葎凛抄『シロツメクサの甲子園』   作:風早 海月

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皆様、大変長らくお待たせ致しました!
執筆活動に支障のあるやる気の低下が治まりましたので、これからビシバシやってまいります!

…うーん、やっぱり暑い時期は筆が進まないのですね。きっと!




第4話

 

 

 

 

 

英詠の打撃は群を抜いている。それこそ、ただの1度も三振を見たことがないとクラブチームのコーチにまで言われる始末である。

それでいて長打力も備えているという、相手チームからすれば厄介極まりない存在が英詠という打者である。

 

「むぅ…」

「唸り始めてもう3時間経つけど、まだ決まらないの?」

「うん。英詠ちゃんの起用方法がね…」

 

芳乃は打順に意味を持たせるタイプ。いわゆる統計学的な数値に基づいて打順を決めるのではなく、戦術上の話で打順を決めている。

 

例えば、1番打者に求める能力と2番打者に求める能力とでは違うのはもちろん、他のチームから見た打順への意識を利用したりと、様々なことを考えてラインナップが構成されていく。

 

その中で、英詠の能力はとても扱いづらいものの、無視できない飛び抜けた能力である。

 

「野球の主導権を握るカギは守備だからね…そこに穴があるのはねぇ…」

 

野球というゲームは、攻撃側がボールに干渉できるのがバットによるインパクト時のみである。ボールを持つのは基本的に守備側のみ。そういう意味では守備からリズムを作るのは間違ってはいない。

打撃なんて、プロでも3割打てれば好打者。7割は失敗しているのだから。

 

「やっぱり代打の神様…でもうちのチームじゃ交代後の守備固めにさらに交代はできないし…ヨミちゃんには内野練習追加しないとダメかな」

 

チームの人数は僅かに11人。僅かな采配で選手層の薄さを露呈してしまう。

 

「あとは投手だよね…先発が二枚看板なのは助かるけど…リリーフで安定感のある投手も欲しいし…」

「そんなのうちの学校にいるわけないわよ…」

「……息吹ちゃん。投げてみない?」

「あんたねぇ…一朝一夕でどうにかなるなら投手なんて掃いて捨てるほど―――」

「息吹ちゃんなら出来ると踏んでるんだよ」

「―――ッ」

 

息吹は、芳乃の姉として共にいる時間が長いだけあって、芳乃の観察眼がずば抜けていることは知っていた。だからこそ、その言葉に驚いた。

 

「確かに、イニングイーターとしての才能はないと思う。でも、リリーフエース…成長すれば守護神とかセットアッパーだって夢じゃないと思う」

「でも、それでも夏大には間に合わないんじゃないかしら?」

「…まぁヨミちゃんクラスになるにはまだまだかかるけど…でも、リリーフとしては使いたいかな」

「しょうがないわね…投手用のメニュー作りなさいよ」

「うん!」

 

だが、芳乃の悩みがなくなったわけではない。

だからこそ…必要なことはまだまだたくさんあった。

 

「先発も3番手が欲しいなぁ…」

 

果たして、1番手…エースは誰の背に託されるのか。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

「引き継ぎが遅れましてすみません。顧問の藤井です。皆さん自主的に練習されていて偉いです!」

 

藤井杏夏。家庭科教諭。

そして、野球部の顧問となった教師である。

 

 

「どうやら全国を目指しているらしいですね。そこで、1週間後に試合を組みました」

「試合!?やった!」

「どこまでやれるか見せてくださいね」

 

英詠はグラブの下の手が疼くのを感じた。

 

 

 

 






復帰記念に、できる限り毎日更新します!
代わりに少し短めにします!
毎日更新を終了後は三千文字前後に戻したいと思います。
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