強い。
やはり、
このアーカードという男は今まで見て戦って来たどの化け物より化け物だ。
カナタは、アーカードに対し、そう思う。
射撃の腕は、超一流。
カナタも、ぎりぎりで躱せている。
「いい動きだな。 射的の腕も二流程度は、あるだろう。」
「そりゃどうも。 全く嬉しくねぇよ!」
カナタは、壁際で隠れながら、【風操術式】の銃で抗戦する。
ドパンッ! ドパンッ!
視認不可、無音の弾丸がアーカードを捉える!
「クフフ‥‥‥」
はずだった。
なんと、アーカードは弾丸を避けたのだ!
「馬鹿な‥‥‥ 透明な無音の弾丸を何故避けられる?」
「フフフ‥‥そりゃあ銃の撃ち方がお利口すぎだな。 銃の向きで何処に、撃つかが丸わかりだ。」
アーカードは、
数世紀にも渡り、各国で暴れまわった生粋の戦闘狂。
あらゆる大戦争で戦い続けた故に、その戦闘経験は凄まじい。
動体視力、反射神経、五感、第六感もずば抜けている。
何よりこの男は、
(ムカつくことに、やつは全然本気を出していない。)
そう。
アーカードは、カナタに対し力の半分も出していない。
つまり、遊んでいるのだ。
(きちぃな。 今の状況でやっと拮抗してるのによぉ‥‥でもこっちは、2体1であることを忘れてもらったら困るね!)
「ランプラー! 『かえんほうしゃ』!」
『ランプウー‥‥‥ラ"ン"ッ!!』
ランプラーは、『はじけるほのお』と同じ要領で『かえんほうしゃ』をレーザーのように放つ。
威力も速度も桁違いのレーザーは、アーカードの腕に命中。
ズッパァァァァァァン!!!
銃を持っていない方の腕を真っ二つに焼け切った。
「!?‥‥‥‥‥クフフ。 何百年ぶりだ? 俺の四肢の一本を失わせたヤツが現れたのは‥‥‥?
だが、俺は、吸血鬼。 すぐに、再生し‥‥‥‥‥‥‥‥‥何?」
なんと、アーカードの腕は、再生しなかったのだ。
腕をよく見ると、真っ黒な炭と化していたのだ。
「フフフ。 俺が、お前らの再生に対策をしていないとでも? ランプラーの火力があれば、お前の腕を炭化させて再生不可にすることなど容易いのだよ!」
「なろほど‥‥‥厄介だ‥‥‥」
「さ〜て、こんな所で散々、辛酸を舐めさせられたんだ‥‥‥‥。 今からてめぇをレーザーで燃えカスにして、家の家庭菜園の肥料にしてやるぜぇ〜!!」
「‥‥‥‥‥‥」
「ランプラー! 『かえんほうしゃ』を重機関砲の如くぶちかませぇ!!」
『ら、ら、ら、ンプゥ〜ラ"ラ"ン"!!』
ランプラーは、『かえんほうしゃ』を火球にして、火球の中から弾丸のようなレーザーが発射される! それはまるで戦闘機のガトリング砲の如く!
アーカードを消し炭にするべく連続発射された!
ズドドドドドドドドドドドドドドォォォン!!!
「喰らえ!! これが俺の、男の夢とロマンと恨みをのせた攻撃だァァァ!! 連射する分射程距離は、落ちるがモーマンタイだ! 消し炭になりやがれぇェェェ↑!!」
「‥‥‥‥確かにこれらが、直撃すれば俺でも文字どうり消し炭になるだろう‥‥‥直撃すればな。」
アーカードは、レーザーに向けて銃を構える。
ただの銃であれば何も出来ないが、
アーカードの使うデザートイーグルはカナタの読みどうり術式が施されている。
「子供のお遊びに使うつもりは、なかったが‥‥‥気が変わった。」
アーカードは、弾のリロードを済ませ、銃の術式を発動させる。
「【氷結呪法】‥‥‥発動。」
ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ!
アーカードは、レーザーに向けて発泡する。
このとき、
カナタはアーカードのこの行動の意味が全く理解出来なかった。
ランプラーの連続射撃は、世界最強の呼び声のあるデザートイーグルでも流石に対応出来るわけのない程の猛攻であるからだ。
しかし、アーカードの行動の答えはすぐに、表れた。
「!?」
【BGM ジョジョ第二部より 〜awake〜】
ピッキィ〜〜ン
なんと、
凍ったのだ!
あの膨大な熱量を持っていた弾丸がそのエネルギーをあざ笑うかのように一瞬で凍らされたのだ!
そして、その現象は、
着弾したレーザーだけにとどまらず、周囲のレーザーまで大都会の若者の流行の如く、
恐ろしい速度で伝播し始めたのだ!
「ば、馬鹿な‥‥‥‥何故、直撃した所だけでなく、周囲のレーザーまで凍てついているんだ!?」
大量に放たれた弾丸の過半数が凍りつき、
微かな音が凍りついた弾丸から聞こえてきた。
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
「な! この音は!?」
カナタは、研究所からパクった双眼鏡で氷を覗くことで理解した。
あの広がり続ける氷の秘密を‥‥‥
そう。 あの氷は、ただの氷ではない!
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
喰らっていた!
炎を喰らっていた!!
炎の周りに、氷で出来ていたクリオネのような微生物がランプラーの呪力で出来ている炎を喰らい、瞬く間に繁殖していたのだ!
繁殖した氷の微生物が炎の呪力を伝い、周りのレーザーを喰らい、
レーザーをも上回る速度で増え続けたことで、
一瞬で凍りついたように見えたのを理解した!!
「これこそが、【氷結呪法】。 呪力を用いる攻撃を喰らい、凍てつかせる。 まさに、呪術師キラーと言ってもいい。 まぁ当たったのが呪力による攻撃でなければ数分で溶けて消えるがな。」
「呪術師キラーだと‥‥‥!?」
カナタは、戦慄した。
自身が使っている二丁のブラックホークの術式も大概だったのに、
アーカードのデザートイーグルの術式は、さらにデタラメ級のものだったからだ。
「驚いたか? だが、もう手遅れだ。 お前の呪骸を見ろ。」
「!?」
なんと、レーザーを凍らせた氷結がランプラーにまで迫っていた。
「ランプラー! その氷を溶かせ!」
「残念だが、無駄だ‥‥‥呪力を放出すればするほど氷結は、より浸食する。」
ついにランプラーは、氷に覆われ動けなくなった。
「さて、お前はもう一人だ‥‥‥」
「くゥ‥‥‥ランプラー‥‥‥待っててくれ。 俺があいつをぶっ潰してやるからな。」
カナタの様子を見てアーカードは、ある疑問を持った。
「さっきから思っていたんだが‥‥‥お前は、どうもその呪骸を大切にしているな。」
「当たり前だ‥‥‥! こいつは、俺が初めて作り上げた呪骸であり相棒だ‥‥‥!」
「ほーう‥‥‥‥‥‥‥そんな心も存在するはずもない人形がか?」
「何? てめぇ‥‥‥今‥‥何つった‥‥‥‥!?」
「なんだ? 聞こえなかったか? ならもう一度言ってやる。 『そんな心も存在しない役立たずの人形がか?』と言ったんだ‥‥‥‥」
「てんめぇェェェェェェェェ!!!」
カナタは、ブチ切れた!
それがアーカードの狙いであると知らずに。
カナタは、アーカードに銃を乱射した。
ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ!
「そんな当てずっぽうな弾を乱射したら‥‥‥‥‥‥隙だらけだぞ。」
アーカードの蹴りがカナタの腹にヒット。
カナタは、その衝撃で吹き飛ばされた。
「グハッ」
「じゃあな。 大和カナタ‥‥‥‥‥久々に楽しめたよ」
このときアーカードは、なにかの違和感を感じていた。
(気のせいか‥‥‥?)
「‥‥‥‥‥‥チェックメイトだ‥‥」
アーカードは、カナタに銃を向け脳天に向け撃とうとすると‥‥‥‥
ズキューン!
「!?」
なんと、背後から逆にアーカード弾丸が脳天を貫いた。
奇しくもそれは、研究所に入る前の時と酷似していた。
このとき、アーカードは気づいた!
違和感の正体を!
(何故、あの銃で銃声が鳴ったんだ‥‥‥‥‥?)
そう。
カナタが先程まで使用していた銃には【風操呪法】が刻まれているため、
銃声は鳴らない筈なのだ。
アーカードは、カナタの方を見ると‥‥‥‥
してやったりと、ニヤリとした顔をしていた。
カナタは、挑発に乗ってなどいなかったのだ。
銃を撃つ前に二丁目の銃と入れ替えていたのだ。
そして、二丁目の銃の術式は、【炎熱操術】。
その効果は‥‥‥‥‥
【〜ジョジョ第5部処刑用BGM〜】
(あのとき乱射した弾丸は、この洞窟の床、壁にて跳ね返り跳弾となり、跳ね返ったときに発生した火花を操って方向を変え、やつに命中させる。)
「『跳弾制御』!」
「‥‥!?」
カナタがあの時放った弾丸は、3つ!
それは、カナタの呪力を消費して跳弾が狙った方向に跳ね返り、アーカードを蜂の巣にする!
この攻撃ならば、【氷結呪法】も間に合わない!
「
数多の弾丸がアーカードの腕を、脚を、肩を、胴体を、喉を、身体全体を打ち貫く!!
「ボーラァァ!!」
最後に心臓を貫いた!!
「ボラーレヴィーア…」
アーカードは、背を地につけ倒れた。
洞窟の戦いを制したカナタは、
凍りついたランプラーを見ると、
氷が溶け始めたのですぐに動くことが分かったので安心して座り込んだ。
「マジで手死ぬかと思った‥‥‥‥あいつの挑発に乗った振りをしておいて良かった。 今、何時だ?」
カナタは自身の腕時計を見ると、洞窟に入って1時間20分が経過していた。
「なんだよ。 まだ10分も余ってんじゃん。 これなら母さんに怒られずに済むな。」
「母親が怖いのか?」
「そりゃあもう。 キレた母さんは、特級呪霊よりも恐ろしい‥‥‥‥‥‥アレ?」
カナタは、驚いた。
なにせ、今この洞窟は、自分一人のはずだったから。
おそるおそるアーカードの方を見ると、
なんと、五体満足で復活していたのだ!
「ナニイィィィィィィィィィィィィ!!?」
「落ち着け。 今は、もう戦う気はない。」
「ヘ‥‥‥?」
「お前は、俺に銃の【氷結呪法】を使わせた。 その時点でお前が生き延びたら見逃すつもりだった。」
「な、なんで‥‥‥‥?」
「お前が、強者だからだ。 ここ数百年、俺は四肢の一本でも失くすほど殺し合いが無かった。
それをお前は、四肢どころか身体をバラバラにした。つまり、将来有望ってだな。」
「殺さないのか‥‥‥‥‥?」
「『今は』、だ。 お前が、死ぬまで退屈しなさそうだ。」
アーカードは、サラッと恐ろしい事言った。
「やっぱし、お前イカれているよ‥‥‥‥」
「ああ、イカれているとも。 まともじゃ殺し合いは、出来やしない。」
「あ、そう。 じゃあお前に出会わないように頑張るよ。」
「悪いが、それは困るね。 だからここで縛りをつける。」
「え〜〜。」
「しないと、殺す。」
「どんな誓いでもたてます。」
「うむ、なにもタダではない。」
「What?」
アーカードは、カナタに先程まで使用していた、デザートイーグルを取り出した。
「この銃をお前に託す。 こいつを使いこなして、俺を殺してみせろ。 三十代になるまでにな。 これが縛りの内容だ。」
「そこまでして、俺とまた殺り合いたいと?」
「ああ。 ちなみに、この縛りを破ったときお前は死ぬからな。」
「なんでぇ!?」
「それほど、この銃は今のお前にとって釣り合っていないと言うことだ。」
「ちくしょー!! 否定したいけどしけれねぇのが辛い!!」
「どうだ? この縛りを受けるか?」
闇雲にしなきゃ殺すと、目が語っていた。
「しますよ! やりゃあいいんでしょ!!」
「契約成立だ。 ならもうここを、出て懐かしき東洋に帰国しよう。」
「え? 帰るの?」
「ああ。 それから、この研究所は今日からお前のだ。 好きに使え。」
「え?」
「この研究所は、外から見れば、何の変哲もない洞窟だ。
修行には、丁度いいだろう。 非正式の呪術師のお前なら‥‥‥」
「マジで言ってます?」
「本気だとも。 そろそろお前の相棒もお目覚めだぞ。」
アーカードは、ランプラーに視線を送る。
カナタも釣られてランプラーを見ると、目を、覚ましていた。
「おぉぉ。 目を、覚ましたか〜ランプラー‥‥‥‥‥?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
‥‥‥‥おや!?
ランプラーの様子が‥‥‥!
デデデン、ウォーン(警告音みたいなやつ)
デンデンデンデンデンデンデンデ〜ン デンデンデンデンデンデンデンデ〜ン
ウォーン ウォーン ウォーン キラン ピカーン
デデデ、デデデデンデデデーデン!
おめでとう! ランプラーは
シャンデラに 進化した!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なんと、
ランプラーがついにシャンデラに進化した!
「ほーう‥‥こりゃ凄い、術式を持つだけでなく進化もするのか。 呪霊の構造にかなり近い。」
「そりゃあそうだろう。 俺の自慢の相棒だからな!」
カナタは、自慢気に言う。
「これは、これは、ますます成長が楽しみだ。」
シャンデラへの進化を見られたことで、
余計に目をつけられてしまった。
でもこの人のお陰で研究所と修行出来る場所を得られたと思うなら、
少しだけ感謝しようとほんの少しだけ思った。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
あのあと、
アーカードは、帰国した。
お前の成長を楽しみにしていると、言い残して。
おそらく、この人は、サイヤ人の血でもひいているのだろう。
俺も、洞窟をあとにした。
急いて帰れば、
門限に間に合うので母さんから怒られずに済みそうだ。
と、
思っていた時期が僕にもありました。
家に、帰ると母さんが悲鳴をあげた。
その理由とは、
俺が、
アーカードとの戦闘でボロボロになっていたからだ。
母さんには、
野良犬に追いかけられたと説明して、難を逃れた。
しかし結局、
包帯まみれになったので、
後日、スバルからも、
理由を問い詰められ根負けし、めちゃくちゃ怒られた。
遂に決着。
といっても
やべえヤツから目を、つけられただけなんですがね
ちなみにスバルは、
あの裏山の事件以降、呪力が覚醒して呪霊が見れるようになり、強くなりたいと思い、祖母の香里奈さんにしごかれています。
目標は、カナタぐらい強くなること。