感情力学──特殊な特殊能力──   作:LeIkaF

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執筆が遅れてます。
もっと精進せねば…

あ、それと、6話も是非楽しんでいって下さい。


6:最悪の夏休み到来

───一週間後

 

「弱ったなぁ、この化け物の死体、もう腐り始めてる。」

 

 櫛文に昔の話をしてからもう既に一週間経つのだが、未だに化け物から有力な情報が得られていない。

 

 せめて今いる学校が帰宅部を容認してくれていれば幸運だったのだが、俺になんの恨みがあるのか、部活は全員が入部しなければならないという校則があるのだ。

 俺としても留年などは嫌なので、一先ずは茶道部に入部しておいた。汗臭い運動は嫌いだしな。

 

 慣れない正座のせいで脚が痲れる事が多々あるが、これはまだ耐えれば大丈夫だ。

 だが、俺以外の部員に男子が居ないというのが不満でならない。部活動中の居心地の悪さは半端がないったらありゃしない。加えて無能力者という立場があるために、それ(茶道部の男女比率)をネタに嫌がらせをしてくる男子も現れた。

 まあ、別の部活に入ったりなどの対策をした所で嫌がらせは無くならないだろうし、俺自身も部活のメンバーと関わりを持つ事が殆ど無い為、そこまで気に病むような障礙でもないだろう。

 

 話を戻すが、解っている事といえば、内臓の作りは人間と酷似しているという事のみだ。

 ケチって冷凍庫を使ったりせずに、もっとちゃんと保存すれば良かったか?

 だがまあ、家にある物だけでここまで解ったのは嬉しい事だ。本当に何の智見も無かったら最悪手術に使うような道具を買おうと思っていたが、案外解るものだ。

 しかし、内臓の作りが人間と似ているからといって、そこから特別何か判るわけでもない訳で。

 

 後一週間したら夏休みらしいし、それまでに何も判然としなかったら、我が家の冷凍庫の貴重なスペースを全て埋めている、この最早死体と称する事ができるのか怪しく思える程にバラバラに解剖した肉塊は、其辺で焚いて置くとしよう。但し、人目の付かない場所でだが。

 人目の付くような場所で謎の物体を焚いていたら、其れこそ一般住民から通報されるかもしれない。

 焼跡に残っていた物は適当な場所で処理しておけば何の問題も無いだろう。

 

 現状の進捗と今後の見通しは今綴った通りだ。

 

 さて、夏休み迄はまだ後7日、有意義に使うとしよう。

 

 

 

__________

 

 

 

 

「はぁ〜あ、意気込んだものの、結局何の成果も得られずに夏休みになったなぁ。」

「それは残念だったね。」

 

 まあ、元より然程期待はしていなかったのだが。そんな事よりも、さも当たり前かのように俺の家に居る櫛文が甚だ疑問だ。

 

「何で櫛文が此処に居るんだよ。」

「夏休みにもなった事だし、知り合いの家に遊びに行こうかなと思ってね。」

「他に知り合いはできなかったのかよ。」

「おっと、それ以上は言わせないよ。」

 

 ……あの死体については大した事は解らなかったが、櫛文がコミュ障という事は確信を持てたな。

 

 一方で少し気になったのが、クラスメートから視た櫛文の印象はどんなものなのか、だ。

 

 何故かレベル0の俺と仲良くなってて、無能力者と教えても尚の事俺と話し続け、遂には一緒に帰宅。コミュニケーションが下手で、いつの間にかボッチになってる。

 

 自分で考えといてだが、かなり異様なやつだな。こんなやつに好き好んで関わりに行く勇者は、この学校には在席しなかったか。

 

 だが、櫛文には申し訳無いが、俺からすれば助かったのだ。何故なら、櫛文が来たお陰で俺への苛めやパシリ、その他の嫌がらせなどがかなり減ったからだ。

 理由として、一般的には能力値は300程度が平均になるとされるが、意外や意外、櫛文はその凡そ2倍の数値である600程の能力値を保有するらしいのが有るだろう。

 何故なら、能力値で優劣の有る現代社会においては櫛文は地位が周りより少し高くなるため、櫛文の話し相手の様な存在になっている俺に、無闇に突っ掛かれなくなったからだろう。

 まあ、櫛文に悪い噂が付き纏うようになったが。

 

「じゃ、取り敢えず例の死体を燃やして処理してくるから、櫛文は此処で待っといてくれ。」

「は〜い。」

 

 

 

__________

 

 

 

 

 さて、今はあの死体を大き目の手提げバッグ2つを使って運んでいるところだ。当然、血抜き等の処理は先にやっておいた。

 

「(立地的にもこの辺なら人目に付かないかな?)」

 

 河川敷とその上を通る橋の付け根が、上手いこと外から視えない空間を作り出している。

 まあ、河方面からは視えるのだが、態々此方を視るやつはいないと思うので、大丈夫だろう。

 

「(さてと、このリュックサックは端にでも置いとくとして、あれを取り出すとしよう。)」

 

 リュックサックを地面に置いてから、中に入れておいた例の死体を持ち出す。

 家でできる程度の処理はしてきているため悪臭などはしなくなっているが、ゴミ袋に入れても外から視たときに何かの死体だと気付ける程の外観はしている。

 

「(よし、作業開始。)」

 

 先ずは、持ってきた死体を最も外側から視え難い位置に配置する。

 次に、その周りを其辺から採ってきた木の枝で囲む。この木の枝は、火の勢いを補助するためだ。

 最後に、周囲に可燃性の物が無いか確認してから、着火。

 

「(…………おぉ〜、順調に燃えてきてるな。)」

 

 上手いこと全体に火が回ってくれてよかった。このまま燃え尽きるまで、火の勢いが落ちないように気を付けよう。

 

 そう思って火加減を観ていると……

 

「あ?」

「あ。」

 

 ……少々サイズの大きい白地の半袖ワイシャツに、黒地の下側半分に緑の縦縞模様の入ったナイロンジャージの長ズボンという、ラフな格好をした強面なおっさんが、トロリーバッグ片手にやって来た。

 服装とトロリーバッグの相性が悪いからか、微妙に絵にならない。

 

 因みに、俺は黒地のシャツとジーンズに、青のパーカーを併せたものを普段から着ている。

 

「……ガキ、ちょっと其処退け。」

「あ、はい。」

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 何だ?いつも通りの場所で書類を焼却処分しようと思ったら、先に来ていたガキが何かを燃やしてるぞ。

 というか、何を燃やしてるんだ?紙類でもないし布でもないし、違法物品という訳でもなさそうだ。外見的な印象からして、焚いてある物は肉塊だと窺える。

 となると、益々何をしてあるのか判らないな。だが、ここでこいつに真正面から何をしているのか、なんて訊いたら、此方への警戒心を煽るだけだ。

 ここは穏便に済ませよう。

 

 ん?今焚かれてるこの物体、見覚えが……

 って、この特徴的な形は……!

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()の…!!

 

 組織の備え付けの牢獄から脱走してそれ以来消息が途絶えていたが、まさかこのガキが仕留めたのか?!

 確かにアレは移動速度が著しく低かったが、防御力と攻撃力はかなり有していた筈だ。つまり、このガキはヒットアンドアウェイに長けているか、考えたくは無いが、強力な一撃を使えるという訳か。

 だが、何事も無くこの場を離れる事ができるなら、それが最善の行動となるだろう。

 穏便にこの場を離れるとするか。

 

 いや、待てよ?もしもこいつが誰かにコレの事を話していたら、面倒事になるかも知れない。其れを併せて考えると、今の内に何か行動を起こした方が良いのか?

 

「……あのー、何を考え込んでいるのかは知りませんが、そろそろ戻ってもらっても?」

「ん? あぁ、すまん。」

 

 まあ、そうだよな。慌てる必要なんかは無いのだから、一先ずは此処であった事を俺の所属する組織に報告しておけば良いだろう。その後の動向はきっと組織の上層部の連中が決めてくれる。ならば、やはり此処から一度離れた方が良いか。

 

「じゃあ、俺はこれで。」

「いやあの、態々出直さなくても…したい事が有って此処に来たのであれば、邪魔にならない程度で可能な事であれば構いませんよ?(そうすれば、俺の行動に対してとやかく言う事もできなくなるし。)」

「そう…か、お気遣い有難うよ。お言葉に甘えさせて貰うぜ。」

 

 これは素直に有り難いな。

 それじゃあ、持ってきた書類を焼却処分させてもらおうか。先ずはライターを取り出して──

 

「其れを燃やしたいのであれば、この焚き火を使って貰って良いですよ。」

 

──これはこれは、本当に親切なガキだな。

 

「そうさせてもらう。」

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

「(さっきはどうなるかと思ったけれど、上手くいって良かったな。)」

 

 先程来たおっさんは、現在進行系で書類を燃やそうとしている。だが、おっさんにそうする様に誘導したのは、ある目的も有っての事だ。

 その目的というのは、おっさんの書類の内容を少しでも視る事だ。

 何故そんな事をしているのかと言うと、先程のおっさんの()が気掛かりだからだ。

 

 おっさんは、焚き火に焚べられたこの死体を目にしたとき、何かに反応した。もう既にこの死体からは臭いもし難くなっており、見た目からも大きな情報は得られなそうなのに、だ。

 強いて言うならば、所々に一般的な生物では有り得ないような歪みや突起が生じているぐらいだろう。

 

 それらの考えから、書類の文面が視えるような位置にバレないように移動したのだが──

 

「(………もうこんなものと関わる事は無いと思っていたんだが、……いや、まだ面倒事になると確定した訳では無い。なら、ここは変に行動を起こさない方が良いか、)」

 

 ──一目視ただけでは唯の平凡な会社だと思ったのだが、悪い予感しかしない文辞をしていた。

 内容については触れないでおくが、今ざっと目を通しただけでも、様々な法に反しているのが判った。

 

「(どうか事が大きくならないように祈るしか無いが、………生憎、昔っから神頼みってのは苦手なんだよな。なんせ、重要な場面に限って運が悪くなりがちだからな。)」

 

 今迄の人生も、運さえ良ければ今よりはマシな人生だったかもしれない。

 運良く普通の能力を保持していたら、なんて事など、何度も考えた事がある。しかし、過ぎた事は変えられなかった。

 

「(というか、今はこんな事を考えている場合では無いか。おっさんも、書類を一通り処理し終えたっぽいし。)」

 

 何も起こさないでくれると嬉しいのだが……

 

「ま、こんなもんだな。じゃあな、ガキ。」

「わかりました。それでは。」

 

 ……何事も無く終わって良かったよ、全く。一時はどうなるかと思ったけれどね。

 

 けれど、何故だろうか。

 

 ()()()()()()()()()()()()のは。

 

 

 

次回へ続く………




月曜に間に合って良かった。それだけ。

評価や感想、ダメ出しなど、お待ちしています。

修整点は随時修整します。
アドバイスもどしどし送りつけて下さい。参考にさせて頂きます。
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