Minecraft ~結月ゆかりのマインクラフト人生~ 作:ライドウ
ゆかりんもマキマキも未成年ですのでお酒は飲みません。
あと、そういうのって危ないのでは?と思う描写がありますが...
ゆかりんの実力はヤバいので大丈夫です。
追記
今のところほぼMinecraft要素は無いですが次話から頑張って出します。
「遺跡、ですか?」
案内された村の小さな酒場で、その村の狩人さんからそんな話を聞いている。
彼はかなりお酒を飲んでいたようで、顔が随分と赤く有益な情報を次々と語ってくれる。
「ああそうよ!偶然見つけたんだがなぁ、ありゃ結構でっけぇ遺跡だったぜ?ヒック...」
そう言いながら、お酒の入ったジョッキを傾けるその狩人さん。
この村周辺の情報をかなりわかりやすく教えてくれるので、本当にいい人なんだろ。
私が一番知りたい遺跡の情報まで持っているのだ。この村周辺なら何でも知っているのだろう。
彼が持っている情報を聞き出すために、空いた彼のジョッキにもう一杯お酒を注ぐ。
「がっはっは、嬢ちゃんみたいな美人に酒を飲ませてもらえるたぁ、俺も幸せもんだなぁッ!!」
「おう、グロンツのジジイ!ホラ話で嬢ちゃん釣るんじゃねぇよ!!ジジイだけ随分といい気分じゃねぇか!!」
「んだとテメェっ!!この地図が目に入らねぇのか!?ホラ話なんざしてねぇさ!!」
「くっそぉっ!」
彼の知り合いであろう男が、ジョッキを傾けながら泣き叫んで離れてゆく。
実のところを言うと、こういう騒がしいところは嫌いではない。
むしろ元の村ではよく、私の村の村長に内緒で入り浸っていたこともあったし、バイトもしていたことがある。
...そして、景気よく地図を見せびらかすグロンツさん。
「グロンツさん」
「なんでぇ、嬢ちゃんおおッと、この地図は俺の秘蔵の宝でなぁ...いくら嬢ちゃんでも―――」
「マスター!グロンツさんにこの酒場で一番高いお酒を!!」
「これは嬢ちゃんの地図だ!!もってけぇッ!!」
酒場のマスターにエメラルドを投げ渡すと、爆速で高級そうなお酒の瓶が運び込まれ、周りの村人たちは驚いた顔のままグランツさんに視線を一点集中させていた。
そりゃそうだ、自惚れではないが私はそれなりに美人である自覚がある、そんな私からこの酒場で一番高いお酒をおごりで飲めるのだ、それに加えて
「どーぞどーぞ」
「いいねぇ、うまい酒に綺麗な美人!!これだけでも最高だぁッ!!」
盛大に高笑いし、満杯になったジョッキを天井へと掲げ...
「今夜の素敵な出会いに乾杯ってなぁっ!!がっはっは!!」
グロンツさんがグイッと一気飲みすると、満足そうにジョッキをダン!とテーブルに置く。
そして、いまだに硬直している村人たちに向かって
「美人におごってもらう高い酒はうまい!!」
盛大に煽り始めた。
「テメェの血の色は何色だぁッ!!」
「ジジイ、テメェだけずりぃぞ!!」
「畜生!悔しいぞ畜生!!」
「覚えてろよこのクソジジイ!!あぁー!!!」
酒場が阿鼻叫喚の地獄となり、グランツさんの満足そうな高笑いだけが響く。
だけどここは酒場、やがて元の喧噪へと戻りグランツさんのお酒を飲むペースも落ち着いてきた。
「なあ嬢ちゃんよ。」
やがて、グランツさんがジョッキを片手に私を見つつ、話しかけてくる。
「嬢ちゃんは、なんで旅を始めたんだ?」
「旅...ですか。」
「ああ、俺も先立たれちまったがかつては嫁と娘がいたからな。気になっちまったんだ。」
そう言って、ホレ証拠だ。と言って左手の手袋を外して薬指にある指輪を見せてくれる。
その指輪を見るグロンツさんの目は、懐かしいものを見ていて...とても悲しそうな目をしていた。
「...聞いても?」
「......あぁ、ゾンビさ。なんてことはねぇ一般的なよくある悲劇さ。んで......俺が
懐かしむように、椅子の背もたれに体重を天井を見上げるグロンツさん。
彼の表情は、泣きそうだが...どこか晴れ晴れとしているものだ。
「...それで、介錯した日から俺は村を守る狩人になることにした。今は凄腕だが、最初は手探りさ。何回も失敗して、何百回繰り返して...今、この村がある。俺にとっちゃこの村の住人全員が俺の娘、息子みたいなもんさ。そして...俺を残して、俺より年上や同い年は村長以外みーんな、先立ちやがった。」
確かに、グロンツさんの外見では村長に次いで一番更けている。しかし、この村にいる全員はまだ20歳に言ってるかどうかの若さである。しかも、グロンツさんは生命エネルギーが見えなくともわかるぐらいにあふれ出している。あと4,50年は生きてそうである。
「俺の話なんざ、酒のつまみになりゃしねぇよ。んで?嬢ちゃんはなんで旅に出たんだ?」
「そうですね、私...育ての親の話では、捨て子らしいんです。」
「よくある話だな」
「ええ、私の話も、一般的なよくある悲劇ってやつです。ですけど、悲劇はそれだけです。」
育ててくれた老夫婦の話では、私は物心つく前から好奇心旺盛で、知らないことがあるとよく笑ったそうです。
物心がついた後でも、勉強熱心で何か新しいものを見つけると嬉しそうに教えてくれたそうで...私は覚えていないんですけどね。...笑わないでくださいよ、これでも結構恥ずかしいんです。
それで、ある時から村の外...村を守ってくれる壁のその外を知りたいと思ったんです。
「なるほどな、つまり...嬢ちゃんは生まれながらの冒険家ってわけだ。俺の娘は口は悪いが、いつか旅に出たいと馬鹿みたいに騒いでたぜ...生きてりゃぁ、嬢ちゃんと同い年...か。」
「案外、私の仲間として連れて行っちゃうかもしれませんよ?」
「がっはっはっ、そりゃぁいいや!!嬢ちゃんになら安心して任せられたわ!!」
大笑いするグロンツさんだが、目から涙がぽろぽろと流れ出す。
「あぁ、クソッ。わりぃな嬢ちゃん、男の涙なんざ気持ちわりぃだろうに。」
そんなグロンツさんを見て、周りの村人たちがすぐさま集まりだす。
「別にいいじゃねぇかグロンツ爺。アンタこういう時しか泣かねぇだろ。」
「そうそう、グロンツ爺はもっと自分をいたわりやがれってんだ。」
「ジジイだけじゃなく、俺たちだっているんだぜ?たまには休みやがれよ。」
「だーっ!!こういう時だけ調子乗りやがってクソガキどもが!!散りやがれ!!」
大声を出しながら、手をグーにして立ち上がるグロンツさん。
集まっていた村人たちが一斉に散りだす。
「うわー!ジジイがキレたぞ!!マスター会計ここに置いとくぞ!!」
「逃げろ逃げろぉ!拳骨食らわせられちまう!!俺もだ、釣りはいらねぇッ!!」
「ジジイやっぱり泣いとけよ!!鬼の目にも涙だ!!つけといてくれマスター!!」
グロンツさんたちの楽しそうな会話を聞いて、思わずクスリと笑顔が出てしまう。
まったくクソガキどもが。という言葉と共に椅子に音を立てて座る。
「悪いな、騒がしいガキどもだろ?」
「ええ、大きい子供ですね。」
「がっはっはっ、ちげぇねぇや!!」
再び、高いお酒の入ったジョッキを傾けるグロンツさん。
ダン!と机にジョッキを置き、私の目をまっすぐと見つめ始める。
「お節介ついでに、いいことを教えておいてやる。もし、身近で大切なやつに危険が迫ってんなら...頭で考えるな、身体で動け。怪我させてもいいからそいつを助けてやれ、怪我程度なら治るが...死は永遠の別れになる。俺はもう見たくねぇんだよ、
言葉がとても重く、彼の発する怒りがそのままオーラとなってビリビリと肌に伝う。
つい熱くなってしまったのが恥ずかしいのか、被ってるハンチング帽を深くかぶり視線を外す。
「ほらもう宿に帰った帰った。明日も早いんだろ?だったら寝な。」
耳まで赤くしながら、そういうグロンツさんの言葉に促されるまま私は席を立ち酒場の入口へと向かう。
扉を開ける前にグロンツさんへと振り返り
「お話、ありがとうございます。私も嫌いですよ、
「がっはっはっ、嬢ちゃんもか!やっぱりな!!じゃあゆっくり寝ろよ!!よき旅を!!」
「...ありがとうございます」
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side:Gurontu
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パタン。
静かに酒場のドアが閉まり、酒場には俺とマスターしかいなくなる。
一瞬、あの嬢ちゃんの隣にでかくなった娘の影が見えたが...あぁ、そういう光景が見たかった。
「珍しいですね、グロンツ。」
グラスを吹くマスター...というか、村長が俺に語り掛けてくる。
「何がだよ。」
「貴方があの事で感情的になるなんて」
「高い酒を飲んで、酔ってるだけだ。」
「よく言いますよ、貴方どれだけ飲んでも酔わないでしょうに」
「うるせぇ、場酔いだ場酔い。」
そう吐き捨てて、もう一度ジョッキを傾ける。
嬢ちゃんにおごってもらった酒が、やけに美味く感じる。
「村長もいっぱいどうだい?あの嬢ちゃんの酒だぜ?」
「...いただきましょう。」
嬢ちゃんにおごってもらった酒を、村長と二人で分け合う。
俺にそそいだ一杯が最後らしく、瓶からは酒の水滴しか出てこない。
俺とマスターはそれぞれグラスとジョッキを持ち
「嬢ちゃんの旅路に祝福あれ!!」「お嬢さんの旅路に祝福あれ」
嬢ちゃんの旅路が良いものになるように、再び乾杯の音頭をとるのであった。
『旅ウサギ』結月ゆかり
話を聞けて、何か得たものがあった。
一般的なよくある悲劇は大嫌いで、目の前で起きようものなら自分を捨ててでも助けようとする。
『寝る子は育つ』弦巻マキ
夢の中で白くてフワフワの子犬と遊んでいる。
『老いぼれ狩人』グロンツ
その昔、とある国で大きな獣が現れたときに弓で挑もうとし「弓で山のような獣に挑もうなどと」と貴族に笑われたが、精確無慈悲な命中率で黙らせたどころか土下座させたことのある伝説の狩人。出身は王国だが、結婚したときに今の村に引っ越した。豪快な性格だが、仕事に関しては細かい。実はストレスで老けてるだけだったりする。
『詐欺外見』マスター兼村長
見た目が20代のすらっとした上半身逆三角形の眼鏡をかけた黒髪イケメンだが、アンチエイジングで若返ってるだけのゴリッゴリのジジイ(80歳)。ちなみに200歳まで生きる予定らしい。