Minecraft ~結月ゆかりのマインクラフト人生~ 作:ライドウ
私の目線は、机の上に置いてある
「それは、あの子の友達が残したタブレットだ」
...それなら、私に見せるのではなく。あかりさんに見せるのが正解なのではないだろうか。
そんなことを考えながら、機械の狼である彼を見ても、彼は何も反応しない。
「...軽い、裏側は随分と可愛いシールとか貼ってありますね。」
「キュッキュッ、メルヘンチックキューイ!」
「それはそうだ、それはあかりの親友の私物だ。彼女は、自分のものを託してまであかりを生かすことを選択した。」
「その彼女の最期はどうでしたか?」
「出血死だったさ。魔物に攻撃され、じわじわと死んでいった......ごめんね、ごめんねと泣きながら。」
「キューイ…」
あかりさんの親友の死を悼みながら、そのタブレットに触れる。
すると、画面が光り...あかりさんともう一人の少女の仲良しな写真と『パスワードを入力してください』の文字、そして並べられた数字が表示される。
「その画面の黒髪の方だ。名前は、
彼の言われたとおりに、パスワードを入力すると...タブレットの画面が変わる。
そこに大量に残されていたのは、一つの手紙とたくさんの情報。クラフターであるあかりさんにしか分からないだろうが...『どこがどうしてどうなった。』という要点がしっかりとまとめられていた。
私は、手紙をタップしてみる。
『あかり か あかりを起こしてくれた人 へ
まずは、あかりを起こしてくれた人へ。
あかりを、私の大好きな人を起こしてくれてありがとうございます。
きっと、この文章は何万年後って言う時代を越えて読まれていると思う。
けれど、いくら時代が変わろうが私は人の善意というものを信じています。
だからどうか、どうかあかりを守ってあげてください。
あかりは、頭がよくて優しくて、友達思いでとっても寂しがり屋です。
それとあかりには嫌われるかもしれませんが、真実を話してあげてください。
あの子は、起こされた時代を生きていかないといけない。いつまでも終わった過去にとらわれないように。
そして、あかりへ。
約束、まもれなくってごめん。
あのアイスクリームの味ももう思い出せないけど、あなたの笑顔だけは覚えてる。
それに、もし私が死んだとしても安心して、私はいつまでもあなたの心の中にいる。
辛くなったり苦しくなったときは、私を思い出してほしい。頑張って応援してる姿が目に浮かぶと思うから。
だから、だから生きてほしい。起こされた時代で、諦めずに前を向いてほしい。
そしてどんなことがあっても、死んじゃだめだよ!死んだら私がひっぱたくから!
...やっぱり、あかりをひっぱたきたくなんてないから、頑張って生きて!!
byあなたが大好きだった幼馴染 江西 ツムグより』
タブレットをそっと机の上に戻し...近くの壁に向かって思いっきり拳を打ち付ける。
機械の狼の彼は、私の心情を理解してか...何も言ってこない。悔しかった...たらればの話とかじゃなく、ただ...悔しかった。何よりも、あの子に何もできないという悔しさが心に深く闇を燻らせる。
「あの子は...あの子はどうして眠りについたのですか?」
「...あの子が選ばれたのは、ほんの偶然だった。この研究所は、クラフター同士の地獄の戦争...【決戦】の僅かな生き残りたちが集まり、身を寄せ合って生きていた。しかし、このままではクラフター全員が滅びるのは時間の問題だった。食料は生産できず消費する日々、生き残るための資源もすべて無く、収拾するための気力も、力も、何もかもが残っていなかった。」
「そんな中、クラフターを残すために...誰かを眠らせることが決まった?」
「...ああ、選ばれたのはあかりだった。私は反対したさ、あかりの性格を誰よりも知っていたからな。だが、その時言われたのだ、『だとすれば、彼女が選ばれたのは運命だった』と...その言葉を聞いて理解したよ。この研究所で身を寄せ合ったすべての階級のクラフターはもう生きる気などないとね。」
「だけど、あかりさんは諦めなかった?」
「...それも、選ばれた理由の一つだ。だからこそ、あの時のクラフターたちは、眠りについたあかりを静かにあの装置に入れ...コールドスリープさせたのだ。」
「本人の許可もなしにですか!?」
「キュイ!?」
「それしか方法がなかった。と言えば、どれだけ気が楽だったか。違う、彼女は『諦めていなかったから』その方法で眠らされたのだ、6354万2456年と243日16時間34分もの時を!!」
彼は、激情に任せて瓦礫に噛みつき、そのまま粉々に砕く。
ずっと見てきたのであろう、あかりさんを眠らせたクラフターの人々を、この遺跡を、この場所を。
「
ダン!と床を強く踏む彼の姿は、泣いていたのである。
無論、彼は機械の体だ...泣くことは一切できない、しかし...彼は泣いているのである。
彼の気迫が、彼の思いが...私に悲しみの感情をぶつけているのだ。
「どうして...どうして、こんなことになった。なぜあかりが、悲しまなければならないっ!なぜあかりが苦しまなければならない!!あの子には、あの人には普通の生活が一番だったんだぞ!?」
「......それを、私に問いますか?」
「ああ、問うさ!!彼女を起こしたのは貴様だ!!」
「ならば私はこう答えましょう。彼らは、あかりさんという星の灯りに導かれ、絆を紡ぎ、彼女に托した。ただそれだけの事です。貴方は、それを一番理解しているはずです。」
彼は私の言葉を受けて、停止する。
そして、やがて力無く座り込んでしまう。
「あぁ......あぁっ。わかっていたさ、あかりは...そういう子だ。常に諦めずに前を向いて社交的で、誰かを照らして導く...だから、だからっ。」
「キューイ」
おそらく、彼女に托したクラフターたちだって、生きたかったのだろう。
はるか昔の話で、もう確認する方法すらないが...彼らだって死ぬのは嫌だったはずだ。
だけど、あかりさんにすべてを託した。自分が死のうと、きっとあかりさんが希望を成してくれるはずだから。そう思い、死んでいったのだろう。
彼の泣き声と思わしき声だけが...この質素な部屋で響き、スノー君が優しく慰める、が...
≪ズドンッ!!
「っ、今のは!?」
「キュ!?」
「ちぃっ、奴め。この場所に気づいたか!!」
泣いていた彼だが、即座に立ち上がり
「来い!力を貸してくれ!!」
まっすぐと、私見る。
私は、何も言わずにバックを置き愛用の棒を取り出し走り出した。
~~~~~
「教えてください、奴とは」
「巨大な死体だ!ゾンビの姿だが、俺は『ジャイアント』って呼んでる!!」
「...ええ、確かに。この臭いはアンデット...っ!?」
私と彼は思わず足を止め、即座に臨戦態勢に入る。
そこには、大量のゾンビとスケルトンの群れがひしめき合い、ただでさえ狭い道がさらに狭く、息苦しく感じる程度にはそこにいる。
「っ!?なんなんだこの数は、なぜこんなに!?今までは、奴単騎だったというのに!」
「まさか、あかりさんの生命エネルギーを感じ取って...」
「...なるほど、一理ある。だが、この数は想定外だ。」
身体を低くし、いつでも飛び掛かれるように体制を整える彼、そして棒を構えてゾンビの大軍を一つ一つ見定める。
幸い、あの画面で見た女の子が混ざっているわけではないようだ。
「一つ、確認します。あの中に、貴方の知り合いはいますか?」
「......いいや、いない。なぜそんなことを?」
「...なら、遠慮なしに暴れられます。でしょ?スノー君」
「キュイ」
『旅ウサギ』結月ゆかり
ストレスマックスなのでストレスを解消しようとイラ立っている。
『生物兵器』スノー。
次回、ついに秘められた力が解放される。
『機械の狼』???
ゆかりの気迫が突然切り替わったことに驚いている。
『最後のクラフター』紲星あかり
パンを食べながら落ち着いている
弦巻マキ
ゆかりに隠れて買ったパンをあかりちゃんに分け与えている。
ちなみにシュガーブレッドである。