蒼谷は意識が戻った後、逃げるように人で溢れ帰っている街の中を走り抜けていた…。
「(俺はなんてことをしたんだ!…いくら暴走したとしても嚠師の皆に怪我を…ましてや桜に刃を向けるなんて……俺は…俺はッ!)」
蒼谷は様々な感情が入り雑じった心を無理矢理押し込み、冷静になった頭脳でこのあとの
「もう、ここへは戻ってこないにしよう…。桜達の目の前からいなくなった方があいつ等のためになる…。」
蒼谷はそういうと、この街の外へ行くために方向を変えて、また走り出した…
------20分後------
蒼谷は能力が暴走しないように気を付けながらほんの少しだけ能力を使用し、走るスピードを上げたため通常では2時間かかるところを、たったの20分で走りきった。
「ハァ..ハァ..ハァ…ちょっと疲れたな…。この街とはもうお別れ…か…。休憩も兼ねて最後に見ておくか…。」
この街を出るには二つの方法がある。1つは船で海を渡る。もう1つは山を越える、である。
蒼谷は後者の方を取った。何故なら船で海を渡るにはどうしても身分証がなければならない。その為、係員にばれてしまう。
しかし、山を越えるのは獣道を通れば誰にも知られずにこの街から出られる。蒼谷はそれを狙ってここに来た。
「…にしても、ここはまだ残ってたんだな…。」
今、蒼谷が休んでいるのは小学生時代、桜と蒼谷がよく遊んだ山の中にひっそりとある公園だ。この公園はまったく人が来ず、来るとすれば清掃員ぐらいなものだった。が、中学に上がると蒼谷と桜は部活で忙しくなり、この場所に来れなくなってしまったのでそれ以来この場所には来ていなかったのだ。
「ちっと体がダルいな…少し寝るか。」
蒼谷はそういうと近くにあった木のベンチに横になり、目を綴じた…。
「……ん…」
蒼谷は肌寒さを感じ、目を覚ました。
「ふぁぁ………ん?夜か…寝過ぎたな。」
蒼谷が目を綴じたのは昼頃。
そして今は夜の7時。単純計算上、6時間以上寝たことになる。
能力の暴走で思った以上に疲れてたのか…と頭のなかで仮説を立て後、上半身
だけを起こすと…
「…こんなにこの街って綺麗だったけ?」
そこには綺麗な夜景が広がっていた。
この街にはそこまで高いビルはない。そのお陰で少し高い高台でも街全体をみわたすことができるのでこの山からも見ることができる。
そして、空には満天の星空が広がっていた。
「………………」
蒼谷はまた横になり、綺麗な星空を見ることにした。
「…桜……。」
蒼谷が唯一愛した幼馴染みであり、そして恋人の桜へ刃を向けたことに対して再び自分を責めていると…
「…たく、何してんだよ。お前は。」
いきなり蒼谷より少し背が高い男が現れた。
蒼谷は一瞬、構えるがその顔を見ると直ぐにやめ、こう言った…
「に、兄さん!?」
「や。久し振りだな!弟よ!」
なんと現れたのは蒼谷のお兄さんであった。
続く……
なんとお兄さんが登場!