葎凛抄『シロツメクサの甲子園』   作:風早 海月

6 / 14
第6話

 

 

 

 

試合開始。

 

 

新越谷の攻撃は、1番、ファースト、希から。

 

言うまでもなくノーアウト走者なし。先頭打者である。

 

第1球。

好球必打。

立ち上がりが良くないのか、球威もコースも甘めなゾーンの球。

 

先頭打者だし見に来るとでも思った球なのか、希にとっては『甘い球』だった。

 

甲高い金属音と共に白球が右中間へ。

 

「なにー!?」

「やった!長打コース」

三塁(みっつ)行ける!)

三塁打(スリーベース)!!」

「ないばっち!」

 

希は余裕でスライディング。三塁へ。

 

 

2番の菫。

ヘルメット姿が似合う。

 

ノーアウト三塁のチャンスに、柳大川越は1点はくれてやると言わんばかりの定位置。

指揮官芳乃のサインは強行。最低限犠飛は欲しい場面ではある。

 

初球は見逃してストライク。

左投手の難しい球…ではあるが…

 

(当てられないってほどでもないわね)

 

球威もコースも甘い。

2球目、振っていった菫はライト方向に打ち上げてしまう。だが、犠牲フライには十分な距離である。

 

三塁ランナー希がタッチアップしてホームイン。

 

「1点先制!」

「希ちゃん、ナイスバッティング。菫ちゃんナイス最低限」

 

最低限というのはナイスなのかは疑問だが、ワンアウトで1点を先取したと思えば悪くないのだろうか。

 

 

立ち上がりの3球で1点を失った大野。その動揺は次の打席に。

3番、珠姫。

 

珠姫への初球。その球は大きく外れて珠姫のおしりへ。

避けきれずに死球となる。

 

珠姫は直ぐに立ち上がると、「大丈夫」と一塁へ。

大野もほっとした様子で帽子を取った。

 

 

一死一塁で、4番の怜。

大野はビビったか、しっかり投げきれていない球。

初球をさらにレフト方面に飛ばす。

 

怜の快足もあって一死二三塁に変わる。

 

「やった!さすがキャプテン!」

「二三塁!」

「あと2点とろー!」

「私の番ね!」

 

 

5番の理沙。

1年生組に比べてやはり体も出来ていれば、クラブチームでの経験も高い。

 

(…怜の足なら外野まで飛ばせればタッチアップでも本塁に行ってくれるはず…私の役割は勢いを殺さずに、初球から外野に飛ばしていくこと…!)

 

だが、そう簡単に行くならば野球というゲームは廃れているだろう。

理沙は初球を、方向さえ合っていれば場外かというレベルのファールを打つ。

 

捕手の浅井は今の大野では危ないと感じ、ベンチからも敬遠気味の勝負というサインが送られる。

 

結果、早打ちで勢いを殺さずにという意図から外れて7球でフォアボールとなった。

 

「ナイセン!」

「満塁だよ!」

 

 

一死満塁で迎えた6番稜。

芳乃としては本当なら代打英詠と行きたいが、守備が手薄になると判断。

 

満塁とはいえ、最初よりも勢いの衰えてきた新越谷。勢いを断ち切ったのは稜のショートゴロ。

 

三塁走者の珠姫は生還。二塁走者の怜は三塁セーフ。

一塁走者の理沙は6-4で二塁アウト。

打者の稜は一塁ヘッスラでギリギリセーフとなった。

 

 

7番の息吹が打席に入るも、息吹に期待できないと思ったことと、失敗を取り戻そうとした稜の盗塁失敗で攻撃終了。

 

 

とはいえ、新越谷は初回、2点の先制点を獲得した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。