真相を知りたければ、最後まで読もう!
………露骨な感じで読むことを促す。しかも、大して予想外とは言えないときた。
そんな事は水に流して、是非最後までお読み下さい。
今回も宜しくお願いします。
────11歳当時
俺が家に帰り、目に映った光景。見るも無惨な肉塊となった、肉親だった物二つ。その側には、全身を黒いスーツに身を包み、マスクやサングラスのような物で顔をある程度隠した謎の男達三人。当然俺は混乱する。何があった、と。
だが不思議と、怒りで我を失うような事などは無かった。きっと親には良い思い出が無かったからだろう。
産まれて此の方、虐げられ続けた身だ。本来なら決して良い事とは言え無いはずだが、その時だけは助かったと言える。何故なら───
「なんだ、自分からのこのこ来てくれたじゃねぇか。」
───一人の男が、そんなようなことを言った直後にこちらに俺を捕まえるような動きで迫ってきたからだ。だが、油断しきっていたそいつの動きは比較的ゆっくりだったため、伸びてきた手を避けて距離をとった。
「誰だ、お前らは。」
「………このガキ、妙に冷静だな。普通は両親が殺されてたら、取り乱すと思うんだが。」
ああそうだな、お前の言う事はもっともだよ。普通はそうなんだろうな。
「そうだな…おいガキ、お前は状況を理解できてないのか? お前の両親は死んだ、殺された。俺たちに殺されたんだ。そうだ、こいつらが死ぬ瞬間に言っていた事でも教えてやろうか?「痛い、やめて、助けて!」だってさぁ! 笑いモンだよなぁ〜こりゃあぁよぉ!」
…………本当に、不思議なことだ。自分の実の親がここまで侮辱されているのに──
──清々しく感じるなんて。
「だなぁ、笑いモンだな。…ふっふふっははは…。」
「……(は? 本当、なんなんだこのガキ。苛つかせるためとはいえ、ここまで言ったんだぞ。取り乱すだろうが普通!)」
先鋒の狼狽えた表情が目に浮かぶ。きっとマスクの下では焦っているのだろう。
俺だって同じ立場に居たらさぞ滑稽な姿になっていただろう。自分でも自覚している、自らが抱いたこの感情は、一般的ではないのだろうと。
「おい、落ち着け。お前一人でこいつを捕まえる訳じゃない。例え相手がガキだとしても、連携だけは絶対に崩すな。こいつの能力の限界が未知数な以上は下手に行動するんじゃない。」
「そうだ、一度冷静になれ。あまり騒ぎを大きくされても困るしな。」
「あ、あぁ。……そうだな、すまん。」
俺って、目の前にいるようなこういうやつらよりも異常な奴だったんだな。
元々は自分の事を、無能力者である事以外は至って普通の子供だと思っていたのに。まあ、それでも普通の子供だと信じ続けるけれど。
目の前にいる三人の男は、一度冷静になって立て直したようだ。つまり、もうそろそろ戦いが始まると言う訳だ。
こいつらはどうやら俺の能力を聞いた為に来ているようだし、人数の利やそもそもの年齢的な差などもあって普通に考えて勝つのは非常に難しいだろう。トランプに例えるなら、凡人がプロのマジシャンにバレないようにイカサマをして勝つようなものだ。
だがそれは、俺の能力が普通の能力だった場合だ。たとえあちらがこと戦闘に関してはかなりの手練だったとしても、未知の存在とはやり難いものだろう。俺からすれば、マジシャンにトレーディングカードゲームを挑むようなものだ。
俺はもう既にこの能力については解ってきている。しかし、流石にそこまであちらに情報は行っていないだろう。俺自身も相手の能力を知らないが、恐らくは俺のような訳ありな能力ではなく、常識の範囲内の能力だろう。
「(……そろそろ来るか。……………来たッ!!)」
一人が俺に向かって飛びかかってくる。加速系の能力を使用したのか、かなりスピードが乗っていたが、それを俺は能力を応用して高く跳躍することでなんとか回避する。
「チッ!………避けられたか!」
…!!体制が崩れた!
「そこォ……!」
「! ………ガフッ!!」
ほんの一瞬体制の崩れた一人に向かって、天井を掌で押す勢いと能力の応用で、首元に強力な飛び蹴りをくらわす。どうやら気絶してくれたようだ。
「今だッ!」
しまった!もう一人の奴に足首を掴まれた!
クソッ、どうする!?
「よし!………フンッ!」
こいつ、俺を床に叩きつける気か!だが、それならこうすれば……!
スカッ!
「んな!?」
「何をしたか、教えてやろうか?……お前の掌の摩擦を、限界まで小さくした!!」
足首を掴んでいた掌が、振りかざすと同時にすっぽ抜ける。そして、おまけとばかりに勢いを上乗せして、床に叩きつける。
俺が知ってる力学の法則なんざカスみてぇな量だが、十分闘える。
「これで決め…ッ!?」
振りかざした右腕が無い!?……いや、違う!感覚が薄れている!!なにかしら能力を使われているんだろうが、とにかくこれじゃあ上手く右腕が使えねえ!
だが、能力の限界なのか他の部位はなんの支障も無い。それに右腕の感覚も徐々に戻ってきている。
「(これぐらいならイケる!)」
気を取り直し再び右腕を振りかざそうとするが………
「!! …………チィッ!」
「これならさっきの逃れ方は出来ねぇなァァ!!」
摩擦を弄られても大丈夫なよう、俺を逆さ吊りにして、足首の周りを一周するように両腕で捕まえられた!
この状態じゃあ、引っ掛かって逃げれない。
「(今度はどうする、何か逃げ道を。…………いや。)」
「クククッ、もうお手上げか? おっと、言っておくが、デカい声出しても無駄だぜ。防音効果を付与出来るヤツが外で待機してるからな。」
「いいや、違うな!
「んなッ…!」
「どおりゃあッ!!」
俺は、こいつの胴体に能力で加速した渾身の右拳をお見舞いした。
そう、逃れる方法がすぐに思いつかなければ、そのまま攻撃してやれば良いのだ。
ダメージを受けて拘束が緩んだため、すぐさま脱出する。
「クッソォ! ふざけんじゃねえ!! このクソガキがァァア!!」
まだ床に叩きつけただけだった一人が立ち直して襲い掛かってくるが、一対一であれば戦いやすい。何故なら───
「オラァ!」
「ガフッ!!」
───できる限り加速した状態で一撃を入れてやれば、終わるからだ。
__________
「………………こんなもんか。」
俺は、休憩は一瞬だけにして、すぐにこいつらを動けないように捕縛、大声を出せないように口も留めておいた。
だが、こいつらの言っていた事が本当なら、外にまだ仲間がいる事になる。その場合は不自然に感じた仲間から増援が送られる可能性がある。その可能性を考慮して、どう行動すれば良いか。
「一人で逃げようかな。」
両親も死んでるし、通報したところでこいつらの増援の方が先に来るだろう。
そして何より、もしも通報してこいつらがなんとかできたとしても、その後の生活が不安となる。大方施設に預けられると思うのだが、そうなると無能力者である俺の扱いが心配になる。それ以前に施設に入れない可能性もあるが。
まあ、そんな訳で。
「逃げますか。」
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クソッ! あのガキィ、舐めやがって! 俺が起きた時には居なくなってやがった!しかも、拘束の仕方が滅茶苦茶なせいで痛え!次会った時は地獄を見せてやる!
…………………チッ、何がガキ一匹捕まえるだけの簡単な仕事だふざけんな。割に合わねえってモンじゃねぇ、金ではどうしようもないような屈辱を味あわせられたじゃねえか。こんな事ならこの仕事は受けなきゃよかった。
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さて、最低限の物を持ってある程度遠くに来たは良い。良いのだが……。
「どうやって生活するんだこれ。」
そう、家を出た時に何事も無かったのは僥倖なのだが、如何せん今のままでは暮らすことが難しい。
親の財布などもしっかり持ち出しているのだが、子供の俺が銀行を使う事は流石に出来ないため、金銭的な問題が解決出来そうにない。加えて、俺の情報をそのまま使用し続けると、いずれあいつらみたいなのに再び目を付けられ今回の二の舞いになりそうなので、その辺りもどうすれば良いか判らない。
「本当にどうしよ。このままだと生きていけそうに無い状態だな。」
まあ、取り敢えずはもう遅いし寝るとしよう。別に、これぐらいの資金があれば、俺一人ならある程度の日数暮らせるし。今隠れている建物も老朽化が進んではいるがいい感じの立地だしな。
そうと分かれば、一度寝るとしよう。寝て起きたら夢だった、という淡い期待を持ちながら。
〜翌日〜
案の定、夢ではなかった。決してそんな事に期待していた訳では無いが、改めて思い知らされるとキツいものがある。だが、過ぎた事は仕様がない、受け容れるとしよう。
そうとなれば、まずは食べ物を補給しよう。家から持ってこれた物は、極めて重要度の高い変えの効かないような物だけなので、食べ物は後で買おうと思ったのだ。
幸いな事に、持ってきた財布には電子マネーカードが入っていたため、何とか食事はできそうだ。
恐らく、まだ子供である俺が午前中に外出していたら不自然極まりないので、まだ日が上り始めである今の内に物を買って来ようと思う。
「(じゃ、必要な物買って来るか。)」
__________
現在、ある程度の生活必需品を手っ取り早く買い帰宅中である俺の後ろに、誰かが付いてきている。心当たりが二つほどあるが、できればどちらとも出合いたくはなかった。
心当たりというのは、片方が学校の関係者。もう片方が昨日のやつらだ。
「よお、ガキ。昨日はよくもやってくれたな。」
「(昨日は決断ができなくて殺す事ができなかったけれど、こんなことなら口止めする為にもとどめをさしておいた方が良かったな。)」
せめて学校の関係者であればまだ何とかできたかもしれなかったが、こうなってくるともう逃げたところですぐに足跡を追われそうだな。
それに、いつの間にか俺の周りにはこいつの仲間と思しき十数名の人間が視えていた。きっと、尻尾を巻いて逃げたとしても、それを捕まえることに特化しているやつがいるだろう。
加えて、今いる場所は、もう既に時間帯が子供のいるべきではない時間帯になっている為に、人が殆ど来ない路地裏。助けは期待できない。
「行けお前ら! 捕まえろ!」
このメンバーのリーダー格らしきやつが指示を出し、それに応じて他のやつらがそれぞれの能力を発動しながら捕まえにかかってくる。
結論だけ言わせてもらおう。俺はこいつらと戦い、昨日の戦いで勘が冴えていたおかげで、勝てた。そして、ご丁寧にも持っていたIDカードのような物でアジトを見つけ出した。案外アジトは近いところにあった。そして俺はこう思う。
「(もう面倒くさいから、アジトを潰そう。)」
次回へ続く………
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