無職TS転生 ~異世界行ったら女の子です~ 作:三毛猫丸
5歳になった。
ロキシーが家庭教師として我が家にやって来て約2年。
濃密な日々を回想する。
でかい桶に水を貯めて、一緒に水浴びをしたこともある。
裸の付き合いってやつだ。
そこで気づいたことが1点。
ロキシーの乳房にはホクロが一つあったのだ。
情欲を掻き立てる色気。
俺が男だったら、危うく吸い付くところだったぜ。
愛しの師匠のチャームポイントに目を奪われていると、『どこを見てるんです?』と、指摘をされたので素直におっぱいと答えておいた。
正直者が一番。
時には嘘をつく必要もあるが、ロキシーには素直でいたい心情。
次にゼニスとの一件。
『そろそろルディも女の子らしい事が出来るようにならなくちゃ!』と、前々から息を巻いていた母ちゃん。
裁縫と料理を熱心に教えてくるようになった。
前世じゃ料理なんて学校の家庭科の授業でしか経験が無い。
調理実習じゃ、食材の熱加減を誤って焦がしたものだ。
仕切り直しってことで、今世に掛けて再チャレンジ──と、意気込んだまではいい。
ゼニスの見守る中で行った料理は凄惨な結果しか生み出さなかった。
またもや火加減もミスり、焦げた食材を量産したのだ。だが、ゼニスは諦めなかった。
根気よく俺の腕が上達するまで付き合い、途中でリーリャの助けも得つつ、どうにかまともな料理をつくれるようになった。
補足しておくと、焦げた料理は、パウロが責任を持って食べた。
食材もタダじゃないんだ。ムダには出来んよ。
焦げたメシを食らったパウロについても語ろう。
彼には申し訳ない事をしたと悔いている。
まあ、そんなことはどうでもいい。最近のパウロの動向を話そう。
動向と言ったら大仰かもしれないが、事あるごとにパウロは、俺に構って欲しそうにしている。
娘が思春期を迎え、父親を煙たがるという事態を恐れているかのような面持ち。
心配せずとも俺に思春期は訪れない。中身は成人済みの元男だからな。
ともあれ、無碍にはできまい。
適度に相手をしてやり、ボードゲームで遊んだりした。
こっちの世界にもスゴロクとかチェスに似た遊戯があるのだ。
そしてリーリャともエピソードがある。
ゼニスのお気に入りの食器がある。
皿洗いを手伝っている最中に、俺は手を滑らせて床に落としてしまった。
しまった! と、思った時には手遅れ。
ゼニスに怒られる事を覚悟したのだが。
なんとリーリャが、自分が割りましたと、庇ってくれたのだ。
元々、ゼニスと仲が良かったこともあり、騒ぎにはならなかった。
リーリャのお陰で穏便に済んだってわけだ。
あとでこっそりお礼を言い、肩凝りがヒドイという彼女の為に、ヒーリングを掛けておいた。
きっと乳が重いから肩を凝るんだろうな、という邪推はこの際だから捨てておく。
といった感じで、ブエナ村のグレイラット家の営みは紡がれる。
さて、5歳となった俺。
どうもこの国には、一定の年令を迎えると盛大に祝う習慣があるようで、パウロとゼニス主催のパーティーが開かれた。
周期としては、5歳、10歳、15歳というタイミング。
つまり俺は最初の節目を迎えたということ。
いわゆるお誕生日会の主役となった俺は、熱烈な歓待を受ける。
豪奢な料理もふるまわれ、舌鼓を打つ。
「さあ、ルディ。オレからプレゼントだ」
お、プレゼントタイムですかい!
そうやって手渡された代物は、子どもの身には重たそうな実剣。
それに髪紐だった。
髪紐とはいっても、どうやら魔道具らしい。
ブエナ村からパウロの姿が消えた日があった。
パウロの話によると、誕生日に合わせてわざわざロアの町に出向いたとのこと。
そこで大枚をはたいて購入したのだとか。
「その髪紐は、魔力を通せば劣化を停滞させる。まあ。なんだ。ルディさえ良ければ、常に身に付けて貰えると嬉しい」
照れているのか視線は、斜め上を見つめていた。
頬を指でポリポリと掻き、不器用な父親を演出する。
「ありがとうございます、父さま!! 一生、大切にしますっ!」
「お、おう。気に入ってもらえて何よりだ」
早速ながら、リーリャの手を借り、髪紐を用いて編み込みポニーテールを作る。
これまでただ髪を背中側へと垂らしていただけの髪型、いわゆるストレートロングだったが、これで晴れてゼニスと同じヘアスタイルとなった。
「どうです、似合ってますか?」
「あぁ! 月並みな言葉だが綺麗だ!」
「ルディ、お母さんとお揃いね!」
「お似合いです、お嬢様」
「可愛いですよ、ルディ」
上から順にパウロ、ゼニス、リーリャ、ロキシーによる絶賛の嵐。
これには俺も気を良くしてしまう。
「ところでそちらの剣は? たしか私には剣術は危険だっておっしゃいましたよね」
「ああ、それはそうなんだが。あの発言を取り消したわけじゃないんだ」
となると別の理由で俺に渡したいのだろうか?
「ルディも、いつまでも親元に居るってわけじゃない。成人を迎えれば、俺たち親の言いつけを守る義務だって無い」
お、話が読めてきたぞ。
「今は剣術を習わせるつもりはない。しかし! 大人になってからは別だ。剣を取ろうがなんだろうが、それはお前自身の決めること」
フムフム、それで?
「どうせ剣を振るうのなら、その時はオレのプレゼントした剣を使って欲しいって思ってな。餞別みたいなものだ」
「よーく、わかりました。父さまの愛が感じられます」
「そーか、そーか!」
感極まって俺の肩を抱く。
そういえば思い出した。
もしも男の子が産まれたら剣術を教えたいと話していたことを。
第二子を求めて日夜、子作りに励む両親。
しかし、運が悪いのか中々妊娠にまで至らない模様。
そこで痺れを切らしたと言っては語弊があるが、いっそのこと、俺に剣を託せとばかりにプレゼントしたのだろう。
「次は母さんね! はい、ルディ!」
「これは──植物辞典っ!」
おお! そうだよ、こういうのが欲しかったんだ。
この世界の本は高価だからな。
まさか新しく本が手に入るとは思いもしなかった。
これで俺の知識が増えていく。
生きる糧にも繋がることだろう。
物事を知っておいて損はあるまい。
「母さま! お金は大丈夫なのですか?」
「やあねえ、うちは腐っても騎士の家よ。本の一冊くらいで家計が傾いたりはしないわ。それに子どもはお金の心配なんてしくても良いの。素直に喜んで頂戴」
「はい、ありがとうございます!」
母の愛が、ただひたすらに嬉しい。
俺って、ちゃんと愛されてるんだなって、認められてるんだなって、色々な感情がこみ上げてくる。
「お嬢様、わたしからはこれを」
「わあ! リーリャさん、ありがとう!」
リーリャのプレゼントは、手作りのレシピ本。
「奥様と共同で製作いたしました。差し出がましいかもしれませんが、お嬢様には淑女としてのたしなみをと、思いまして」
「差し出がましいだなんて、そんな! 私の為に、すごく嬉しいです!」
「お気に召していただけたようで、何よりです。必要とあれば、毎年レシピを追加いたしますので」
おお、アップデート機能付きかい?
アフターサービスまで充実とは、リーリャはメイドの神様か何かかよ。
「では、ルディ。わたしからはこれを。受け取ってください」
「これは──」
最後にロキシーからの贈り物。それは
「魔術の師匠は初級魔術をマスターした弟子に手製の杖を贈るものです。しかし、ルディは最初から初級魔術を使っていましたよね?」
「ええ、まあ」
「ですので失念していました。遅ればせながら、改めて。貴女は優秀な弟子です」
あのロキシーに認められた。
特別なモノを彼女から贈られ、目頭が熱くなる。
5歳を迎えることとは別に、何か意味を見出だしてしまいそうだ。
「ふっふっふっ! これで私も一端の魔術師ですね!」
「調子に乗らない!」
「あ、いたっ!」
おでこにロキシーチョップを食らう。
へぇ? ロキシーもこういった馴れ合いをするようになったのか。
悪い意味じゃなくて、良い意味で。
なんつーか、俺はロキシーを尊敬している。
人間味は前々から感じ取っていたが、以前にも増して打ち解けられた印象っていうかな。
「とはいえ、じきに貴女に教えられることは無くなってしまいますね。卒業の時は近い」
「え……?」
いま何て言ったの? 卒業だとか聞こえたような……。
「最後まで気を抜かないようにしてください。もっとも、ルディは頑張り屋さんですから余計な心配ですよね」
「先生、私は先生から卒業しなければいけませんか?」
「そりゃそうですよ? 雛は巣立ちをするものです。ルディは初めから自分の翼で飛べましたけどね」
それはなんか寂しいな。
俺はロキシーを実の姉のよう想ってる。
姉とこんなにも早く離ればなれになるなんて、想像もしなかったことだ。
心に穴が空いたような気分のまま、誕生日会は終わりを迎える。
その日の夜は、ロキシーから贈られたロッドを抱いて眠った。
翌日から、最後の追い込みとばかりに、ロキシーの授業は内容のレベルが飛躍的に上がった。
『混合魔術』なるものを学んでいる。
これまで教えてもらっていた魔術は、現象としては単純かつ単一なものだった。
水を出したり、火を出したり。
そこから発展して、現段階では霧などの自然現象を人為的に再現する技術。
『
それらの魔術を順に発動させると、霧が発生する。
いわゆる気象の分野に足を踏み込んでいる。
複数の系統の魔術を効率的に行う。
先人の知恵から学び、そして技術として確立された魔術。
やりようによっては、魔術ってのは、たいていの事象であれば実現可能なようだ。
空中浮遊とか出来ちゃったりしてな?
「先生はこれほどまでの魔術を、どこで学んだのですか?」
ふとした好奇心から質問を投げ掛ける。
「そうですね、ラノア魔法大学という施設です。わたしの母校でもあります」
「ラノア魔法大学?」
師匠の言葉を頭の中で
この世界にも魔法学校があるのか。
魔法の名を冠してこそいるが、厳密には魔術の教育機関らしいけど。
「ルディが入学を望むなら、ラノア魔法大学がオススメです。必要なら推薦状も書きますよ」
「考えておきます、もしかしたらお言葉に甘えるかも」
先生は推薦状を書くにたる実績の持ち主?
さすがはロキシーだ。
しかし、せっかくのロキシーの厚意。さりとて素直に受け取れない事情もある。
忘れちゃならない。
俺はブエナ村どころか、グレイラット邸の敷地内からさえも出られない、根っからの引きこもりだ。
転生して来ても、そこだけは変わらなかった。
俺だって変われるものなら変わりたいさ。
はぁ、成るようになるんなら楽で良いんだけどな?
世の中、そう甘くはないだろう。
混合魔術も身に付いた。善き師による教育の賜物である。
ホント、俺はロキシーの世話になりっぱなしだ。いつか恩返しをしたいところだ。
ただ、その恩を返す前に──俺とロキシーの別れが近づいてくる。
「外で、やるんですか……?」
「はい、卒業試験では大規模な魔術を使うので」
卒業シーズンってやつだ。
誕生日会でロキシーの言っていたことは嘘ではなかった。
「庭じゃ……ダメですか?」
「それでは、この家に被害が出ます」
「それに卒業したら先生とお別れしなきゃいけませんよね……?」
「当たり前じゃないですか。一人前の魔術師に育てるまでが、わたしの家庭教師としての仕事なんですから」
イヤだ。そんなのはイヤだ。
「私はイヤです! 先生ともっと一緒に居たいっ!」
「なんですか? もう試験に合格したつもりですか? たしかに貴女の実力なら、あながち間違いではないでしょうけど」
違う、そうじゃない。
外への恐怖、そしてロキシーとの別れ。
その2つの恐怖心が俺をワガママにさせる。
「よく聞いてください。ルディは、わたしなんかより、ずっと偉大な魔術師になるんです」
「偉大になんてならなくてもいいです」
「この際、偉大かどうかは問題ではありません。重要なのはルディが自分の足で立って歩くこと」
「先生がそばで支えてくださいよっ!」
俺は出来の悪い弟子だ。
あれほど優しくしてくれた師匠を困らせている。
駄々をこねるようなガキが優秀はハズがない。
「困りましたね」
「卒業はしません! 私はもっと先生に教えてもらいたいです!」
くそっ! 自分で自分がウザくなってくる。
「コラ、ルディ! ロキシーちゃんを困らせちゃダメじゃないの」
「母さま……。でも、だって……」
見かねたゼニスが説教をかます。
どうやらゼニスは、ロキシー寄りの立場らしい。
隣で静観するパウロも似たようなもんだ。
「ルディの気持ちも分かるわよ。ロキシーちゃんに、とっても懐いているもの。離れたくない気持ちは、私たちだって同じ」
「でしたら──」
「でもね、親心としてはルディには成長して欲しいの。誰かに寄り掛かって生きていくなんて、いけないことよ」
言っていることは理解出来る。
人に甘え続け、人生を舐めた人間の末路は俺自身も知るところだ。
「そうだぞ、ルディ。夫婦のような間柄なら、支え合って生きていく理由にもなる。だけどな、ルディとロキシーちゃんは師弟関係だ」
「師弟関係だからなんですか?」
「要するに師匠に対して誇れる弟子になれってことだよ、ルディにはそうなれるだけの実力と才能。それにこれまでの努力があるだろう?」
「……はい」
パウロの言葉には妙に納得出来る力があった。
父親の言葉は大きい。
あぁ、分かったよ!
卒業試験は受けてやるさ!
だけど、まだ問題は残ってる。
無視しては通れない、人生の根幹に関わる重大なやつが──。
「卒業試験の件は……分かりました、受けますよ。でも外はやっぱり……」
「外に何かあるんですか、ルディ?」
俺の口は言い淀む。
「この子ってば、昔からお外に出たがらないのよねぇ」
母親は良く俺のことを見ているな。
まあ、事実さ。
生まれてこのかた、一度としてグレイラット家の敷居から出たことはない。
はっ! まさに箱入り娘ってか?
「いったい何を恐れているんですか? わたしに聞かせてください」
「それはちょっと……」
どうして前世の記憶があることを話せよう。
ましてや、かつての俺はクズ人間だった。
もし知られでもしたら軽蔑され、見放される。
弟子だと思っていた女の子が、薄汚い男の精神性を引き継いでるなんざ、吐き気がする。
辛い事があったんだ。
とても辛くて、逃げ出したくて、でも染み付いた記憶は消えてくれない。
生前、まだ高校生だった頃の話だ。
購買で昼飯を買おうとして横入りしてきた輩がいた。
下らなくて、そして安い正義心に駆られ、注意してみたら相手は上級生。
しかも校内1の札付きの不良連中。
あっという間にボコボコされて、全裸で正門に磔にされた。
俺の人間としての尊厳はその日、粉々に砕かれ──。
以来、俺は被害妄想に囚われるようになった。
高校を中退して、外の世界には俺を苛める奴らがウヨウヨ居て……そんな幻影のような存在が、ただ怖かった。
もう居もしない敵にビクビクして、親や兄弟に当たり散らして。
とんでもなくイヤな奴だったよ、俺は。
風の噂によると俺を追い詰めた連中は退学となり、その後、犯罪を起こして服役したのだとか。
でも気は晴れない。受けた傷は癒えなかった。
あぁ、何度も妄想したさ。
俺の人生に問題など無く、始めから終わりまで順風満帆。
可愛い嫁さんを貰って、これまた可愛い子どもを授かって。
そして大勢の子どもや孫に囲まれ、見守られながら最期を迎えてやるんだって。
でもそんな妄想も所詮は夢でしかない。
毎日寝て、幸せな世界に浸ったとしよう。
でも終わらない夢なんてない。
いつかは現実を叩きつけられて、直視させられる。
この世界だってそうだ。
本当の俺は事故にも遭わずに生きていて、ルーディア・グレイラットという女の子に成った夢を見ているだけ。
そんな夢も外に出てしまえば覚めてしまいそうで……。
心が砕けそうだ。いっそ、自ら命を絶ってしまいたい。
「大丈夫ですよ、安心してください。卒業試験を外でやることは曲げられませんが、わたしがそばに居ます」
「先生……?」
膝を曲げて目線を合わせたロキシーが声を掛ける。
「怖いのなら克服するんです。ルディなら出来るハズです。貴女が強い子なのを知ってますから!」
「師匠……」
「はい、貴女の師匠ですよ」
師匠と呼ばれたくないと言っていたロキシーが、今だけは受け入れてくれている。
慈愛に満ちた優しげな目。
眠たそうな目なんていう前に持った感想は消え去った。
俺は、彼女のその瞳が好きだ。
吸い込まれそうで、ただただ美しくて──。
「師匠! 私、卒業試験を受けます! だから外へだって行きます!」
「はい、期待しています」
ニッコリと笑う彼女の笑顔に、俺の心は奪われた。
掴んで離してくれない。
この人の為ならば、どんな苦境でも生きていける。
そんな自信へと結び付く。
「そういうわけですから、お子さんを借りますね」
「ああ、ルディをよろしく頼むよ」
「ロキシーちゃん! 試験が終わったら、お祝いに甘いケーキを食べましょう! 甘いもの、好きだったわよね」
「ルディのことは任されました。それとケーキ……じゅるり」
だらしなく口元を緩める先生。
今じゃ、その仕草すら視線が釘付けとなる。
「では、カラヴァッジョもお借りしますね」
「あぁ、この馬とは古い付き合いでな。ルディ共々、よろしく頼むぞ」
パウロの愛馬カラヴァッジョ。冒険者時代からの仲だそうだ。
「ルディ、行きますよ」
ロキシーに抱えられて乗馬する。
視線が高くなった。
敷地外の景色が一望できる。
本音を言うと、まだ外に対しての恐怖心は残っている。
けどロキシーは言ってくれた。
俺ならば克服出来るのだと。
その期待に応えたい、その決意が俺に腹を決めさせた。
変わる時がやって来たんだ。
そう、生まれた時に誓ったじゃないか。
今度こそ本気を出して生きてやるんだってな。
だったらよ、今が本気を出すべき時なんじゃないか?
馬が歩を進め外へと距離を詰める。
身体がこわばるのを感じる。
でも背中には心強い存在が居る。
ロキシーだ。
彼女は俺の小さな身体を受け止めているのだ。
手綱を持ち、やがてカラヴァッジョの背に揺られた俺たちは外へ──。
──空気が違う。
これまで味わった経験の無い新鮮で浄化されるような香り。
そうか、これが外──世界の姿なのだ。
窓越しでしか知らなかった世界の広がりを全身に感じる。
俺ってやつは、なんてバカなんだ。
一歩でも外に出てしまえば、どうってことはない。
人の営み、大地の息吹き、空の雄大さ。その全てが俺の興味をそそる。
「ねえ、先生?」
「はい、ルディ」
「私、外なんてもう怖くないですよ」
「そうですか、さすがはルディ。克服が早い」
「先生のおかげです」
彼女の笑顔に胸に頭を預ける。
こどもの様な体型だが、ロキシーの胸はちゃんと柔らかかった。
ふにょん、という感触が俺を迎え入れてくれる。
安心感が段違いだ。
そして俺はロキシーと共に卒業試験に臨むのだった。