海外製の潜水艦なったけど周りが危険過ぎて草も生えぬ   作:TS大好き侍

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秘密裏の遭遇【水上】(後半)

「ダメ! このままじゃ────」

 

 ────希望が失われてしまう。

 

 戦闘が開始して既に1時間。阿武隈率いる水雷戦隊は既に壊滅状態だった。

 

 まずは開幕あった砲撃戦。その第一派にて朝潮が重巡の砲撃が直撃、中破。そして阿武隈、睦月が戦艦の至近弾を受け小破という結果となった。敵に対しては数発、砲撃が直撃した。しかし流石は戦艦と重巡洋艦。装甲は分厚く、中、小口径程度の砲弾では有効打になり得なかった。

 その後、数度に亘り砲撃を繰り返しながらも有効打を与えられず1時間が経過。

 移動しながらの砲撃戦だった為に陣形は臨機応変に変化し続け単縦陣から警戒陣へと変化し、敵艦隊と交差する位置になる。それを好機と考えた阿武隈達は十八番である雷撃を敢行。十数本の酸素魚雷が敵艦隊へと襲いかかる。雷速は速く、敵艦隊は回避行動を取るも間に合わず直撃した。結果重巡洋艦一隻を撃沈、戦艦を中破、もう一隻の重巡洋艦を大破させると言う大戦果を上げ勝てると思い始めてしまう……が、これはこれから始まる悪魔の序章でしかなかった。

 

「ま、まさか」

 

 それほ誰が言ったかはわからない。けれど彼女の気持ちは痛いほどに分かってしまう、この絶望感を。

 中破した敵戦艦と大破して自沈を待つ重巡洋艦。戦艦は何を考えてか、旗艦としての行動を放棄、突然僚艦である重巡洋艦に襲いかかった。突然の攻撃に重巡洋艦は対処できず、轟沈……するかに思えたが沈まず、その亡骸は戦艦の手にある。戦艦はそのまま事切れた亡骸を抱え上げ、その首筋に歯を突き立ると喰らいだした。血飛沫を上げながら笑い出すその様はまさに狂気そのもの。宿す炎を吸収するかの様に、火継ぎかの如く炎が移り戦艦は強化されていく。そして誕生したのあの戦艦タ級、フラグシップである。

 中破状態であるのにも関わらず、絶対に勝てないと確信させられるほどの強者としてのオーラ。存在感から奴から見て弱者である阿武隈達を屈服させうるその雰囲気は彼女達にとって体験した事もない、未知の感覚である。だが、それ故に心は折れず、目的を見失うコトが無かった彼女達は果敢に挑み、そして────敗北する。

 

「ぁぁ」

 

 目が霞み、よく見えておらず大破状態で半分沈みかけている阿武隈の視界には水上にて倒れ伏せる仲間達の姿。どこもかしこも怪我人だらけで、動ける者などどこにも居ない。獅子奮迅、文字通り全身全霊をかけて挑んだ結果がコレである。もはや悔しさも湧いてこないほどに彼女は消耗し、そして絶望感していた。

 

「ぅ、ぐぅ」

 

 首を掴み上げられ、ニヤリとこちらを笑う姿はまさに悪魔そのもの。圧倒的暴力で蹂躙したタ級は思考を変えたのかそのまま首を掴む力を上げ、ジリジリと死への恐怖で歪む阿武隈を見て楽しむかの如く歪んだ笑みを浮かべる。強者、圧倒的強者。

 

 だが強者故、なのだろう。慢心を産んだのは。

 

 その時、阿武隈耳には聞こえ、霞む目が捉えていた。本来なら聴こえるはずのない探信音を。本来ならあるはずのない方向からの魚雷の雷跡を。直後、凄まじい爆裂音、衝撃と共に水飛沫が舞った。思わず離してしまったんだろう、阿武隈の身体は宙を舞い水面へ叩きつけられる。その衝撃で正気を取り戻した彼女は大破して、満足に動かせる状態ではない身体を奮い立たせ。目の前の光景に息を呑んだ。

 

 

 群れだ。

 

 

 

 

 流れてくる何本もの魚雷は雷跡を生み、群れを成してタ級へ襲い掛かっている。

 

 数々と迫り来る魚雷を前にタ級は慢心を捨て、回避運動に移るが時既に遅しとはまさにこの事。タ級を囲む様に扇状に撃ち放たれていた魚雷は、タ級の逃げる先々に先回りし直撃。大きな爆発音と共に水飛沫を上げ続けていた。逃げる事の出来ない詰みの状態。やがては複数本が命中したんだろう、先程とは比べ物にもならないほど轟音を鳴り響かせながら奴は沈んで行く。あれだけ強者として自分達を蹂躙していた敵が、あまりにも呆気なく散っていく様は見ていてスッと心の靄が晴れるかの如くスッキリとした気持ちにさせた。

 

「み、みんな……」

 

 だからだろう、その爆発音が戦闘の事実上の終わりを告げ心に余裕が出来た為にフっと気が遠くなって来る。足に力が入らなくなり倒れる瞬間、倒れ伏せる仲間の安否を心配する。無事なのか、轟沈は免れたのか……っと。そしてその思考の片隅であの魚雷の爆発音に妙な既視感を得ながら彼女は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後、彼女は現れる。

 

 

 

 

 

 

 

「────プハー、やっと見つけた」

 

 

 

 

 

 

 水中から突然現れた水着姿の彼女。

 

「む? ライトクルーザー……フラグシップか? 大破して自沈直前だし……これは直接曳航するしかないか?」

 

 手にある紐の先には睦月や夕立、朝潮などの阿武隈が率いていた子達が何やら浮き輪に乗せられ、ハチマキを巻いた妖精さん達により何かを施されている。彼女が呟いたからなのか、艤装と思われる武器から心配そうな表情で顔を出す妖精さん。その妖精さんに困り顔ながら何やら会話をするとしながら倒れ伏せる阿武隈をお姫様抱っこの如く抱え、帰路へ着く。向かうは彼女達の帰るべき家であるあの、特務艦だ。

 




ほんのちょっぴり短いぜ。さぁーって、水上の出来事は終わりだ。お次は同時刻に起こっていた水中でのお話。

一番可愛いは?

  • 阿武隈
  • 睦月
  • 夕立
  • 江風
  • 朝潮
  • 艦長
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