Minecraft ~結月ゆかりのマインクラフト人生~ 作:ライドウ
とにかく完走目指して突っ走ります。
なお、あとがきをキャラ紹介や用語説明などに使うためお知らせなどはまえがきに書かせていただきます。
追記 アンケートを追加しました。
過去には誤字です。
冒険に出たい。
小さいころから、私はそう思っていた。
住んでいる村の防壁から見える平原の向こうには、一体どんな世界が広がっているのだろうか。
村を見守るようにそびえたつ高い山の向こうには、一体どんな光景が待ち構えているんだろうか。
村のそばを流れる大河のその先には、何が広がっているのだろうか。
そんな疑問ばかり、私は成長してからそう考えていた。
だけど、
緑豊かな大地を埋め尽くすほどの、ゾンビの大軍。
全てをなぎ倒す、大きな風の渦巻き。
外の世界には、危険がいっぱいだ。
村の誰もが、この村で生きて、この村で死ぬことを望んでいる。
外は危険、それは十分承知だ。
だけど、私は見てみたいのだ。
未知なる世界を、この世界を。
~~~~~
「...なぁんて、言ってみても。」
私、結月ゆかりは結局しがないただの村娘だ。
両親はいない、私がこの村にいるのは大昔にとある冒険者がここに預けたからだ。
だから、この村でもちょっとだけ腫物扱いされている。
「ゆかりちゃ~ん?また、冒険に出たいって村長に駄々をこねたの?」
「...マキさん。」
金髪のボンキュッボンの私の親友、弦巻マキが私に話しかけてくる。腫物扱いの私を親友と言ってくれる人。
私の冒険欲求を理解してはいるのだけれど、怪我をしたり怖い思いをしたりするのが嫌という理由で冒険に反対している。
「ええ、まあ...村長は縦に首を振ってくれませんでしたけど。」
「そりゃそうだよ、わざわざ危険な外に冒険しない方がいいって」
「でも、私は見てみたいんです。どこまでも広がる青い海に、色とりどりな岩がある荒地、空高くそびえたつ大きな山に、どういう原理で浮いているのか分からない浮き島!」
私が大切に読んでいる冒険譚の本を掲げ、見てみたい風景を妄想してみる。
そこで繰り広げられる、私による大冒険。森を越え、丘を越え、山を越え...そして並みいる危険をなぎ倒し、古代から眠る金銀財宝を手に入れる!
「うへへ、金銀財宝は私のモノですぅ~。」
「ありゃりゃ、またゆかりちゃんがトリップしちゃってるよ。こうなると、しばらく帰ってこないんだよなぁ~。」
うへへ~、よいではないかぁ~よいではないかぁ~。
なんてうへうへと変な笑い方をしていると、私たちを覆うように影が横切る。
何事かと思い、空を見上げると。
「ギャオォオオオオオオオオオオッ!!」
「う、うわわわ!?ど、ドラゴン!?お、おとぎ話じゃなかったの!?に、逃げるよゆかりちゃん!ゆかりちゃん?」
「み」
「み?」
「マキさん、見てください!!ドラゴンですよ!ドラゴン!!おとぎ話の存在が、やっぱりいて私たちの頭上を飛んでいきましたよ!!」
「お、落ち着いてゆかりちゃん!!みたから、ドラゴン見たからぁ!!ちょっ、服が、服が伸びるってぇっ!」
マキさんの胸元を掴んで目を輝かせてブンブンとマキさんを揺さぶる。
ドラゴンが、ドラゴンが私たちの村を通り過ぎたのだ。しかも、ただのドラゴンではない、黒い体に紫に光る眼!間違いなく伝説の【エンダードラゴン】だ!!
よく思い出せば、そのエンダードラゴンはサドルのようなものをつけていた...だからあれは
「きっと、あのドラゴンは伝説の冒険者のドラゴンですよ!ほら、この冒険譚の!!」
「あーう、お気に入りの服なのにぃ...その冒険譚の冒険者って、【青い髪の少女】でしょ?もう40年以上前のお話だから絶対違うよぉ~。」
「じゃあ、マキさんはあのサドルを付けたドラゴンは何だっていうんですか!?」
「うっ...」
マキさんの反論を論破して、ドラゴンが消えていった方向を眺める。
もうはるか遠くに行ってしまっているが、いまだに見えるその後ろ姿。
間違いない、外の世界にはこの冒険譚が書かれた世界が広がっているんだ!!
「もう一回、村長に相談してきます!!私は、私は旅に出たいですー!!」
「ま、まってよゆかりちゃーん!!」
~~~~~
村長宅
~~~~~
「そう...か、エンダードラゴンが頭上を」
村長が椅子に座りながらお茶を飲みつつ、私の話を繰り返す。
目を輝かせながら、うんうんと頷くと
「儂も見たから知っておるよ。ああ、外の世界はゆかり君...君の持つ冒険譚に書かれている通り、不思議で壮大で...美しくも残酷な世界が広がっておる。」
「ほら、マキさん!!私の言った通r――――」
「じゃが、外の世界にはそれらに並ぶほど。危険が待ち受けておる。」
その言葉を聞いた途端、村長の風格が変わっていることに気づく。
いつもは、みんなの優しいお爺ちゃんという風格から...まるで、長年の修羅場を潜り抜けてきた凄腕の戦士のような雰囲気。
壁にかけられている村長の片手剣が、今にも村長の手元に飛びそうだ。
「恐ろしいアンデット。人を食い殺す肉食動物たちに、理不尽な強さを持つ魔物たち。それらすべてを踏み越える力が、君にはあるのか?」
息が苦しくなるほどのプレッシャーがのしかかる。
今まで経験したことのない、怖さが...私の目を射抜き、足を震わせる。
「ゆ、ゆかりちゃん。村長の言うとおりに外は危ないから...」
マキさんが心配してくれている。
分かっている、この村にある外壁の外には安全なんて言葉が一切ない。
生きるか死ぬかの弱肉強食、弱ければ死に...強ければ生きる。
確かにこの村で静かに住むのもいいのかもしれない。けれど、私は
「私は、育った時からこの村に骨を埋めたいと思っています。」
「ほう、なら―――」
「ですが!!」
「冒険の果てに倒れて死ぬというのなら、それは本望!!私は、自分の全てをかけてこの世界を見て回りたいんです!」
「っ...」
「...ゆかりちゃん。」
私の、心からの言葉を...村長にぶつける。
今まで、私を育ててくれて...外の世界がどれだけ危険か分かっている村長が、私を心配してくれている。
うれしいけど、それ以上に私は自分の力で世界を知りたいのだ。
不思議で、壮大で、美しくて、残酷な世界を私は見て、知って、そして誰かに伝えたいのだ。
世界のすばらしさを...そして、
世界の、美しさを。
「ははは、参った参った。そこまで言われたら、儂が折れるしかないのぉ」
「そ、村長!?」
「村長さん?」
「どれ、少しついておいで二人とも。」
村長が立ち上がり、ついてくるように言ってくる。
先ほどまでのプレッシャーは消え去り、いつものようにのほほんとした優しいオーラを放っている。
マキさんと私は頷き、村長の後をついていく。
「いつか、ゆかり君がそういうと思ってずぅっと準備していたものがあるんじゃ。」
「えぇっ!?じゃ、じゃあ今まで反対していたのは!」
「そりゃ、覚悟が見受けられなかったからじゃ...中途半端な思いこそ、冒険にとって最大の敵となるからのぉ。生半可な覚悟程度で愛娘を旅には出せんわい。」
顔を赤くして背ける、その間にもマキちゃんはオドオドとしている。
村長に連れられてついた場所は、村長の家の倉庫だ。
村長がその倉庫の片手でアイアンゴーレムでも苦労しそうなほど重圧な扉を開け、その中に入っていく。
私も、そのあとに続き倉庫に入ると...マキさんも付いて来る。
「えーと、どこにしまったかのぉ。おぉ、あったあった!!」
取り出したのは、黒色でウサギの模様が付いたバックパック。
その両脇には水筒や随分とごついシャベルのようなものが入っている。
「隠れて用意したバックパックに、水筒と軍用シャベルじゃ。中身には医薬品やたいまつセット。寝袋なども入れてあるぞ」
「...これ」
「ああ、ゆかり君のために用意したものじゃ、遠慮なく受け取ればいい。」
「......ありがとう、ございますっ!」
バックを受け取ると中身がかなり入っているせいか、かなり重い。
これが冒険の重みなのだろうか、でも...なんでだかワクワクが止まらない。
「さて、マキ君はどうする?君の相方は冒険の決心がついたようじゃが...」
「わ、私...私は、痛いのとか怖いのは嫌...です。」
「...わかってます、マキさん。だから、無理についてこなくても―――」
「だけど、それ以上に友達が知らない場所で死んじゃうのはもっと嫌だ!!」
涙目だけど、キッとした目で村長を見つめ返す。
手は震えて、よく見れば足ががくがくと震えている。
...私は、なんていい親友を持ったのだろう。
村長も、満足する答えだったのか、優しい目をしてうんうんと頷いている。
「そんなマキ君にほれ...」
マキさんに渡されたのは、私と同じようなバックパック...だけど黄色で赤いギターの模様が刺繍されている。
そして私のバックパックの軍用シャベルの所には一丁のライフルが刺さっていた。
「君は、この村一番の射撃の名手だ。きっとそのライフルも使いこなせると思う。引き金を引くのは怖いかもしれないが、引く引かないは君が決めていいのじゃ。」
「村長...ありがとうございます!」
~~~~~
「ほれ、今日はもう夕方じゃ。早く休んで明日に備えなさい。」
村長に言われて、今が夕方だとようやく二人して理解する。
私とマキさんは、バックパックを背負って急いで自分の家に帰る。
あぁ!明日からの冒険が、楽しみだ!!
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side:sontyou
~~~~~
儂が用意したバックパックを背負い、幼子二人が元気に家路を進む。
その後ろ姿は、かつてわしらが見たもの、そして儂らその物を見ているようで自然と涙が出てしまう。
ただの村人として生を受け、自警団に志願し...村の英雄の為に冒険に繰り出した、あの日々。
美しく、残酷で、また壮大で、不思議なものを英雄と共に見てきた。
だから、彼女たちの旅路がどれほど過酷な物か理解している。
きっと、彼女たちの冒険は儂が経験したものより激しく、恐ろしく、そして常に死と隣り合わせになるだろう。
だから儂は願う、
「どうか、彼女らの旅が、とても良きものとなりますよう。」
空に浮かぶ、【白星流星】に向かって祈りをささげるのであった。
『旅ウサギ』結月ゆかり
本作主人公、幼いころ平原に捨てられていたところをとある冒険者に拾われて最初の村に預けられた。なおいまだ成長期の最中である。
小さいころから好奇心旺盛で、青年期になると冒険をしてみたいという思いに駆られる。
金銀財宝に目がないが、基本的に冒険と未知なるものが大好き。
なお謎解きに対しめっちゃ強い。運動神経抜群、夢は世界一の冒険家。
『臆病な女の子』弦巻マキ
ゆかりちゃんの親友。生まれも育ちも最初の村。
ボンキュッボンの女の子で、成長期はすでに止まっている。
臆病で泣き虫だが、友達思いのイイ女の子。
最初の村の中で随一の射撃能力を持つ。
『英雄の従者』村長(本名 リチャード・ヴィッカード)
御年80歳の超筋肉おじいちゃん、今でも現役バリバリの自警団団長。愛用の武器は、『ネザライトの剣』。かつて最初の村を救った英雄と一緒に世界を旅してまわった経験がある。外見は普通の村人であるが、能力はそこら辺の敵対MOBを(一対一なら)瞬殺できる。
『ゆかりの大切な本』青い髪の少女の冒険(著 フランチェスカ・ライブラリー)
青い髪の少女の冒険が書かれた本。
作者はその少女と共に旅したので、忘れないように書いただけと言っている。
それがどういうわけか、少なくともゆかりのベストセラーになっている。
...ちなみに琴乃葉姉妹の青い方ではないです。
エンダードラゴン
エンダードラゴン。誰かが乗ってた。
少なくとも伝説の生き物。
白星流星
この世界の空に流れている一つの大きな流星。
白い輝きといつまでもそこにとどまっている様子から神聖視されている。
祈りを捧げれば、その祈りを叶えるという力を持つ。
ちなみに流星自体はお昼でも夜でも見えるので割とみんな普通に受け入れている。
そして少なくとも3万年前から観測されているらしい。