「血鬼術、爆血!」
禰豆子の両手から、煌めく紅い炎が吹き出す。
「また火が……!いや……嫌ァアア!!」
「「……ふざけるなよ……!!炎に焼かれた程度じゃあ、鬼は死なねぇよなあああ!?」」
泣き叫ぶ声の直後に、堕姫の口から二重に重なって不気味な声が響いた。
不意に伸びた帯が禰豆子の腹に刺さる。返り血が付いて燃える帯は、それでも止まらず、彼女を屋根から突き飛ばした。さらにそのまま、後ろの善逸と伊之助に向かって伸びていく。
「禰豆子ちゃ――ああ!?」
「クソッ!せっかく近づけたのによォ!!」
「……炎の勢いが弱いわ、すぐに治ったもの。やっぱり返り血を浴びせなきゃ強い炎を出せないのね。それに……帯が一つ程度燃えたって、大したことないのよ!!」
勢いを取り戻した帯の猛攻に、二人はじりじりと屋根の端へ押し返されていく。
「――宇髄さん!!」
「危ねえぞオオ!!」
ついには、屋根の上にいた炭治郎と雛鶴の元まで帯が伸びていた。
「伊之助!善逸!禰豆子は!?」
「ふっ飛ばされちまった、だが見に行く余裕がねえ!」
「そんな……!」
一方、屋根から突き落とされた禰豆子は、小さい姿のままで腹部を押さえてフラフラと立ち上がる。
(……痛い……お母さん、痛いよ……)
(お腹が空いた……喉が渇いた……)
(血の匂い……私の血じゃない、少し離れたところから……)
(あれ、おかしいな……?私はお兄ちゃんみたいに、鼻が利くわけじゃないはずなのに……)
(お兄ちゃん……そうだ、お兄ちゃんの血の匂いだ……お母さん、お父さん、お兄ちゃんが怪我してる……)
(でも、なんで分かったんだろう……?)
(…………)
彼女の姿が、元の大きさに戻っていく。
「そうだ……まだ戦える……私、行かなきゃ……お兄ちゃん!」
「この鬼の首は柔らかすぎて斬れない!相当な速度か、複数の方向から斬らなくちゃ駄目だ!」
「複数の方向なら二刀流の俺様に任せとけ!」
「わかった!善逸、伊之助を守ろう!」
「無理!!」
「善逸!!!!!!」
「うわああああ!!」
獣の呼吸 捌ノ型 爆裂猛進!!
水の呼吸 参ノ型 流流舞い!!
雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・三連!!
真っ直ぐ敵に向かっていく伊之助を、二人が援護する。しかし、全てを叩き落とすことはできなかった。
伊之助へと、横から帯が迫る。
(駄目だ、全然足りない……!!最低だ、伊之助ごめん……炭治郎……こんな俺を信じてくれたのに……!)
(……死ぬなら俺一人で死ねばよかったのに。最後まで臆病で、自分のせいで仲間を……)
「――ううっ……!!」
次の帯が左右から迫る。
右側にいた炭治郎が、それを受け流そうと動く瞬間、叫んだ。
「善逸!!」
「――っ!!」
再び踏み込んだ善逸が、一瞬で距離を詰めて左側の帯を斬り落とす。
「うおおおお!!!」
陸ノ牙 乱杭咬み!!
「首斬ったぞ!!向こうは!?同時だろ同時!?オッサンはどうだ!?先斬って良かったのかコレ!?」
「禰豆子……!」
「禰豆子ちゃん……!」
「オイ聞いてんのか!?」
二人は禰豆子へ駆け寄ろうとするが、首を失った堕姫の身体が動き、帯の攻撃が邪魔をする。
「禰豆子……!大丈夫か……!?」
「禰豆子ちゃん、ごめん……!俺のせいで……」
「っ……ハァハァ……私のことはいい……から……!早く……!!」
禰豆子は息が荒く、傷口を押さえたままうずくまっている。
「まだ動きやがるのか気色悪い!!とりあえず首持ってくぞ!?」
斬った首を抱えて、伊之助が走り出す。
その身体を、鋭い刃が貫いた。
「伊之助ーーッ!!」
信じられない光景を
「お兄ちゃん危ない!!」
起き上がっていた禰豆子が、炭治郎を突き飛ばす。
直後、屋根が崩れ落ちた。
短いのでおまけ 一話の補完
「クソ、どうすりゃいい!オイ!ねず公!親分に逆らうんじゃねぇ!」
「禰豆子ちゃんに刀向けるなよぉ!」
「駄目だ二人とも、禰豆子は今危険なんだ!早くーー」
早くって、何を……?
早く離れろ?危険だから?
『妹が人を襲ったとき、お前はどうする?』
違う……俺が……今言うべきなのは…………!!
「…………」
しかし、言葉が出てこなかった。
アニメの進行度の関係で次の投稿は再来週になると思います