葎凛抄『シロツメクサの甲子園』   作:風早 海月

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第5話

 

 

 

 

練習試合の日。光は受けとった練習試合用のユニフォームの背に縫い付けられた番号を見た。

 

「1番…エースか」

 

草野球じゃあそもそも背番号なんてなかったし、クラブチームではエースなんて夢のまた夢。敗戦処理やセットアッパーとしての起用がメインだった。

夢に見た高校野球の1番ゼッケン。光は本当にその座を手に入れていた。

 

「…ありがとう、英詠ちゃん」

 

そっと呟く。

 

「でも、まだまだ終わりじゃないよね。英詠ちゃん、約束したもんね。私を甲子園に連れてってくれるって言ってたもんね。私も…!」

 

パンっと気合を入れて、光は部室へ向かって行った。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

「柳川大附属川越高校、通称柳大川越。以前は弱小だったけど、去年の夏は1年生エースの朝倉さんを中心に1・2年生主体のメンバーで県ベスト16、秋大会はベスト8!今年イチオシのチームだよ!」

「試合、よく受けてくれたわね…」

「まぁ、こっちにはクラブチームで活躍してた選手もいるからね…とはいえ、先生の人脈も凄いかも…」

 

柳大川越の守備練習。ノックは乱れなく、守備の厚いチームだ。

 

「おぉっ!」

「左のサイドスローか」

「カッコイイ!あの人が朝倉さん?」

「違うよ。あの人は大野さんだよ」

 

大野彩優美…柳大川越のエースナンバーを背負う選手。

 

「朝倉さんは怪我かなぁ。最近見ないね。代わりに春は大野さんが投げてるよ。28イニングを5失点!防御率で言えば1.25だね!ベスト16で惜敗してるけど、今のエースは大野さんと言っても過言じゃない!実際1番付けてるしね。サインくれるかなぁ…」

1番(エース)か…」

 

詠深が自分の背番号…11(ダブルエース)を振り返る。

 

「これが大会での番号とは限らないからね!どんどんアピールしてね!」

(それでも、現時点で私よりも…)

 

詠深の内心はメラメラとエースを奪った光をロックオン。芳乃は『先発二枚看板育成計画』が着実に進んでいることに安堵する。

 

 

 

「さぁお待ちかね!ラインナップを発表するよ!」

「待ってました!」

 

1 中村希(一)

2 藤田菫(二)

3 山崎珠姫(捕)

4 岡田怜(中)

5 藤原理沙(三)

6 川崎稜(遊)

7 川口息吹(左)

8 大村白菊(右)

9 川原光(投)

 

 

詠深と英詠が控えである。

 

「ヨミちゃんは何も無ければ最終回、登板予定だからね!」

「むぅ…リリーフか…」

抑え(クローザー)としても期待してるからね!」

「クローザー…なんかカッコイイ!」

「英詠ちゃんは代打の切り札だから、いつでも出れるようにお願いね!終盤のチャンスなら上位や中軸でも代打出すからね!」

「うん、任せなさい」

 

芳乃はチラッと息吹を見る。だが、それは一瞬で、誰も気づかなかった。

 

 

 

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