練習試合の日。光は受けとった練習試合用のユニフォームの背に縫い付けられた番号を見た。
「1番…エースか」
草野球じゃあそもそも背番号なんてなかったし、クラブチームではエースなんて夢のまた夢。敗戦処理やセットアッパーとしての起用がメインだった。
夢に見た高校野球の1番ゼッケン。光は本当にその座を手に入れていた。
「…ありがとう、英詠ちゃん」
そっと呟く。
「でも、まだまだ終わりじゃないよね。英詠ちゃん、約束したもんね。私を甲子園に連れてってくれるって言ってたもんね。私も…!」
パンっと気合を入れて、光は部室へ向かって行った。
☆☆☆☆☆
「柳川大附属川越高校、通称柳大川越。以前は弱小だったけど、去年の夏は1年生エースの朝倉さんを中心に1・2年生主体のメンバーで県ベスト16、秋大会はベスト8!今年イチオシのチームだよ!」
「試合、よく受けてくれたわね…」
「まぁ、こっちにはクラブチームで活躍してた選手もいるからね…とはいえ、先生の人脈も凄いかも…」
柳大川越の守備練習。ノックは乱れなく、守備の厚いチームだ。
「おぉっ!」
「左のサイドスローか」
「カッコイイ!あの人が朝倉さん?」
「違うよ。あの人は大野さんだよ」
大野彩優美…柳大川越のエースナンバーを背負う選手。
「朝倉さんは怪我かなぁ。最近見ないね。代わりに春は大野さんが投げてるよ。28イニングを5失点!防御率で言えば1.25だね!ベスト16で惜敗してるけど、今のエースは大野さんと言っても過言じゃない!実際1番付けてるしね。サインくれるかなぁ…」
「
詠深が自分の背番号…
「これが大会での番号とは限らないからね!どんどんアピールしてね!」
(それでも、現時点で私よりも…)
詠深の内心はメラメラとエースを奪った光をロックオン。芳乃は『先発二枚看板育成計画』が着実に進んでいることに安堵する。
「さぁお待ちかね!ラインナップを発表するよ!」
「待ってました!」
1 中村希(一)
2 藤田菫(二)
3 山崎珠姫(捕)
4 岡田怜(中)
5 藤原理沙(三)
6 川崎稜(遊)
7 川口息吹(左)
8 大村白菊(右)
9 川原光(投)
詠深と英詠が控えである。
「ヨミちゃんは何も無ければ最終回、登板予定だからね!」
「むぅ…リリーフか…」
「
「クローザー…なんかカッコイイ!」
「英詠ちゃんは代打の切り札だから、いつでも出れるようにお願いね!終盤のチャンスなら上位や中軸でも代打出すからね!」
「うん、任せなさい」
芳乃はチラッと息吹を見る。だが、それは一瞬で、誰も気づかなかった。