無課金の味方、女神プリトヴィツェ様のお話。
ゲームに似せて作りたかったので選択肢式にしてましたがハーメルンでは難しく断念…章形式で進みます。
挿絵は純白のうどんさんhttps://twitter.com/white_udonnに描いていただきました!

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プリトヴィツェ プリンのグルメ

「おお!ぬしよ、こっちじゃこっち!」

 

食堂、1つのテーブルから手を振るのは女神プリトヴィツェ。

 

プリトヴィツェの向かいに座る女騎士。呼ばれはしたものの何で呼ばれたのかは分かっていない。

 

「まずは来てもらった事に感謝するぞ!だが話をする前に1つ訊いておこう…ぬしよ、この世で1番美味なる食べ物は何だと思う?」

 

この世で1番美味しい食べ物といったところで味覚は千差万別だ、女騎士はとりあえず自分が好きなパフェと答えてみた。

 

「パフェか!アイスに生クリーム、チョコなど1つで様々な甘味が味わえるからな!だが惜しいのう…この世で1番美味なる食べ物はそう、プリンじゃ!」

 

立ち上がり自分が食べていたプリン乗った皿を天に掲げるプリトヴィツェ。

 

「プルプルとした食感、無駄のない形!そしてカラメルソースのほんのり苦く、そして甘い香り!いくらでも食べれるデザート!わしはこれを後世に語り継ぐ気でいるくらいじゃ!」

 

周りからの注目もお構い無しなプリトヴィツェである。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「じゃがな、わしは思い知らされた…プリン好きを豪語しておきながらプリンの事など何一つ理解していなかったという事に!」

 

プリトヴィツェは女騎士の前にパンを1つ差し出す。

 

「これはあの赤ずきん…エルビラ殿がわしに新作の試作品と言って昨日渡してきたのじゃ、食べてみるがよい」

 

パンを食べる女騎士、口に含んだ瞬間とても知っている味が広がる、これはプリンだ。しかもとても美味しい。

 

「美味いじゃろ!彼奴は生地にプリンをそのまま入れる事でプリン味のパンを作ったのじゃ」

 

美味しいがそれが先ほどの言葉にどう繋がるのだろうと思う女騎士。

 

「つまりじゃ!わしはプリン単体が既に完成された食品だと思っておった、だが実際にはプリンというのはあらゆる可能性を秘めてあったのじゃ!今まで知らなかったのが恥ずかしい!」

 

頭を抱えて突っ伏すプリトヴィツェ、立ち上がったり、喜んだり、悲しんだりと忙しい女神様だ。

 

「わしはこれよりプリンの新たな可能性を探しに行こうと考えておる、ぬしにも付き合ってもらえると嬉しいのじゃが…」

 

快諾する女騎士。

 

「おお、感謝なのじゃ!では早速出発…の前に、ロレイン殿、プリンをもう1個追加じゃ!」

 

-数分後、旅館前-

 

「さてどこを調べたものか…という事でぬし、頼むぞ!」

 

女騎士の肩を叩くプリトヴィツェ。

 

「わしはぬし程この浮遊城では顔は広くない、ぬしならレシピを知っておる者の1人や2人心当たりはないか?」

 

心当たりと言われると思いつくのは…

 

 

 

 

❤️ユズのところへ行ってみよう

 

「なるほど話は理解したよ、だったらいいレシピを知ってるよ!」

 

女騎士とプリトヴィツェはユズに話をしたところどうやらアレンジレシピを知っていたようだ。

 

「プリンで作るフレンチトースト!ちょうど時間があるから一緒に作ろ!」

 

そのまま旅館の厨房に向かう3人

 

「作り方は簡単!まずはプリンをボウルに入れて液状になるまで混ぜます!」

 

「その後は手頃なサイズに切ったパンを5分くらい漬けて」

 

「後はバターを敷いたフライパンでしっかりと焼き上げれば…」

 

ユズはフレンチトーストをお皿に盛り付ける、バターの良い香りがする。

 

「おお!美味しそうじゃの!」

 

プリトヴィツェはよだれを垂らしかけているが、そこは女神の尊厳なのか耐えている。

 

「まだまだここから!お皿に盛り付けたパンに砂糖をたっぷりかけてその上に追いバターをして完成!さあ召し上がれ!」

 

早速いただく2人。

 

「これは!砂糖の甘さとバターの風味が見事に合っていて美味じゃ!プリンの味もしっかりしていてこれはいくらでも食べれてしまうぞ!」

 

凄い速さで食べていくプリトヴィツェ。

 

「うーん、それはやめたといた方が良いかも、美味しいんだけどカロリーがね…ゴニョゴニョ…」

 

ユズから総カロリーを聞く2人、驚きの数値に食べていた手が止まってしまったのであった。

 

フレンチトーストのレシピを手に入れた!

(プリンを使った悪魔的発想のフレンチトースト、カロリーも悪魔的です)

 

 

 

 

 

⚔ バリなら知っているかも

 

「プリンのアレンジレシピですか…すいません、存じてないです」

 

空中庭園にいたバリに話を聞いた女騎士とプリトヴィツェ、だがバリはレシピは知らないようだ。

 

「ですが代わりにプリンに似た別のお菓子の作り方を知ってます、ちょうど出来上がった頃だと思うので一緒にどうでしょうか?」

 

「プリンに似たお菓子じゃと?それは気になるのう…ぜひお願いするぞ!」

 

食堂のテーブルに着いた女騎士とプリトヴィツェとメイリルの3人。

2人の時間を邪魔されたのかメイリルはこちらを睨んでいる。

そんな気まずい沈黙の中、バリが持ってきたのはチョコレートの香りがするプリンのようなお菓子。

 

「バリ殿これは?」

 

「これはムースというお菓子です、プリンと同じような見た目ですが作り方や食感は違います。今回はチョコレートをベースに作りました、是非どうぞ」

 

「うむ、いただくのじゃ!」

 

スプーンでひとすくいして口に含む。

 

「これは!プリンとは違うしっとりとした食感、チョコレートと生クリームの風味が見事である!これはそう…プリンとケーキの良いとこ取りと言えるじゃろう!」

 

「あったりまえじゃない!バリの作る料理は全部美味しいんだから!」

 

プリトヴィツェの賞賛にメイリルも反応する。

確かに美味しい、これは是非レシピを教えてもらおう。

 

ムースのレシピを手に入れた!(ふわふわしっとり、プリンとは似て異なるお菓子です)

 

 

 

 

 

♪ 姫様に聞いてみましょう

「プリンのレシピ?うーんと…分かんない!」

 

おやつの時間なのか丁度食堂にいたちび姫に話をしたところ知らないと元気の良い返事が返ってきた。

 

「そ…そうか…まあ何となくは分かっておったが」

 

さてどうしようかと考えているとエヴァが厨房から出てきた。

 

「姫さま出来ましたよ、ではどうぞ」

 

「エヴァありがと!」

 

エヴァが持ってきたのはプリンではあるがプリトヴィツェが知っているプリンでは無かった。

 

豪華な器にこれでもかと乗せられた様々なカットフルーツとウエハースや生クリーム。

沢山添えられているがゴテゴテではなく、盛り付けも綺麗で例えるならシャンデリアの様な美しさだ。

 

「なぬ!エヴァ殿、これは!?」

 

エヴァに詰め寄るプリトヴィツェ。

 

「め…女神様?突然どうなさいました!?」

 

興奮気味のプリトヴィツェの代わりに女騎士が説明をする。

 

「なるほど…プリンのアレンジレシピを探していると」

 

頷く女騎士。

 

「これはプリンアラモードという名のスイーツで王族や上流貴族の食後のデザートとして出される」

 

「うむうむ、ではわしもプリンアラモードとやらをいただきたいのじゃが?」

 

プリトヴィツェはエヴァに自分にも同じのをと、お願いをする。

 

「そ…それは…申し訳ありません、出来ません」

 

「な、何故じゃ!」

 

「その…姫様に出すにあたって国中の高級果実を集めており、かなりのお金がかかります」

 

「つまりそう何個も作れないと?」

 

「そういう事になります」 

 

エヴァは申し訳なさそうな顔をする。

 

仕方ないのでレシピだけでも教わったが、ちゃんと素材を集めて作るとなると幾らになるか計算したら度肝を抜いた。

 

プリンアラモードのレシピを手に入れた!(これ1つで普通のプリン20個分、まさしくロイヤルなスイーツ) 

 

 

 

 

 

・エピローグ

 

 

「ここまで集まれば充分じゃな!早速ロレイン殿に作ってもらうように頼んでくるぞ!」

 

女騎士と別れ、意気揚々と旅館へ向かうプリトヴィツェ。

 

「ダメです」

 

即答で返ってきたのは拒否の4文字。

 

「何故じゃ!」

 

「…」

 

笑顔のまま無言のロレイン、謎の圧に思わずたじろぐプリトヴィツェ。

 

「お気づきにならないんですか?」

 

「ど…どういう事じゃ」

 

ロレインはプリトヴィツェに近づくとお腹の肉をつまむ。

 

「ひゃう!?いきなり何をする!」

 

「女神様…太りましたね?」

 

「うぐっ!?」

 

ロレインからの一言にあからさまに動揺するプリトヴィツェ、しかしすぐに反論に出る。

 

「わしは女神じゃ!女神とは美しさの象徴、ふ…太るなどありえないのじゃ!」

 

「では飛んでください」

 

「え?」

 

「女神様、戦いの時はよく飛んでますよね、それを私に見せてください」

 

「なんじゃそんな事か…ふん!」

 

プリトヴィツェの背中から紅い羽が出てくる。

 

「ふん!くぬぅぅ…!」

 

必死に羽ばたかせているが全く浮いていない。

数分後、疲れたのか羽ばたきを止むと同時に地面に四つん這いになるプリトヴィツェ。

 

「何か言いたい事はありますか?」

 

相変わらず笑顔のロレイン。

 

「し…仕方ないじゃろ!500年前と比べて今の時代は美味しいものが多すぎるのじゃ!」

 

「言い訳は以上ですね、ではダイエットしてください」

 

「ダ…ダイエットじゃと!?知っておるぞ、食事はスープのみで最後の方はそれすら許されず干したキノコを口にいれて水分までとことん抜くというあの!?」

 

「何か知識が偏ってますね、誰から聞きました?」

 

「アオバ殿から借りた漫画に描いておった!」

 

「はぁ…とりあえず飛べるようになるまではプリンはお預けですから…良いですね?」

 

この話はもう終わりというように去っていくロレイン。

 

「まっ待ってくれロレイン殿!せめて1日、いや1週間に1個でも!」

 

ロレインは振り返る事なく厨房へと消えていった。

 

「う…うわぁぁぁぁん!」

 

食堂には悲痛な叫びと涙を流すプリトヴィツェだけが残されたのだった。



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