Minecraft ~結月ゆかりのマインクラフト人生~   作:ライドウ

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前話で書き忘れましたが、ゆかりさんの持っている棒は成人男性(180cm)1人分の長さがあります。
あと、この世界は忘れそうですがMinecraftの世界です。

Minecraftの世界です。(大切なことなので2度言いました。)


第3話 ~旅ウサギは、人助けをする~

森の中の道をどんどん進む。

進んでも進んでも代わり映えのしない木々が広がっているが、鳥のさえずりや虫の鳴き声、風で木の葉のざわめく音…それだけで、私の冒険心と言う名のドキドキが収まらない。

見たことない景色、感じたことの無い穏やかな森の風。

 

「心地いいですね、マキさん。」

「そうだねー、今のところ危ない事なんてひとつも無いし。」

「キュイー」

 

フードから顔を出しているスノーは眠そうに目を細めている。

マキさんは、目を輝かせて周りの木々を観察している。

そして、気づいたことがあれば足を止めてメモ帳に書き留めている。この旅に期限は無いので、私もそれに付き合いマキさんがよく調べたいと言った時は嫌がらずに手伝っている。

 

「どうですマキさん?なにかわかったことはありますか?」

「うん、この木。うちの村で植林してる木よりどっしりしてるでしょ?」

「…そういえばそうですね、それで?」

「うちの植林場の木は定期的に水やりされてたけど、これは――«ガシャーン!»っ!?」

 

どこからともなく聞こえてきた轟音と共に、私の中の何かが切り替わる。これでも元自警団に所属していたからか【そういった事】の臭いは良く覚えている。

 

「…«スンスンッ »血の臭い、それにゴブリンの腐臭が3つほど……っ!!マキさん、行きましょう!誰かが襲われています!」

「う、うんっ。」

 

マキさんはメモ帳をバックパックに放り込んでライフルを構え、素早くボルトアクションを起こす。

私は棒を強く握り、その音のした方向へと走り出した。

 

~~~~~

 

マキさんにハンドサインで高台の草むらに隠れるように指示する。

そして、バックパックから無線機を取り出して装備する。

 

『ゆ、ゆかりちゃんこっちは狙撃態勢に入れたよ。』

「了解です、射撃目標はこちらで指示します。そのまま待機しててください。」

『わ、わかった。』

 

私は隠れている木から、片目を物陰からだし、横目で確認する。

 

「ちぃ、このゴブリン共が!!」

「ゲゲッ!!ゲゲゲッ!!」

「グガッ!グガガッ!!」

「グギッ!グギギッ!!」

 

青い服の人物が、ロバを庇いながら杖を振ってゴブリンを追い払おうとしている。どうやらガシャーンという音は、ロバが背負っていた荷物が落ちた音のようだ。

そしてゴブリン。真ん中のゴブリンが両隣のゴブリンより少しだけ大きい。だけど、あの3匹以外にゴブリンが見当たらない。

 

『ゆかりちゃん。あのゴブリンもしかして』

「ええ、間違いなく巣から追い出された個体ですね。」

 

ゴブリンの生態として群れを形成するのだが、ゴブリンの群れの中で作られたルールや決まりを破ったゴブリン。もしくは大飯ぐらいで働かないゴブリンが時折追い出されるのだ。だが、そういうゴブリンに限っては凶暴性が強く、追い出されたゴブリンが人を襲うということは珍しくない。

 

「マキさん、真ん中の大きいのをお願いします。私は両隣を。」

『わ、わかった。うん…うんっ。』

 

マキさんの声が震えている。

分かっているとはいえ、初めての命を奪う行為なのだ。

私も自警団で初めての戦闘の時は緊張したし、命を奪った時は罪悪感に埋もれてしまった。だけど、マキさんだってこういうことがよくある事だと理解はしている。ならば、私が言うことはひとつしかない。

 

「マキさん深呼吸して、落ち着いください。マキさんならやれます。」

『……スゥー、ハァー。うん…私、やるよ。』

「はいっ、タイミングはそちらに合わせます。いつでもどうぞ。」

 

棒をギュッと握り、タイミングを待つ。

 

「くそっ、近寄るんじゃねぇッ!!」

「ゲゲゲェッ!!」

 

大きなゴブリンが棍棒を振り上げた途端。

 

« ターン!»

 

遠くで乾いた音が響き、バスッ。という軽い音ともに大柄のゴブリンが吹き飛ばされる。いきなりのことで呆然とするゴブリン2匹に、木の木陰から飛び出し、左の斧を持ったゴブリンの首めがけ棒を突き出す。

 

「グケッ…」« ボキッ»

 

棒から伝わる感触で、首を折って絶命させたのが分かる。

そのため、すぐさま体勢を建て直し、まだボケーッとしているゴブリンの頭目掛けて棒を横に振る。

 

「ギャッ!?」« ビギッ(頭蓋骨の折れる音)»

 

棒から伝わる感触から、頭蓋骨を骨折させた。

そして、そのゴブリンは叩かれた後に私に気づき、ナイフを構えるが。

 

「ガゲッ…ゴポゴポ…」

 

脳に伝わった振動で脳が傷ついて、ダメージがあったのだろう...やがて泡を吹いて倒れてしまう。

終わってしまえば呆気なかったが反省すべき点は多かった。

次からこういう状況にあった時は、気をつけようと気持ちを切り替えて通信機を手に取る。

 

「状況終了です。お疲れ様ですマキさん」

『ふ、ふぅー…す、すぐにそっちに行くよ。』

「はい、お待ちしてます。さて、大丈夫ですか?」

 

通信機をしまい、ポカーンとしている人に話しかける。

私に声をかけられて、ようやくハッと意識を取り戻した。

 

「あ、あぁ…ありがとう、助かった。」

「怪我は、そちらのロバだけですか?」

「ああ、タルガだけだな。くっそ、前足に矢が刺さってやがるのか。おおっ!?う、動くなタルガ!怪我が悪化するぞ!!」

 

立ち上がって無事だということを伝えたいのか、立ち上がろうとしているが、男性がそれを制止し大人しくさせている。

見た限りでは矢は頭蓋骨を折った方のゴブリンが放ったようだ。

そのゴブリンをちらりと見てみると、ショートボウのような小さな弓が腰あたりに携行されている。

 

「ごめんおまたせって、酷い怪我!?」

 

マキさんが合流するなりそのロバ…タルガくんに駆け寄り、怪我の箇所を観察し始めた。

タルガくんの飼い主である男性が目を丸くしながら私を見る。

 

「彼女、動物好きで医者の卵なんです。」

「そうなのか?正直ありがたい…それで、タルガはどうなんだ?治るのか?」

「矢が刺さってるけど、脈とか神経には傷がついてない。だけど、筋肉に刺さってるから動けないってだけだね。ごめんね、ちょっと痛いよ。」

 

マキさんがバックパックを下ろしてからタルガくんに刺さった矢を抜くと、タルガくんは苦しそうに鳴くがマキさんが気にせずに一気に抜き取り処置を始める。

きっと最初から持ってきていたであろう塗り薬を取り出し、傷口に丁寧に塗り広げる。ある程度塗り終わるとバックパックから包帯とテープを取り出し素早く巻き付ける。

 

「鮮やかな手際だ。俺の知り合いの獣医より早いぞ。」

「あはは、私はこれぐらいしか取り柄がないですから…はい、これで大丈夫です。タルガくんを動かさなければ3週間位で治りますよ。」

「それはありがたい。ありがたいんだが、そうか…」

 

男性が諦めたように目を伏せる。

そう、ここは森の中でいつ襲われるか分からない外の世界だ。

3週間もとなると…タルガくんもそれがわかっているのか、力なく鳴き声をならす。

 

「…この私に任せてください!」

 

そんな姿を見て見捨てるほど、私はできていなかった。

 

~~~~~

 

「よいしょっ、えいやっ」

 

軍用シャベルを斧モードにして、木をきこる。

村の植林場の木とは違い、少しだけ硬かったがすごい音を立てて倒れる。

 

「よし、ここから〜…」

 

倒れた原木をある程度持ち運びやすいようにブロック状に加工し、一つだけ手に取り木材に変える。

 

「あんた、クラフターだったんかい?」

 

男性が目を丸くして、私を見る。

クラフターと言うのはあちこちのおとぎ話に出てくる伝説の存在で、自分の好きなように世界を創造することができたと言われている。

 

「いえ、私は多分違うと思います。クラフターならもっと早いですよ?」

「…それもそうか、でもあんたも手際が良いじゃないか。」

「ありがとうございます。」

 

笑顔で、その男性と会話し作業を続ける。

木材を組み合わせ、組み立てることで作業台を作り上げる。

作業台と言っても私のは、クラフターの作業台とはかなり作りが違い、工具を置くために作ったので厳密には工具置きの方が正しい。

 

「よし、ここから…」

 

私が作ろうとしているのは、タルガくんに合わせた荷馬車だ。

タルガくんがどれだけ重いかは分からないが、とりあえずラージチェストが2つ詰める程度には頑丈に作るつもりだ。

マキさんには男性から受け取った地図から近くの村へと先に向かってもらい、馬を借りてくるように伝えてある。

積んだ原木を手に取りある程度木材にする。そして、バックパックから工具セットを取り出し、トンテンカンと作業を始める。

荷馬車の作り方は村でよく作ったので良く覚えていたため、手際良くスムーズに出来上がった。*1

その荷馬車に男性と協力しタルガくんを乗せると、ちょうどよくマキさんが戻ってきた。

 

「おーい、ゆかりちゃーん!!」

「マキさー...ん!?」

 

手を振るマキさんの後ろには、ぞろぞろと武器を持った人たちが続いている。

どうやら馬だけではなく、その村の自警団?すら連れてきてしまったようだ。

 

「...すげーな、アンタもそうだが...あの嬢ちゃん。」

「ま、まあ...私の親友ですから」

 

その後、私とマキさんはその男性と一緒に近くの村...私たちの村とは違う村にたどり着き、その日の夜は泊めてもらえることになった。

 

 

*1
イメージとして、かなり大型のボートに車輪と牽引用のロープがある形だと、大体わかる。




『旅ウサギ』結月ゆかり
クラフターのように手際がいいが、クラフターではない。
あくまで作れるのは自分が作り方を知っているものまでで、荷馬車ぐらいは結構早く作れる。
そして嗅覚が犬並みに良いのが本人の自慢。

『実はすごい子』弦巻マキ
実は300m離れた位置から、オープンサイトで大きなゴブリンの眉間を打ちぬいた。
その後、ロバの怪我を治したり夕方になるまでに地図だけで一番近い村にたどり着いたり、どの村の自警団を引き連れて戻ったりと色々と活躍している。
クラフターではない。

青い服の男性
ゴブリンに襲われていた30代の男。既婚者。
筋肉質で、転ぶと「うぉ」といううめき声を発する。
相棒のロバとは長いこと一緒に旅をしている。

タルガ(♂)
青い服の男性の相棒(ロバ)。
これでも長い間生きていて様々な経験をした。
今まで怪我無しの名ロバだったが、今回のせいで怪我歴ありになってしまった。
弓を当てたゴブリンを地獄に行っても蹴り殺す勢いで怒り心頭である。

ぞろぞろと続いてきた武装集団
マキが貰った地図に書いてあった村の自警団。ゆかりたちの村の自警団と比べると装備と規模が心許ない。
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