠だ。なのに1人も仏さんが無いだなんて……どう考えても不自然だ。
「ま、それはオレ……あたいには関係ない事か。一体何と戦ってたんだか」
色々と謎な事は多いが一つだけハッキリしてる事もある。それは攻められた陣営は惨敗している事。そして、負けた陣営は既に撤退を決め込んでいる事だ。だってあの翻る旗を見てたら分かるだろ、銃痕なのか真っ黒に黒焦げ穴だらけの日の本の旗を見ていたらな。
俺は色々と探索しながら森林の奥へと進んだ。途中薙ぎ倒された木々が邪魔だったが、そこは流石は艦娘と言ったところだろう。9気筒6,500馬力ディーゼルエンジン 4基の出力は伊達では無く、人間だった頃には重機が必要なほどの大木を軽々と持ち上げられた。いやー、自分でやった事ながら正直引いたね。こんな筋力を使って本気で人を殴ったらと考えたらザクロになる事が軽く想像できるからさ。あ、あと艤装なんかも役立った。俺の持ってるメインの艤装は魚雷管を備えた艦首型のガンブレード。見た目では割と重そうに見える……ってか事実重いそれを何が無くブンブンと軽く振ったらスパスパでは無くバキバキボキボキと擬音が聞こえてきそうなほど音を出して木々が倒れてくるもんだからまたも引いたね。まぁその後、木々をぶった斬っていく感覚が梱包材のプチプチを倒す感覚と似ているのに気付いて途中から楽しくなったたわけだが。
そんな感じで進んでいったら途中からか崩れてはいるが人工物が現れはじめ、奥に進むにつれて多くなってきた。
「崩れた塹壕に作りかけの堀、ぶっ壊れた野戦砲……やっぱりかなり大規模な戦いがあったんだろうな」
落ちている鉄屑やスクラップ、穴なんかに割と気を付けえっちらこっちら進むと森林の切り目が見えて来た。多分出口か何かだろう。
そんでそこから見えたのは────
「フュー、ビンゴ」
灰色のコンクリに煉瓦造りの大きな建物。自然が作り出したとは到底思えない防波堤に浮かぶ荷物を満載に積んだ船を見れば一目瞭然だろう。
「とりあえずは雨風は凌そうだな」
────ボロボロで壊滅状態ではあるものの、俺がたどり着いたのはまさしく港だった。
※※※
【第一二百四補給港】
「第……何だこれ、読めねぇ」
立て掛けられた看板。恐らくこの港を指し示した看板だろう木の板に書かれた外国語言葉に苦労しながらも、ここが補給港だと分かるとまず俺は物資の収集とキャンプの確保に走った。
建物そのものは最近放棄されたらしく、室内にはうっすらと埃が溜まる程度。だが、所々攻撃された痕跡が残っていてあちこちが崩れていたり、爆破されたかの如く大穴が空いたりとまるで廃墟のよう……ってか事実廃墟なんだけど。
そんな中でも救いはあるようで1番の重要区画である修理用の入居場と名の付いた風呂と様々な装備などが保管されてるだろう工廠。その二箇所は被害が軽微であり、俺の艤装に宿っている妖精さんの協力の下ではあるが俺でも修理可能な被害だった事だ。んで、その事を確認すると俺は一旦唯一屋根の残っている建物である工廠を拠点とし腰を落ち着けた。
工廠の規模は小さい。工廠ってか物置に工場をくっ付けた感じの建物で建造は建造ドックが無い為に不可。
その代わりに床に転がる風化したガラクタをいくらか片付ければスペースは腐るほど確保出来るだろうから生活拠点にするにはもってこいな場所だな。……かなり油臭いが。あともう一つ比較的無事だった風呂だが……流石にあそこはダメだ。 機能こそ無事だけど壁や屋根が吹っ飛び、開放感たっぷりの露天風呂状態になってるから流石にあそこでは寝泊まりしたくないよ。
衣食住のうち住むところは確保出来た。お次は食、つまりは物資だ。人間、艦娘限らず食わなきゃ生きていけないからね。あと衣は物資の中にあるだろう。
港には何隻か補給船と思わしき船が沈んでいた。だから俺は断腸の思いでだが、沈んだ中からサルベージさえ出来れば当分の物資には困らない……と、思っていたんだがなぁ。その考えは甘かった。
「えっと生理用品に救急バック、缶詰、真水加えて弾薬と燃料────」
ここまでは普通、コンテナ船の表面に積まれた物資は通常の補給物資だ。けれど奥に行くほど物が変わってくる。
「────酒、謎の白いお薬にGOLD。それにプラスして高そうな酒! 酒ッ!! 酒ェッ!!!」
なんと言うかその明らかに横流し品や軍規違反と思われる物資がワンサカ出てきた。あちゃー、ヤベェもん見つけちまったなぁ。まだ一隻だけなら嗜好品が多い補給船かな? 程度で済んでたけどまさかサルベージした5隻中、4隻が嗜好品満載の船とか言い訳出来ねぇな。てか、こんなに堂々と積まれてるって事は港絡みでの犯行だったのかな? 自分には関係ない事だけども単純に興味が湧くなぁ。執務室がある2階、まだ未探索の場所だからついでに探って来るか。
そんな感じで俺の1日目が終了する。停止した若干油臭い工場にて唯一見つけた寝袋に身を包みながら俺は明日の探索に、想いを馳せるのだった。